リフレッシュ休暇とは? メリットとデメリット、有給休暇との違いも解説
リフレッシュ休暇とは、企業が独自に設定する特別休暇です。有給休暇とは別に設けることで、疲労回復や心身の健康維持を促進できる福利厚生のひとつです。しかし、リフレッシュ休暇には少なからずデメリットもあります。
本記事では、リフレッシュ休暇について、メリット・デメリット、付与条件や運用ルールの設定について解説します。会社の福利厚生を充実させたいと考えている担当者は、参考にしてください。
リフレッシュ休暇とは?
リフレッシュ休暇とは、企業が独自に設定する休暇のひとつで、従業員の疲労回復を目的としています。リフレッシュ休暇は、企業が独自に設定する休暇であるため、日数や給与支給の有無、取得条件などは企業側が自由に設定できます。
リフレッシュ休暇は義務ではない
リフレッシュ休暇は、法定外休暇(特別休暇)であり、企業側が付与する義務はありません。そのため、リフレッシュ休暇がない企業もあるということです。企業がリフレッシュ休暇を設けている場合、福利厚生のひとつとして付与します。
厚生労働省の調査によると、特別休暇のうちリフレッシュ休暇の制度を設けている企業の割合は、令和5年度で12.9%となっています。同調査では、令和4年度で11.8%、令和3年度で13.9%だったため、リフレッシュ休暇を導入する企業は例年10%程度存在することがわかります。
参照:『令和5年就労条件総合調査の概況』厚生労働省
参照:『令和4年就労条件総合調査の概況』厚生労働省
リフレッシュ休暇と有給休暇との違い
リフレッシュ休暇と有給休暇の違いは法律で定められた休暇かどうかという点です。リフレッシュ休暇は法律で定められていないため、付与しなくても問題ありません。
一方の有給休暇は、法律で定められた法定休暇です。企業は、条件を満たす従業員に対して有給休暇を付与することが義務付けられています。また、年10日以上の有給休暇が付与されている従業員に対しては、1年間で最低5日間の消化も義務付けられています。これに違反した場合は、労働者ひとりあたり30万円以下の罰金が科せられます。
参照:『年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています』厚生労働省
リフレッシュ休暇における企業側のメリット
リフレッシュ休暇を設けることは、企業側にどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットを紹介します。
従業員における心身の健康維持を促進
リフレッシュ休暇のメリットは、従業員の心身の健康維持促進といえます。特に、従業員の仕事へのストレスが緩和され、メンタルヘルスが向上することで、離職リスクを低下させます。このように、企業がリフレッシュ休暇を付与することで、従業員に十分な休息を与えられるため、メリットといえます。
採用活動のアピール材料にできる
リフレッシュ休暇のメリットには、企業の採用活動にもよい影響があります。福利厚生の充実は企業の魅力のひとつです。企業が従業員のために働きやすい環境を整備していることも伝わるため、求職者の入社意欲を向上させられます。また、他社がリフレッシュ休暇を設けていない場合は、差別化もできます。
離職防止につながる
リフレッシュ休暇によって、従業員はより多くの休息を取れるため、健康を維持しやすくなります。休暇によってストレスや体調面での不安を抑えられれば、離職リスクを減らせます。また、リフレッシュ休暇のように充実した福利厚生が用意されていること自体も、会社の魅力となり、離職防止に効果があります。
リフレッシュ休暇における企業側のデメリット
リフレッシュ休暇を設ける場合、企業にデメリットもあります。デメリットにはどのような点が挙げられるのかを解説します。
人手不足に陥る場合がある
リフレッシュ休暇を従業員が取得することで、企業側は一時的な人手不足に陥る可能性もあります。従業員がリフレッシュ休暇を取得する時期が重なった場合、特定の従業員に負担がかかる恐れもあるため、注意が必要です。リフレッシュ休暇による人手不足の問題を生じさせないためには、部署内で取得できる人数を制限するなど、運用ルールを設定しておくとよいでしょう。
引継ぎコストがかかる場合がある
従業員がリフレッシュ休暇を取得する際、場合によっては休暇を取得する従業員の代わりに、他の従業員が業務を引き継がなければならない場合があります。この場合、引継ぎに必要な時間や人的コストがかかります。
リフレッシュ休暇における従業員側のメリット
リフレッシュ休暇は、従業員にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットを解説します。
長期休暇を取れる
リフレッシュ休暇をお盆休みや年末年始などと組み合わせたり、土日祝日と合わせて取得すれば、長期休暇にできます。従業員は、長期休暇を利用して実家に帰省したり旅行に行ったりできれば、さらなるリフレッシュ効果を見込めます。このように気軽に長期休暇を取得できるようになれば、仕事へのモチベーションが向上しやすくなります。
