源泉徴収票を再発行するには? どこで? 即日可能? 退職後の依頼手続きやもらえない場合の対処法
源泉徴収票とは、従業員の年間の収入や所得税額などが記載された書類です。1年間の収入や税額が確定し、年末調整をしたタイミングで会社から一人ひとりに発行されます。
源泉徴収票は内容を確認して保管しておけば問題ありませんが、自分で確定申告をするときは手元に用意する必要があります。しかし、使う場面が限られるので、うっかり紛失してしまう人もいるでしょう。
そこで本記事では、源泉徴収票の再発行方法や依頼先、手続きの流れなどを解説します。退職後に依頼する際の注意点や、再発行が難しい場合の対処法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
源泉徴収票が手元にない・紛失した場合は再発行できる
源泉徴収票を紛失した場合は、再発行を依頼することが可能です。再就職や確定申告などで源泉徴収票が必要な人は、あわてずに会社の給与計算担当者に相談しましょう。
再発行を依頼するときは、源泉徴収票の年度を間違えないよう注意が必要です。
退職後に注意すること
退職後や転職後に源泉徴収票が必要になった場合も、以前の会社に再発行の依頼が可能です。企業は従業員が退職してから、1か月以内に源泉徴収票を発行する義務があります。
ただし、そもそも源泉徴収票を受け取っていないケースも考えられます。なかには退職者の源泉徴収票を、在籍中の従業員と一緒に発行する会社もあるかもしれません。また、何かの手違いの可能性も否定できません。
紛失ではなく、そもそも源泉徴収票が発行されていなかったときも、前職に相談すれば発行を依頼できます。源泉徴収票が送られてこなければ、問い合わせてみましょう。
転職先が年末調整をする12月のタイミングで、前職の源泉徴収票を提出できない状態の場合、自分で確定申告をする必要があります。
源泉徴収票の再発行依頼はどこで? 会社以外にある?
源泉徴収票の再発行は、会社の給与計算を担当している部署に依頼します。
現職の源泉徴収票が必要な場合は、今現在所属している会社、前職の源泉徴収票が必要な場合は、当時在籍していた会社の人事総務・経理部門に連絡を取りましょう。
現職の担当者に相談し、前職の会社に連絡してもらうという方法もあります。
会社の倒産など例外を除いて、基本的に源泉徴収票の再発行を受け付ける窓口は会社以外にはありません。
源泉徴収票の再発行依頼手続き・方法・費用
源泉徴収票の再発行の手続き方法や費用について解説します。
依頼の方法
源泉徴収票の再発行依頼の手続き方法は、企業により異なります。
法的な手続きではないため、基本的には会社の経理担当部署に連絡を取れば問題ないでしょう。電話やメール、書面などで会社に連絡し、源泉徴収票を再発行したい旨を伝えます。
すでに退職している人も、基本的には現職者と同じ方法です。また、再発行依頼は本人以外でも可能なので、現職の経理担当者や税理士などを通じて依頼しても問題ありません。
依頼時の注意点
源泉徴収票が必要な年度をはっきり伝えます。
源泉徴収票を作成するための源泉徴収簿の法定保存期間は7年間なので、過去7年分にわたって再発行を依頼することが可能です。誤って以前の年度を伝えても、そのまま処理されてしまう可能性は十分にあるため注意しましょう。
費用
源泉徴収票の再発行は、基本的に無料です。ただし、なかには事務手数料として数百円程度を請求されるケースもあるようです。
また、源泉徴収票を郵送してもらう場合、郵送料は従業員側が負担することもあるでしょう。
源泉徴収票の再発行はどれくらいかかる? 即日可能?
