システム統合(統一)とは何か? メリット・デメリットとリスク、進め方を紹介

業務最適でバラバラに導入されたシステムが、日々の効率や情報共有の妨げになっていませんか。部門や業務ごとに独立したシステムを使い続けるて「サイロ化」が進み、さまざまな課題に直面している企業も少なくありません、
状況を打破し、組織全体の生産性を高めるためには「システム統合(統一)」が必要です。
本記事ではシステム統合の基本的な考え方から、導入によるメリット・デメリット、リスク回避の進め方までをわかりやすく解説します。

目次
システム統合(統一)とは何かを解説
システム統合(統一)とは、複数の部門や業務ごとに最適化されているシステムを一本化し、情報を一元的に管理・活用できるようにすることを指します。
システムが分断されたままだと、サイロ化が進み、データの重複や連携ミスが発生しやすくなります。属人化によって業務が停滞し、経営判断が遅れる原因にもなりかねません。
システム統合を進めれば、作業の重複や連携ミスを防ぎ、業務効率を高められます。経営判断のスピードアップにもつながるでしょう。
システム統合は、M&Aや企業再編のタイミングだけでなく、部門間の業務効率化や社内DX推進プロジェクト立ち上げの際に求められることが多いです。
「ERP(Enterprise Resource Planning)」もシステム統合の一例として知られていますが、システム統合はERPに限らず、より広い意味で使われます。
システム統合の種類と統合が必要な場面
システム統合が求められる場面は、大きく分けて「異なる企業間の統合」と「同一企業内の業務システム統合」の2つに分類されます。
どちらも情報の一元管理や業務効率化を目指す目的は共通していますが、背景や目的、難易度には違いがあります。
システム統合の種類と目的は以下のとおりです。
| 統合が必要な場面 | 異なる企業間の統合(M&A/組織再編) | 同一企業内の業務システム統合 |
|---|---|---|
| 背景・理由 | M&A・合併・グループ再編 | DX推進・業務効率化・老朽化対応 |
| 主な課題 | システム・業務基盤が異なる | 部門ごとにシステムが乱立 |
| 統合の目的 | システム・業務プロセスの統一、運用一体化 | IT基盤の標準化・効率化、運用負担軽減 |
| 難しさ | 各企業でやり方や仕事の進め方が違うため、すり合わせが難しい | 現場の協力がないと進まない |
| 例 | 販売・在庫管理の統一、本社と子会社の会計統合 | 部門別Excel管理から共通プラットフォームへ移行 |
| よくある誤解 | システムだけ統合すればよいと考えがち | 統合=大規模ERP導入と思われがち |

異なる企業間のシステム統合(M&A/組織再編)
M&Aや組織再編の場面では、異なる企業が持つシステムや業務フローを1つにまとめる必要があります。
たとえば、A社とB社が合併した場合、販売管理・在庫管理・会計システムなどを統一して、情報共有や業務効率化をはかります。
システム統合の目的は、コスト削減や業務プロセスの標準化、グループ全体のガバナンス強化です。
ただし、使っている技術や管理項目が各社で異なるため、調整や移行が複雑になりやすいのが特徴です。
同一企業内の業務システム統合
同じ企業のなかで行う統合は、部門ごとに独立したシステムが乱立し、サイロ化や情報の分断が進んでいるときに必要になります。
システム統合の目的は、IT基盤を整備し直すことや、業務連携を強化することです。
たとえば、営業部と管理部で別々のシステムやエクセルを使っている場合でも、共通基盤に移行すれば情報を一元化でき、業務プロセスの自動化も進みます。
社内調整だけで進められるため比較的スムーズですが、現場の巻き込みや業務プロセスの見直しも必要になります。
システム統合による3つのメリット
システム統合は、なぜ必要になるのでしょうか。システム統合の代表的な3つのメリットについて解説します。
- 情報の一元化で業務連携が円滑になる
- 情報管理コストが削減される
- 戦略立案に役立つ
情報の一元化で業務連携が円滑になる
システムを統合すると、分散していた情報が一か所に集約されるメリットがあります。部署ごとに異なるフォーマットや管理ルールが統一され、正確に情報を共有できるようになります。
