API連携の課題とは? 仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

API連携とは、異なるソフトウェアやシステムがAPIを通してデータや機能をやり取りし、互いに連動して動作できるようにする仕組みです。
API連携は業務効率化に役立つ一方で、利用にはいくつかの注意点もあり、状況によって向き不向きも考えられます。
本記事では、API連携の意味とデータ連携との違い、メリット・デメリット、課題、向き不向きなどを解説します。

目次
API連携とは
API連携とは、APIを使って異なるシステムやアプリケーション同士をつなぎ、データや機能をやり取りできるようにすることです。
| 例 |
|---|
| 人事システムに登録した社員情報を、勤怠システムや給与システムにも反映する |
| ECサイトの注文情報を、在庫管理システムや配送管理システムに連携する |
APIとは
APIとは、(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の頭文字をとった言葉です。システム同士が情報を橋渡しするための接続口やルールを指します。
自動販売機で理解するAPI

自動販売機を使うとき、私たちは内部の仕組みについては考えもしません。欲しい商品のボタンを押すだけで、商品が出てきます。
APIはこの「ボタンと取り出し口」にあたります。内部処理の詳細を知らなくても、決められたルール(どのボタンでどの結果が得られるか)にしたがうだけで、必要な情報やサービスを受け取れる窓口です。
日常にあるAPI
APIは日常にあふれています。
- SNSアカウントでログイン(ソーシャルログイン)
- 配車アプリで地図を表示
- オンラインショッピングで支払いを完了
これらはすべてAPIが情報を橋渡ししているからこそ実現しています。
APIとは、異なるシステム同士がデータをやり取りする方法の一種なのです。APIを利用することで、データ連携や処理を自動化できます。
人事領域におけるAPI
APIという「橋」を通して、勤怠システムに記録された労働時間が、自動的に給与システムへ流れていきます。
- API連携がない場合:人がCSV出力、加工、取り込み、確認を行う
- API連携がある場合:決められた条件に沿って、システム間でデータが受け渡される
ただし、API連携をしてもアナログな確認作業やエラー対応が、完全になくなるとは限らない点に注意が必要です。

API連携とデータ連携の違い
API連携はデータ連携の方法の一つです。
データ連携は、複数システム間でデータを受け渡す仕組み全般を指します。CSV連携、ファイル連携、API連携などを含む広い言葉です。
API連携とCSV連携の違い比較表
| 比較項目 | CSV連携 | API連携 |
|---|---|---|
| 連携方法 | ファイルを出力・取り込み | ファイルを介さずシステム間でやり取り |
| 作業負担 | 手作業が残りやすい | 自動化しやすい |
| 更新タイミング | 任意 | リアルタイムまたは短い間隔。製品や設定によって異なる。 |
| ミスの起こりやすさ | 加工・取り込み時に起こりやすい | 設定次第で抑えやすい |
| 導入難易度 | 比較的低い | 設定・開発が必要な場合がある |
| 向いている場面 | 少量・低頻度の更新 | 高頻度・継続的な更新 |
API連携でできること・メリット
API連携を活用すると、異なるシステム間でデータや処理結果を自動的に受け渡しでき、業務効率化につながります。API連携で実現できることと、その効果を解説します。
データ入力や転記作業を減らせる
API連携により、あるシステムに登録した情報を別のシステムへ自動で連携できるため、同じ情報を何度も入力する手間を減らせます。たとえば、人事システムに登録した社員情報を勤怠管理システムや給与計算システムへ反映すれば、手入力やCSVファイルの出力・加工・取り込み作業が減らせ、入力ミスや更新漏れの防止にもつながります。
システム間でデータの整合性を保ちやすい
API連携の活用で、部署や業務ごとに使っている複数のシステム間でデータを共有しやすくなります。人事、勤怠、給与、会計、販売管理などのシステムをつなぐことで、同じ社員情報や顧客情報がシステムごとにずれるといった不整合を抑えやすくなります。
最新データを反映し、業務スピードを上げやすい
API連携で入社・退職・異動・部署変更などの情報を別のシステムへ反映しやすくなります。手作業で更新する場合に比べて、情報の反映漏れや更新タイミングのずれを抑えられるだけでなく、確認や登録にかかる時間を短縮でき、後続業務も進めやすくなります。
業務フローを自動化できる
API連携はデータの受け渡しだけでなく、業務フローの一部自動化にもつながります。たとえば、申請が承認されたら別システムに情報を登録する、注文が入ったら在庫情報を更新するなど、複数の処理をつなげられます。
既存システムを活かせる
API連携は、既存のシステムをすべて入れ替えずに、必要なシステム同士をつなげられる点もメリットです。現在利用している業務システムを活かしながら、データ連携や業務効率化を進めやすくなります。

