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地域手当とは? 目的や計算方法、公務員や民間企業の違いも解説

地域手当とは、地域の特性によって物価が高く支出が大きい場合に、通常の賃金に上乗せして支給される手当です。公務員だけでなく民間企業においても支給されることがあります。

地域手当は格差が生まれやすいという観点から、廃止を求める声もあり、慎重に検討する必要があります。

本記事では、地域手当の概要や具体的な種類、計算方法、公務員と民間企業の違いを解説します。また、国家公務員の地域手当について2024年の動向も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

地域手当とは? 目的や計算方法、公務員や民間企業の違いも解説
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    地域手当とは

    地域手当とは、都市部など物価の高い地域で働く際に、賃金に上乗せして支給される手当です。

    地域手当の支給がある会社では、同じ職種でも働く地域により、もらえる給料が異なることがあります。一般的には、従業員が働く地域の物価を考慮して、支出差を抑える(補填する)ために支給されています。

    地域手当は、公務員に支給されるイメージが強いかもしれませんが、一般企業でも用意されている場合があります。

    ただし、一般企業の地域手当は、会社が必要と判断して支給しており、状況によっては突然廃止される場合もあります。地域手当が設定されていない地域で働く従業員から、不公平を感じ反対の声が出ることもあるため、慎重に設定しなければなりません。

    地域手当の目的と地域手当の種類

    地域手当の目的は、働く地域の物価によって、従業員の支出差を埋めることです。地方公務員や一般企業では、国家公務員の地域手当がモデルとなって考えられるケースが一般的です。

    国家公務員で支給される地域手当の種類には以下の4つが挙げられます。

    • 地域手当
    • 広域異動手当
    • 統治勤務手当
    • 寒冷地手当

    それぞれどのような内容なのか解説します。

    地域(都市)手当

    都市部手当とは、物価が高い都市部に勤める従業員に支給される地域手当です。

    主に東京や京都・大阪・神戸などが該当します。これらの地域は住居費や生活費が高くなりやすいため、支出が大きくなる傾向にあるため用意されています。

    広域異動手当

    広域異動手当とは、もともとの勤務地から60キロメートル以上離れた拠点へ異動となった場合、離れた距離に応じて支給される手当です。

    割合としては、300キロメートル未満は5%、300キロメートル以上は10%であり、異動日から3年間受けられます。別途、地域手当も含めて受ける場合は、広域異動手当から地域手当を差し引いた分が支給されることを覚えておきましょう。

    特地勤務手当

    特地勤務手当とは、山間部や離島などの生活に不便な地域に支給される地域手当です。交通の便が悪いことなどから、通常地域より費用がかかると考えられるためです。

    支給期間は原則3年間とされています。支給される金額は、地域や状況などによって異なり、地域手当も一緒に支給される場合は、特地勤務手当から地域手当を差し引いた分が支給されます。

    寒冷手当

    寒冷手当とは、降雪量が多いなど、寒さが厳しい地域に支給される地域手当です。

    寒冷地では暖房費がほかの地域よりも多くかかる傾向にあり、一般的に北海道や東北地方などが対象地域とされます。寒冷手当は、11〜3月までと期間を限定して支給されることが多いのも特徴です。

    参照:『国家公務員の諸手当の概要(1/2)』人事院

    地域手当の計算方法

    地域手当とは? 目的や計算方法、公務員や民間企業の違いも解説

    地域手当の計算方法を紹介します。なお、寒冷地手当については等級によって支給される金額が決まっているため、その金額を紹介します。

    地域(都市)手当の計算方法

    地域(都市)手当は以下の式を用いて計算します。

    (俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合

    広域異動手当の計算方法

    広域異動手当は以下の式を用いて計算します。

    (俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合

    特地勤務手当の計算方法

    特地勤務手当は以下の式を用いて計算します。

    {特地官署に勤務することになった日の(俸給+扶養手当)の月額×1/2+現に受ける(俸給+扶養手当)の月額×1/2}×支給割合

    寒冷地手当

    寒冷地手当は、以下の等級によって支給される金額が決まります。

    地域区分世帯主であり、
    扶養親族がいる職員
    その他の世帯主である職員その他の職員
    1級地25,380円14,580円10,340円
    2級地23,360円13,060円8,800円
    3級地22,540円12,860円8,600円
    4級地17,800円10,200円7,360円

    参照:『国家公務員の諸手当の概要(1/2)』人事院

    国家公務員の地域手当

    国家公務員の地域手当に関する規定は、地方公務員や一般企業でも参考にされており、等級によって給料の4〜25%程度が支給されています。

    以下に、人事院が設定している地域手当の一連として「主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給」する手当を紹介します。