源泉徴収票の再発行は、おおむね1週間から2週間程度かかります。即日発行は難しいでしょう。
ただし、企業には源泉徴収票を発行・再発行する義務があり、従業員や退職者から連絡があれば基本的にはすぐ対応してくれるはずです。
なかには即日発行してくれる企業もあるかもしれないので、急ぎの場合は相談してみましょう。
源泉徴収票を再発行してもらえない理由と対処法
源泉徴収票は、基本的に何度でも再発行が可能です。企業には再発行依頼に応じる義務があるものの、なかには再発行してもらえないケースもあります。
源泉徴収票の再発行をしてもらえない主な理由や、それぞれの対処法を解説します。
- 会社が倒産・吸収合併→破産管財人や税務署に確認
- 拒否→税務署に相談
- そもそも給与所得がない→発行不可能
理由1.会社が倒産・吸収合併→破産管財人や税務署に確認
前職の源泉徴収票が必要な場合、会社がすでになくなっている場合は再発行を依頼することはできません。たとえば、退職後に会社が倒産した場合や、別の会社に吸収合併された場合などです。
まだ倒産の手続き中であれば、破産管財人である弁護士が、会社の財産管理を担当しています。破産手続き中は、弁護士に連絡を取れば、前職の源泉徴収票を再発行してもらえるでしょう。
吸収合併された場合は、存続会社側に問い合わせれば対応してもらえる可能性もあります。
いずれも難しい場合は、税務署に相談しましょう。事情を説明すると、通常は『源泉徴収票不交付の届出書』を税務署に提出する流れとなります。
理由2.拒否→税務署に相談
企業には、従業員や退職者からの求めに応じて、源泉徴収票を再発行する義務があります。万が一、何かの事情で会社に再発行を拒否された場合は、税務署に相談しましょう。
会社の破産などと同様、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出すると、税務署から会社に対して税務指導が入ります。通常であれば、税務指導が入った段階で再発行に応じてくれる場合が多いでしょう。
理由3.そもそも給与所得がない→発行不可能
源泉徴収票は、企業が労働者と雇用関係を結び、労働の対価を「給与」として支払っていた場合に発行されます。企業との間に雇用関係がなく、給与所得を受け取っていない場合、源泉徴収票は発行されません。
たとえば、業務委託契約を結んで報酬を受け取った場合、翻訳やデザインなどの一定のケースを除いて源泉徴収票は発行されない決まりです。
ただし、雇用関係さえあれば雇用形態は関係ないので、パートやアルバイトとして働いていた場合も源泉徴収票は発行されます。万一、雇用形態を理由に源泉徴収票の再発行を拒否されたら、税務署に相談しましょう。
源泉徴収票が必要な場面
源泉徴収票は、主に次のような場面で必要となります。
- 転職や再就職のとき
- 配偶者(特別)控除を受けるとき
- 家族の扶養に入るとき
- 確定申告をするとき
- 賃貸契約をするとき
- 子どもを保育園に預けるとき
- 住宅ローンを組むとき
- カードローンを組むとき
退職した年内に転職または再就職する場合は、新しい職場で年末調整の手続きが必要です。年末調整では年間の収入を合算して取り扱う必要があるので、前の職場で発行された源泉徴収票を提出します。
配偶者控除や配偶者特別控除を受ける場合や、家族の扶養に入る場合も、自分や家族の収入が基準を満たすことを証明するために源泉徴収票を用いて確認することがあります。
また、会社を辞めて個人事業主として独立する場合や、退職した年内に再就職しない場合は年末調整がないので、自分で確定申告しなければなりません。
ほかには、賃貸契約をするときや子どもを保育園に預けるとき、住宅ローンやカードローンを組むときなどに、収入証明として源泉徴収票を提出することもあるでしょう。
源泉徴収票の代わりになるものはある?
確定申告をする際は、源泉徴収票の代わりに給与明細を参照できる場合もあります。給与明細で、該当する年1年間に支払われた給与総額を確認できれば、確定申告をすることは可能です。ただし、源泉徴収票不交付の届出書もあわせて提出します。
また、カードローンや住宅ローンなどの手続きで源泉徴収票を求められた際は、ほかの収入証明書類で代用できる場合があります。
どの収入証明書類が有効となるかは事業者により異なるため、源泉徴収票を用意できない場合は相談してみましょう。
源泉徴収票がなくて必要な場合は再発行を依頼(まとめ)
源泉徴収票を紛失してしまった場合は、会社の担当部署に連絡すれば再発行してもらえます。前職の源泉徴収票が必要な人も同様に、前の会社に再発行を依頼しましょう。
ただし、前の会社がすでになくなっている場合や、発行を拒否された場合など、再発行を依頼できないこともあります。そのときは、税務署に相談して指示を仰ぎましょう。必要な手続きについて教えてくれたり、前の会社に税務指導をしてくれたりと、解決に向けたサポートを受けられます。
源泉徴収票は頻繁に使用することはありませんが、転職や住宅購入などで突然提出を求められる可能性があります。「どこにしまったかわからない」「うっかり捨ててしまった」という人もあわてず、まずは会社に相談してみましょう。
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