統合人事システムとは? 必要性と選定ポイント、解決できる課題を立場別に解説

統合人事システムとは、給与・勤怠・評価・育成といった業務を一元管理し、煩雑なオペレーションを整理する仕組みです。
システムが乱立していると、同じ情報を何度も入力したり、更新漏れが起きたりと現場の負担が大きくなります。データの整合性がとれず、せっかくの人材情報も戦略に活かしきれないという課題を抱える企業は少なくありません。
本記事では、統合人事システムの基本から必要性、向いている企業、選定時のポイントまでをわかりやすく解説しています。
目次
統合人事システムとは?
統合人事システムとは、採用から退職までの人事業務を一元管理できるシステムです。たとえば、以下のような業務を1つのプラットフォームに統合することで、スムーズな業務連携につながり、効率化されます。
- 労務管理/勤怠管理/給与計算
- 人事評価/目標管理
- 教育/研修/スキル管理
- 採用管理
人材データは、従業員ごとに蓄積・更新され、部署や拠点をまたいで共有が可能です。
バラバラに管理されていた人事情報を、1つの基盤でリアルタイムに把握・活用できることが統合人事システムの特長です。業務効率化だけでなく、組織の人材情報を資産として活かすための基盤として活用が広がっています。
統合人事システムの必要性
統合人事システムは、人事業務の分断を解消し、組織全体の効率と戦略性を高めるために欠かせません。
システムが分散していると、従業員・人事担当・経営者すべてにとって負荷が大きくなり、更新漏れやデータ不整合が生じ、社内の意思決定も遅れてしまうでしょう。
たとえば評価や勤怠、給与が別システムで管理されていると、運用ルールが拠点ごとにバラついたり、データの整合性を保つだけでも大きな工数がかかってしまいます。
そこで、情報を一元管理できる統合人事システムが必要とされています。単なる管理ツールとしてだけでなく、人的資本を見える化し、人材データを戦略的に活用するために、必要性は今後さらに高まっていくでしょう。

統合人事システムで解決できる業務課題
統合人事システムは、従業員・人事部門・経営層それぞれが抱える課題の解決を支援するツールといえます。立場が違えば悩みも異なりますが、人事情報の一元化により、全体最適で業務環境を整えられるでしょう。
業務システムの乱立による立場別の課題と、統合人事システムがサポートする解決策を紹介します。
従業員(利用者)
勤怠申請や住所変更、評価の確認など、従業員が日常的に行う手続きが、複数のシステムに分かれている企業は少なくありません。
従業員は、システムごとにIDやパスワードを管理し、操作方法を覚える必要があり、使いづらさを感じる場面も多いでしょう。
また、目標設定や評価結果が別システムで管理されていると、自分がどのように評価されているかわかりにくく、エンゲージメントの低下を招きます。
統合人事システムを導入すれば、手続きが1つの画面で完結します。複数ログインが不要となり、操作方法も統一され、従業員自身が簡単に情報を確認・更新できるようになるでしょう。
人事部門(システム管理者)
複数のシステムで管理していると、人事担当者は同じ情報を何度も入力しなければならず、手間がかかります。
結果として、更新漏れやデータ不整合が起こりやすく、確認作業に多くの時間を取られてしまうのは大きな課題です。
とくに人事異動や組織変更の際に、非効率さが顕著にあらわれます。複数システムを手作業で更新する必要があり、最新情報がわからなくなるケースも少なくありません。
また、システムごとに仕様やサポート体制が異なるため、トラブル対応にもばらつきが出て、運用面で不便です。
統合人事システムを導入すれば、情報を一元的に管理でき、多岐にわたる業務を同じシステムで対応できます。
更新作業の負担が減り、情報の整合性が保たれることで、報告書の作成や分析も、スムーズに進められるでしょう。
経営者・マネージャー(意思決定層)
経営層やマネージャーが戦略的な人材配置や育成計画を立てるうえで課題となるのが、人材情報が分散していることです。
人材情報を部門横断的に把握することが難しく、組織にいる人材の全体像を捉えることができません。必要な情報を複数のシステムから収集・整理しなければならず、意思決定が遅れる原因となります。
統合人事システムの導入によって、人材データを一元的に把握できるようになり、個々の状況をリアルタイムで確認することが可能です。
役職や評価、勤続年数といった情報をもとに、客観的かつ迅速な意思決定を助けるでしょう。

