ノー残業デーは意味ない?メリット・デメリットや導入のポイント、成功例を解説

ノー残業デーは意味ない?メリット・デメリットや導入のポイント、成功例を解説

「ノー残業デーを導入したけれど、形骸化してしまった」「残業削減の効果が出ていない」と悩んでいませんか。

働き方改革の一環として多くの企業がノー残業デーを導入していますが、効果に疑問を持つ声も少なくありません。ノー残業デーには残業時間の削減だけでなく、従業員の生産性向上やワークライフバランスの実現など、企業と従業員双方にメリットがあります。

本記事では、ノー残業デーの本当の意義やメリット・デメリット、形骸化させないための導入ポイントと成功事例を詳しく解説します。現場の「意味ない」という声を減らし、運用を立て直したい担当者の方は参考にしてください。

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    ノー残業デーとは定時退社を促す仕組み

    ノー残業デーとは、企業が「定時(所定終業時刻)で退社する日」を定め、残業をしない運用を促す取り組みです。週1回など、特定の曜日に設けるケースがよく見られます。 

    ノー残業デーは法律で義務づけられた制度ではなく、会社が任意で設けるものです。社内の混乱を減らすなら、運用ルールは文章で残しておくほうが安心です。就業規則に限らず、運用規程やガイドでも構いません。誰が見ても同じ理解になる形にしておきましょう。

    参考:『11月15日(水) をノー残業デー にしませんか?』都道府県労働局

    ノー残業デーは意味ない?

    ノー残業デーは一定の企業で取り入れられているものの、「意味ない」「形骸化している」という声もあります。なぜノー残業デーは意味がないといわれているのでしょうか。主な理由は以下のとおりです。

    • 業務量や納期が変わらず、別日に残業しなければならない
    • 持ち帰り残業・早出残業・サービス残業をしている
    • 退勤後のチャット・メール対応が常態化している

    ただの退社の号令だけでは、ノー残業デーは意味のないものとなってしまいます。仕事の量や進め方、緊急時の対応まで整えないと、制度が形だけ残ってしまうことは少なくありません。

    ノー残業デーが導入されるようになった背景

    ノー残業デーは、1970年代の高度経済成長期から広がった取り組みです。国際的に見て日本の労働時間が長いと指摘され、働きすぎを見直す流れのなかで、残業を減らす施策として導入が進みました。

    1980〜1990年代になると、過労死が社会問題として注目されるようになり、週1回など定期的にノー残業デーを設ける企業が増えました。さらに1990年代以降は、うつ病などのメンタルヘルス不調や過労死の問題が拡大し、長時間労働の是正が企業にとって重要な課題となっています。

    その後、2018年6月働き方改革関連法の成立と2019年4月施行を受け、時間外労働を減らす取り組みの一例として、ノー残業デーが改めて見直されています。

    ノー残業デーはなぜ水曜日が多い?

    ノー残業デーが水曜日に設定されていることが多いのは、官公庁の定時退庁日が水曜日であることから、民間企業でも取り入れやすかったためです。

    また、水曜日は週の真ん中です。ここで一度区切ることで、仕事にメリハリをつけたいと考える企業もあるようです。週後半の疲れがたまる前に、いったんワークライフバランスを整えるという狙いがあります。

    ただし、ノー残業デーの曜日に決まったルールはありません。推奨される曜日があるわけでもないため、何曜日に設定しても問題はありません。

    大切なのは、「どの曜日なら残業が減りやすいか」を自社の事情で決めることです。

    • 事業の繁閑
    • 顧客対応の時間帯
    • 法定休日
    • 従業員の働き方

    以上を踏まえて、しわ寄せが起きにくい曜日を選びましょう。

    ノー残業デーのメリット・効果

    ノー残業デーを導入すると、企業と従業員の双方にさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な効果を3つ紹介します。

    生産性が向上する

    ノー残業デーがあると、「定時までに終える」という意識が生まれ、従業員の生産性向上が促進されるというメリットがあります。制度が業務の進め方を変えるきっかけになるからです。

    残業できない日があると、限られた時間で終える工夫を考えるようになります。無駄な作業を減らして手戻りを防ぐ、段取りを前倒しするといった改善に取り組む従業員が増えるでしょう。

    管理職側も、部下の業務がつまりすぎていないか、進捗が遅れていないかに目が向きます。結果として、業務配分の見直しが進んだり、「付き合い残業」や「目的のない残業」が減る可能性もあります。

