印象に残るプレゼンテーションとは? 資料の構成や話し方のコツ

印象に残るプレゼンテーションとは? 資料の構成や話し方のコツ

プレゼンテーションとは、情報やアイデアを効果的に伝えるための発表や説明のことです。

プレゼンテーションスキルは、営業やマーケティング、社内外への情報発信など、多様な職種・場面で求められています。しかし、聞き手を引き込み、印象に残るプレゼンができていると自信を持って言える人は少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、プレゼンテーションの意味と、印象に残すための資料の構成や話し方のコツを紹介します。プレゼンスキルを高める実践的なポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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    プレゼンテーションとは

    プレゼンテーションとは、ある情報やアイデア、提案などを他者に対して効果的に伝え、理解や行動を促すための手段のことです。

    プレゼンテーションの語源は英語の「presentation(提示する)」です。ビジネスシーンでは「相手に情報を伝える技法」として定着しています。

    プレゼンテーションのほか、相手に情報を伝える技法として「主張」「発表」「ピッチ」が挙げられ、それぞれ次の違いがあります。

    主張との違い

    主張とは、個人あるいは組織としての見解を述べる行為です。プレゼンテーションのように、相手に次の行動を促す狙いはありません。

    プレゼンテーションは相手に行動を促すため、情報が正しく伝わっているかなど、聴衆の反応をみながら進めるのが一般的です。

    一方、主張は個人あるいは組織としての見解を述べるだけなので、反応を見ながら進める過程は発生しません。

    発表との違い

    発表とは、個人または組織としての見解や事業計画を社外に公開し、認知を高めるために取り入れる技法を指します。資料を作成し、口頭で計画の内容を詳しく説明しなければなりません。

    プレゼンテーションと混同されがちですが、発表の目的はあくまでも「事業計画または特定の製品の認知度向上」です。

    ただし、明確に区別されることは少なく、「製品発表プレゼン」や「営業プレゼン」など、発表もプレゼンテーションの中に含んで使用される場合もあります。

    ピッチとの違い

    ピッチとは、アイデアやサービスなどを短時間で訴求するスピーチです。プレゼンテーションとは目的が異なり、メッセージをわかりやすく簡潔に伝えることに主眼が置かれています。

    印象に残るプレゼンテーションとは何か

    プレゼンテーションの本来の役割は、聞き手に対して何かしらの行動を促すことです。そのためには、聞き手に内容を理解してもらい、さらには心を動かすメッセージを盛り込むことが重要です。

    効果的なプレゼンテーションを実現するためには、まず、明確な目的を設定します。聞き手に何を伝えたいのか、どのような行動を期待するのかをはっきりさせます。次に、メッセージはシンプルで具体的にすることが大切です。複雑な情報は避け、要点をわかりやすく伝えましょう。

    プレゼンテーションの構成も重要です。冒頭で聞き手の関心を引き、中盤で核心の内容を伝え、最後に印象に残る締めを用意します。これにより、聞き手の記憶に残りやすく、行動を促しやすくなるでしょう。

    プレゼンテーションの準備

    印象に残るプレゼンテーションに向けて、準備のポイントを解説します。本記事では「製品発表プレゼン」と「営業プレゼン」に分けて具体例を交えながら紹介します。

    • 製品発表プレゼンテーションの準備
    • 営業プレゼンテーションの準備

    製品発表プレゼンテーションの準備

    製品発表プレゼンテーションで重要なのは、自社製品の魅力や強みを明確にし、競合製品との違いを明確にすることです。多くの企業が似たような製品を販売している中で、なぜ消費者が自社製品を選ぶべきなのか、その理由を述べる必要があります。

    プレゼンテーションの場では、製品の機能面での優位性だけでなく、価格設定、デザイン、アフターサポート体制など、競合と差別化できる要素を具体的に示しましょう。単に自社製品の利点を強調するだけでは、消費者の購買意欲を引き出せません。

    たとえば、同じカフェチェーンでも、タリーズコーヒーは商業施設への出店が多く幅広い層に認知されています。一方のコメダ珈琲店は独立店舗が多く、フリーWi-Fiや電源コンセントを完備することでモバイルワーカーのニーズに応えています。

