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勤怠管理とは【わかりやすく解説】目的や管理項目、働き方別の注意点

勤怠管理とは【わかりやすく解説】目的や管理項目、働き方別の注意点

勤怠管理とは、企業で働く従業員の勤怠状況を管理することです。労働基準法第4章が適用されるすべての企業は労働時間を正確に把握する必要があります。

そこで本記事では、管理しなければならない項目など勤怠管理の基本や重要性、勤怠管理の方法をメリットデメリットに分けて解説します。勤怠管理を担当している方は、ぜひお役立てください。

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    勤怠管理とは

    勤怠管理とは、従業員の出勤・退勤時間や遅刻、欠勤、休日取得などの勤務状況を数値で把握することです。労働基準法や労働安全衛生法などにより定められており、特に残業や休日出勤には割増賃金が発生し、企業は勤務時間を正しく記録して法律に沿った運用が求められています。

    勤怠管理の管理項目と対象

    勤怠管理で管理する項目と、その対象について解説します。

    勤怠管理で管理する項目

    勤怠管理で管理する項目は、下記の通りです。

    • 出勤日と欠勤日、休日出勤日
    • 始業・終業時刻と労働時間、休憩時間
    • 時間外労働時間と深夜労働時間、休日労働時間
    • 有休の取得日数と残日数

    それぞれの項目内容を説明します。

    出勤日と欠勤日、休日出勤日

    出勤日や欠勤日など毎月の勤務状況を正しく把握する必要があります。勤務日数は、給与計算の支払いにも影響するため、適切な勤怠管理が求められます。

    また、従業員の健康を守るためにも、休日の管理も大切です。必要な休日が取得されているか、休日出勤のあとに代休や振替休日が取得されているかなどの状況を管理します。

    始業・終業時刻と労働時間、休憩時間

    企業は、1か月単位で従業員が毎日何時から何時まで勤務したかを正確に管理する必要があります。労働時間は1分ごとで算定し、それに基づいて給与を適切に換算します。

    また、休憩時間についても、1日の取得時間を把握しておきましょう。

    時間外労働時間と深夜労働時間、休日労働時間

    法定労働時間を超える勤務は、給与計算に影響を与えます。企業は、時間外労働や深夜残業、休日出勤を行った従業員に割増賃金を支払う義務があります。割増賃金の率は状況に応じて異なるため、正確な把握と管理が必要です。

    有休の取得日数と残日数

    2019年4月から施行された働き方改革関連の法律によって、企業は従業員に年に最低5日間の有給休暇を取得させることが義務づけられました。そのため、以前よりも従業員の有給休暇の取得状況を厳密に把握する必要があります。

    勤怠管理の対象企業

    勤怠管理を行うのは、労働基準法第4章が適用されるすべての企業が対象です。ただし、農業や水産業などの自然や天候の影響を強く受ける一部の業種は除きます。

    参照:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』|厚生労働省

    勤怠管理の対象従業員

    従業員を1人でも雇用している企業は、以下の者を除くすべての従業員を対象に勤怠管理をしなければなりません。

    • 高度プロフェッショナル制度対象者
    • 役員

    管理監督者やみなし労働時間制の対象者も含めて、原則としてすべて従業員の労働時間の客観的な把握が必要です。しかし、高度プロフェッショナル制度の対象者のみ客観的把握の対象から除外されています。

    また、役員は企業と委任の関係に立ち、雇用される立場ではないため、勤怠管理の対象ではありません。

    勤怠管理の目的・重要性

    勤怠管理の目的や重要性を3つ取り上げて解説します。

    労働基準法に従うため

    労働基準法により、労働時間の上限は「1日8時間、週40時間」と定められています。

    この時間を超える労働は、労働基準法違反となるため、原則として許されません。法定労働時間を超える労働を行わせる場合は、36協定を労使間で結ぶ必要があります。

    日頃から正確な勤怠管理体制を整えておくことで、法律違反となる労働時間の超過を防止し、リスク回避できるでしょう。

    さらに、従業員ごとの労働時間を記載した賃金台帳の作成や、タイムカードなど労働時間記録の5年間(現在は3年間)保存も義務づけられています。

    勤怠管理を通じて、従業員の出退勤の時間を記録して保存する必要があるのです。

    参照:『労働基準法』 e-Gov法令検索

    労務コンプライアンスを遵守するため

    適切な勤怠管理は、労務コンプライアンスの遵守に直結します。

    労務コンプライアンスとは、雇用契約や賃金の支払いなどの労働関連の法律や規則、社会的規範を守り、労務管理を適切に実行することです。勤怠管理はこのような労務管理の一部です。従業員の出退勤の記録や休暇・残業管理を通じて、労働者の権利を保護するとともに、不当な労働行為を防止します。