統合人事システムを導入したい企業
では、自社に統合人事システムは本当に必要なのでしょうか。
統合人事システムの導入によってメリットが得られるのは、ある一定の条件や課題を抱えている企業です。すべての企業に必須とは言い切れません。
次の4つの視点から、現状を評価したうえで、十分に検討するとよいでしょう。
1.業務課題
人事業務における日常的な課題が積み重なっている企業は、統合人事システムの導入効果が高い傾向にあります。
- 勤怠・給与・評価などがバラバラのツールで管理されている
- 従業員情報を別々のシステムに何度も入力している
- 人事異動や退職のたびに、複数システムを手作業で更新している
- 経営層向けレポートを作る際に、Excelでの手集計が欠かせない
こうした状況は、更新漏れやミスの原因となり、人事部門の負担を大きくしています。
統合人事システムを活用すれば、1つの情報更新で全体に反映されるため、入力や確認の手間を減らし、正確性とスピードの向上が期待できるでしょう。
2.組織構造・企業規模
企業の組織構造や規模も、統合人事システム導入の判断材料になります。
- 拠点やグループ会社ごとに人事制度や管理方法が異なっている
- 組織が急成長し、既存の人事管理体制では対応が追いつかなくなってきた
このような企業では、人材情報の一元管理や全社的な視点での人材戦略の立案が難しくなる傾向にあります。
統合人事システムの導入により、グループ横断の人材活用や配置が進み、成長フェーズに柔軟に対応できる基盤が整うでしょう。
3.人事戦略・経営方針
企業の人事戦略や経営方針も、統合人事システム導入の重要な判断基準です。
- 後継者育成やタレントマネジメントに力を入れたい
- スキルや評価を定量的に把握し、人材配置に活かしたい
- 人的資本情報の開示に向けて、データを整備したい
戦略人事を実現するには、情報が散在したままでは対応できず、統合されたデータ基盤が不可欠です。
統合人事システムを活用すれば、評価・スキル・勤怠などの情報を部門横断で分析でき、客観的な人材判断が可能になります。

4.導入のタイミング
統合人事システム導入の適切なタイミングも重要な検討ポイントです。
- 人事制度の改定や、社内DXの推進といった組織変革が進んでいる
- 現行の人事システムが老朽化しており、将来的な再構築やクラウド移行を検討している
- 複数の人事システムの契約更新時期が重なっている、管理負荷が増している
このような「変化のタイミング」は、統合人事システムへの切り替えを検討する機会です。
新しい制度にあわせてシステムを刷新することで、業務フローの最適化と制度の浸透を同時に進められます。
また、レガシーシステムの保守にかかるコストやリスクを軽減し、将来的な運用の柔軟性を確保するうえでも、クラウド型の統合人事システムは有効な選択肢といえます。
今後の事業展開や人事戦略に備え、土台を見直すタイミングとして前向きに検討してみるのがおすすめです。
統合人事システム選定時に見る5つのポイント
統合人事システムを導入する際、「統合」と名のついた製品は数多く存在しますが、表面的な連携にとどまるものも少なくありません。
選定を誤ると、導入後に「思っていたのと違う」「データの二重管理が必要」といった事態に陥り、投資対効果が得られないリスクがあります。
真に効果的な統合人事システムを見極めるには、どのようなポイントに注目すべきでしょうか。システム選定時に確認したい5つのチェックポイントを解説します。
1.1つのIDパスワードで管理できるか
統合人事システムであれば、勤怠申請・給与確認・評価入力など、すべての機能に1つのID・パスワードでアクセスが可能です。
一方、複数のシステムを連携しているだけの場合は、機能ごとにIDを使い分けなければならず、従業員・人事部門ともに負担が大きくなります。
ID管理の簡素化は、利便性だけでなくセキュリティ面のリスク軽減にもつながります。ログインの煩わしさがなくなれば、従業員の利用率も自然と高まるでしょう。
2.共通のUI&UXと操作性を担保しているか
人事システムは、従業員・人事担当者のどちらも日常的に使うツールです。
そのため、統合人事システムの操作性において、UI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)の統一は重要です。
複数のシステムを表面的に連携しただけの場合、画面の見た目やボタン配置、操作手順がバラバラになり、使いこなすまでに時間がかかってしまいます。