営業部と経理部が同じデータを参照できれば、確認作業の手間や伝達ミスが減り、連携がスピーディーになるでしょう。部門の壁がなくなり、協力しやすい環境が整います。

情報管理コストが削減される
システム統合のもう1つの大きなメリットは、情報管理にかかるコスト削減です。
複数のシステムを個別に運用していると、それぞれに保守費用やライセンス料、運用担当者が必要となり、コストが膨らみやすくなります。
システム統合により使用ツール数が減れば、保守やアップデートの負担が軽くなるでしょう。
データの重複入力や転記ミスも減るため、ヒューマンエラーによる手戻りも抑制が可能です。
業務の運用効率が高まり、限られたリソースを、より戦略的な仕事に振り分けられるようになります。
戦略立案に役立つ
システム統合によって社内の情報が一元化されると、経営層や管理部門は必要なデータをすぐに把握できるようになるメリットがあります。
データに基づいた戦略的な意思決定が、以前よりも容易になるでしょう。
財務や顧客情報、販売実績を横断的に分析すれば、新しい事業の検討や市場予測にも役立ちます。
リアルタイムで会社全体の状況が可視化されるため、変化の激しい市場にも柔軟に対応しながら、競争力を強化していけます。
システム統合のリスク・3つのデメリット
システム統合は多くのメリットをもたらしますが、いくつかのリスクやデメリットも考慮しなければなりません。システム統合の代表的な3つのデメリットについて解説します。
- 追加のコスト支払いが発生する
- 一部データの損失や不具合に対処しなければならない
- 業務プロセスの変革を求められる
追加のコスト支払いが発生する
システム統合には、どうしても金銭的・管理的コストがかかります。
初期投資としての開発・テスト費用に加え、外部ベンダーやコンサルタントへの依頼費用も必要になることが多いです。社内の人的リソースも調整する必要があります。
M&Aや全社統合のように範囲が大きい場合は、プロジェクト期間が長期化し、当初の予算を超過する事例もめずらしくありません。
統合後もシステムを安定的に運用するために、保守や利用者向けの研修、マニュアル作成などの導入コストがかかることを理解しておきましょう。
一部データの損失や不具合に対処しなければならない
システム統合の過程で、データを旧システムから新システムへ移すときには、形式の違いや変換の不備で一部データが消えてしまったり壊れてしまったりするリスクがあります。
もし顧客情報や取引記録などの重要なデータに不具合が出れば、日常業務が止まってしまうおそれも否定できません。
誤ったデータで運用を始めてしまえば、トラブル対応や信用低下といった深刻な影響につながるため、十分な検証が必要です。
業務プロセスの変革を求められる
システムを統合すると、従来のルールや業務の流れを大きく変えなければならないケースも少なくありません。
変化に対して現場から反発の声が上がったり、適用するまで時間がかかったりする点は覚悟して受け入れる必要があります。
新しいシステムに慣れるまでは一時的に効率が下がり、操作に慣れない現場の社員間で混乱や戸惑いが生じるでしょう。ときには「前の方がよかった」と抵抗感を示す人もいます。
そのため、システム統合プロジェクトの初期段階から、現場を巻き込み、なぜ変えるのかをていねいに説明することが大切です。
従業員が納得感を持って取り組める環境を整えれば、移行もスムーズに進められます。
システム統合における基本の進め方
システム統合の基本的な流れは、以下の6ステップで進めていきます。
- 目的の確認
- 要件定義
- 統合方法の選択
- スケジュールの策定
- 従業員トレーニング
- 運用開始と振り返り
システム統合を成功させるには、計画を立てたうえで、現場の理解も重要です。経営層やプロジェクトチームが方針を決めても、現場が納得できなければ定着しません。
あらかじめシステム統合の流れを理解し、各段階で重視したいポイントをおさえておきましょう。
目的の確認
最初に取り組みたいのは、「なぜシステムを統合するのか」を明確にすることです。
目的は経営戦略の実現や業務効率化、コスト削減、ガバナンス強化など多岐にわたります。
あいまいなままでは、優先順位や判断基準が揺らぎ、現場の協力も得られません。