API連携のデメリット・課題
API連携は、システム間のデータ連携を効率化できる一方で、導入や運用には注意点もあります。「API対応」と記載されていても、すぐに希望どおりの連携ができるとは限りません。
ルールや体制の整理が必要になる場合がある
誰がどの項目を更新するのかといった社内の運用ルールが決まっていないと、導入後に混乱が生じやすくなります。
また、API連携のエラーにより、データが正しく連携されないことも考えられます。連携が止まったときに、どこでエラーを確認するのか、誰が修正するのかをあらかじめ決めておかなければなりません。
連携できるデータ項目が限られることがある
API連携では、連携できるデータ項目が限られる場合や、特定の設定・条件下ではAPI連携自体が利用できない場合があります。
独自項目や評価情報、添付ファイルなどが対象外になるケースのほか、条件によっては、一部項目のみCSV連携での代替が必要になることもあります。
更新タイミングが業務に合わない場合がある
API連携といっても、必ずリアルタイムで反映されるわけではありません。1日1回、1時間に1回など、定期的に連携する形式もあります。給与計算や承認フローなど、締め処理がある業務では、更新タイミングが実務に合うか確認する必要があります。
連携先サービスの仕様変更に影響を受ける
API連携は、連携先サービスの仕様に依存します。そのため、APIの仕様変更や提供終了、認証方式の変更があると、連携設定の見直しや改修が必要になる場合があります。
一方向連携か双方向連携かで運用が変わる
API連携には、AシステムからBシステムへ送る一方向連携と、双方で情報をやり取りする双方向連携があります。双方向連携では、どちらの情報を正とするかを決めておかないと、上書きや情報の不一致が起こる可能性があります。
追加費用が発生する場合がある
API連携には、サービスによって費用が発生する場合があります。自社の業務に合わせた設定や開発が必要になる場合もあるため、追加費用の可能性を事前に確認しないと、導入後に想定外のコストがかかる可能性があります。
API連携が向いているケース・向いていないケース
ビジネスにおけるシステム同士のAPI連携は便利ですが、常に最適な選択肢とは限りません。導入の判断では、「このシステムを使い続けなければならない」という制約から考える人も少なくないようです。
既存システムがビジネスの中核を担っており急には変更できない、あるいは特定部門の業務が特定のソフトウェアに依存しているといったケースです。こうした制約があるからこそ、「今使っているシステムAとシステムBを何とかつなげたい」という限定的な発想からAPI連携の検討が始まります。
では「API連携は本当に必要な手段なのか、手作業やCSV転送で対応し続けるべきか」といった判断はどのように考えればいいのでしょうか。
データ件数・更新頻度
データ件数や更新頻度が少なく、手作業によるリスクも小さい場合は、API連携の構築・運用コストが効果を上回ります。
年1回の社内アンケート結果を集計するなど、急ぎではなく、件数も限られる処理なら、手動やCSVで十分です。逆に毎日数百件のデータが流れる場合は、手作業の負担が大きく、連携を検討する価値があります。
APIの対応状況
古い基幹システムや外部連携を想定していないシステムでは、利用できるAPIが提供されていない場合があります。
そうしたシステムを外部のクラウドサービスとつなぐには別途の変換ツールが必要になるなど、かえってコストが増大するケースもあります。
データ加工の複雑さ
システムAの出力形式とシステムBの受け入れ形式が大きく異なる場合、単純なAPI連携では対応できないことが想定されます。加工の実装工数を考えると、人がExcelで整形して取り込む方が現実的なこともあります。
かかわる人数の多さ
毎日5分だけ誰かが手作業で転送する業務なら、関与者は1人。その負担を削減するためにAPI連携を行い、運用・保守コストを払い続けるのは考えたいところです。作業ミスによる影響や属人化のリスクも含めて判断する必要があります。
一方、営業部の10人が各自のシステムから本部システムへ手作業で情報を入力していれば、10人分の工数削減が見込めます。入力ミスの修正作業まで含めれば、メリットはさらに大きくなります。
