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雇用契約の更新手順とは【4つのケース別】タイミングと注意点も解説

従業員と結ぶ雇用契約は、更新が必要な場合があります。契約更新におけるトラブルを防ぐためには、更新のタイミングや具体的な手順をおさえることが重要です。

そこで本記事では、雇用契約の更新手順について、よくある4つのケースごとに解説します。更新時の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

※当記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

雇用契約の更新手順とは【4つのケース別】タイミングと注意点も解説
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    有期雇用契約は同じ労働条件でも更新手続きが必要

    雇用契約とは、従業員が労働に従事し、使用者がその労働に対する報酬を支払うことを約束するものです。

    雇用契約には、契約期間の定めのない無期雇用と、契約期間の定めがある有期雇用の2種類があります。無期雇用は主に正社員、有期雇用は契約社員やパートなどに多い契約形態です。

    有期雇用では「2022年4月1日から2024年3月31日まで」というに契約期間が定められているため、期間終了後も働き続けてほしい従業員に対しては契約を更新しなければなりません。労働条件が据え置きで契約内容に変更がない場合でも、契約更新は必要です。

    新たに雇用契約書を取り交わさずにそのまま使用していると、実質的に無期雇用だと判断される恐れがあります。

    有期雇用の更新手続きのタイミング

    有期雇用の契約更新は、契約が満了するタイミングで行うのが一般的です。ただし、更新のタイミングは、雇い止めの可能性を考慮して決定する必要があります。

    雇い止めとは、有期雇用労働者が雇用契約を期待していたにもかかわらず、雇用契約を更新せず打ち切ることです。1年以上継続雇用されていたり、3回以上契約を更新していたりする場合は、解雇予告(雇い止めの予告)が必要です。

    雇い止めの予告は契約期間満了日の30日前までにする必要があるため、少なくとも30日より前には契約更新の要否を判断しなければなりません。そのため、有期雇用労働者に引き続き働いてほしい場合も、基本的には契約満了の30日前までに更新手続きをするとよいでしょう。

    無期雇用の更新手続きのタイミング

    一方、無期雇用には契約期間の定めがないので、特に雇用契約の更新は必要ありません。

    ただし、従業員とのトラブルを防ぐためには、無期雇用であっても雇用契約書を年1回取り交わすのが望ましいとされています。契約内容を互いに確認し合う機会を設けることで、労働条件に関する認識の相違を防げるでしょう。

    また、無期雇用であっても、労働条件を変更するときは当然ながら変更手続きが必要です。

    有期雇用契約の更新手順を4つのケース別に解説

    続いて、有期雇用契約における更新手順についてさらに詳しく解説します。

    以下の4つのケース別に紹介するので、手続きの担当者はぜひ参考にしてください。

    1. 契約内容を変更しない場合(期間のみ更新)
    2. 労働条件を変更する場合
    3. 無期転換ルールが適用される場合
    4. 正社員に転換される場合

    1.契約内容を変更しない場合(期間のみ更新)

    契約内容を変更せずに雇用契約の更新をする場合は、これまでの契約と同じ労働条件で、雇用期間のみ変更した雇用契約書を作成します。また、労働条件を明記した労働条件通知書も同じ内容で交付しましょう。

    ただし、使用者側が雇用継続を希望していても、従業員が望まないのであれば契約更新はできません。従業員が退職を希望している可能性もあるため、契約期間満了の30日前には面談の場を設け、本人の意思を確認しましょう。

    2.労働条件を変更する場合

    従業員の同意が得られるのであれば、契約更新のタイミングで労働条件の変更も可能です。

    まずは従業員に労働条件の変更があることを説明し、同意を得られたら、変更後の内容で雇用契約書と労働条件通知書を作成・交付しましょう。

    また、労働条件の不利益な変更が発生する場合は、従業員が納得できるように、ていねいな説明が必要です。たとえば、基本給の減給や手当の廃止などは不利益変更に該当します。

    従業員が不利益変更に同意しないと、当然ながら勝手に契約内容を変更することはできません。また、法定労働時間や法定休日、最低賃金など、労働基準法の規定に反する労働条件は認められないため注意しましょう。

    3.無期転換ルールが適用される場合

    無期転換ルールとは、有期雇用契約が更新され通算5年を超えると、労働者からの申し込みにより無期雇用契約へ転換するルールのことです。使用者が断ることはできず、希望する従業員と無期雇用契約を結ぶ必要があります。

    無期転換はあくまでも労働者からの申し込みによって成立するため、該当する従業員がいる企業は本人の意思を確認しましょう。従業員が無期転換を希望した場合は、有期雇用契約が終了する日の翌日から自動的に無期雇用契約へ転換される仕組みです。

