コグニティブダイバーシティとは? 組織に重要な考え方や価値観の多様性

コグニティブダイバーシティ(深層的ダイバーシティ)は、ものの見方や考え方など「認知の多様性」を指します。環境や経験の違いから生まれる、多様な視点を認め合うことで、組織の意思決定や発想の幅を広げ、企業の成長につなげられると考えられています。
本記事では、コグニティブダイバーシティの意味や考え方を解説しながら、ダイバーシティ実現に向けて企業が取り組むべきことを紹介します。ダイバーシティを推進している企業や、理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。

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コグニティブダイバーシティとは
コグニティブダイバーシティとは、コグニティブ(認知)とダイバーシティ(多様性)を組み合わせた言葉で「認知に関する多様性」を意味します。つまり、ものの考え方や見方、何かを理解したり判断の仕方などにおいて、多様な価値観を認める考えです。ダイバーシティ推進のなかで注目されて来ました。
コグニティブダイバーシティは「タスク型ダイバーシティ」や「深層的ダイバーシティ」と言い換えられたりするため、単語自体を知らないという方も少なくありません。
デモグラフィックダイバーシティとの違い
ダイバーシティの推進が進んでいる昨今、ダイバーシティのなかでも、より認知されているのが「デモグラフィックダイバーシティ」です。
デモグラフィックダイバーシティは「性別」「国籍」「人種」「障がいの有無」など、生まれ持った属性に関する多様性を指しています。「表層的ダイバーシティ」と呼ばれることも多いでしょう。
属性に関するダイバーシティであり、学校や職場など人生のさまざまな場面において、どのような属性でも活躍できる社会への取り組みが重要視されています。
コグニティブダイバーシティ推進のメリット
コグニティブダイバーシティを推進するメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。
新たなアイデアが生まれる
コグニティブダイバーシティを推進するメリットの一つは、より多くのアイディアが生まれやすくなることです。
1つの意見しか採用しないと、偏った理解や行動になってしまいます。しかし、さまざまな考え方や捉え方を共有することで、新たな視点で物事を見つめられるでしょう。
たとえばチームで1つの問題に向き合う際、考え方や捉え方として複数の意見が出ると、視野が広がり、さまざまな対策や行動、リスクヘッジにつながります。
課題に対して新たなアイデアやこれまで試したことのない対策をとることで、成果や業績にもよい影響が出るかもしれません。
リーダー育成につながる
コグニティブダイバーシティは、さまざまな考え方や価値観を認めることで、チームや組織をまとめるリーダーの育成にもつながります。
多様な意見や価値観が生まれるのはよいことですが、ときには衝突する場面もあるかもしれません。リーダーがチームの意見を調整したり、まとめたりすることで、成長する機会にもなるでしょう。
組織力の強化が期待できる
多様な考え方や価値観が尊重されるコグニティブダイバーシティでは、これまで出なかったアイデアが生まれ、組織力の強化も期待できるでしょう。
より多くの意見や考え方、業務への向き合い方に触れることで、従業員一人ひとりの気づきや視野が広がります。また、互いに協力し合う体制も生まれやすくなります。このように、一人ひとりの視野が広がることで、チームや組織力の強化にもつながるでしょう。

コグニティブダイバーシティの例
コグニティブダイバーシティは、内面的な違いに関する多様性です。表面上ではわかりにくいので、より問題が複雑化したり深刻化したりする場合もあります。
| ・家庭の事情により統一された就業時間では働けない ・耳が聞こえない人に対して、資料等がない ・専門スキルや資格を保持しているのが知られておらず、初歩的な業務を任される |
たとえば、考え方や捉え方、宗教観や価値観、学歴や職務経歴、スキルレベルやコミュニケーションのとり方などが挙げられます。
1つの組織において、これらを外見で理解するのは難しいため、見落とされる場合も多くあるでしょう。そのため、とくにコグニティブダイバーシティを推進する場合は、多様性を認める環境整備とダイバーシティに関する理解が必要といえます。
そもそもダイバーシティとは
ダイバーシティとは、日本語で「多様性」という意味を持ちます。人種や性別、国籍や価値観など、異なる属性を持つ人々がいるなか、違いを認め合うものとして「ダイバーシティ」という言葉や概念が浸透してきました。
国としてもダイバーシティを推進しており、ダイバーシティに注目している企業や実際に取り組んでいる企業も多くあるでしょう。企業がダイバーシティを推進すると、従業員の属性や個性を認め、さまざまな価値観や新たな視点から、企業の成長や価値の向上にもよい影響があるはずです。
ダイバーシティの種類
ダイバーシティの種類としては「デモグラフィックダイバーシティ(デモグラフィ型ダイバーシティ)」と、今回ご紹介している「コグニティブダイバーシティ(タスク型ダイバーシティ)」の2種類に大別されます。
デモグラフィックダイバーシティは目に見える外見的な属性に関する多様性を意味するのに対して、コグニティブダイバーシティは、目に見えない内面的な多様性と理解しましょう。
アメリカと日本におけるダイバーシティへの取り組み
世界と日本におけるダイバーシティへの取り組みにはどのような違いがあるのでしょうか。とくにダイバーシティの発祥ともいわれるアメリカを中心にご紹介します。
アメリカのダイバーシティ
ダイバーシティの歴史をさかのぼると、アメリカの公民権運動や女性運動が挙げられます。この時代に差別に対する運動や意識が活発化したことが、ダイバーシティの歴史の第一歩とされています。
近年では、単純なダイバーシティだけでなく「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という概念も浸透しています。これはダイバーシティを発展させた考え方で「多様性を認めたうえで、さらにお互いを認め合いながら共存していく」というものです。
ダイバーシティ&インクルージョンという言葉の登場によって、一人ひとりに違いがあるからこそ、組織として成長するという考えが浸透しつつあるようです。
日本のダイバーシティ
日本では、政府が中心となり推進されたことをきっかけに、企業にも広がりを見せています。
経済産業省が『ダイバーシティ2.0』で取り組みを発表したり、ダイバーシティを浸透させるために表彰を行ったりしてきました。表面的な取り組みだけでなく、多様な個性を尊重し、働きやすい職場環境にするために厚生労働省が取り組み事例を紹介しています。
さらに文部科学省では、女性研究者の育成をサポートする大学の取り組みに対して「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」による支援を実施しています。
参照:『ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ』経済産業省
参照:『ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ』文部科学省
企業におけるダイバーシティ推進の手順