結果として、統合後に期待した成果が出ないリスクが高まります。
経営層と関係部門が十分に話しあい、狙いと期待する成果を具体的な言葉で共有する必要があります。
要件定義
システム統合の目的が定まったら、次のステップは要件定義です。
現状の業務フローや既存システム、データの流れを整理し、統合後に必要となる機能やセキュリティ要件を明確にします。
要件定義の作業はIT部門だけで進めるのではなく、日々の業務を担う現場担当者にヒアリングすることが欠かせません。
実際の不便や課題を把握してこそ、現実的で使いやすいシステム要件が固まります。実務に沿った要件をまとめることが大切です。
統合方法の選択
今あるシステムのいずれかに統合し、不要となるほかのシステムを廃止する方法です。既存の仕組みを活用できるため、コストや移行期間を抑えやすいのが利点です。
新規開発や全面刷新に比べると、導入時の負担や運用開始までの期間を短縮でき、現場の混乱も少ないでしょう。
ただし、統合先となるシステムに機能面や拡張性の限界があると、将来的に業務拡大や新しい技術への対応が難しくなる場合があります。
短期的な効率と、長期的な柔軟性の両面を見極めて判断しなければなりません。
システム同士を連携させてデータを統合する
既存の各システムをそのまま残しつつ、データ連携やAPI連携で情報を一元化するシステム統合の方法です。
現場の業務フローを大きく変えずに導入できるため、比較的スムーズに進められるのがメリットです。
システムを刷新するより移行の負担は軽くなりますが、連携部分の設計・開発・保守は複雑になりやすく、障害発生時の原因調査や対応に時間がかかる可能性があります。
異なるデータ形式をそろえたり、連携のタイミング・ルールを決めたりする必要があります。取り決めを行ったうえで、運用中のトラブルにもすぐに対応できるよう、管理体制を整えておきましょう。
新しい統合型システムを導入する
ゼロから新たにシステムを導入し、全業務を一元管理する方法です。
たとえば、人事領域のなかで労務・勤怠・給与・人材管理を別々に運用していた場合も、一体型のシステムを導入します。
メリットは、既存の制約に縛られず、今後目指していく理想に応じて管理体制を構築できる点です。将来の事業拡大を見据えて、効率化や拡張性を考慮して選ぶことになるでしょう。
ただし、初期投資は高額になる可能性があります。。要件定義から開発、データ移行まで多くの工程があり、現場の負担も大きくなります。
さらに現場の業務プロセスが大きく変わるため、移行前の準備や稼働後の教育、サポート体制の整備が欠かせません。

スケジュールの策定
システム統合のプロジェクトは段階的に進めます。
各工程の開始・終了時期や重要なマイルストーンを設定し、リスクと対策を事前に考慮したスケジュールを立てましょう。
繁忙期を避けて導入する、システム機能ごとに段階的に切り替えるといった工夫も有効です。
また、進捗や課題を共有できる仕組みを整えると、問題発生時にすぐ対応できます。
現場業務への影響を最小限に抑えるため、柔軟に調整できるスケジュール設計が求められます。
従業員トレーニング
いずれのシステムの統合方法を採用したとしても、新しい業務フローとなるため、従業員向けの教育が欠かせません。
操作説明会を開き、基本的な使い方や注意点を共有しましょう。
さらにマニュアルや手順書を配布し、利用中に迷わないようにしておくと担当者の負担を減らせます。
質問や不明点に答える窓口やFAQを整備すれば、現場の不安も軽減されるでしょう。
教育やサポートが不十分だと、業務が停滞し、現場の不満が蓄積してしまいます。
運用開始と振り返り
稼働後は、現場からのフィードバックをもとに改善を続けることが重要です。
初期は操作ミスや設定不備によるトラブルが起きやすいため、問い合わせ窓口の拡充や担当者の常駐など、サポート体制を強化しましょう。
定期的に運用を振り返り、必要に応じて機能やルールを調整すれば、より定着しやすくなります。
改善を繰り返すことで、システム統合の効果を最大化できます。
システム統合の注意点・ポイント
システム統合を進めるうえでの注意点は以下のとおりです。
- 目的や現場の意見をもとに要件を定義する
- 余裕のあるスケジュールを立てる
- 業務改革にも着手する
- システムのクラウド化も検討する
