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ツァイガルニク効果とは【具体例】心理学をビジネスに活用するメリットと方法を解説

ツァイガルニク効果とは、未完了のタスクや活動が、完了したタスクよりも脳に強い印象を残し、注意を引きつける現象です。使い方次第では、ビジネスや恋愛、勉強に活用できます。

本記事では、ツァイガルニク効果をビジネスに活用するメリットと方法を、具体例を用いながら解説します。心理学の概念について実例を通して理解したい方や、ツァイガルニク効果を応用してビジネスやマーケティングを成功させたい方は、参考にしてください。

ツァイガルニク効果とは【具体例】心理学をビジネスに活用するメリットと方法を解説
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    【心理学用語】ツァイガルニク効果とは

    ツァイガルニク効果とは、未完了で中断されたタスクや活動を、完了したものより長く覚えているという心理現象です。未完了のタスクが、脳に強い印象を残して記憶が強化され、興味が持続するとされています。

    たとえば、職場である作業に取り組んでいる最中、急な打ち合わせに呼ばれて一時停止しなければならない状況を想像してみましょう。

    このようなとき、人は打ち合わせ中も「作業の続きを早く行いたい」「中断されたタスクが気になって仕方がない」という感情を持ちます。そして会議が終わったら、すぐに作業に戻りたいという動機づけが生まれます。

    作業への関心が持続し、モチベーションが維持されて集中力が高まるため、結果的に効率が上がることも多いのがツァイガルニク効果です。このように、日常生活のさまざまな場面で確認でき、仕事や学習を効率的に進めるために応用できます。

    提唱者

    ツァイガルニク効果は、旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニク氏(Bluma Zeigarnik)によって、1930年代に初めて報告されています。彼女は当時、ベルリン大学でクルト・レヴィン氏の指導のもと、研究に従事していました。

    ツァイガルニク氏は、未完了のタスクが完了したものよりも強く、詳細に思い出す傾向があることに気づき、その後の心理学研究に影響を与えています。

    ビジネスで役立つツァイガルニク効果の例

    ビジネスにおけるツァイガルニク効果の例を紹介します。

    日常業務

    日常業務では、途中で中断されたプロジェクトやタスクリスト、目標が従業員の注意を強く引きつけて、優先的に処理される傾向があります。

    たとえば、あるプロジェクトが途中でストップすると「未完了」と脳に記録され、終わったものよりよく目について頻繁に確認されます。未完了のタスクが、心理的に「解決すべき課題」として認識され、そのタスクを終えることへの動機づけが高まるためです。

    再開後は、ほかの業務より優先され、以前よりも集中して取り組めるでしょう。

    目標に対する取り組みも同様に、ツァイガルニク効果はあらわれます。開発プロジェクトには、KPIのような中間指標があり、一つひとつを達成することで市場に製品が投入されます。

    完了したKPIよりも、途中段階のKPIは従業員の意識に強く残るため、ツァイガルニク効果が発生し、強いモチベーションが生まれることが多くあるでしょう。

    マーケティング・広告

    マーケティングにおける期間限定や断片的な情報は、ツァイガルニク効果の代表的な例です。

    たとえば、期間限定キャンペーンを実施すると、顧客は「この機会を逃したらもう手に入らない」という緊迫感を抱いて、すぐに行動を起こします。キャンペーンを未完了のタスクと同様に認識し、商品を購入にすることで、タスクを完了させようとするためです。

    この心理的プレッシャーは、顧客の購買意欲を高め、キャンペーンの効果を最大化するのです。

    製品について断片的な情報を提供することも、ツァイガルニク効果を利用したマーケティング戦略です。「続きは会員登録後」と記載したWeb記事を目にしたことがある方もいるでしょう。この場合消費者は、提供された情報が不完全であると感じ、もっと知りたいという欲求を刺激されるため、会員登録に踏み切る可能性が高くなります。

    ツァイガルニク効果は、顧客に心理的なプレッシャーを与えて購買意欲を高め、マーケティングの効果を最大化するといえるでしょう。

    日常で役立つツァイガルニク効果の例

    ツァイガルニク効果は、ビジネスだけでなく、日常のささいな場面でも効果を発揮します。恋愛と勉強、エンターテイメントにおける例を紹介します。。

    恋愛

    予期せず途中で終わったデートは、ツァイガルニク効果が働いて相手への興味を持続させ、次回への期待を高めます。

    たとえば、カップルがデートをしていたところ、急なトラブルが発生し、解散してしまうこととなりました。デートが途中で終わったことで、未完了の状態が生まれ、次のデートへの期待感が高まります。。

    また、予期せぬ別れがあった際も、関係が急に終わることで未完了の状態が生まれ、心に残りやすい傾向があります。伝えきれなかった感情や別れの瞬間が、相手について考え続けさせる原因となります。

    恋愛においてツァイガルニク効果は、2人の関係性を深め、思いを深めるきっかけとなるでしょう。

    勉強・試験

    ツァイガルニク効果を活用すると、勉強や試験において大きな成果を生み出せる可能性があります。

    たとえば、数学の勉強で特定の問題が解けなかった場合、解けた問題よりも学生の記憶に強く残ります。解けなかったことが心残りとなり、多くの学生は、問題を解決するために追加で学習を重ねるでしょう。その学習過程で、関連する知識や解き方を習得することにつながるため、結果的に学習効果が高まります。

    また、読書中に途中で止めた本も、読者の意識の中に強く残り、結末を知りたい欲求をかり立てます。その後、読書を再開して読み進める過程で、結末や途中で学んだ情報をより深く理解しようとするため、読書体験がより印象深いものとなり、本の中身が記憶に定着しやすくなるでしょう。

    このように、ツァイガルニク効果を勉強法に適切に取り入れることで、未完了の課題に対する好奇心を利用して、学習の効率を高め、成績の向上や知識の定着につなげられます。

    エンターテイメント

    テレビ番組や映画がクライマックスで終わると、視聴者は次のエピソードや続編に対する期待感を強く抱きます。また、途中で終わるブログ記事や連載漫画などは、読者の興味を引き、次の投稿への期待を高めます。

    ツァイガルニク効果は、なぜ起きる?

