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アウトカムとは? 意味や各業界での解釈、アウトプットなど似た言葉との違いを解説

アウトカムとは? 意味や各業界での解釈、アウトプットなど似た言葉との違いを解説

アウトカムとは、行った施策・目標の成果や効果のことです。言葉の使われ方は業界によって異なりますが、いずれも成果や効果を指します。また、アウトカムのメリットは客観的な数値を把握できるため、正当な評価を行いやすく、過去データと比較しやすいという点です。

本記事では、アウトカムの意味や類似語との違い、各業界におけるアウトカムの定義について解説します。アウトカムの効果を高めるコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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    アウトカムとは「施策によって得られる効果」のこと

    アウトカム(outcome)は、直訳すると「成果・結果」という意味を持つ言葉です。ビジネスにおいては「施策によって得られた効果」を意味する場合が多く、会社の利益だけでなく、社会や人などさまざまな対象に与える影響を指します。

    例文
    アウトカムを分析すると、その結果を次の施策に活かせるはずだ。
    多くの人に支持されている方法でも、アウトカムにプラスの影響がなければ、適した方法とはいえない。

    アウトカムとインプット・アウトプット・インパクトの違い

    アウトカムに似ている用語について解説します。それぞれの意味を把握し、ビジネスシーンで適切に使い分けましょう。

    インプットとは

    インプット(input)とは、「入力する」という意味を持つ言葉です。ビジネスシーンにおいては、主に新しい知識や情報、体験などを取り込むことが該当します。「記憶して覚えること」という意味合いで使用されるケースが多いでしょう。

    例文
    セミナーに参加し、最新の業界動向をインプットした。
    来週から新しい業務に取り組むため、手順をインプットしておく必要がある。

    また、ある施策に対して、原材料や労働力などの資源を投入することを表す場合もあります。

    アウトプットとは

    アウトプット(output)とは、「出力する」という意味を持つ言葉です。ビジネスシーンにおいては、主に学んだ知識やスキルを活かし、具体的に行動することを指します。

    つまり、アウトプットとは、インプットした内容を実際の仕事に活かす行為です。スキルアップを実現するためには、インプットとアウトプットを繰り返すことが重要とされています。

    例文
    セミナーで学んだ内容をアウトプットするため、会議で積極的に発言した。
    ただ知識を蓄えるだけでなく、適切にアウトプットする必要がある。

    アウトカムが「成果・効果」を表すのに対し、アウトプットは「学んだ内容を実践の場で活かすこと」を指します。つまり、アウトカムは、インプットとアウトプットの繰り返しによって獲得できるとも考えられるでしょう。

    インパクトとは

    インパクト(impact)とは、「衝撃」という意味を持つ言葉です。研究開発の分野で使われることが多く、「研究プログラムが組織や文化、社会などに与える長期的結果」といった意味合いで用いられます。

    また、ビジネスシーンでは、「外部に強い印象や驚きを与えること」といった意味合いで用いられる場合もあるでしょう。インパクトに明確な定義はなく、そのときどきの文脈によって異なる使われ方をする傾向があります。

    例文
    統計によって得られた数値は、社会に大きなインパクトを与えた。
    Aさんの発表はインパクトのある内容だった。

    4つの用語の関係性

    インプット→アウトプット→アウトカム→インパクトは連続した関係にあり、インプットした知識・スキルをアウトプットすることでアウトカムが得られ、しばしば外部にインパクトをもたらします。

    4つの用語の関係性を具体例とともにまとめると、以下の通りです。

    インプットセミナーに参加して業界動向を学ぶ。
    アウトプットセミナーで学んだ内容を商品開発に活かす。
    アウトカム開発した商品がヒットし、売上高やブランドイメージが向上した。
    インパクト革新的な商品開発で、業界に衝撃を与えた。

    アウトカムに注力するメリット

    アウトカムに注力すると、以下のようなメリットを期待できます。

    • 正当に評価できる
    • 過去データと比較しやすい

    それぞれのメリットについて、詳しく解説しましょう。

    正当に評価できる

    アウトカムに注力すれば、施策の成果や効果に関する客観的なデータを得られます。「最終的にどうだったか」という結論を数値として導き出せるため、気持ちや印象に左右されない評価が可能です。実績を出した人や施設に対して、正当な評価を与えられるでしょう。

    また、最終的な結果に重きをおくので、手段が目的になりにくいというメリットもあります。「目標を達成できたのか」「どの程度達成できたのか」といった点を重視するため、本来の目的を追い求めやすいでしょう。

    たとえば、一定の要件を満たしたリハビリ施設では、FIMという指標を用いたアウトカム評価が導入されています。

    FIMは『Function Independence Measure:機能的自立度評価表』の略称で、患者さんが入院時から退院時までにどのくらい自立できるようになったかを表す数値です。患者さんのFIMの増加率が高いとは、リハビリの質がよく、短い期間で体の機能が大きく回復したことを意味します。つまり、「効率よくリハビリを行えている」という指標となるのです。