統合により効果が期待できる一方で、計画不足や現場との認識のズレがあると失敗につながるリスクもあります。
「目的があいまいなまま進んでしまった」「スケジュールが厳しすぎてトラブルが続出した」といったケースも少なくありません。
失敗を防ぐために、4つの注意点やポイントを解説します。
目的や現場の意見をもとに要件を定義する
システム統合がうまくいくかどうかは、最初の要件定義にかかっています。経営層のビジョンや統合の目的を明確にすると同時に、実際に使う現場の声をきちんと聞くことが欠かせません。
現場の実状を無視して進めると、「使いにくい」「業務にあわない」といった不満が一気に出てしまい、プロジェクトが停滞してしまうリスクがあります。
業務上の必要を先に整理し、必要な機能や要件を具体化することで、現場に根づいた使いやすいシステム統合が実現します。
余裕のあるスケジュールを立てる
システム統合ではデータ移行やテスト、研修など多くの作業が発生します。
稼働日を先に決めて逆算でスケジュールを詰め込むと、テスト不足でトラブルが多発する原因になります。
各工程に必要な時間を積み上げて、余裕ある計画を立てることが安定稼働には必要です。
あわせて、システム稼働後に備えたサポート体制やトラブル対応も準備・確認しておきましょう。
業務改革にも着手する
システム統合は単なるIT環境の刷新ではなく、業務プロセス自体を見直し、全社的に行う業務改革です。
現状の業務フローをそのまま新システムに載せ替えるだけでは、非効率や属人化といった課題は解決できません。
システム統合をきっかけに、業務の標準化や自動化、データ活用の強化など、より本質的な業務改革にも積極的に取り組むことが重要です。
システムのクラウド化も検討する
近年はクラウド環境にシステムを統合する企業も増えています。クラウド化すれば、初期投資や維持コストの抑制、外出先での利便性など多くのメリットが得られます。
一方で、インターネット接続が前提となるため通信障害のリスクや、データをベンダーのサーバーに預けるため、情報漏えいや不正アクセスへの配慮が欠かせません。
利用するクラウドサービスの提供範囲やセキュリティ対策をよく確認し、各社のサポート体制の充実度まで比較することが重要です。
人事労務の業務システムを統合する方法
人事労務分野でもシステム統合の重要性が高まっています。
現在、勤怠管理や給与計算、労務管理、人事評価などを、それぞれ別のツールを利用して管理している企業もあるでしょう。
同じ人事労務のなかで、従業員情報がバラバラに管理されていると、データの二重入力や転記ミス、更新漏れが起こりやすく、結果として業務効率が落ちたり、コンプライアンス上のリスクが高まったりします。
人事労務システムを統合すれば、課題を根本から解決することが可能です。
たとえば「One人事」のような統合型システムを活用すると、従業員にかかわる情報を一元管理して、情報連携もスムーズになります。
人事情報がリアルタイムで可視化される、手続きの漏れや遅れを防げるとともに、担当者の負担も軽減できるでしょう。
人事労務システムを統合|「One人事」
「One人事」は人事労務をワンストップで支えるクラウドサービスです。
分散する人材情報を集約し、転記ミスや最新データの紛失など労務リスクを軽減することで、経営者や担当者が「本来やりたい業務」に集中できるようにサポートいたします。
初期費用や気になる操作性については、当サイトより、お気軽にご相談ください。
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まとめ|システム統合で社内業務連携を強化
社内にバラバラに存在する業務システムは、情報の分断や非効率を生み、成長の足かせになりかねません。
システム統合によって情報が一元化されると、サイロ化が解消されて業務間連携が進み、業務効率化、意思決定の迅速化が実現します。
システム統合では「なぜ統合するのか」「現場の声をどう反映するか」が重要です。目的を見失わず、段階的に進めることで失敗を回避しましょう。
システム統合は、自社の状況にあわせて、まずは一部の業務領域から統合を始めてみてはいかがでしょうか。
「給与と勤怠が連携できていない」「人事データを活用できていない」という企業は、人事・労務領域から取りかかるのも一案です。