心身の健康を維持できる
リフレッシュ休暇を取得して十分な休息を取ることで、日々の仕事のストレスや疲れを緩和できます。従業員が心身の疲れを緩和できれば、仕事へのパフォーマンスにもよい効果が期待できるでしょう。
引継ぎ作業によって業務整理ができる
リフレッシュ休暇を取得する際は、周囲への引継ぎが必要になる場合も少なくありません。引継ぎに時間がかかる点はデメリットですが、引継ぎによって業務の振り返りができたり、自身の業務整理にも有効です。多すぎる業務を抱えている従業員は、引継ぎをきっかけに、周囲への業務分担も検討できます。
リフレッシュ休暇における従業員側のデメリット
リフレッシュ休暇は、取得する従業員にとってデメリットもあります。どのような点が従業員にとってデメリットになるのでしょうか。具体的なデメリットを紹介します。企業側は、従業員にとってのデメリットも理解したうえで、取得する人に配慮した運用ルールを検討しましょう。
業務に遅れが生じる
従業員がリフレッシュ休暇で会社を休むことで、業務に遅れが生じる可能性があります。とくに、休暇をまとめて取るような場合、数日間分の業務が滞るため注意が必要です。リフレッシュ休暇を取得する場合は、周囲に引継ぎをしたり、事前に業務調整を行い、遅れや影響を抑えられるようにしておくことが大切です。
業務の引継ぎに時間がかかる
従業員がリフレッシュ休暇を取得する際、周囲への引継ぎで時間がかかる点はデメリットのひとつです。顧客や取引先の対応、チームメンバーに関することなど、上司や同僚へ報告や依頼をしなければならないことも少なくありません。特に、数日間の休暇を取得する場合は、引継ぎにかかる時間を考慮しておきましょう。
取得しにくい場合もある
企業がリフレッシュ休暇を設けている場合でも、部署の風土や状況によって、取得しにくい場合もあります。リフレッシュ休暇を取得している人が少ないような風土や業務が忙しく、希望の日程で取りにくい場合も少なくありません。
このような場合、事前に上司へ相談したり、前倒しで業務を進めておくなどの対応が必要です。企業側は、リフレッシュ休暇が建前として設定された特別休暇にならないよう注意しなければなりません。従業員が気兼ねなくリフレッシュ休暇を取得できるよう、積極的な促進や周知を行いましょう。
リフレッシュ休暇の条件や運用ルール
リフレッシュ休暇を企業が設ける場合、条件はどのような内容で設定すればよいのでしょうか。付与日数や期間など、具体的な目安をご紹介します。
リフレッシュ休暇の付与条件
リフレッシュ休暇の付与する条件として、一般的には以下のような内容を設定している企業が多くなっています。
- 勤続年数と同じ日数を付与(たとえば、2年目なら2日間、3年目なら3日間など)
- 年齢に応じて付与(たとえば、20代なら2日間、30代なら3日間など)
- 毎年すべての従業員に付与(すべての従業員に3日間など)
リフレッシュ休暇の付与条件は、企業側が自由に設定できます。従業員がリフレッシュ休暇によって十分な休息が取れるかどうかという点にも配慮し、条件を設定しましょう。
リフレッシュ休暇の付与日数
リフレッシュ休暇の付与日数も、企業の判断で設定します。一般的には、リフレッシュ休暇は勤続年数に応じて付与されるパターンが少なくありません。ただし、勤続年数に応じて付与する場合、日数が少なく、十分な休息を取れない従業員もいます。そのため、リフレッシュ休暇を大型連休や土日祝日と合わせて取得できるようなルールを設けることも、有効に活用するためのポイントとして理解しておきましょう。
リフレッシュ休暇中の給与はどうなる?
リフレッシュ休暇を付与する場合の給与の扱いも、企業ごとに自由に設定できます。有給にするか無給にするかは、企業の判断によりますが、無給にした場合、従業員がリフレッシュ休暇を取得しにくくなる可能性があるため注意が必要です。使いにくい福利厚生を設定しても、従業員の満足度は上がりません。
厚生労働省の調査によると、2019年のリフレッシュ休暇において、給与の支給状況は、以下のように結果が出ています。
・全額支給:95.9% ・一部支給:1.3% ・無給:2.8% |
企業は、従業員を労り、安心して休息してもらうためにも、リフレッシュ休暇を有給で設定するのがおすすめです。
まとめ
リフレッシュ休暇によって従業員へ十分な休息を与えられれば、従業員が心身の健康を維持しやすくなり、パフォーマンス向上や離職防止にもよい効果が期待できます。有給休暇以外の特別休暇があることで、従業員のモチベーションが向上したり、採用活動では求職者にアピールできます。
しかし、リフレッシュ休暇は、多くのメリットがある一方で、デメリットもあるという点を理解しておかなければなりません。企業がリフレッシュ休暇を設ける場合は、従業員が使いやすい制度になるよう、運用ルールを慎重に検討しましょう。