ビジネスにおけるプラットフォームの意味とは? 事例を含め簡単に解説
プラットフォームとは、製品やサービスを利用する「土台」や「場所」を意味する言葉です。近年はITの進化により、プラットフォーマーとして役割を果たす企業が台頭しています。SNSの利用拡大も相まって、ビジネスにおいてプラットフォームの重要性が増しているといえます。
本記事では、ビジネスで使用されるプラットフォームの意味・特徴を解説し、注目される背景や重要性を関連する事例を交えてわかりやすく解説します。
ビジネスにおけるプラットフォームとは
ビジネスにおけるプラットフォームとは、サービスや製品の供給者と消費者をつなぐ「場」を提供する仕組みのことです。多くは物理的なものではなく、デジタル環境の概念であり、さまざまな提供形態があります。
プラットフォーマーとしての役割を果たす企業は、消費者にサービスの導入を促し、効果的に運用するための戦略を練って台頭してきました。
SaaSとの相違点
プラットフォームビジネスとSaaSは、サービス提供者と利用者をつなぐ環境を提供する方法が異なります。
SaaS(Software as a Service)とは、インターネットで提供されるクラウドベースのソフトウェアを、ユーザーがインストールや管理を必要とせずに利用できるサービス形態です。ユーザーはソフトウェアを購入する代わりに、月額や年額で利用料金を支払います。
プラットフォームビジネスは、ツールを使ってビジネスを展開する場を提供し、SaaSはツールそのものを提供します。
プラットフォームビジネスは4種類に分類できる
プラットフォームビジネスは、形態によって4つの種類に分類されます。
プラットフォームビジネスの種類 | 具体的なサービス事例 |
---|---|
仲介型 | メルカリ/Airbnb |
OS型 | iOS/Android |
コンテンツ型 | YouTube/Netflix |
ソリューション型 | Salesforce/Slack |
それぞれの特徴や収益の方法を紹介します。
仲介型はサービスや製品の提供者と利用者をつなぐ
仲介型プラットフォームビジネスは、サービスや製品の提供者と利用者をつなぐ役割です。代表的な例としては、『メルカリ』や『Airbnb』が挙げられます。
仲介型プラットフォームは、商品やサービスの売買を簡単にし、多くの取引を仲介して手数料収入を得ます。拡大には相応のビジネス戦略が求められるでしょう。
参考:『メルカリ』株式会社メルカリ
参考:『Airbnb』Airbnb Japan株式会社
OS型はソフトウェアやアプリケーションの基盤
OS型プラットフォームビジネスは、ほかのソフトウェアやアプリケーションが動作する基盤を提供します。代表例はAppleの『iOS』やGoogleの『Android』です。
OS型プラットフォームは、開発者がアプリを提供し、ユーザーが利用する場を提供して収益を得るのが特徴です。
参考:『iOS』Apple
参考:『Android』グーグル合同会社
コンテンツ型はユーザーがコンテンツを作成・共有・消費する場
コンテンツ型プラットフォームビジネスは、ユーザーが生成したコンテンツを集め、ほかのユーザーに提供して価値を創出します。『YouTube』や『Netflix』などが代表的です。
コンテンツ型プラットフォームは、広告収入やサブスクリプション収入を主な収益源とするのが特徴です。
参考:『YouTube』グーグル合同会社
参考:『Netflix』Netflix, Inc.