    また、労働者と企業の関係を良好に保ち、信頼関係の構築においても重要です。適切な勤怠管理は、健全な企業経営のために重要な役割を果たしているといえるでしょう。

    トラブルを回避するため

    勤怠管理の目的として、労働問題やトラブルの温床を早期に見つけて対処することも挙げられます。

    適切な勤怠管理の実施により、過重労働などの問題を早期に見つけられるため、健康被害や訴訟リスクといったトラブルを未然に防げるでしょう。

    適切に管理できていないと、心身に負荷をかけている従業員を見過ごすことにもつながります。特に、従業員規模が大きい企業は、個々の労働状況を細かく監視することは困難です。

    勤怠データを分析して労働時間を調整することで、従業員のワークライフバランスを保ち、心身の健康を維持できます。個人のモチベーションや生産性の向上にもつながるでしょう。

    給与計算を正確に行うため

    勤怠管理は、ミスのない給与計算のためにも重要です。

    正確な労働時間の把握により、実際の労働に基づいた正しい給与計算が実現します。これにより、残業実績や休暇取得などに応じて、正確な金額を支払えるのです。

    適切な勤怠管理による正確な給与計算は、無駄なコストを削減し、リソース配分の最適化にもつながります。

    一方、勤怠管理の不備は計算ミスを誘発します。残業代のほか休日手当や深夜手当などの支払いに不正確な処理が発生してしまうと、社内に混乱も生じるでしょう。従業員に迷惑をかけたり、業務効率を下げたりしないためにも勤怠管理と給与計算には正確性が求められます。

    勤怠管理の方法とメリット・デメリット

    勤怠管理を助ける4つのツールと、それぞれの主なメリット・デメリットを紹介します。    

    勤怠管理の方法メリットデメリット
    紙の出勤簿お金がかからず手軽客観性に乏しい
    エクセルデータの集計が簡単入力ミス・不正申告が起こりやすい
    タイムカード低コストで利用しやすいリアルタイムで打刻できない
    勤怠管理システム勤務時間を正確に把握できるコストがかかる

    紙の出勤簿

    紙の出勤簿による手書きの勤怠管理は、出退勤時刻や残業時間、休憩時間、遅刻や早退、休日などの情報を直接記入する方法です。

    出勤簿は、必要なのが紙のみであり、特別な技術やシステムを必要としないため、導入が手軽であるのがメリットです。小規模な事業所やコストを抑えたい企業に適しています。

    ただし、手書きの記録は客観性に欠け、不正申告やサービス残業の報告漏れが起こりやすいといえるでしょう。労働基準法に遵守した勤怠管理という目的に対して不十分な場合があります。

    エクセル

    エクセルを用いた勤怠管理は、従業員自身が入力した出退勤時刻の打刻データから、労働時間を自動で集計できるため、手書きより簡単な手法です。

    勤怠を締めたあと、入力データをもとに労働時間が自動で算出されるように、あらかじめ数式を設定しておきます。

    しかし、エクセルでの勤怠管理も自己申告であり、客観的な記録としては信頼性が低いといえるでしょう。手書きと同様に、意図的でないミスや不正申告の可能性があります。

    タイムカード

    タイムレコーダーを使用した勤怠管理は、出勤時と退勤時に紙のタイムカードを機械に差し込み、打刻することにより時間を記録する方法です。一部のタイムレコーダーはパソコンに接続できるものがあり、労働時間の自動集計も可能な場合があります。導入と運用のコストが比較的低く、使い方が簡単であるのはメリットです。

    ただし、タイムカードのデータは手作業で集計しなければならず、一枚一枚確認し、勤務時間を計算する作業は時間がかかるうえ、計算ミスも起こるでしょう。タイムレコーダーを社内に設置する必要もあるため、在宅勤務やリモートワークといった柔軟な働き方には対応しにくいです。

    勤怠管理システム

    勤怠管理システムの導入は、パソコンやタブレットからサービスにログインして出退勤を記録する方法です。一定の導入・維持コストや従業員への操作説明がが必要になりますが、

    クラウド型なら比較的、価格を抑えて導入できます。

    クラウド型勤怠管理システムは、インターネットに接続できる環境であれば、社外にいても打刻ができる形態です。リモートワークや出張先でも、手軽に勤怠管理が行えるでしょう。

