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所得税は年末調整で正しい金額に|年末調整の基本から詳しく解説

年末調整は所得税法第190条で企業の義務であると定められています。年末調整は正しい所得税を算出するために必要であり、所得に応じて還付や徴収を行わなければなりません。そこで本記事では、所得税の基本から年末調整による税額の算出方法などを解説します。年末調整について詳しく知りたい担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

所得税は年末調整で正しい金額に|年末調整の基本から詳しく解説
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    所得税について

    所得税について解説します。基本的な仕組みのため、押さえておきましょう。

    所得税とは

    所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金です。所得税法で納めると定められています。収入から社会保険料や基礎控除など引いた金額に対して所得税がかかります。控除額が大きいと所得税額が0円で計算される場合もあるため、税額が大きく異なるでしょう。

    年末調整と所得税について

    年末調整は法律で定められた義務のため、必ず行わなければなりません。そのため、どのような仕組みなのか把握しておきましょう。

    年末調整とは

    年末調整とは、源泉所得税を各種控除後の所得税に合わせる手続きのことです。源泉所得税が所得税より多く支払われている場合は従業員に還付して、不足している場合は従業員から徴収します。企業に勤めていない方は年末調整を行えず、確定申告での対応になる場合もあるので覚えておきましょう。

    年末調整が必要な理由

    正確な所得税額を把握するために年末調整は欠かせません。源泉徴収で預かった税金を適切に納付しないと追徴課税が課せられるおそれもあります。そのため、源泉所得税額と本来の所得税との間に生じた金額の差を解消して正しい税額を算出しましょう。

    年末調整と確定申告

    年末調整と確定申告の違いや、それぞれで行える控除について解説します。年末調整と確定申告の違いを理解しておきましょう。

    年末調整と確定申告の違い

    年末調整と確定申告は所得税を納める手続き内容が違います。

    年末調整所得税の過不足を調整するための手続きで企業が行う
    確定申告所得税額を確定させるための申告手続きで納税者自身が行う

    会社員は企業が年末調整を行います。しかし、2か所以上から収入をもらっている方は、原則として従たる給与について自分で確定申告を行わなければなりません。また、個人事業主やフリーランス、副業収入(20万円以上)がある方など、所得があれば確定申告での対応が必要です。

    年末調整で精算可能な所得控除

    年末調整で精算可能な所得控除は下記の通りです。

    • 社会保険料控除
    • 小規模企業共済等掛金控除
    • 生命保険料控除
    • 地震保険料控除
    • 障害者控除
    • 寡婦控除
    • ひとり親控除
    • 勤労学生控除
    • 配偶者控除
    • 配偶者特別控除
    • 扶養控除
    • 基礎控除
    • 医療費控除
    • 寄附金控除
    • 雑損控除

    所得控除は全部で15種類ありますが、医療費控除と寄附金控除、雑損控除の3つは確定申告時に申請します。

    確定申告で行う控除

    年末調整で精算できなかった3つの所得控除と初年度の住宅ローン控除は、確定申告で清算できます。具体的には以下の通りです。

    • 医療費控除
    • 寄附金控除
    • 雑損控除
    • 住宅ローン控除(初年度のみ)

    住宅ローン控除は、初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は、年末調整で手続きが終わります。住宅ローン控除の扱いが1年目と2年目で違うため注意しましょう。

    企業(雇用主)は年末調整が義務づけられている

    年末調整は所得税法により企業が行うと定められています。違反すると罰金や罰則があるため、提出期限を守らなければなりません。

    年末調整の罰則

    年末調整は所得税法で定められており、故意に年末調整を行わない場合には、所得税法第242条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。

    また、従業員から源泉徴収した所得税を納付しなかった場合には、所得税法第240条により、10年以下の懲役または200万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられるおそれもあります。従業員が給与所得者の扶養控除等(異動)申告などの書類を提出しなかった場合は、企業に年末調整の義務はないため罰則の対象になりません。

    参考:『所得税法』e-Gov法令検索

    年末調整書類の提出期限

    年末調整書類提出の最終期限は翌年の1月31日までです。必要書類を提出しなかった従業員は、個人で確定申告しなければなりません。確定申告の期間は毎年2月16日〜3月15日です。期限に遅れた場合は、無申告加算税や延滞税が課される場合があります。会社に年末調整書類の提出が遅れた場合、従業員が確定申告しなければならないため、早めの周知を行いましょう。

    参考:『No.2024 確定申告を忘れたとき』国税庁

    年末調整の対象者と非対象者

    年末調整には対象となる従業員と非対象の従業員がいます。どのような違いがあるのか解説するので把握しましょう。

    年末調整の対象者

    年末調整は雇用形態によらず、原則として在籍している全従業員が対象です。しかし、在籍していなくても年末調整の対象になる方がいます。下記の条件に当てはまる方が対象者です。

    • 死亡による退職
    • 障害により途中退職し、同年内に再就職の見込みがない
    • 海外の支店や子会社に転勤し、国内に居住していない
    • 退職したパート従業員の給与が103万円以下
      (退職後その年にほかの勤務先から給与の支払いを受ける見込みのある場合を除く)

