勤怠管理における6つの課題と具体的な解決策|勤怠管理システムの選び方も解説
勤怠管理は企業にとって重要な業務の一つです。労働時間や休暇の取得など従業員の労務状況は、適切に管理しなければならないと法律で定められています。しかし、勤怠管理業務について課題を抱えている企業は少なくありません。
本記事では、勤怠管理における課題や解決策を解説します。人事担当者や経営者は参考にしてください。
勤怠管理とは? 主な業務内容をおさらい
勤怠管理とは、出退勤時間や休憩時間、時間外労働などの勤怠情報の管理です。労働基準法第32条に基づいて、企業は従業員の労働時間を適切に管理しなければなりません。勤怠管理は過重労働を防止して、労働状況の改善することにつながるため、必要な仕組みといえます。
勤怠管理が重視される理由
勤怠管理が重視される理由は以下の通りです。
- コンプライアンスを徹底するため
- 従業員の健康を守るため
- 給与を正確に計算するため
順番に解説します。
コンプライアンスを徹底するため
企業にはコンプライアンスを遵守した労働が求められています。近年の働き方改革により、労働に関する法律が改正されました。たとえば、従業員が自主的に残業しても、時間外労働の上限規制を超過したら企業側が責任を問われます。
コンプライアンスを徹底するためには、従業員の時間外労働や有給休暇の取得状況を適切に管理する必要があるでしょう。
参照:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』厚生労働省
参照:『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』厚生労働省
従業員の健康を守るため
過度な長時間労働や休日出勤は、従業員の健康に悪影響を及ぼします。
プライベートな時間が減り、限られた時間の中で生活するため、睡眠不足になったり偏った食事で不健康になったりしやすいです。時間外労働や休憩時間、有給休暇の取得状況の把握は、従業員の健康を守ることにつながるでしょう。
給与を正確に計算するため
勤怠管理は正確な給与を支給するためにも必要です。給与は労働基準法第24条の賃金全額払いの原則により、1分単位で計算する必要があります。給与を正確に計算するためには、正しい労働時間を把握しなければなりません。
みなし労働時間制や変形労働時間制を採用している企業や、時間外労働や休日出勤の頻度が多い部署は特に注意しましょう。
勤怠管理における6つの課題
勤怠管理における6つの課題は以下の通りです。
- 集計作業やチェック作業に時間がかかる
- ヒューマンエラーのリスクがある
- 従業員による不正申告のリスクがある
- 勤務状況をタイムリーに把握できない
- アナログで勤怠管理を行うと法改正への対応が遅れる
- 働き方の多様化により勤怠管理が複雑になる
さまざまな課題があるので、順番に解説します。
1.集計作業やチェック作業に時間がかかる
勤怠の集計やチェック作業には時間が必要です。労働時間や残業時間の集計、打刻漏れのチェックを手作業で行っている場合、担当者には大きな負担になるでしょう。従業員人数が多い大企業ほど、勤怠管理にかかる時間が増える傾向にあります。
2.ヒューマンエラーのリスクがある
タイムカード情報の転記や集計・計算を手作業で行うとミスが発生しやすいです。見間違いを起こしたり、タイムカードの印字が薄いと読み取れなかったりします。どんなに気をつけていてもヒューマンエラーは起こる可能性があります。
しかし、勤怠の集計を間違えると給与額にも影響が出てしまい、従業員とのトラブルに発展するリスクが発生する恐れもあるので注意しましょう。
3.従業員による不正申告のリスクがある
自己申告制や紙のタイムカードによる勤怠管理の記録方法は、不正のリスクが比較的高いです。
第三者による代理打刻や残業時間の過少申告など、やろうと思えば従業員が細工できてしまいます。正確な労働時間を把握できなくなるため、企業として不正を防ぐための仕組みづくりが必要でしょう。
4.勤務状況をタイムリーに把握できない
紙のタイムカードや出勤簿などを使った勤怠管理を採用している場合、リアルタイムで勤務状況を把握することは困難です。労務担当者が勤務状況を知るためには、報告を待つか事業所に行って確認する必要があります。