    等級対象地域割合
    1等級東京23区20%
    2等級大阪府・横浜市16%
    3等級さいたま市・千葉市・名古屋市15%
    4等級神戸市12%
    5等級水戸市・大津市・京都市・奈良市・広島市・福岡市10%
    6等級仙台市・宇都宮市・甲府市・岐阜市・静岡市・津市・和歌山市・高松市6%
    7等級札幌市・前橋市・新潟市・富山市・金沢市・福井市・長野市・岡山市・
    徳島市・長崎市
    3%

    参照:『国家公務員の諸手当の概要(1/2)』人事院

    地域手当の異動保障

    地域手当の異動保障とは、地域手当の対象地域で6か月以上勤務した者が、異動などにより地域手当がなくなったり減ったりしたときに、もともと受けていた地域手当を2年間保障される手当です。

    厳密には、異動から1年間は異動前日の地域手当が支給され、2年目は8割支給とされています。

    地方公務員の地域手当

    地方公務員の地域手当にも、国家公務員の規定をもとにした、いくつかの種類があります。

    原則として、人事院の基準をもとに支給対象の地域や割合が決められています。

    ただし、地域手当を支給している自治体の中には、人事院の基準よりも多い割合で支給していたり、僻地などを対象に国家公務員にはない手当を用意していたりするケースもあるようです。

    また、隣接した地域では、生活圏が同じでも勤務地による収入差が生まれてしまうこともあります。そのため、自治体によって格差も生じており、地域手当に対する不満が募る声があることも否定できません。

    参照:『令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要』総務省

    民間企業の地域手当

    民間企業にも、地域手当を用意する企業はあります。しかし、同一職種で業務内容や責任が同じにもかかわらず、地域手当により賃金の格差が生まれるのは不公平という指摘もあります。そのため、企業によっては地域手当を廃止する動きもあるようです。

    民間企業の地域手当は、法律で規定されているわけではないため、あくまでも会社の判断によります。場合によっては従業員のモチベーションにも影響しかねないため、地域特性や必要性、現実的な物価を勘案し、慎重に検討する必要があるでしょう。

    地域手当は公平か不公平か

    地域手当は、運用方法により格差が生まれ、不公平を感じやすいという問題が指摘されています。

    全国転勤がある国家公務員においては、物価が高い地域から低い地域まで、さまざまな場所で勤務する可能性があります。物価が高い地域で手当をもらっていた職員が、異動後も2年間は保障されるものの、手当がなくなる不満は多少なりとも感じるでしょう。

    国家公務員は厳密に支給ルールが規定されているため、勤務地によってもらえる給料に大きな差が生じると理解しておきましょう。

    地域手当の廃止について

    地域手当には、地域によって収入差につながるため、さまざまな問題につながりかねません。そのため、地域手当の見直しや廃止を求める声も一定数あります。

    見直しや廃止を求める意見には以下の理由があります。

    • 生活圏が考慮されていないため不公平
    • 同じ職種において収入差が出るのが不公平
    • 従業員のモチベーション低下
    • 人材確保が難化

    特に一般企業では、人材確保や維持にも大きく影響しかねないため、慎重に検討する必要があるでしょう。

    地域手当の考え方

    国家公務員の地域手当については、人事院規則において、10年ごとに見直しを行うことが定められています。

    参照:『人事院規則九-四九(地域手当)』e-GOV法令検索

    2024年の地域手当見直しについて

    公務労組連絡会は、人事院に提出した『2024年度賃金・労働条件に関わる基本要求』において以下の内容を指摘・依頼しました。

    • 地域手当の対象外地域における初任給水準の問題
    • さまざまな地域手当の抜本的な見直し

    すでにこれらの指摘や依頼を受ける旨の回答を得ているため、2024年には大幅な見直しが行われることが見込まれています。

    参照:『人事院へ2024年度基本要求を提出-11/28』公務労協

    まとめ

    地域手当とは、従業員が都市部など物価の高い地域で働く際に、賃金に上乗せして支給される手当です。

    国家公務員の場合は、地域(都市)手当や広域異動手当、特地勤務手当、寒冷地手当など複数の種類が規定されており、地方公務員や民間企業の地域手当にも参考にされています。

    ただし、地域手当は必ずしもすべての人に歓迎されるものではない点に注意が必要です。同一職種で同じ仕事をしているにもかかわらず、賃金に大きな差が生じてしまう場合、不公平感が生まれる原因にもなりかねません。特に民間企業においては、企業の判断で地域手当を設定するため、従業員の意見に耳を傾けながら、慎重に検討しましょう。

    また、2024年は国家公務員の地域手当について見直しが行われる10年に一度の節目の年でもあります。どのような見直しや変更が行われるのか動向に注目しましょう。