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給与明細の保管は義務? 保管方法や期間とポイントを解説

給与明細の保管は義務? 保管方法や期間、注意すべきポイントを解説

従業員に渡す「給与明細」は、会社に発行の義務があります。しかし、発行したあとは会社側で保管すべきなのか、判断ができないケースもあるのではないでしょうか。

本記事では、給与明細の保管義務の有無について解説し、保管方法や保管時の注意点などもご紹介します。給与明細の保管に関して知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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    給与明細に保管義務はない

    会社には給与明細の発行義務がありますが、保管の義務はなく、従業員ごとの保管は不要です。法律でも定められていないため、仮に保管を怠ったとしても、罰則の対象ではありません。

    保管義務がある給与明細に関連する書類

    給与明細に関連する書類の中には、保管が義務づけられているものがあります。保管期間が5年間と7年間に分けて解説します。

    5年間の保管義務がある書類

    5年間の保管義務がある書類は、下記の通りです。

    労働者名簿従業員の情報を記載した書類。従業員を1人でも雇い入れている会社は作成が必要。(法定帳簿の一種)
    賃金台帳従業員の給与の支払い状況を記載した書類。(法定帳簿の一種)
    雇い入れに関する書類雇入決定関係書類/雇用契約書/労働条件通知書/履歴書 など
    解雇に関する書類解雇決定関係書類/解雇予告除外認定関係書類 など
    災害補償に関する書類労災に該当するケガ・病気の診断書/補償の支払いに関する書類 など
    賃金に関する書類賃金決定関係書類/昇給・減給関係書類 など
    労働関係に関する重要な書類出勤簿/タイムカード/労使協定の協定書/各種許認可書/退職関係書類/休職・出向関係書類 など

    7年間の保管義務がある書類

    7年間の保管義務がある書類は、下記の通りです。

    給与所得者の扶養控除等(異動)申告書所得税の扶養控除などに必要な書類
    給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書年末調整の保険料控除や配偶者控除(配偶者特別控除)に必要な書類
    源泉徴収簿(作成した場合)所得税額を正しく算出するために使う書類。法的な記録義務はないが、作成後は7年間の保管が必要

    給与明細を保管する場合の2つのポイント

    給与明細に保管義務はありませんが、実際は保管している企業もいます。保管する場合は、次の2つのポイントを押さえて運用しましょう。

    従業員の賃金請求権の消滅時効(5年)に合わせる

    給与明細の保管期間には義務がなく、特別な定めもありません。そのため、従業員の賃金請求権の消滅時効である5年に合わせることをおすすめします。5年間を基準に保管期間を設定し、社内で管理するとよいです。

    また、給与明細の5年間の保管が難しい場合は、雇用保険による基本手当などの請求時効にあわせて、保管期間を2年間としておきましょう。

    保管期間は社内で共有する

    給与明細の保管期間は法律で定められていないため、従業員ごとに認識が統一されていない可能性があります。給与明細を保管する際は、事前に社内で期間を共有しておくことが重要です。

    給与明細を保管している企業が多い理由

    義務がないとはいえ、給与明細を保管している企業は多くあります。その理由について説明します。

    1.賃金を支払った証明になるため

    給与明細は、従業員に対して賃金を支払った証明になります。たとえば、残業代の未払いなどを指摘された場合、正しく支払っていれば給与明細で証明することが可能です。未払い賃金は過去5年に遡って請求ができるため、5年間の保管がおすすめです。

    2.給与明細の再発行に対応できるため

    従業員から給与明細の再発行を依頼された際、保管していればスムーズに対応できます。再発行にも義務はありませんが、従業員の生活を考慮し、準備をしておく必要があるでしょう。

    給与明細を保管する方法

    給与明細を保管する際の主な方法を解説します。

    1.紙

    給与明細を紙で保管する場合、まとめてファイリングする方法が考えられます。給与明細書の内容は個人情報に該当するため、鍵つきの棚に保管しておく必要があるでしょう。保管期間ごとにまとめておくと、廃棄の際もスムーズです。ただし、紙書類はかさばるため、従業員数が多い会社では電子化の検討をおすすめします。

    2.電子データ

    給与明細は、従業員の同意があれば、電子データでの発行が可能です。電子データで作成した給与明細は、そのまま社内の専用ファイルやクラウドに保管できるため大変便利です。また、紙のように場所を取らず、検索で簡単に探せるというメリットもあります。

    3.紙の給与明細を電子データに変換

    紙で発行した給与明細を、あらためて電子データに変換して保管する方法もあります。給与明細には保管義務がないため、電子化における決まった形式もありません。タイムスタンプなどのルールもなく、手軽に保管できる点も魅力です。

    給与明細を保管する際の注意点

    給与明細を保管する際の注意点を2つご紹介します。

    1.セキュリティ対策

    給与明細を電子データで保管する場合、セキュリティに注意しなくてはいけません。セキュリティが整っていない環境だと、情報漏えいなどのリスクが懸念されるでしょう。安全に保管できる環境をしっかり構築したうえで、給与明細を管理する必要があります。

    2.発行や管理の効率化

    給与明細の発行から管理までの工程を効率化することも大切です。給与明細は、毎月発行・交付するため、少しの手間でも担当者の負担になる可能性があります。作業が効率化できるサービスの導入など、負担軽減がはかれるように検討するとよいでしょう。

    まとめ

    給与明細には、発行義務はあるものの保管の義務はありません。しかし、賃金を支払った証明になる、給与明細の再発行に対応できるといった理由から、保管している企業が多いです。

    給与明細を保管する場合、保管期間は従業員の賃金請求権の消滅時効である5年に合わせ、社内で共有しておくことが重要です。

    また、保管方法としては、紙でのファイリングや電子データに加え、紙の給与明細から電子データへ変換して保存するやり方もあります。その際、セキュリティ対策や発行・管理の効率化に配慮するとよいでしょう。

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