    このように、同業他社との違いを見つけ出し、アピールポイントとして明確に打ち出すことが重要です。差別化により、プレゼンテーションの説得力が高まり、消費者の購買意欲をより引き出せるでしょう。

    営業プレゼンテーションの準備

    営業プレゼンテーションの目的は製品販売ですが、本当に大切なのは顧客の問題を解決することです。顧客一人ひとりの課題を分析して正確に把握し、解決策を提示する力が欠かせません。

    プレゼンテーションに向けて、まずは顧客の課題を徹底的に分析します。たとえば、人事システムを販売する企業の顧客の場合、先方の業務体制によって解決すべき課題は異なります。

    人事部が統括している顧客では業務過多が課題となり、各部門で分担している企業では、業務の見える化やデータの一元管理を課題と感じているかもしれません。

    次に、同じ課題を抱える他社の成功事例を準備します。新システム導入後の改善事例を具体的に示すために、アンケート結果や導入企業の取材記事を用意しましょう。営業プレゼンでは、製品の機能だけでなく、導入後のメリットを明確に伝えることが重要です。

    また、製品プレゼンテーションと同様に他社製品との違いも明確にします。製品の特徴や利点を理解したうえで、比較表なども用意するとよいでしょう。

    プレゼンテーションの資料の作り方

    プレゼンテーションにおける資料は、相手の興味を引きつけ、最後まで集中してもらうための重要なツールです。そのため、資料の情報量と話す内容のバランスを取ることが大切です。

    効果的なプレゼン資料を作成するためのポイントを紹介します。

    • 1スライドあたりの情報量
    • 色は4色以内
    • 資料の構成

    1スライドあたりの情報量

    プレゼンテーション資料には、情報を盛り込みすぎないようにします。資料ばかり注目されてしまったり、集中力を削いでしまったりして、相手が話を聞き逃してしまう可能性があるためです。

    資料で情報を提示しすぎると、重要な点を印象づけることができません。相手があとで資料を見返したときに「このページではこの話をしていたな」と思い出してもらえることが大切です。

    プレゼンテーション資料には概要や重要ポイントのみ簡潔に記載し、詳細な説明は口頭でわかりやすく伝えるようにしましょう。

    プレゼンテーションでは「1スライドに1つの主題」をルールとすることをおすすめします。話す内容が明確になり、聞き手も内容を理解しやすくなるためです。

    色は4色以内

    プレゼンテーションの資料づくりでは、色の使いすぎに注意しましょう。特に蛍光色は避け、見やすい資料を心がけることが大切です。暗い部屋で長時間プレゼンを行うとき、聴衆の目が疲れないようにするためです。

    一般的に、黒・白・青・赤の4色を使うと効果的です。たとえば、赤は重要事項、青は補足情報を示すなど、色には情報の優先度を視覚的に伝える役割があります。4色を上手に使い分け、相手が内容を理解しやすい資料を作成できます。

    プレゼンテーションの資料では、多色使いよりも、目に優しく情報の重みがわかる色使いを大切にしましょう。

    資料の構成

    プレゼンテーションの目的によって資料の構成も変化をつけましょう。本記事では「製品発表プレゼン」と「営業プレゼン」を例に挙げて、構成のポイントを紹介します。

    製品発表のプレゼンテーション

    製品発表のプレゼンテーションでは、相手の興味を持ってもらうことが重要です。最初にキャッチコピーを提示し、相手の関心を高めるとよいでしょう。Appleを例に挙げて紹介します。

    1.キャッチコピー同社は2023年9月のiPhone15発表会に先立ち「夢中の旅」と書かれた招待状を公開して話題になりました。
    シンプルで印象的なキャッチコピーは、顧客の注目を集めます。
    2.企業の方針・ビジョン「2030年までにすべての製品をカーボンニュートラルに」という目標も掲げ、企業としてクリーンエネルギーの活用に注力する姿勢も打ち出しました。
    長期的なビジョンを聞き手に伝え、信頼感を高めたといえます。
    3.具体的な製品情報カーボンニュートラル実現の第一弾として『Apple Watch Series 9』を発表しました。具体的な製品価値を最後に伝えています。
    製品発表のプレゼンテーション資料構成は、キャッチコピーで興味を引き、企業の方針で信頼感を高め、具体的な製品情報で価値を伝えるというバランスが大切です。