    条件に当てはまる従業員には、年末調整書類を配布して提出するように求めましょう。

    年末調整の非対象者

    年末調整は原則として全従業員が対象ですが、以下の条件の場合は対象外です。

    • 給与が1年間で2,000万円を超える
    • 災害によって源泉所得税などの納税猶予や還付を受けている
    • 副業であり他社で年末調整を行う
    • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の未提出
    • 中途入社で今年分の前職の源泉徴収票の提出がない
    • 業務委託などの場合
    • 日雇い雇用の場合

    年末調整を行わない方は、確定申告で対応します。

    年末調整で企業がすること

    年末調整で企業がすることには、どのようなことがあるでしょうか。年末調整がどのように行われるか理解しておきましょう。

    必要な書類・資料を集める

    必要な書類や資料を集めます。全従業員へ以下の書類を配布します。

    • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
    • 給与所得者の保険料控除申告書

    記入が終わったら必ず提出するように伝えましょう。また、住宅借入金等特別控除申告書が必要な従業員には上記書類と一緒に配布します。中途入社1年目の従業員は、前の企業からの源泉徴収票があるため回収を忘れないようにしましょう。

    年末調整の計算を行う流れ

    年末調整の計算は下記の流れで行います。

    1. 給与所得金額を算出
    2. 所得控除額の算出
    3. 課税所得金額の算出
    4. 所得税額を算出
    5. 住宅借入金等特別控除の適用がある場合は所得税額から控除
    6. 所得税および復興特別所得税の算出
    7. 従業員へ還付および徴収して納付

    上記の流れは従業員1人ひとりに必要なため、担当者は忙しい中で正確かつ迅速に手続きを進める必要があるでしょう。

    年末調整での所得税の計算方法

    年末調整の計算方法は以下の4ステップで行われます。

    1. 年間給与額と源泉徴収税を算出する
    2. 給与所得額を算出する
    3. 課税所得を算出する
    4. 所得税額を算出する

    順番に解説するので、参考にしてください。

    1.年間給与額と源泉徴収税を算出する

    はじめに、従業員ごとの給与や賞与から年間の所得額を算出します。さらに、天引きしている社会保険料と源泉所得税を求めます。

    2.給与所得額を算出する

    給与所得額とは、収入から控除を差し引いた金額のことです。求め方は下記の表に照らし合わせて算出します。

    収入金額給与所得控除額
    〜1,625,000円550,000円
    1,625,001〜1,800,000円収入金額×40%−100,000円
    1,800,001〜3,600,000円収入金額×30%+80,000円
    3,600,001〜6,600,000円収入金額×20%+440,000円
    6,600,001〜8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円
    8,500,001〜1,950,000円(上限)

    参考:『No.1410 給与所得控除』国税庁

    たとえば収入が500万円の場合、以下の手順で給与所得額を求めます。給与所得額は収入によって異なるので、間違えないようにしましょう。

    1.給与所得控除額を求める
     収入金額×20%+440,000
     5,000,000×0.2+440,000
    =1,440,000(円)
    2.給与所得額を求める
     年間収入額-給与所得控除額
     5,000,000−1,440,000
    =3,560,000(円)

    3.課税所得を算出する

    給与所得額から所得控除を差し引いて課税所得を算出します。所得控除は人的控除と物的控除があり、以下の表にまとめました。

    控除の種類給与所得控除額
    基礎控除0〜48万円
    扶養控除一般の控除対象扶養親族38万円
    特定扶養親族63万円
    老人扶養親族(同居老親以外)48万円
    老人扶養親族(同居老親など)58万円
    障害者控除一般の障害者27万円
    特別障害者40万円
    同居特別障害者75万円
    寡婦控除一般の寡婦27万円
    特別の寡婦35万円
    寡夫控除27万円
    勤労学生控除27万円

    物的控除は下記の通りです。該当する控除額を給与所得額から引いて、課税所得を算出できます。

    • 生命保険料(生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料など)
    • 地震保険料
    • 社会保険料
    • 小規模企業共済等掛金

    参考:『所得税のしくみ』国税庁

    4.所得税額を算出する

    課税所得に所得税率をかけて所得税額を算出します。所得税額は課税所得に定められた税率を掛けて控除額を差し引きます。税率や控除額は、以下の早見表を利用すると便利です。該当する課税所得の項目にある控除額を引いて、税率をかけることで正式な所得税額が求められます。

    課税される所得金額税率控除額
    〜1,950,000円5%0円
    1,950,001〜3,300,000円10%97,500円
    3,300,001〜6,950,000円20%427,500円
    6,950,001〜9,000,000円23%636,000円
    9,000,001〜18,000,000円33%1,536,000円
    18,000,001〜40%2,796,000円

    参考:『令和4年分の年末調整のための算出所得税額の速算表』国税庁

    まとめ

    年末調整は1年間の所得税額の過不足を調整するための制度です。確定申告と区別がつかない方もいますが、納税者が異なるなどさまざまな違いがあります。原則すべての従業員が年末調整の対象ですが、特定の条件に当てはまる場合は対象外です。人によっては自分で確定申告するため、従業員に周知する必要があります。正しい計算方法で所得税を納付しましょう。

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