    ノー残業デーをきっかけに業務改善が進めば、ノー残業デー以外の働き方にも影響し、生産性向上につながるのです。

    従業員がワークライフバランスを実現しやすくなる

    ノー残業デーがあると、定時退社の見込みが立ち、ワークライフバランスを実現しやすくなります。

    退社後の時間が増えれば、通院や育児・介護、役所手続きなど、用事を片づけやすくなる従業員も多いでしょう。

    週の途中で十分なリフレッシュができれば、翌日以降の集中力が高まり、パフォーマンス向上にもつながるかもしれません。

    業務に関係する自己啓発やスキルアップの時間も確保できます。結果として業務にもよい影響が生まれます。

    人件費や光熱費などのコストを減らせる

    ノー残業デーで残業時間が減れば、残業代の支払いが減り、人件費や光熱費のコスト削減効果が期待できます。

    とくに月60時間を超える残業には50%以上の割増賃金の支払いが義務づけられています。残業の総量が削減できれば、その分の支出も抑えられます。

    残業が常態化している企業ほど、コスト削減の効果は大きくなるでしょう。

    また、早い時間に退社する人が増えると、オフィスの照明や空調、機器の稼働が減ります。小さな削減の積み重ねですが、運用コストの圧縮につながります。

    ノー残業デーのデメリット・課題

    ノー残業デーにはメリットがある一方で、運用の仕方によってはデメリットも存在します。ノー残業デーを導入する前に考慮したい課題を確認しておきましょう。

    顧客対応に支障が出る可能性がある

    ノー残業デーを導入すると、顧客対応に影響が出ることがあります。自社が早く退社する一方で、取引先は通常どおり業務をしているというケースでは、対応に遅れが起きやすいからです。

    普段は定時以降も対応している企業だと、取引先や顧客から「なぜ今日は対応してくれないのか」という不満が生じるおそれがあります。顧客満足度が下がる場合は見過ごせません。

    ノー残業デーの実施前に取引先に周知したり、緊急時の連絡体制を整えたりするなどの対策が必要です。

    部署間の連携が難しくなる

    部署によってノー残業デーが違う場合、部署間の業務連携が難しくなるというデメリットがあります。ある部署が定時で帰宅する日に、別の部署から連絡があっても、必要な確認が取れず、業務が止まってしまうかもしれません。

    営業部門がノー残業デーで不在のときに、製造部門から急ぎの確認事項が発生した場合、翌日まで回答を得られないため、業務の進行に支障をきたします。遅れが積み重なると、全体の業務効率が低下することもあります。

    可能な限り全社で統一の日程にノー残業デーを設定することが望ましいでしょう。

    全社統一が難しい場合は、情報共有ツールを活用して日程の共有を徹底したり、業務の担当者を複数設定したりするなど、穴を埋める工夫が必要です。

    残業代の減少により不満を感じる従業員もいる

    ノー残業デーの導入により、残業時間が減れば、従業員の残業代も減ります。会社にとってはコスト削減というメリットでも、従業員にとっては収入減というデメリットです。

    従業員のなかには残業代を生活費の一部としてあてにしている人もいます。急に減ると、モチベーション低下につながりかねません。

    この課題はとくに、基本給が低めに設定されている職場で起こりやすいです。残業に頼らない給与体系の見直しなど、従業員の収入面での不安を解消する施策を並行して検討することが大切です。

    別の日の残業時間が増える場合がある

    ノー残業デーに終わらなかった仕事が、翌日以降に持ち越され、別の日の残業が増えるという状況は、よくある失敗例です。

    週や月で見たときに、残業の総量が変わらない、むしろ増えることもあります。早朝出勤に置き換わるケースもあります。本来の目的である「労働時間の削減」が達成できません。

    制度をつくり、実施しただけで終わりにしてはいけません。

    • 業務の棚卸し
    • 優先順位の見直し
    • 無駄の削減

    ノー残業デーの制度導入をきっかけに、働き方の根本改善を同時に進めましょう。

    ノー残業デーを形だけにしないための導入ポイント

    ノー残業デーは、運用次第で成果が変わります。単に「定時に帰る日」を設けるだけでは効果は限定的でしょう。後日しわ寄せや隠れ残業が起きがちです。

    ノー残業デーとは名ばかりで、「ノー残業デーなのに誰も帰らない」という状況もあるといいます。効果的に機能させるには、会社全体で取り組む姿勢と業務全体の見直しが不可欠です。