ソリューション型は特定の問題を解決するサービスを提供
ソリューション型プラットフォームビジネスは、特定の問題を解決するためのツールやサービスを提供します。『Salesforce』や『Slack』などが代表的です。
ソリューション型プラットフォームは、企業の業務効率化やコミュニケーション改善に役立つ解決策を提供し、利用料を収益とするのが特徴です。
参考:『Salesforce』株式会社セールスフォース・ジャパン
参考:『Slack』Slack Japan株式会社
プラットフォームビジネスの収益モデル4種類
プラットフォームビジネスには以下4つの収益モデルがあり、それぞれ企業の拡大を支え、効率的に利益を得る仕組みとして効果を発揮しています。
プラットフォームビジネスの収益モデル | 具体的なサービス事例 |
---|---|
手数料課金モデル | eBay |
フリーミアムモデル | |
サブスクリプションモデル(月額課金モデル) | Netflix/Spotify |
従量課金モデル | Amazon Web Services(AWS) |
4つの収益モデルの特徴やメリット・デメリットを紹介します。
手数料課金モデル
手数料課金モデルは、プラットフォーム上で取引が行われた際に手数料を徴収する仕組みです。フリマアプリやオークションサイトではよく見られる課金モデルで、取引が増えるほど収益も増加します。
たとえば、『eBay』は取引ごとに手数料を徴収し大きな収益を上げています。
フリーミアムモデル
プラットフォームビジネスのフリーミアムモデルは、基本的なサービスは無料で提供し、追加機能やプレミアムサービスに対して課金する仕組みです。多くのアプリやオンラインサービスで採用されており、ユーザーを広く集めやすいのが特徴です。
『LinkedIn』は無料の基本サービスと、有料のプレミアムサービスを組み合わせて成功しています。
サブスクリプションモデル(月額課金モデル)
プラットフォームビジネスのサブスクリプションモデルは、ユーザーが月額や年額の料金を支払ってサービスを利用する仕組みです。
『Netflix』や『Spotify』などのサービスが月額課金モデルを採用しています。継続的で安定した収益効果を見込める一方で、継続利用を促す工夫が必要です。たとえば『Spotify』は定期的に新しい機能を追加し、ユーザーの関心を高めることで収益を確保しています。
参考:『Spotify』Spotify Technology
従量課金モデル
従量課金モデルは、ユーザーが利用した分だけ料金を支払うプラットフォームビジネスの仕組みです。クラウドサービスや通信サービスなどでよく見られます。利用が多ければ多いほど収益が増えるため、ヘビーユーザーの獲得が重要です。
『Amazon Web Services(AWS)』は、従量課金モデルを採用し、大規模なクラウドサービスを提供しています。
参考:『アマゾン ウェブ サービス(AWS)』アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
プラットフォームビジネスのメリット3つ
プラットフォームビジネスには主に3つのメリットがあります。
プラットフォームビジネスのメリット | 具体的なサービス事例 |
---|---|
ユーザー数の増加にともなうサービスの価値の上昇 | |
客行動の洞察にビッグデータ解析を応用 | Amazon |
サブスクリプションで継続的に課金 | Office 365 |
ユーザー数の増加にともなうサービスの価値の上昇
プラットフォームビジネスでは、ユーザー数が増えるほどサービスの価値も高まります。多くのユーザーが集まることで、より多くの取引や交流が生まれ、サービス全体の魅力が向上します。
たとえば『Facebook』はユーザー数の増加とともに、プラットフォーム上での交流や広告の価値が飛躍的に向上しました。
参考:『Facebook』Meta Platforms Technologies Japan合同会社
客行動の洞察にビッグデータ解析を応用
プラットフォーム上で収集される情報は価値が高く、顧客の行動パターンやニーズを深く理解するために活用できます。ビッグデータを解析することで、マーケティング戦略の最適化や新サービスの開発に役立ちます。
『Amazon』は、顧客の購買データを分析し、パーソナライズされたおすすめ商品を提供し、売上を大きく伸ばしました。
サブスクリプションで継続的に課金
サブスクリプションモデルを採用すると、継続的な収益を確保できます。定期的な収入が見込めるため、安定したプラットフォームビジネスの運営が可能です。
Microsoftの『Office 365』は、サブスクリプションモデルで定期収入を得つつ、常に最新のソフトウェアを提供することで顧客満足度を高めています。
プラットフォームビジネスを成功させる4つのポイント
プラットフォームビジネスの成功には、明確なマーケットの定義と適切な収益モデルの設計が重要です。また、特定ユーザーのニーズに向けてサービスをカスタマイズしながら迅速に提供し、登録者数を増やす仕組みも整える必要があります。