    勤怠管理システムを導入すると、位置情報の取得や顔認証技術を用いて、不正な打刻に対して対策が打てます。また、勤怠データの自動集計により、毎月の締め作業や給与計算の工数を削減することが可能です。

    一部のサービスでは、勤怠と給与計算や人材管理と連携できるため、従業員情報の一元管理をし、社内の現状を可視化することに役立つでしょう。

    勤怠管理を行う際の注意点【働き方別】

    勤怠管理を適切に行うために、雇用形態や働き方に応じた注意点を理解しておきましょう。働き方別に主な注意点を4つ取り上げて解説します。

    扶養控除内でのパート・アルバイト

    パートタイムやアルバイトで「扶養控除内」の勤務を望んでいる従業員に対しては、扶養控除の範囲内に収まるようにシフトを調整しなければなりません。忙しい時期に勤務日数や時間が増えたときは、ほかの月で勤務時間を減らすなど、年間を通じた労働時間の調整が必要です。

    扶養控除の範囲には主に4つの基準があります。

    • 所得税が課税される「103万円」
    • 社会保険への加入が必要となる「106万円」
    • 社会保険への加入が必要となる「130万円」
    • 配偶者特別控除の控除額に影響する「150万円」

    パートタイムやアルバイト従業員が、それぞれどの扶養控除を希望しているかを確認しておくと管理しやすいでしょう。

    契約社員

    労働契約の期間に制限がある契約社員は、フルタイムであれば基本的に正社員の勤怠管理と変わりはありません。正社員と同様に、始業および終業の時刻や時間外、深夜、休日出勤の時間を正確に記録し、休憩時間も確保しましょう。有給休暇の付与も行ってください。

    派遣社員

    派遣社員の勤怠管理は、派遣元と派遣先の企業で分担されるため、それぞれの役割を理解しておかなければなりません。

    一般的に、派遣先の企業が出勤・退勤時間などの管理を担当し、派遣元の企業が給与計算や有給休暇の処理を行います。そのため、派遣先の企業は正確な労働時間を派遣元に申告する必要があります。

    打刻の漏れや承認のミスがないよう勤怠管理を徹底し、派遣先と派遣元間で労働時間の情報をスムーズに共有できる体制を整えることが大切です。

    テレワーク

    テレワークの勤怠管理では、当然ながら自社に設置するタイムカードやICカードを用いた出退勤管理はできません。そのため、一般的にはオンライン上での打刻や従業員の自己申告による管理方法が採用されています。

    従業員の勤務状況を直接確認しているわけではないため、社内規則の徹底や実態調査などの対策を講じる企業もあります。

    勤怠管理システムの選び方

    勤怠管理システムを選ぶ際は、次のチェックリストを参考にしてみてください。

    チェックリスト
    自社に必要な機能がそろっているか
    コストが見合っているか
    従業員にとって使いやすいか
    セキュリティ体制が整っているか
    サポート体制が整っているか
    給与システムなど他のツールとの連携ができるか

    勤怠管理システムの提供形態として、主に「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。

    オンプレミス型

    オンプレミス型勤怠管理システムは、企業がみずから管理する設備内にサーバーを設置して運用する形態です。自社で一からシステムを構築するため、数十万円から数千万円の初期投資が必要であると考えてください。

    クラウド型に比べて、より強固なセキュリティ体制を整えられる点はメリットといえます。また、カスタマイズが比較的自由なことが特徴で、自社で独自に設定したい勤怠ルールがある企業に適しています。

    クラウド型

    クラウド型勤怠管理システムは、インターネット経由でサービスを提供する形態です。オンプレミス型よりカスタマイズの自由度は低いのは難点ですが、導入・維持コストがリーズナブルなところが魅力です。サーバー設置やカスタマイズの手間がないため、迅速に導入を進められるでしょう。

    近年では各社からさまざまなサービスが提供されており、搭載されている機能も多彩になってきました。法改正に自動で対応できたり、給与計算と連携できたりするシステムも増えいます。

    まとめ

    勤怠管理とは、従業員の出勤・退勤時間や遅刻、欠勤、休日取得などの勤務状況を数値で把握することで、労働基準法で定められている業務です。

    労働基準法第4章が適用されるすべての企業が対象です。労働基準法や労務コンプライアンスの遵守、トラブル回避を目的に行われます。

    勤怠管理には主に4つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自社の状況に合ったツールを選び運用を効率化させましょう

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