勤務状況の把握が遅れると時間外労働や休日出勤が慢性化していたり、有給休暇の取得が進んでいなかったりしても気づけません。結果的に、対応が後手に回ってしまい、長時間労働の是正が遅れて働き方改革を推進できなくなってしまいます。
5.アナログで勤怠管理を行うと法改正への対応が遅れる
アナログな勤怠管理は、法改正の対応が遅れる可能性があります。2019年4月に働き方改革関連法が施行されたとき、多くの企業は新しい勤怠管理体制の整備に追われたことでしょう。
勤怠管理に関する法律は、これまで高い頻度で改正されてきたため、対応できるような社内の仕組みづくりが必要です。
6.働き方の多様化により勤怠管理が複雑になる
働き方改革で多様な勤務形態を導入する企業が増え、勤怠管理が複雑になっています。フレックスタイム制や変形労働時間制など、従来の勤務形態にとらわれない方法に対応しなければなりません。
さらに近年は、テレワークが普及したことにより、さらに勤怠管理が煩雑化しています。多様な働き方に対応していくためには、勤怠管理の仕組みを整備する必要があるでしょう。
勤怠管理における課題を解決する方法
勤怠管理における課題を解決する方法は以下の通りです。
- 就業ルールを見直す
- 勤怠管理システムを導入する
順番に解説します。
就業ルールを見直す
就業ルールを見直す方法があります。テレワークや変動労働時間制など多様な働き方の導入によって勤怠管理が複雑化している場合、就業ルールを整備した方がよいでしょう。
たとえば、テレワークでは「中抜け」のルールを整備する必要があります。昼食を買いに行く、子どものお迎えに行くなど、どの程度の理由なら中抜けをしてもよいか、就業規則で定めておいた方がよいです。運用する過程で適宜見直しをしながら行いましょう。
勤怠管理システムを導入する
勤怠管理システムは、テレワークやフレックスタイムなど、現代の多様な働き方に柔軟に対応できる点が大きなメリットです。導入により労働時間や有給休暇の取得状況を一元管理できます。
パソコンやスマートフォン、タブレット端末でも管理できるサービスも多く、どこにいても労働時間の正確な把握が容易です。給与計算システムと連携できる勤怠管理システムなら、残業時間などが自動で計算されるため、業務効率化をはかれるでしょう。
また、自動更新機能があるサービスなら、法改正に迅速に対応し、不正な勤務記録を防止することで、企業のコンプライアンス強化にも貢献するでしょう。
勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムを導入するメリットは以下の5つです。
- 業務を効率化してミスを減らせる
- 不正打刻やデータ改ざんを防止できる
- 勤怠状況をリアルタイムに把握できる
- 多様な働き方に対応できる
- 法改正にもスムーズに対応できる
順番に解説します。
業務を効率化してミスを減らせる
勤怠管理の自動化により、労働時間の集計を含む業務の効率を上げ、ミスを削減できます。
勤怠管理システムはICカードやパソコン端末内に表示される出退勤ボタンをクリックするだけで、勤怠情報がデータで保存されます。業務効率がアップし、手入力によるヒューマンエラーを減らせるというメリットがあるでしょう。
また、給与計算システムと連携することで、正しい勤怠データを自動で取得できるため、給与計算業務の正確性も高まります。
不正打刻やデータ改ざんを防止できる
アナログな勤怠管理の課題である不正対策につながります。ICカードや生体認証などを用いた打刻機能を搭載している勤怠管理システムも多く、なりすましを防げるからです。細かな権限設定により、アカウントごとにデータ修正の機能を制限すれば、改ざん行為の防止にもつながります。
勤務状況をリアルタイムに把握できる
勤怠管理システムを上手に活用すると、リアルタイムで勤務状況を確認できるメリットがあります。
「総務部に時間外労働をしている人はどれほどいるか」「Aさんの当月の労働時間の合計は現在何時間か」など社内の状況を適切に把握し、必要な対策を検討できます。紙のタイムカードや出勤簿で運用していると、管理者が毎日一人ひとりが記録した勤務時間を確認し、集計しなければなりません。