プラットフォームビジネスの成功ポイント | 具体的なサービス事例 |
---|---|
マーケットとターゲットユーザーの明確化 | Airbnb |
収益源の設計で収益の確保 | |
参加企業とのパートナーシップ構築 | App Store |
低コストで成長可能な仕組みづくり | Slack |
プラットフォームビジネスを成功させるための重要なポイントを、以下で詳しく解説します。
マーケットとターゲットユーザーの明確化
まず重要なことは、ターゲットとする市場の明確化です。ターゲットユーザーのニーズや課題を深く理解し、需要に応じたサービスを提供できれば、競争優位性を確立できます。
たとえば『Airbnb』は旅行者と個人のホストを結びつけるニッチな市場をターゲットにし、プラットフォームビジネスにおいて成功を収めました。
収益源の設計で収益の確保
プラットフォームビジネスの収益モデルを設計する際には、どのタイミングで収益を得るかを明確にしなければなりません。手数料、サブスクリプション、広告収入など、複数の収益源を組み合わせ、安定収益を確保できます。
たとえば、Googleは広告収入を主な収益源としながら、クラウドサービスやデバイス販売など多岐にわたる収益源を持っています。
参加企業とのパートナーシップ構築
プラットフォームビジネスは、多くの参加企業やユーザーによって成り立っています。参加企業との強固なパートナーシップを築くことで、より多くの価値を提供し、プラットフォームの魅力が高まります。
Appleは『App Store』を通じて多くのアプリ開発者と強い関係を築き、エコシステム全体の価値を高めました。
低コストで成長可能な仕組みづくり
プラットフォームビジネスは、初期費用を抑えながら成長が可能です。クラウドサービスやオープンソースツールを活用し、コストを削減しつつ迅速な展開が可能です。
『Slack』はクラウドインフラの利用で初期コストを抑えつつ、急速に成長しました。
プラットフォームビジネスの課題・リスク
プラットフォームビジネスには多くのメリットがある一方で、2つの課題やリスクも存在します。
- 初期の集客費用がかかる
- 参入障壁が高く後発は難しい
初期の集客費用がかかる
プラットフォームビジネスを立ち上げる際には、最初のユーザーを集めるために多大な集客費用がかかります。広告やプロモーションに投資し、一定数のユーザーを獲得するまでのコストを見込んでおく必要があります。
たとえば『Uber』は初期のマーケティング活動に巨額の資金を投入しました。
参入障壁が高く後発は難しい
すでに大手が市場を支配している場合、新規参入は困難です。競合である他社との違いや優位性を明確にし、独自の価値を提供する必要があります。
検索エンジンの分野では『Google』が圧倒的な存在感を示しているため、新しく参入しようとする企業は厳しい戦いを強いられることになります。
プラットフォームビジネスの代表的な企業の事例
プラットフォームビジネスの成功事例として、3つの企業を取り上げて紹介します。
企業 | 具体的なサービス事例 |
---|---|
Amazon(アマゾン) | Amazon Web Services(AWS) |
Facebook(フェイスブック) | Facebook広告 |
Uber(ウーバー) | Uber Eats |
Amazonの成功例
Amazonは、世界最大のオンラインマーケットプレイスを運営している企業です。多くのサプライヤーと消費者をつなぎ、商品販売の手数料やプライム会員のサブスクリプション収入を得ています。
また、『Amazon Web Services(AWS)』を通じてクラウドサービスのリーダーとしても位置づけられています。
Facebookの成功例
Facebookは、ソーシャルネットワークプラットフォームとして、多くのユーザーと広告主を結びつけている企業です。広告収入を主な収益源としており、ターゲット広告の精度向上により高い収益を上げています。
Facebookの広告プラットフォームは、企業にとって有効なマーケティングツールとなっています。
Uberの成功例
Uberは、ライドシェアプラットフォームとして、ドライバーと乗客をつなぎ、移動サービスを提供している企業です。利用者からの手数料収入や企業との提携を通じて収益を得ています。
また、『Uber Eats』を通じて食品デリバリー市場にも進出し、さらなる成長を遂げています。
まとめ
プラットフォームビジネスは、現代のデジタル経済において重要なビジネスモデルです。成功には、適切なターゲット市場の選定、収益モデルの設計、強固なパートナーシップの構築、低コストでの成長可能な仕組みづくりが欠かせません。
一方で、初期の集客費用や高い参入障壁といった課題もあります。課題を理解し、戦略的に取り組むことで、プラットフォームビジネスの成功を目指しましょう。
プラットフォームビジネスの詳細なメカニズムや事例の理解により、自社ビジネスにどのように応用できるかを検討し、具体的なアクションプランを作成する第一歩となるでしょう。