人数が多いほど、一人ひとりの手間は目立たなくても、全体では膨大な時間を消費していることがあります。API連携の導入判断は、こうした現場の実情を見積もることも必要です。
API連携以外の選択肢は?統合型データベースの考え方
API連携を検討する過程で、一部の企業が気づく課題があります。「システムをつなぐこと自体は便利だが、つなぎ合わせた状態を維持し続けるのは想像以上に大変だ」ということです。ここではAPI連携以外の選択肢と、そもそも連携方式にはどんな種類があるのかを整理します。
データ連携方式の種類
システム同士のデータのやり取りには、API連携のほかにもCSV連携、FTP連携、Webhookといった方式があります。
APIを通じて、システム間でデータの取得・登録・更新などを行う方式。必要なタイミングで相手のAPIを呼び出す。一定間隔で更新の有無を確認するポーリングや、Webhook通知を受けてAPIから詳細情報を取得する方法などがある。
| API連携 | APIを通じて、システム間でデータの取得・登録・更新などを行う方式。連携するタイミングや頻度は、製品や設定によって異なる。 |
| CSV連携 | CSV形式のファイルを出力・取り込みする方式。導入は容易だが、リアルタイム性は低く、手作業の場合人為的ミスも起きやすい |
| FTP連携 | FTPやSFTPなどを利用し、ファイルサーバー間でデータを自動転送する方式。 |
| Webhook | イベントが発生した際に相手へ自動通知を送る方式(Push型)。API連携と組み合わせて使われることがある |
どの方式が優れているというより、リアルタイム性・導入コスト・運用の手間のバランスで選ぶものです。API連携は、なかでも柔軟性が高いぶん、状況によって構築・保守の負担も大きい場合があります。
iPaaS
API連携を個別に開発する以外の方法として、iPaaSを利用する選択肢もあります。
iPaaS(Integration Platform as a Service)は、あらかじめ用意されたコネクタや画面操作を使い、複数のSaaSや業務システム間の連携を構築・管理できるソリューションです。
一般的な連携であれば、プログラミングを行わずに設定できます。ただし、独自APIとの接続や複雑なデータ加工では、技術的な知識や開発が必要です。
「つなぐ」のではなく「1つにする」データベース統合の視点
API連携で複数のシステムをつなぐのではなく、統合型システムに一本化したいというニーズは増えています。
人事領域を例にすると、勤怠管理・給与計算・人事評価などが別々のシステムで、API連携でつなぐ企業も多くあります。一方、近年登場している統合型システムのなかには、各機能が共通のデータベースを参照しており、最初から「1つの箱」にまとまっている製品もあります。
単一データベースのメリットは、システム内部の機能間で行う連携設定や、データ同期のメンテナンスを減らせることです。
たとえば、部署異動や兼務といった組織変更にも、1人の社員情報が複数システムに分散していると、整合性の確認が必要になる場合があります。
また、法改正によってデータ項目や計算条件が変わる場合も、影響を受ける範囲などの確認が必要です。
各機能が共通のデータベースを参照する統合型システムであれば、複数システム間の同期や重複更新にかかる手間を減らせます。
切り替えのタイミング
データベース統合は魅力的でも、現実には「今のシステムを使い続けなければならない」という制約があるでしょう。
基幹システムやSaaSの契約は、多くの場合年単位で結ばれており、更新時期は「このままAPI連携で個別運用するか」「統合型システムに乗り換えるか」を見直す一つのタイミングです。
法改正対応や複雑な組織管理で現場が疲弊していても、契約条件や移行コストによって、動けないのが多くの企業の実情です。契約更新時期を見据えながら中長期的に最適な連携方式を検討することが、必要になってきます。
まとめ
API連携とは、異なるシステム同士がAPIを通じてデータや機能をやり取りする仕組みです。データ連携は広い概念で、API連携はその方法の一つといえます。
API連携により、手入力やCSV作業を減らし、データの整合性を保ちやすくなる一方で、仕様変更、エラー対応、セキュリティ、費用、運用体制には注意する必要があります。
導入前には、連携したいシステム、データ項目、更新タイミング、管理元、エラー対応を整理することが重要です。
