給与明細が紙で欲しい理由とは? 電子化の手順や従業員から同意をもらうための方法を解説

給与明細が紙で欲しい理由とは? 電子化の手順や従業員から同意をもらうための方法を解説

給与明細は、電子データによる作成・交付もできます。しかし、給与明細を電子化するには、交付する従業員からの同意が必要です。従業員によっては、これまで通り紙で欲しいと同意を断られる可能性があり、その場合の対応に困ることもあるでしょう。

本記事では、給与明細の電子化における基本について解説し、給与明細を紙で欲しい従業員の理由や対処法、メリット・デメリットなどをご紹介します。給与明細の電子化について確認したい方は、ぜひ参考にしてください。

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    給与明細は電子化が可能

    給与明細は紙媒体だけでなく、電子化による作成・交付も可能です。電子化することでメールなどで簡単に従業員に送付できるため、DXを推進している企業では、給与明細の電子化への検討が進んでいます。

    ただし従業員の同意が必要

    企業の判断だけでは、従業員の給与明細は電子化できません。電子化を進める場合は、事前に従業員に確認を取り、同意書を書いてもらう必要があります。企業の方針で勝手に給与明細を電子化することは違法行為となるため、注意しましょう。

    給与明細の電子化に同意が必要な理由は?

    給与明細の電子化に同意書が必要であることは、所得税法第231条で定められています。そのため、給与明細を受け取る側から同意を得られなければ電子化はできません。

    参照:『所得税法』 e-Gov法令検索

    従業員が給与明細を紙で欲しい理由とは?

    従業員が給与明細を紙で欲しい3つの理由を取り上げて解説します。

    紙の給与明細を使うことに慣れている

    確定申告などで給与明細を利用している従業員は、紙で取り扱う流れに慣れきっている可能性があります。その場合、電子化によって自分の習慣を崩されることを嫌がり、同意しないケースが考えられるでしょう。また、家族内で給与明細を管理して家計簿をつけている場合なども、紙で欲しがることが多いです。

    専用デバイスがないと確認できない

    電子化された給料明細は、確認に専用デバイスが必要です。そのため、操作などに手間がかかることに対して不安を感じている従業員もいるでしょう。電子化のメリットをしっかり伝え、理解してもらうことが重要です。

    情報漏えいを気にしている

    給与明細を電子化する場合、情報漏えいのリスクが考えられます。情報漏えいを気にする従業員には、紙の方が置き忘れなどによる紛失リスクがあることを伝えておくとよいです。

    給与明細を紙で欲しい従業員への対処法

    給与明細を紙で欲しい従業員には、管理が容易になる、紛失リスクが少なくなるなど、電子化のメリットを伝えたうえで、なぜ行うのかを明確に説明します。それでも同意が難しい場合は、その従業員に向けた説明を印刷して対応するのもおすすめです。

    給与明細を電子化するメリット

    給与明細を電子化する場合の2つのメリットをご紹介します。

    業務の簡略化と経費削減につながる

    給与明細の電子化によるもっとも大きなメリットは、業務の簡略化と経費削減につながることです。電子化によって給与明細がデータで取り扱えるため、作成や管理業務が簡単になり、ペーパーレス化で紙の発行にかかっていた経費も減らせるでしょう。

    再発行の負担を減らせる

    給与明細を電子化すれば、再発行にかかる手間や負担が軽減されます。給与明細の再発行は義務ではないものの、多くの企業が対応しており、担当者の負担になるケースも多いでしょう。電子化すれば給与明細を紛失することがなくなり、再発行の必要もありません。

    給与明細を電子化するデメリット

    給与明細を電子化する際に考えられる2つのデメリットについて解説します。

    情報が流出するリスクがつきまとう

    給与明細の電子化には、情報が流出するリスクがつきまといます。どれだけ高いセキュリティを確保しても、サイバー攻撃や従業員のミスなどにより、情報流出の可能性はなくならない点がデメリットといえます。

    スムーズな電子化が難しいケースも多い

    給与明細の電子化は、スムーズに進まないケースも多いです。従業員によっては、かたくなに「給与明細は紙で欲しい」と依頼される場合もあるでしょう。また、電子化に向けた施策自体が停滞し、給与明細の発行作業における改革が進行しないこともあります。

    給与明細を電子化する際の基本的な流れ

    給与明細を電子化するときの基本的な流れをご紹介します。

    1.従業員から給与明細の電子化に対する同意をもらう

    はじめに、個々の従業員から給与明細の電子化への同意を約束してもらいます。

    この場合、同意したことを証明できるよう、同意書を作成して締結しましょう。同意作業は、全従業員を対象として行う必要があります。

    2.給与明細の電子化に使用するツールを導入する

    従業員の同意を得たうえで、給与明細の電子化で使うツールを導入します。

    その際、自社の環境にマッチして必要な作業が行えるか確認し、費用と予算を考慮しながら選定することが大切です。

    3.給与明細の情報漏えいを防ぐセキュリティを構築する

    給与明細を電子化する場合、情報漏えいのリスクが考えられます。

    そのため、外部からの攻撃を防ぐセキュリティを構築し、安全に給与明細を管理できるように備える必要があります。また、給与明細が保存されている場所にアクセスできる人を社内から厳選し、アクセス権を付与することも重要です。

    4.給与明細の電子化と交付を始める

    準備が整ったら、給与明細の電子化と交付を始めます。

    交付に関しては、PDFデータをメール配信する方法やインターネット上へのアップロードなど、さまざまな手段があります。自社の状況に応じた対応を選びましょう。最後に、これまでのプロセスができているか確認を再度行います。

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    まとめ

    給与明細は、紙だけでなく電子データによる作成や交付も可能です。

    ただし、給与明細の電子化には、交付する全従業員からの同意が必要です。紙での給与明細に慣れている、確認にデバイスが必要、情報漏えいへの不安などが理由で同意が得られないケースもあるため、適切な対応が欠かせません。業務の簡略化や経費削減などのメリットを説明して同意を得るのはもちろん、情報漏えいに関しても事前に備えておくことが重要です。

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