公務員が加入する社会保険はどれ? 適用種類と計算方法、会社員との違いも解説

公務員が加入する社会保険はどれ? 適用種類と計算方法、会社員との違いも解説

公務員として働くことが決まった方や、公務員から転職してきた方との業務を担当する方にとって、「公務員の社会保険制度は民間企業とどう違うのか」という疑問は身近な問題です。公務員の社会保険制度は民間企業の制度と似ているようで、重要な違いがあります。

本記事では公務員が加入する社会保険制度の全体像から、民間企業との具体的な違い、実際の保険料計算方法まで、わかりやすく解説します。

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    公務員に適用される社会保険

    保険の種類公務員会社員備考
    健康保険共済組合協会けんぽ・組合健保運営主体が異なる
    年金保険厚生年金(共済組合運営)厚生年金(日本年金機構運営)2015年に統一
    介護保険共済組合経由で徴収健康保険経由で徴収制度は共通
    労災保険適用除外(公務員災害補償)適用あり独自の補償制度
    雇用保険適用除外適用あり雇用の仕組みが異なる

    公務員の社会保険制度は、民間の会社員と基本的な構造は同じですが、加入する制度や運営主体に違いがあります。

    健康保険は協会けんぽや組合健保ではなく、共済組合という独自の保険組織を通じて加入します。

    健康保険や厚生年金、介護保険は適用

    公務員が加入する社会保険は、健康保険や厚生年金、介護保険(40歳以上)の3本柱です。

    年金については、2015年10月の被用者年金一元化によって厚生年金に統一され、かつての共済年金は廃止されました。

    現在は、全被用者共通の国民年金と厚生年金の2階建てで、事務手続きなどの運営は各共済組合が担当しています。

    さらに、退職後の給付として「年金払い退職給付」など、公務員向けの仕組みも一部残っています。

    労災保険と雇用保険は適用外

    公務員は原則として労災保険・雇用保険の適用外です。

    もちろん、そのまま無補償になるわけではなく、業務中のケガや事故は「公務員災害補償制度」でカバーされています。

    雇用保険が原則適用外なのは、解雇や失業のリスクが民間より小さいからです。公務員は法律上、身分が保障されており、労働者の生活と雇用を安定させる目的の雇用保険は用意されていません。

    公務員が加入する社会保険組合(共済組合)

    公務員が加入する共済組合は、民間企業の「健康保険組合」とは別の、公務員や私立学校の教職員向けに用意された社会保険です。医療保険(健康保険に相当)や年金保険を運営しています。

    共済組合は、主に次の3種類に分かれます。

    • 国家公務員共済組合(20団体):省庁など勤務先ごとに分かれる
    • 地方公務員共済組合(64団体):自治体や職種などの区分で分かれる
    • 私立学校教職員共済組合(1団体):私学教職員向けの組合

    共済組合の保険証は、黄色や水色など独自の配色を採用していますが、発行元や制度を区別するためのもので、色そのものに法的な意味はありません。

    また、多くの共済組合では保険の事務だけでなく、組合員や家族の生活を支えるために福利厚生サービスの充実がはかられています。たとえば、保養施設や資金貸付、預金など組合員および家族の生活支援にも力を入れています。

    参考:『国家公務員共済組合連合会: KKR』
    参考:『地方公務員共済組合連合会』
    参考:『日本私立学校振興・共済事業団』

    共済組合と健康保険との違い

    公務員の共済組合と民間の健康保険の大きな違いは、「運営主体・加入者」「保険料率」「上乗せ給付の有無」です。

    違い1.加入者

    まず基本のおさらいとして、共済組合と健康保険では加入できる人・運営主体が異なります。

    運営主体加入者
    共済組合各共済組合公務員や私学教職員
    健康保険協会けんぽ・健保組合会社員(条件あり)

    民間の健康保険は、勤務時間など一定の加入条件も設けられています。どちらも退職後も任意で継続して加入するという選択肢があるものの、雇用形態や職種に制限があります。条件によっては国民健康保険へ切り替えなければなりません。

    違い2.保険料率

    たとえば文部科学省共済組合では、本人が全額負担する任意継続の短期掛金率が8.094%です。

    一方で協会けんぽは、都道府県・年次ごとに保険料率が異なりますが、ここ数年の全国平均は約10%(本人+事業主負担の合計)です。 

    参照:『掛⾦率の変更について』⽂部科学省共済組合 
    参照:『都道府県毎の保険料率』全国健康保険協会

    違い3.上乗せ給付

    医療給付はどちらも基本的に3割自己負担です。

    ただし共済組合は、組合によって傷病手当金の終了後に附加金が給付されるなど、長期間の所得保障が手厚い点が特徴です。

    年金についても、厚生年金に統一されている一方で、共済組合員向けには「退職等年金給付」などの上乗せ給付があり、将来の年金額に差が出る場合があります。

    共通点:扶養制度は近い

    家族を扶養に入れられるかは、どちらも収入などの条件で判定します。被扶養者として認定されれば、原則として扶養家族分の保険料はかかりません。

    細かい基準は制度・状況で変わるため、各制度の要件確認が必要です。

    公務員の社会保険料(共済保険料)の計算・支払い

    公務員の社会保険料は、一般的に共済保険料または共済組合掛金と呼ばれます。民間の会社員と同じく給料や賞与をもとに計算しますが、保険料率は加入する共済組合ごとに異なります。