    ノー残業デーを、形だけの取り組みにしないための導入ポイントを5つ解説します。

    制度について周知し、理解を促す

    ノー残業デーを定着させるには、制度の目的・意義を周知し、理解を促す取り組みが欠かせません。「今日は早く帰りましょう」と伝えるだけでは、続かないことが多いからです。

    ノー残業デーの目的は、残業削減だけでなく、ワークライフバランス、健康、業務効率化など、従業員にもメリットがあることを説明します。背景も一言添えると、納得感が変わるでしょう。

    管理職への周知も重要です。上司が残っていると帰りづらいと感じる人は少なくありません。定着するまでは、経営層や管理職からメッセージを発信する必要があります。マネージャーが率先して切り上げるだけでも雰囲気が変わります。

    可能であれば、取引先など社外にもノー残業デーの実施を通知しておくとよいでしょう。定時以降に対応できない日があることを先に伝えておくと、トラブルを減らせます。

    呼びかけの例文

    ノー残業デーを浸透させるためには、呼びかけにひと工夫加えるのも一案です。以下に、アナウンスやメールでの呼びかけ例文をいくつか紹介します。

    【朝のアナウンス例】
    本日はノー残業デーです。仕事の優先順位をつけて必要な業務から終わらせていき、18時の終了時間には帰れるようにしましょう。
    【終業前のアナウンス例】
    本日はノー残業デーとなります。仕事に目処をつけ、すみやかに帰宅しましょう。
    【金曜日のノー残業デーの場合】
    金曜日は、ノー残業デーです。仕事に目処をつけてすみやかに帰宅し、週末はゆっくり身体を休ませましょう。
    【社内メール通知の例】
    当社では〇〇年〇月より「ノー残業デー」を導入することとなりました。
    社員が仕事とプライベートを両立でき、社員全員が働きやすい環境をつくることによって、すべての社員が能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定いたします。
    実施期間:令和〇年〇月~実施内容:毎週〇曜日を「ノー残業デー」とし、全員17時での退社とする。対象者:全社員
    業務上不都合が生じたり、業務に差しさわりのある場合は曜日の変更などを検討いたします。

