追徴課税とは? 税率や計算方法、対象期間や払えない場合の対処法を解説

追徴課税とは? 税率や計算方法、対象期間や払えない場合の対処法を解説

追徴課税とは、税務申告の誤りや申告漏れがあった場合に課される追加の税金です。企業にとっては思わぬ出費となり、経営への影響も少なくありません。経費計上のミスや売り上げの申告漏れがあとから見つかった場合、過去にさかのぼって修正を求められることもあります。

追徴課税について「いくら支払う必要があるのか」「対象期間はどこまでさかのぼるのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。追徴額が高額になる場合、すぐに全額を支払えないケースもあります。

本記事では、追徴課税の仕組みや計算方法、適用される期間、払えないときの具体的な対処法までをわかりやすく解説します。

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    追徴課税とは?読み方は?

    追徴課税(ついちょうかぜい)とは、本来納めるべき税金を期限内に納めなかった場合や、申告漏れ・誤りなどがあった際に、追加で課される税金です。

    正しく納税していれば発生しない、あとから請求されるのが追徴課税です。

    追徴課税の対象は法人だけでなく個人も含まれ、税務調査などで申告ミスが見つかると、不足分を補う追徴課税に加え、「加算税」や「延滞税」などの附帯税が課されるケースもあります。

    過少申告加算税や無申告加算税など、種類によって税率や算出方法が異なるのも追徴課税の特徴です。

    追徴課税は企業にとって重い負担となることも多いため、日頃から正確な会計処理と期限内申告を心がけることが大切です。万一誤りに気づいたら、早めに修正申告を行いましょう。

    追徴課税における附帯税の種類・税率

    追徴課税が発生すると、不足分の税額だけでなく、追加でペナルティが課されることがあります。

    ペナルティを「附帯税」と呼び、附帯税には次の3種類があります。

    1. 延滞税
    2. 利子税
    3. 加算税

    延滞税

    延滞税は、本来の納税期限から遅れて納付した場合、遅れた日数に応じて課される税金です。「納税額×延滞税率×延滞日数÷365日」という式で計算します。

    延滞税の計算式と税率は以下のとおりです。長く納付が滞るほど負担が大きくなります。

    延滞税の計算式納税額×延滞税率×延滞日数÷365日
    延滞税率以下のいずれか低い割合を採用
    期限の翌日から2か月以内年7.3%特例基準割合+1%
    期限から2か月を超える年14.6%特例基準割合+7.3%

    延滞税が発生すると、企業の資金繰りにも影響するので、納期限を守ることが重要です。

    参照:『No.9205 延滞税について』国税庁

    利子税

    利子税は、税務署に納税の延長(延納)を申し出て認められた場合に、延長した日数分について課される税金です。

    利子税の計算式と税率は以下のとおりです。

    利子税の計算式納税額×利子税率×延長日数÷365日
    以下のいずれか低い金額を採用
    利子税率年7.3%特例税率

    利子税はペナルティというよりも、期限延長に対する正当な利子です。そのため加算税や延滞税より税率が抑えめで、損金として計上します。

    参照:『延滞税・利⼦税・還付加算⾦について』財務省

    加算税

    加算税とは、税務申告の不備や違反に対して科されるペナルティで、次の4種類があります。

    1. 過少申告加算税
    2. 無申告加算税
    3. 不納付加算税
    4. 重加算税

    過少申告加算税

    過少申告加算税は、本来支払うべき税額よりも少ない金額で確定申告してしまった場合に課されるペナルティです。計算ミスや経費計上漏れで発生する場合があります。

    税率は以下のとおりです。高額な不足は、より高い負担になる仕組みとなっています。

    課税対象となる部分税率
    基本税率追加税額(増差税額)10%
    超過税率追加税額のうち、当初申告税額または50万円のいずれか大きい金額を超える部分15%

    ただし、税務調査が始まる前に自発的に修正申告を行えば、過少申告加算税は免除されることもあります。

    また加算税額が、5,000円未満の場合は、課税されません。修正が必要な場合は、早めに税務署へ申し出ましょう。

    無申告加算税

    無申告加算税は、税の申告期限までに申告をしなかった場合に、課されるペナルティです。

    税率は以下のとおりです。

    50万円まで15%
    超過分20%
    300万円を超える部分30%

    自分から申告する、または一定の条件を満たすことで、税率が5%に下がり、場合によっては課税そのものが免除されることもあります。

    主な免除の要件は以下のとおりです。

    • 申告期限から1か月以内に自発的に申告した場合
    • 納税額を期限内に納めた場合
    • 過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがない場合