勤怠管理システムを導入すると、このような手間を省き、労働時間の集計や分析を自動で行えます。長時間労働が慢性化していたりする企業は、集約されたデータを活用して労働環境の改善に着手できるでしょう。
多様な働き方に対応できる
勤怠管理システムを導入するとスマートフォンやタブレットからも打刻できるため、テレワークや出張の際も対応しやすいです。従業員がタイムカードを打刻するために出勤する必要はありません。
近年はフレックスタイム制や変形労働時間制などが増えているため、時代に合った多様な働き方に対応ができるでしょう。
法改正にもスムーズに対応できる
勤怠管理システムの中には、法改正に自動で対応するサービスも多く、作業がスムーズになる点もメリットです。法改正による運用変更に手を煩わせることがないため、担当者の負担を軽減できます。常に最新の法令に沿って、正確な勤怠管理を実現できるでしょう。
勤怠管理システムを導入するデメリット
勤怠管理システムはメリットが多い一方でデメリットもあります。導入のデメリットは以下の2つです。
- 導入コストが発生する
- 社内に浸透するまで時間を要する
順番に解説します。
導入コストが発生する
勤怠管理システムを導入するためには金銭的コストがかかります。
月々の利用料は、従業員1人あたり100〜1,000円程度が多いですが、なかには初期の導入コストが100万円を超えるサービスもあります。エクセル管理やタイムカードを記録する機械と比べてコストがかさむことを踏まえ、よく検討しましょう。
導入により削減できる工数を試算して、費用対効果を算出し、社内を説得するのも一つの方法です。まずは導入目的を整理しましょう。
社内に浸透するまで時間を要する
勤怠管理システムの導入には、社内に浸透するまで一定の時間と労力が必要です。導入以前から、導入の背景や操作方法を周知するために、従業員と継続的にコミュニケーションを取りましょう。
また導入にともない、マニュアルの作成や問い合わせ対応など、担当者の負担が一時的に増加する可能性があるのはデメリットといえます。従業員が滞りなく進められるようになるまでの作業工数や業務フローを洗い出し、計画的に導入を進めましょう。
勤怠管理システムを選ぶ際のチェックポイント
勤怠管理システムを選ぶ際のチェックポイントは以下の3つです。
- 就業規則への対応可否
- 既存システムとの連携
- 導入後のサポート体制
順番に解説します。
就業規則への対応可否
勤怠管理システムが自社の就業規則に対応できるシステムかどうかチェックしましょう。企業に応じて就業時間や雇用形態が異なるため、確認が必要です。
フレックスタイム制や変形労働時間制などを導入している企業の場合、現在の運用の再現性やカスタマイズ性は重要な比較ポイントです。勤務スタイルが異なる従業員それぞれに対応できるか確認しましょう。
既存システムとの連携
給与計算システムなど、すでに導入しているシステムとの連携を確認しましょう。既存システムとの連携が可能なら、業務効率がさらに向上する可能性があります。
導入後のサポート体制
はじめて勤怠管理システムを導入する場合は、導入後の疑問やトラブルをサポートしてくれる勤怠管理システムを選ぶと安心です。
予期せぬトラブルが起こった場合、従業員へ対処法の説明ができないことがあってはなりません。運用前の構築支援や運用に関する相談対応など手厚いサポートを提供しているサービスもあるため、比較検討して勤怠管理システムを決めましょう。
まとめ
勤怠管理は多くの課題を抱えています。
- 集計確認作業の効率化
- ヒューマンエラー
- 不正申告
- タイムリーな勤怠把握
- 法改正への迅速な対応
- 多様な働き方への柔軟な対応
勤怠管理の課題を解決するためには、就業ルールを見直すとともに、自社に適した勤怠管理システムの導入も一つの方法です。
勤怠管理システムを導入することで、業務効率化や不正防止はもちろん、法改正や多様な働き方への対応もスムーズになります。ただし導入による金銭的・管理コストがかかるデメリットは否めません。本記事で紹介したチェックポイントを踏まえてご検討ください。
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