    残業ができない仕組みを導入する

    ノー残業デーの呼びかけだけでは変わらない場合、物理的に残業ができない環境にすることが必要です。例として以下のような方法があります。

    • 定時になったらオフィスの照明を消す
    • 社内のサーバーやシステムをシャットダウンする

    従業員が自然と帰らざるを得ない状況をつくるのです。

    ただし、強硬な手段は反発も生みやすいです。顧客対応や緊急対応もありますよね。

    業務の実態に合わせて、会議を入れない、定時前にタスク確認の時間を設けるなど、現場が回るように会社側が積極的に支援することが重要です。

    残業が少ないことを評価項目に加える

    ノー残業デーを積極的に利用し、「残業せず成果を出す」ことを評価につなげる方法もあります。

    • 残業時間が少なくても、成果を出している従業員を評価する制度の導入
    • 特別手当の導入

    以上のように、残業時間を減らすことが、直接的な利益になる仕組みをつくるとよいでしょう。そうすれば従業員も積極的になります。

    ただし、部署によって繁閑や業務特性が違います。全社一律で導入すると不公平感が出るため、導入するなら評価基準や支給基準を明確に定めるよう注意が必要です。

    交替制も検討する

    一斉にノー残業デーを実施するのが難しい部署では、交替制での導入も検討しましょう。顧客対応が途切れにくい営業部門や、問い合わせが多い窓口業務が典型です。

    以下のようなルールにすると、業務を止めずに部署全体で仕事を回し、定時退社を実現しやすくなります。

    • 曜日ごとに当番を決める
    • 各メンバーが週1回ずつノー残業デーを持つ

    ノー残業デーの対象者は定時で退社し、当番が当日の問い合わせ対応や急ぎの依頼を引き継いでカバーします。

    • 案件情報をCRM(顧客関係管理システム)や共有シートに必ず更新する
    • 退社前に要点だけ引き継ぐ
    • 誰が何をどこまでやるかを決める

    交替制にすると、複数人が同じ案件状況を把握する必要が出るため、属人化しやすい業務でも情報共有が進むでしょう。

    結果として、担当者不在でも対応できる範囲が広がり、急な依頼にも処理が止まりにくくなります。あわせて、特定の従業員に業務負荷が集中する状態も防げます。

    当日の残業にもある程度柔軟に対応する

    ノー残業デーを導入したとはいえ、一切の残業を禁止してしまうと、かえって仕事がしづらくなってしまいます。

    緊急時には残業を認める、残業しない日を別日に振り替えるなど、柔軟な方が従業員もストレスなく取り組めます。

    そもそもノー残業デーの目的は「残業を抑制し、経費を抑制すると同時に、従業員のライフワークバランスを整えること」です。

    一方で、どうしても終わらせなければいけない業務や、繫忙期で業務が山積み状態であるケースもあります。そのような場合でもノー残業デーだからといって定時で帰宅するような指示は実態にあいません。仕事が終わらない不安や不満が高まり、制度自体への反発につながります。

    そのため、実施日の振替、交替制での実施などの例外ルールをあらかじめ設け、現場判断で運用できるようにしましょう。ルールが現実的であれば、ノー残業デーは、自主的に実践しやすい取り組みになります。

    ノー残業デーの成功例

    ノー残業デーで成果を上げている企業の事例を見ると、制度設計のヒントを得られます。

    ここではノー残業デーを取り入れ、残業時間の削減や従業員の働き方改革に成功した企業の取り組みを2社紹介します。

    カルビー株式会社

    カルビー株式会社では「一日を二度楽しむ」という願いを込め、事業所ごとにノー残業デーを設定しています。

    同社は個人の成長が会社の成長につながるという考えのもと、仕事が終わったらすぐに帰り、退社後の時間を自己成長・家族・趣味に使えるよう、早帰りを促しています。

    具体的な取り組みは以下のとおりです。

    • 毎週水曜日と金曜日を「早く帰るデー」として設定し、早帰りを促す 
    • 16時に社内で帰宅に向けた音楽を流す
    • 役職者はノーミーティングを取り入れ、無駄な業務を減らす 

    同社は単にノー残業デーを導入するだけでなく、業務改善にも積極的です。限られた時間で仕事ができるよう業務効率化を進め、意味のない作業は、中止するという方針を徹底しています。

    2020年7月からは『Calbee New Workstyle』として、モバイルワークを標準化し、フレックスのコアタイムを廃止(フルフレックス)を導入しました。従業員は働く「場所」と「時間」を主体的に選択できるようになり、ワークライフバランスの向上と生産性の向上を同時に実現しています。

    参照:『2016ワーク・ライフ・バランスへの取組み状況』日本経済団体連合会
    参照:『Society 5.0時代の働き方事例集:柔軟な働き方』日本経済団体連合会_
    参考:『働き方の多様性への対応』カルビー株式会社

    第一生命保険株式会社

    第一生命保険株式会社では、役職ごとに終業時刻目標(ボトムライン目標)を設定しています。

    さらに実質的なノー残業デーとして、週に一度の早帰り日(ワークスマートデー)と、月一回以上の10時始業または15時終業(ブルースカイデー)の取得日を設けています。

    同社の取り組みは、トップダウンとボトムアップの両面からアプローチしている点が特徴です。具体的な施策は以下のとおりです。

    • 経営層が定期的にメッセージ発信し、取り組みを続ける
    • 入力端末を20時に一斉シャットダウンする 
    • 勤務間インターバル制度を取り入れる(11時間)
    • 好事例を専用データベースで共有する
    • 業務工程の見える化・業務の標準化事例を横展開する 
    • 終業時刻表示カードを机上に提示する

    参照:『2016ワーク・ライフ・バランスへの取組み状況』日本経済団体連合会
    参照:『第一生命保険株式会社 福井支社 大野営業オフィス』福井県大野市
    参考:『ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン』第一生命ホールディングス株式会社

    まとめ

    ノー残業デーは、残業時間の削減やワークライフバランスの向上など、企業と従業員の双方にメリットがある取り組みです。定時退社の習慣が定着すれば、業務の進め方が見直され、生産性向上につながる余地もあります。

    一方で、曜日を決めただけでは形骸化しがちです。顧客対応や部署間連携、残業代の減少による不満、別の日へのしわ寄せなど、課題も出ます。

    ノー残業デーの運用を機能させるには、経営層の関与と、現場が回る仕組みづくりが欠かせません。周知だけでなく、業務効率化や業務量の見直しまで一緒に進めましょう。自社に合う方法に調整しながら、継続的に改善していくことが大切です。

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