    税務署の指摘前に動くことで、負担を大きく減らせる可能性があります。

    不納付加算税

    不納付加算税は、源泉所得税などを納付期限までに支払わなかった場合に課せられるペナルティです。税率は以下のとおりです。

    原則10%
    税務署から指摘される前に自主的に納付した場合5%

    ただし、次のケースでは不納付加算税は免除となることがあります。

    • 納付すべき税額が5,000円未満で、加算税額も5,000円を下回る
    • 納期限から1か月以内に納付し、過去1年間に同様のミスがない
    • やむを得ない正当な理由がある

    期限を1日でも過ぎてしまえば適用範囲となるため、小さなミスが大きな負担につながるのが加算税の怖いところです。毎月の納付スケジュールや過去の納付状況をこまめに確認し、早めの対応を心がけましょう。

    重加算税

    加算税は、売り上げや経費の隠蔽、帳簿の改ざんなどの悪質な行為が確認されたときに課される、非常に重い加算税です。通常の加算税よりも高い税率が適用されます。

    過少申告や不納付35%
    無申告40%

    過去にも同様の違反があり再発と判断された場合などは、さらに税率が上乗せされるケースもあるため注意が必要です。

    重加算税が課される状況では、税務署から厳しく指摘されるほか、事業の信用や今後の経営にも大きな影響がおよびます。

    無理なごまかしや不正をすれば、短期的な利益どころか長期的な損失や信用失墜につながるため、日頃から正しい会計処理と適切な申告を徹底することが重要です。

    参照:『No.2024 確定申告を忘れたとき』国税庁

    追徴課税額はいくら? 計算方法とシミュレーション

    追徴課税は、不足分の税金だけでなく、加算税や延滞税も上乗せされるため、想像以上に税額が膨らむケースも少なくありません。

    ここでは、不足税額が100万円だった場合を例に、実際の追徴額がいくらになるのかを計算します。

    税額を過少に申告してしまった場合

    100万円少なく申告していた場合、まず過少申告加算税が発生します。

    税率計算金額
    50万円まで10%50万円 × 10%50,000円
    超える部分15%50万円 × 15%75,000円
    合計125,000円

    さらに納付が30日遅れると、延滞税も上乗せされ、税率を2.4%とした場合、金額は以下のとおりです。

    計算金額
    100万円 × 2.4% × 30日 ÷ 365日約1,972円(1,900円 100円未満切り捨て)

    結果的に、加算税と延滞税をあわせて「126,900円」の追加支払いとなります。

    期限までに申告できなかった場合

    期限までに100万円分を申告できなかった場合は、無申告加算税が追加で課されます。

    税率計算金額
    50万円まで15%50万円 × 15%75,000円
    超える部分20%50万円 × 20%100,000円
    合計175,000円

    さらに納付が30日遅れると、前述と同様に延滞税約1,900円(税率2.4% 100円未満切り捨て)も追徴されます。つまり、無申告加算税と延滞税をあわせて「176,900円」の負担です。