    このアウトカム評価を導入すると、リハビリの現場では「リハビリテーション技術の向上」にこれまで以上に注力するようになるでしょう。すると、結果的に患者さんの医療費削減にもつながり、リハビリをする側・される側、双方にとってメリットがもたらされます。

    過去データと比較しやすい

    一定期間ごとに区切りを設けて施策の効果を検証するため、時系列順のデータを蓄積できるのもポイントです。過去と現在のデータをスムーズに照合でき、変化を把握しやすくなります。

    また、アウトカムは、あらかじめ決められた条件をもとに評価する客観的で普遍的な評価基準です。そのため定性的な要素を含まず、結果を比較しやすいというメリットがあります。

    たとえば、一定期間を比較して売上の高い・低いを比較すれば、コスト要因を的確に探り当てられるでしょう。

    アウトカムの効果を高めるコツ

    アウトカムの効果を高めるには、以下の2つのポイントに注意することが大切です。

    • 定期的に発生する条件を用いる
    • 目的や条件を明確に定義する

    それぞれのポイントについて、詳しく解説しましょう。

    定期的に発生する条件を用いる

    アウトカム評価では「目標の達成度」が大きな指標となるため、条件設定を行い、変化を読み取れる必要があります。一度の結果でも評価自体は可能ですが、より信頼性を高めるためには、複数のデータを比較することが大切です。

    たとえば、アウトカム評価で「ある部分に通常より多くのコストがかかっている」という結果が得られたとしても、災害や社会的混乱など、通常想定できない状況で収集したデータは参考にすべきではありません。不定期に発生するものではなく、日常的または定期的に起こる条件を設定しましょう。

    目的や条件を明確に定義する

    アウトカムの活用目的を明確に定義しないと、それを得るための条件も当然定まりません。「なにを・いつまでに・どのように」といった観点から、適切な目標を設定しましょう。

    なお、目標はできるだけ具体的に設定することが大切です。設定した条件が複数の意味にとれてしまう場合や曖昧な場合は、本来得るべきデータを収集できなくなる恐れもあるでしょう。たとえば、病院でアウトカム評価を導入する場合、対象となるのが入院患者なのか、外来患者なのかによって収集できるデータは変わります。

    各業界におけるアウトカムの解釈

    アウトカムの定義は業界によって異なる場合があるため、自社や取引先が属する業界にあわせて適切に使用することが大切です。最後に、医療・看護・介護・リハビリにおけるアウトカムの定義をそれぞれ解説します。

    医療業界

    医療業界におけるアウトカムは、事業の目的や目標の達成度、成果の数値目標に対する評価と定義されています。

    具体的な評価指標は、以下の通りです。

    • 肥満度や血液検査などの健診結果の変化
    • 糖尿病などの生活習慣病の有病者・予備群
    • 死亡率
    • 要介護率
    • 医療費の変化 など

    看護業界

    看護業界におけるアウトカムは、検査結果の改善度や合併症の発生率、再発率、死亡率など、医療ケアによる臨床上の成果と定義されています。

    また、クリティカルパス(クリニカルパス)のなかで設定される目標をアウトカムと呼ぶ場合もあります。クリティカルパスとは、プロジェクト全体の作業経路のことです。看護の現場においては、主に治療・検査の実施内容や順番を示したスケジュール表を指します。

    クリティカルパスにおけるアウトカムは、治療や看護によって患者さんが達成すべき指標のことです。たとえば、「薬に関する説明を理解できた」「QOL(Quality Of Life)が向上した」などがあります。

    介護業界

    介護業界におけるアウトカムは、介護サービスの提供によってもたらされた利用者の状態改善という意味です。在宅復帰や要介護度の維持・改善、リハビリステーションでの社会参加などが評価され、介護報酬におけるサービスの質を評価します。

    なお、サービスの質はアウトカムだけでなく、施設の体制や訓練の実施などから総合的に評価されます。介護サービスの質が向上すれば、より多くの利用者に選ばれるようになり、施設にとっても多くのメリットを得られるでしょう。

    リハビリ業界

    リハビリ業界でも、質の高いサービスを提供している施設が正当に評価されることを目的に、アウトカム評価が導入されています。

    リハビリ業界におけるアウトカムは、主に「リハビリすることによって、臨床上どの程度の成果を得られたか」を意味するのが一般的です。けがや病気の改善度、回復率など、リハビリをスタートしてからの変化を数値化し、リハビリによる効果を測定します。

    なお、看護業界と同じく、リハビリにおいてもクリティカルパスのなかで設定される目標をアウトカムと表現する場合があります。

    アウトカムで施策の効果を適切に評価

    アウトカムとは、施策によって得られた効果・成果を指す言葉です。アウトカムの定義は業界ごとに異なり、医療・介護関連の領域では「患者さんが治療によって達成すべき目標」「利用者の状態改善」といった意味で用いられます。

    アウトカムを導入すれば、施策や計画を客観的に振り返り、適切に評価することが可能です。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひアウトカム評価を取り入れてみてください。

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