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欠勤と休職・休業の違いをわかりやすく解説|給与や保険の扱い・罰則なども紹介

欠勤と休職・休業の違いをわかりやすく解説|給与や保険の扱い・罰則なども紹介

欠勤とは、従業員が予定された労働日に勤務しないことです。通常、給与は支払われません。一定の期間、仕事を離れる休職や休業とは異なります。
本記事では、欠勤と休職・休業の違いをわかりやすく解説し、給与や保険の扱い、罰則についても詳しく紹介します。

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    欠勤と休職、休業の違い

    まずは欠勤と休職・休業の違いを表にまとめました。

    欠勤休職休業
    定義所定労働日に自己都合で休むこと自己都合により仕事を長期間休むこと特定の理由により就業不可能な状態
    具体例体調不良や私用傷病による休職自己都合休職産前産後休業育児休業業績悪化
    期間理由による※14日以上無断欠勤が続くと解雇が認められる場合がある会社側で設定可能会社都合の場合は企業が設定法定休業の場合は法律を元に設定
    給与会社側で設定可能会社の規定により設定可能会社都合による休業場合は平均賃金の60%以上法定休暇は法律の定めに従う

    欠勤とは

    欠勤とは、従業員が所定労働日に本人の都合で勤務しないことです。労働契約内容を履行できていない状態を指しているため、労働の対価として支払われる給与は、通常支払われません。労働契約不履行の状態が続くと解雇の対象となります。

    ただし例外もあり、交通事故で数か月間療養するような事由では、長期の欠勤を認める企業もあります。

    休職とは

    休職とは、自己都合により雇用を継続させたまま休暇に入ることです。休職理由は、主に体調不良や家族の介護などさまざまです。

    休職制度は、法令で義務づけられているものではありません。企業が任意で導入する制度です。対象者は、会社と雇用契約関係にある従業員に限られ、業務委託契約や自営業者は対象外です。休職の要件や期間、期間中の給与の支払いなどは、就業規則で定められています。

    休業とは

    休業とは、従業員が働く意志はあるものの、特定の理由により働けないときに取得する制度です。たとえば、産前産後休業や経営の悪化などが挙げられます。利用できる制度は、休業の理由が会社都合なのか従業員都合かによって異なります。

    休業理由の違いによる給与の支払い

    会社都合による休業は、経営不振によるものが多く、使用者が期間を定めなければなりません。平均賃金の60%以上を給与として支払う必要があります。

    従業員都合による休業の例は、産前産後休業や育児休業制度が挙げられます。会社都合の理由とは異なり、休業期間は法律で定められています。産前産後休業制度では賃金が発生しませんが、出産手当金が休業1日につき賃金の約66%が支払われます。

    休職制度の概要

    休職制度は業務以外の要因によって働けなくなった労働者に対して、会社が労働の義務を免除する制度です。労働基準法では規定されていないため、企業によっては休職制度自体がないこともあります。

    休職制度を設けた企業は、就業規則にその内容を規定しなければなりません。制度の具体的な内容は以下の通りです。

    休職内容
    病気休職業務外の傷病で仕事を休むこと
    事故休職傷病以外の自己都合による休職のこと
    起訴休職従業員が起訴されたことを理由に休職させること
    調整休職ほかの休職制度との調整をはかるもの出向休職、組合専従休職が含まれる
    依願休職海外留学やボランティア活動などを行う際に使用する制度

    休職する際は医師の診断書が必要なことがあります。診断書をもとに休職の妥当性があるのかを判断します。

    休職中の給与や手当の支給方法と社会保険料

    給与は労働の対価として支払われるため、休職中は基本的に給与が支払われません。ただし、会社の規定や条件によって収入を保証する手当が支払われることもあります。

    休職中の給与や手当の支給について解説します。

    傷病手当金

    休職中は条件により健康保険の傷病手当金が支払われることがあります。

    傷病手当金とは、病気で休業中に被保険者やその家族の生活を守るために設けられた制度です。傷病により会社を休み、十分な収入を見込めない場合に支給されます。支給期間は、同一の傷病で通算1年6か月まで可能です。