    ただし、トラブルを避けるため、更新時に無期雇用契約の契約書をあらためて交付するのが望ましいでしょう。

    4.正社員に転換される場合

    無期転換ルールが適用されない場合でも、従業員の働きぶりを見て、企業の判断で、有期雇用契約から無期雇用(正社員)に転換することは可能です。

    従業員に正社員として働いてほしい旨を伝え、同意を得られたら、無期雇用契約として新たに雇用契約書を取り交わしましょう。

    雇用契約を更新しない場合は30日以上前に通知する

    有期雇用契約が予告なく解除されると、従業員は突然職をなくしてしまいます。転職活動の時間も十分確保できず、退職後の生活に大きな影響を与えかねません。

    そこで、厚生労働省は労働者の生活を守るため『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について』というガイドラインを設けています。そのうちの一つに明記されているのが、雇い止めの予告期間に関する規定です。

    ガイドラインには「使用者は有期労働契約が3回以上更新されている、もしくは1年を超えて雇用されている有期雇用労働者に対して、少なくとも契約期間満了日の30日前までに雇止めの予告をしなければならない」と定められています。

    参照:『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について』厚生労働省

    ガイドラインに沿って、雇用契約を更新しないのであれば、少なくとも30日前までには従業員にその旨を通知しましょう。面談の機会を設けて、直接伝えるのが望ましいといえます。

    また、従業員から雇い止めの理由について証明書を求められたら、速やかに応じる必要があります。

    そのときは雇い止めの理由として、契約期間満了以外の合理的な理由を記載しなければなりません。たとえば「事業を縮小するため」「業務遂行に十分な能力がないと認められるため」といった理由が考えられます。

    トラブルを未然に防ぐために、雇い止めの判断基準については契約書に明記しておきましょう。

    雇用契約を更新する際の注意点

    雇用契約を更新する際は、以下のポイントに注意することが大切です。

    • 更新上限の有無と内容を明示する
    • 更新上限を新設・短縮する場合は説明する
    • 無期転換申込機会と転換後の労働条件を明示する
    • 契約期間について配慮する
    • 雇用契約を更新する基準を決めておく

    それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。

    更新上限の有無と内容を明示する

    2024年4月より労働条件明示のルールが改正され、有期雇用契約の労働者に対しては、更新上限の有無と内容を明示することが義務化されました。

    たとえば、無期転換ルールに対処するため「契約期間は通算4年まで」「契約更新の回数は3回が上限」といった更新上限を設けている企業は、労働条件通知書で明示する必要があります。

    また、従業員との認識の相違を防ぐため、契約更新の際は現在が通算何年目にあたるのか、何回目の契約更新なのかを示すのが望ましいでしょう。

    参照:『令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます』厚生労働省

    更新上限を新設・短縮する場合は説明する

    当初の雇用契約では更新上限を設定しておらず、途中で新設したり更新上限を短縮したりするときは、従業員に事前の説明が必要です。誠意を持って、わかりやすくていねいに説明することでトラブルの防止につながります。

    基本的に個別に説明するのが望ましいですが、対象者が多いときは説明会を実施する、資料を配布するなどの方法でも可能です。

    無期転換申込機会と転換後の労働条件を明示する

    使用者は、しかるべきタイミングで、無期転換ルールが適用されることを該当者に明示しなければなりません。また、同じタイミングで、無期転換後の労働条件を書面で交付する必要があります。

    契約期間について配慮する

    厚生労働省が策定した『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』により、企業は雇用契約を1回以上更新し、1年を超えて継続雇用している有期雇用労働者に対して、契約期間をできるだけ長く設定することが求められます。

    使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

    引用:『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』厚生労働省

    雇用契約を更新する基準を決めておく

    雇用契約期間の更新可否については、判断基準を雇用契約書や労働条件通知書、就業規則で明示しなければなりません。たとえば、以下のような内容を記載するとよいでしょう。

    • 経営状況により判断する
    • 労働者の能力により判断する
    • 担当業務の進捗状況により判断する
    • 勤務成績や勤務態度により判断する など

    また、判断基準を変える際には、変更内容を速やかに通知する必要があります。更新の判断基準が不明瞭であり、従業員が雇用継続を期待するような言動や雇用関係が認められた場合は、雇い止めが無効となる可能性もあるため注意してください。

    雇用契約を適切に更新してトラブルを防止へ

    従業員と有期雇用契約を結んでいる企業は、期間の満了時に更新の可否を判断する必要があります。

    更新は労使双方の合意のもとで行われるものなので、適切なタイミングで面談を実施し、本人の意思を確認することも大切です。

    また、一定の条件を満たした有期雇用労働者には、無期転換ルールが適用されます。使用者は無期転換ルールだけでなく、更新上限の有無や更新の判断基準などについて従業員にわかりやすく説明しなければなりません。

    労働条件ははじめの契約時だけでなく、更新時にも確実に明示する必要があります。

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