    営業プレゼンテーション

    営業プレゼンテーションの目的は、顧客の課題を解決することです。まずは問題提起から始めるとよいでしょう。

    1.問題提起顧客が抱える具体的な課題を正確に把握し、明確に提示します。
    2.根拠の提示同じ課題を抱えている他社データなどを集め、客観的な根拠を示します。顧客には「自社だけの問題ではない」と実感してもらい、解決への前向きな姿勢を示しましょう。
    3.放置した場合の
       リスクを提示
    課題を放置した場合に起こりうるリスクや問題点を具体的に伝え、解決策の必要性を強調します。顧客はより課題解決を望むようになるでしょう。
    4.解決策の提示短期的な解決策を提示し、自社製品がその課題をどのように解決できるかを具体的に説明します。
    5.自社製品と
       解決策の関連性
    自社製品がどのようにして課題を解決できるかを説明します。製品の機能や特徴を活かし、具体的な事例やデータを用いるとよいでしょう。
    6.製品の詳細製品の詳細を補足します。価格や性能、サポート体制など、顧客が事前に知りたくなる情報を詳細に伝え、ユニークな特徴や他社との違いなどを強調します。
    顧客の不安を事前に解消し、どのような価値を与えられるのかを理解してもらいましょう。

    プレゼンテーションでの話し方のコツ

    プレゼンテーションを成功させるためには話し方も大切です。意識して実行したい話し方のコツを紹介します。

    • 声の大きさとトーンに気をつける
    • 共感を言葉で示す
    • 資料に書いてない情報を話す
    • 相手の反応を見ながら進める

    声の大きさとトーンに気をつける

    製品発表や営業のプレゼンテーションでは、声の大きさに配慮します。相手に聞き取りやすくするため、通常よりも声を張ってゆっくり話しましょう。

    声を少し高めにすると、明るく前向きな印象を与えます。必要以上に大声で話す必要はありませんが、はっきりと聞き取れる音量で話すことが大切です。

    共感を言葉で示す

    プレゼンテーションで話す際は、共感と傾聴の態度を示しましょう。

    特に営業プレゼンでは、顧客の課題を聞き出し、リスクと解決策を説明する必要があります。ただ説明するだけでなく「リスクはありますが、このように対処できます」と具体的な解決策を提示し、共感と傾聴の姿勢を示すことで、親身に対応していると感じてもらいやすくなります。

    資料に書いてない情報も話す

    プレゼンテーションでは、資料の内容をただ繰り返すのではなく、載っていない新しい情報も随所でつけ加えます。聞き手の興味を持続させるためです。顧客にとって新鮮な内容を提供することで、継続的に注意を引くことができるでしょう。

    相手の反応を見ながら進める

    プレゼンテーションの本来の目的は、聞き手に次の行動を促すことです。聞き手が内容を理解していなければ行動には移せません。

    話している途中で「ここまでで質問はありますか?」などと質問を投げかけ、聞き手が情報を整理する時間を設けましょう。

    相手の反応を見ながら進行することで理解を深め、次の行動への準備が整います。プレゼンテーションの効果を最大限に高めるために、聞き手の関心を維持する配慮がポイントです。

    まとめ

    プレゼンテーションとは、情報やアイデアを効果的に伝え、相手に行動を促す手法です。ビジネスの現場で重要な役割を担います。

    プレゼンテーションは、製品やサービスの説明だけでは不十分です。特に営業プレゼンでは、顧客の課題を理解したうえで、最適な解決策を提示する必要があります。

    プレゼンテーション資料の構成や話し方のコツはあくまでも手段であり、顧客や市場のニーズに向き合う姿勢こそが、成功を左右するポイントといえるでしょう。

    プレゼンテーションを製品説明の場として捉えるのではなく、課題解決に向けたコンサルティングの機会と認識することが大切です。顧客の目線に立ち、解決を目指して真剣な姿勢で臨むことがプレゼンテーション成功への第一歩といえるかもしれません。