    公務員の共済保険料の計算式は以下のとおりです。

    • 給与:標準報酬月額 × 保険料率
    • 賞与:標準賞与額 × 保険料率

    保険料の負担割合は民間と同じで、民間企業と同様に労使折半です。本人負担は次のように求めます。

    • 本人負担額=(標準報酬月額 × 保険料率)× 1/2
    • 賞与の本人負担額=(標準賞与額 × 保険料率)× 1/2

    なお、公務員は国民年金の区分では第2号被保険者にあたり、国民年金保険料を別で納める必要はありません。厚生年金に含まれる扱いです。

    社会保険に関して公務員と会社員、自営業の違い

    社会保険に関しては公務員と会社員よりも、自営業との違いの方がさまざまな点で明確です。保険料の計算方法や給付の考え方、将来受け取る年金の水準にも差があります。

    公務員会社員自営業
    健康保険共済組合協会けんぽ/健康保険組合国民健康保険
    保険料の負担本人と雇用先で折半原則、全額自己負担
    保険料の計算標準報酬月額・標準賞与額 × 組合ごとの料率自治体の算定方式(所得・世帯など)
    扶養収入要件などで認定「扶養に入れる」扱いが基本なく、家族分の負担が増える
    年金国民年金+厚生年金(2階建て)原則、国民年金のみ(定額)
    年金額の目安厚生年金の上乗せがある分、国民年金のみより増えやすい国民年金満額は月69,308円(令和7年度)(昭和31年4月1日以前生まれの方は月額69,108円)
    介護保険(40歳以上)健康保険とあわせて徴収(折半)国民健康保険に上乗せ(全額負担)
    労災公務災害補償あり(事業主負担)特別加入制度あり
    雇用保険なしありなし

    参照:『令和7年4月分からの年金額等について』日本年金機構

    健康保険に関する違い

    健康保険は、公務員は共済組合、会社員は協会けんぽまたは健康保険組合、自営業は国民健康保険に加入します。保険料の負担は、公務員・会社員は本人と雇用先が折半するのに対し、自営業は原則として全額自己負担です。

    保険料の計算も異なります。公務員・会社員は「標準報酬月額(賞与は標準賞与額)×保険料率」で算出し、本人負担はその半分です。

    一方、自営業の国民健康保険は市区町村ごとに算定方法が異なり、世帯の状況や所得などをもとに決まります。加えて、会社の健康保険のように「扶養に入れれば家族分の保険料がかからない」という扱いが基本的にないため、家族が増えると負担が増える点も特徴です。

    年金に関する違い

    年金は、公務員・会社員は国民年金(老齢基礎年金)に厚生年金が上乗せされる仕組みです。自営業は原則として国民年金のみで、保険料は定額です。

    この違いにより、受給額は働き方や加入期間、収入によって変動しますが、厚生年金の上乗せがある公務員・会社員のほうが多くなる傾向があります。

    介護保険に関する違い

    介護保険(40歳以上)は共通の制度ですが、公務員・会社員は健康保険料とあわせて折半で徴収され、自営業は国民健康保険料に上乗せされ全額自己負担です。

    労災保険・雇用保険に関する違い

    労災保険は会社員が対象で保険料は事業主負担、公務員は労災保険の代わりに公務災害補償制度でカバーされます。自営業は原則として対象外です。雇用保険も基本的に会社員が対象で、公務員・自営業は加入できません。

    そのため自営業は、病気やケガ、老後に備える手段として、民間保険やiDeCoなどで不足を補う発想がより重要になります。

    まとめ

    公務員の社会保険は、健康保険(共済組合)・厚生年金・介護保険といった制度の枠組みは民間の会社員と共通しています。保険料も標準報酬月額/標準賞与額に、各共済組合の料率を掛けて算出し、会社員と同様に労使折半です。

    一方で、労災保険・雇用保険は原則として適用外のため、業務・通勤中の災害は公務員災害補償制度で対応し、失業給付など再就職を支援するような仕組みはありません。

    転職や入退社では、社会保険の運営主体と適用外の保険をおさえて、手続き漏れを防ぎましょう。