共通のUI&UXを持つ統合人事システムなら、直感的な操作が可能になり、研修コストや問い合わせ対応の負担も軽減されるでしょう。
3.1つの従業員マスタデータを1つのデータベースで管理しているか
統合人事システムとうたっていても、データベースが分かれている場合は注意が必要です。
たとえば、所属部署を変更した際、複数のシステムに個別で反映しなければならないようでは、統合とはいえません。
一方、従業員マスタが1つのデータベースで一元管理されていれば、どの機能からも同じ情報を参照でき、データの整合性を保つことができます。
拠点や部門をまたいだ高度な分析・レポート作成にも、信頼できる基盤として活用できます。
4.高いセキュリティレベルを保っているか
人事部門は、個人情報や給与情報など、機密性の高いデータを扱います。
そのため統合人事システムは、アクセス制限や暗号化、監査ログなどのセキュリティ対策が備わっているかを必ず確認する必要があります。
とくにクラウド型システムを選ぶ場合は、第三者機関の認証や、災害時・障害時の対応策が明確になっているかも重要です。
セキュリティの甘さは情報漏えいや法令違反を招き、企業としての信頼にもかかわる問題を引き起こしかねません。
導入前には、統合人事システムのセキュリティレベルが、要件や業界基準に適合しているかどうかをチェックしましょう。
5.段階的に導入できるか
統合人事システムの導入は、業務フローや運用体制の変化を求められるケースがあります。
そのため、すべての機能を一度に入れ替えるのではなく、段階的に導入できるかどうかも選定のポイントです。
たとえば、最初は勤怠・労務からスタートし、評価や育成は後から追加するといったスモールスタートが可能であれば、社内の混乱を避けながら移行を進められるでしょう。
また、将来的に従業員数が増えたり、事業が多角化したりしたときに柔軟に拡張できるかどうかも、長く使い続けるうえでの重要な視点です。
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統合人事システムとうたうAPI連携に注意
「統合人事システム」と聞くと、すべての人事情報が1つの仕組みに集約されていると感じるかもしれません。
しかし、実際には統合型と表現されていても、複数のシステムをAPI連携でつないだだけの製品もあります。
API連携とは、異なるシステム間でデータを受け渡すための技術です。見た目上は1つの画面に見えても、中身では個別のシステムが独立して動作しているため、真の意味での「統合」とは異なります。
API連携の課題
API連携型の統合人事システムには、以下のようなリスクや運用負担が発生しやすくなります。
- 各システムの仕様変更や不具合の影響を受けやすく、障害時の対応が複雑
- 設定や管理に専門知識や工数が必要
- データの不整合が起こりやすく、「どの情報が最新か」常に意識する必要がある
とくに、人事マスタが複数存在する状態では、更新ミスや抜け漏れが生じやすくなり、現場にとっては大きなストレスになります。
統合人事システムの特徴
一方で、1つのデータベースで人事情報を一元管理している統合人事システムであれば、更新作業は1回で済み、全機能へ反映されます。
- 人事部門の事務作業や確認負担が大幅に軽減される
- 従業員はシンプルな操作で利用できる
- 経営層は、整合性の取れたデータで迅速・正確な意思決定が可能になる
表面的な「統合」ではなく、データ基盤の構造まで確認しておくと、より安心です。
まとめ|統合人事システムは「戦略人事」の基盤に
統合人事システムは、単なる業務効率化のツールではなく、企業が人的資本を最大限に活かすための戦略的な土台になります。人事情報の一元管理により、分散していたデータが統合され、経営判断のスピードと質を高められます。
企業の競争力の源泉は「人」です。統合人事システムは、その「人」の活躍を支え、煩雑な管理業務から人事担当者を解放します。結果として、より戦略的な人材育成や組織開発に集中できる環境が整います。
人材情報の一元化は、人材の可視化によって次の打ち手を明確にし、経営に資する意思決定にもつながっていきます。
システムの乱立や運用の非効率に課題を感じているなら、統合人事システムの導入は一つの方法です。 まずは現在の管理体制を振り返ることから、始めてみてはいかがでしょうか。
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