    ビジネスでも日常でも、なぜツァイガルニク効果は起きるのでしょうか。それは心理的リアクタンスという現象が影響しています。

    心理的リアクタンスが高まるため

    心理的リアクタンスとは、人が他者や状況に対して、何かを強制されることへの抵抗感や反発心です。

    ツァイガルニク効果は、未解決の状態が心理的に開かれた状態として認識され、心理的リアクタンスを引き起こすことで発生します。

    たとえば、未解決の問題や途中で終わった状態は、脳に「何かが終わっていない」という心理的なプレッシャーや不安を与えます。

    脳は、心理的なプレッシャーや不安に対して発生したリアクタンスを解消しようとします。人は未解決の状態を気にかけて、対処しようとするため、解決への意欲が高まるのです。

    ツァイガルニク効果が働くメリット

    続いて、ツァイガルニク効果によるメリットを解説します。

    • モチベーションが高まる
    • 労働生産性が向上する

    モチベーションが高まる

    ツァイガルニク効果によって、問題や残されたタスクを解消するためのモチベーションが高まります。未完了の課題や目標が脳に強い印象を残し、その状態を解決することに対する興味や意欲が生まれるためです。

    ビジネスにおいて、個人やチームは目標達成へのモチベーションを保つことができ、積極的に努力を続けられるでしょう。

    労働生産性が向上する

    ツァイガルニク効果の活用でモチベーションが高まり、労働生産性の向上にもつながります。

    仕事やプロジェクトにおいて未解決の状態が残っていると、従業員やチームは解決に向けて努力するため、結果的にクオリティの高い成果物を効率的に生み出せるでしょう

    ツァイガルニク効果が働くデメリット

    ツァイガルニク効果は、活用次第では悪影響を及ぼすこともあります。ツァイガルニク効果が働くことによる主なデメリットを紹介します。

    ストレスがたまる

    ツァイガルニク効果が働くと、未解決の状態が個人やチームの心理的な負担となり、ストレスを引き起こす可能性があります。

    特に、課題解決や目標の達成が難しい場合、当事者は焦燥感や不安に苦しめられてしまいます。負の感情でストレスがたまり、心理的な健康に悪影響を及ぼす恐れがあるのはデメリットです。

    無駄な工数を増やしてしまう可能性もある

    ツァイガルニク効果によって未解決の状態が強く意識されるようになると、解決に向けて過度な労力や時間を費やす可能性があります。

    解決策が見つからないまま、やみくもに問題に取り組むと、本質的な解決にはつながらず、無駄な工数がかかってしまうこともあるでしょう。

    このような状態が続くと、プロジェクトや業務の進捗に悪影響を及ぼし、結果として無駄な労力が発生するのはデメリットです。

    ツァイガルニク効果を取り入れて業務効率を上げる方法

    ツァイガルニク効果にはメリットとデメリットがあり、上手に活用すれば業務効率を上げることが可能です。ツァイガルニク効果を取り入れて業務効率を上げる方法を解説します。

    必要なタスクを整理する

    ツァイガルニク効果を活かすためには、必要なタスクを整理することが重要です。

    未解決の状態を効果的に働かせるには、取り組むべき課題や目標が明確に把握できている状態が望ましいです。

    整理されたタスクリストやプロジェクト目標に対して、未解決の状態を意識的に設け、解決を試みることで、ツァイガルニク効果が働きやすくなります。

    作業にかかる時間を測る

    各タスクやプロジェクトにかかる時間を計測することで、どれほどの時間が未解決の状態に費やされているかを把握できます。これにより、特に時間がかかっている未解決の状態に重点を置き、アプローチや解決策を検討できます。効率的な作業のために、適切なバランスで未解決のタスクに取り組むことを心掛けましょう。

    定期的に休憩する

    ツァイガルニク効果を活かすには、連続して作業するのではなく、定期的な休憩を取ることも重要です。休憩を挟むことで、一時的に未解決の状態から離れられ、新鮮な視点で課題に取り組めます。定期的な休憩を通じて、作業への集中力を高め、業務効率を向上させましょう。

    ツァイガルニク効果の活用で気をつけたいこと【使いすぎは逆効果】

    ツァイガルニク効果の使い過ぎは逆効果です。未解決の状態がモチベーションを高める一方で、過度な未解決タスクの積み重ねはストレスや無駄な工数を増加させる可能性があります。どこに工数をかけるべきか、また優先的に取り組む課題は何なのかなどを整理しましょう。

    ツァイガルニク効果を取り入れて生産性向上へ

    ツァイガルニク効果は、未完了のタスクや活動が記憶に強く残る現象です。ビジネスや日常生活の多岐にわたる分野で適切に活用することで、マーケティングなど施策の成果を高められます。また、個人の活動においてもモチベーションの向上や生産効率の向上につなげられます。

    しかし、ツァイガルニク効果を使いすぎると、未完了のタスクが過度に蓄積して、ストレスや無駄な工数が発生する可能性があるため、注意が必要です。ツァイガルニク効果を戦略的かつ適切に取り入れ、従業員のモチベーションをうまく刺激し、生産性の向上を目指しましょう。

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