ダイバーシティマネジメントはどのように取り組めばよいのでしょうか。手順ともいえる取り組み方の例をご紹介します。
- ダイバーシティに関する理解を深める
- ダイバーシティのための環境を整備する
- 人材を採用する
- 多様性を活かす機会を提供する
1.ダイバーシティに関する理解を深める
まずはダイバーシティに関する理解を深めましょう。ダイバーシティの内容や重要性を人事担当者や経営層が理解を深めたうえで、会社全体へも共有します。
会社全体として理解できていないと、多様な人材による衝突が起こる可能性もあり、ダイバーシティ推進がうまくいかないおそれもあります。まずはダイバーシティとはどのようなものなのか、重要性や企業におけるメリットを理解しましょう。
2.ダイバーシティのための環境を整備する
ダイバーシティを推進して多様な人材を受け入れるためには、柔軟な働き方や価値観の尊重、評価制度等の見直しや整備が必要です。従来運用してきたルールを確認しながら、ダイバーシティのために必要とされる内容を追加したり、必要であれば仕組みを変更するなど、環境を整備しましょう。
3.人材を採用する
ダイバーシティを推進するためには、従来の人材像に基づいた人材だけでなく、多様な人材を採用することが重要です。もちろん会社に合った人材かどうかという点は大切にしながら、これまでになかった価値観や経験を持つ人材、国籍や人種にとらわれない採用を行います。
4.多様性を活かす機会を提供する
ダイバーシティを推進するためには、単純に多様な人材の採用だけを指すのではありません。多様な人材を尊重しながら、意見や価値観を尊重することが重要です。
意見やアイデアを募って新規事業の参考にしたり、なかなか解決しなかった課題に対して新たな対策を実行するなど、多様な意見を取り入れる機会をつくりましょう。
ダイバーシティマネジメントとは
ダイバーシティマネジメントとは、企業競争で生き残るためにも、多様な人材を受け入れたうえで成長を目指す企業運営の考え方です。多様性を認めることで、創造的なアイデアや価値観が生まれ、新たな事業の成功や組織の成長につながる戦略の一つともいえるでしょう。
ダイバーシティマネジメントのメリット
ダイバーシティのメリットとして、次が挙げられます。
| ・人材確保 ・マーケティング力の強化 ・人材や組織の成長 ・企業価値の向上 |
ダイバーシティでさまざまな人材を迎え入れることは、会社としての成長につながります。とくにダイバーシティを推進している企業として認知され、企業価値が上がり、ビジネスにおける取引や人材採用という意味においてもよい影響がもたらされるはずです。
このように、企業によるダイバーシティマネジメントへの取り組みで、得られるメリットが多くあるといえるでしょう。
コグニティブダイバーシティ推進には人材管理が重要
ダイバーシティを推進するには、多様な人材一人ひとりの経験や得意分野、価値観、働き方の希望などを一元管理して把握することが重要です。
コグニティブダイバーシティのように目には見えにくい違いも、サーベイや面談結果などを通じて記録しておくと、個々の育成やチームづくりの検討にも活かせるでしょう。
こうした人材情報を管理・可視化する手段の一つが、タレントマネジメントシステムです。集約した人材データをもとに、多様な人材の特徴を把握し、適材適所の配置や育成につなげられます。また、アンケートやサーベイ機能を活用すれば、従業員の意見をもとに組織課題に対する打ち手を検討できるでしょう。
One人事[タレントマネジメント]は、人材データをクラウド上に一元管理し、最適な人材配置、優秀な人材育成、納得感のある人事評価など、戦略人事の実行を支援するタレントマネジメントシステムです。従業員の多様な考え方や強みを活かす組織づくりに、ぜひお役立てください。
まとめ
コグニティブダイバーシティとは、ものの見方や考え方、判断の仕方など、目に見えにくい内面的な多様性を指します。性別や年齢、国籍などの表面的な多様性だけでなく、価値観や経験の違いを活かすことで、組織の発想や意思決定の幅を広げやすくなります。
これからダイバーシティ推進に取り組む企業はもちろん、すでに施策を進めている企業も、コグニティブダイバーシティへの理解を深めることが重要です。性別や国籍など目に見える属性だけでなく、一人ひとりの考え方や強みを活かせる組織づくりを進めていきましょう。