    重加算税の対象になった場合

    意図的な隠蔽や経費の水増しなど悪質な不正行為が認定された場合、重加算税が適用されます。

    不足分が100万円の場合、税率は35%で通常の加算税より格段に重い負担となります。

    計算金額
    100万円×35%=350,000円350,000円

    加えて前述と同様の延滞税1,900円(上記同様 100円未満切り捨て)も発生するため、合計「351,900円」の納付が必要です。

    重加算税は信用リスクなど事業への影響も大きく、ミスや不正が重大な経営リスクにつながる事実をあらためて理解しておきましょう。

    追徴課税に関する注意点

    追徴課税は、申告ミスや納付遅れによって不足した税額に、加算税や延滞税が上乗せされる制度です。

    本来の税額だけでなくペナルティ分も加算されるため、請求額が想定より大きくなります。

    税率や計算方法、納付ルールは法改正によって変わることがあるため、最新情報の把握が必要です。古い情報のまま対応すると、思わぬ負担につながります。

    ここでは、追徴課税が発生した場合におさえておきたい納付と対応の注意点を解説します。

    原則として一括納付する

    追徴課税が課された場合、納付は原則として一括払いが求められます。

    通知を受け取った翌日から1か月以内に全額を納付する必要があり、期間を過ぎても納付しない場合は、すみやかに督促状が届きます。

    それでも支払わなければ、最終的には財産差し押さえなど厳しい滞納処分が実施されるケースもあるので、早めの対応が重要です。

    原則は一括納付ですが、資金繰りの都合で、どうしても一度に支払いが難しい場合は、納税猶予や分割納付を検討できることもあります。

    ただしあくまで例外的な対応であり、税務署の審査や要件が必要です。

    本来は「請求がきたらすぐ全額納付」です。基本ルールを正しくおさえておきましょう。

    納付が遅くなるほど負担が増す

    追徴課税を遅延すると、追加のペナルティとして延滞税が日数分どんどん増えていきます。

    延滞日数に応じて、納付が遅れれば遅れるほど負担額が重くなる仕組みです。

    延滞税率は原則として納期限の翌日から2か月までは年7.3%とされていますが、2か月を超えると年14.6%へ大きく上昇します。

    そのため納付が1日遅れるだけでも余計な出費が発生し、長期化すれば加算税とあわせて大きな痛手となるため注意が必要です。

    追徴課税に直面したときは、すぐに納付できるよう資金繰りを最優先しなければなりません。

    法改正によりルールが変わる可能性がある

    追徴課税にかかわる制度や税率、計算方法は、法改正によって予告なく変更されることがあります。

    実際、2024年1月には無申告加算税の税率引き上げや再発防止措置が法改正により実施されました。今後も社会情勢や行政方針の変化でルールが変わる可能性は十分にあります。

    情報をうのみにせず、今の制度を調べ、常に最新の法令・税率を確認しておくことが大切です。

    申告や納付のルールも細かく変わることがあるため、新たな制度が導入されたときはすぐ周囲や税理士と情報共有し、正しい対応ができる体制を整えておくと安心です。

    参考:『令和5年度改正関係資料』財務省

    追徴課税の時効はいつまで? 何年前まで有効?

    追徴課税が発生した場合、何年分までさかのぼって請求されるのかは多くの方が不安に感じる点ではないでしょうか。

    原則として、税務調査の対象は直近3年分とされています。そのため、通常は3年分について追徴課税が行われます。

    ただし、次のような場合は調査期間が延びるため注意が必要です。

    通常過去3年分
    過去に追徴課税を受けたことがある法人・個人過去5年分
    隠蔽・仮装などの悪質な不正がある(重加算税が課されるケース)過去7年分

    つまり、状況によっては最大7年分まで調査・追徴の対象になる可能性があります。

    思わぬ年度まで指摘されるケースにも備えて、会計書類や証憑は最低7年間保管しておくと安心です。

    追徴課税を払えない場合の対処法

    追徴課税が課せられたものの、すぐに全額を支払うことが難しい場合は、早めに税務署へ相談することが重要です。

    災害・盗難・病気・資金繰り悪化・不渡りなど、やむを得ない事情があるなら、税務署に申し出ることで、次の制度を利用可能です。

    • 納税の猶予:一時的に納付を待ってもらう
    • 換価の猶予:差し押さえた財産の売却を待ってもらう

    猶予期間は原則1年ですが、事情により最長2年まで延長されることがあります。また、猶予中は延滞税が軽減・免除される場合もあります。

    申請も相談もせずに放置すると、次のような流れで進むのが国税庁の基本ルールです。

    • 督促・催告
    • 銀行口座や不動産などの差し押さえ
    • 事業所や自宅への調査・捜索

    この段階になると、経営へのダメージは避けられません。

    法人の場合、破産手続きによって納税義務が免除されますが、次のケースでは代表者や保証人に納税義務が残ることがあります。

    • 合同会社・合資会社などの無限責任社員がいる場合
    • 代表者が納税保証書を提出している場合

    たとえ会社が破産しても、会社代表や保証人には納税の責任が残り続けるため、確認が必要です。

    追徴課税を防ぐ方法

    追徴課税を防ぐために重要なのは、申告と納付を徹底して期限内に行うことです。本記事で紹介してきたように、期限超過や申告ミスがあると、税金の不足分に加えて、加算税や延滞税が発生します。

    そのため、事前にミスを防ぐ体制を整えることが、現実的な対策になります。繁忙期に備えて、次のような取り組みが必要です。

    • ダブルチェックを行う
    • 申告準備を前倒しで進める
    • 社内フローを標準化する
    • 効率化ツールで作業を自動化する

    基本的な対策を積み重ねることで、追徴課税のリスク低下につながります。

    まとめ

    申告漏れや納付遅れがあると、追徴課税として不足税額に加え、加算税や延滞税が上乗せされます。内容によっては重加算税が課され、負担の増加が予想されます。

    もし納税ミスに気づいた場合は、税務調査を待たずに早めの修正申告が欠かせません。自主的に対応すれば、ペナルティが軽くなる、または免除されるケースもあります。

    日頃から期限管理や確認体制を整え、ルール変更にも目を向けておくことが、追徴課税を防ぐためには必要です。