    障害年金

    うつ病のような精神疾患を発症して休職中の従業員に対して、3つの条件を満たせば、国民年金における障害年金が支払われることがあります。

    障害の原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間にある
    ・国民年金加入期間
    ・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
    障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当している
    初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上ある
    ※ただし、初診日が令和8年4月1日前のときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいとされています。

    精神障害者保健福祉手帳の等級に応じて障害者年金の受給額が決定します。

    参考:『障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額』日本年金機構

    労災保険

    休職中は労災保険における補償も受けられる可能性があります。

    労災保険とは、業務上または通勤中の事故による負傷・障害・死亡に対して、労働者やその遺族のために給付を行う制度です。

    業務中や通勤途中の事故によりケガや病気、障害などを負ったときは給付金が支払われます。対象は正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの雇用形態にかかわらず、すべての労働者です。

    社会保険料

    休職中に会社から給与が支払われていなくても、社会保険の被保険者であれば保険料を支払わなければなりません。社会保険料は通常、毎月の支給額から控除されますが、支払う給与がない場合は従業員に請求することになります。

    欠勤に関する制度・法律

    続いて、欠勤に関連する制度や法律について解説します。

    労働基準法第24条

    労働基準法第24条では、賃金支払いの5原則が規定されています。

    5原則意味
    通貨払いの原則通貨で支払わなければいけない
    直接払いの原則直接労働者に支払わなければならない
    全額払いの原則全額支払わなければならない
    毎月1回以上の原則毎月1回以上支払わなければならない
    一定期日払いの原則決められた期日で支払わなければならない

    いずれの原則も守らないと労働基準法違反になるため注意が必要です。

    ノーワークノーペイの原則

    ノーワークノーペイの原則とは、「働いていなければ賃金は支払われない」という意味です。従業員が勤務していない時間の賃金を支払う義務は使用者側にありません。

    たとえば、従業員が遅刻すると、その遅刻した時間分の給与は差し引かれます。従業員に差し引かれた賃金を請求する権利はありません。

    欠勤したことによる罰金

    欠勤を理由とする罰金を設けることは労働基準法第16条違反です。

    使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない
    引用:『労働基準法 』e-Gov法令検索

    欠勤が続くからといって、ペナルティを科すと従業員から訴えられる可能性もあります。

    しかし、不祥事を起こした従業員に対して、一定の条件のもとで懲戒処分による減給を行うことは認められています。懲戒処分は従業員の評価に直結するため、欠勤理由を考慮したうえで判断するとよいでしょう。

    欠勤における疑問点と注意点

    欠勤についてよくある疑問と注意点を解説します。

    欠勤は1か月程度続くと休職扱いになる

    休職は法律上の制度ではないため、企業により差がありますが、2週間〜1か月ほど欠勤が続くと休職扱いとする企業も多くあります。詳細は会社の就業規則に定められています。

    欠勤したタイミングによって有給休暇が使えない場合がある

    欠勤に対して有給休暇を使えるか否かは、申請するタイミングによって異なります。

    有給休暇は基本的に事前申請によって利用できる制度です。就業規則の中で定められた日にちまでに申請する必要があります。

    一般的には取得日より前に申請する必要があるため、当日や事後申請では、有給休暇を使用できないことが多いと覚えておきましょう。

    欠勤が続いたら解雇になる可能性がある

    欠勤が何日も続くと労働契約違反となり解雇事由に該当します。会社と従業員は、労働日数や労働時間について雇用契約を結んでいます。

    ただし、従業員の解雇は簡単にできません。まずは該当する従業員と話し合いをしたうえで、改善策を提示しましょう。それでも、勤怠不良が続くようであれば軽い懲戒処分を行います。解雇が無効になった判例もあるため、慎重に行う必要があります。

    欠勤しても残業や休日出勤の相殺はできない

    欠勤したからといって勤務する予定だった労働時間分を残業や休日出勤の補填として扱うことはできません。残業時間や休日出勤を欠勤日の労働時間で補填することで、割増賃金の支払いを免れることはできず、法定の割増賃金の支払いが必要です。欠勤と残業時間や休日出勤は相殺できないことを覚えておきましょう。

    裁量労働制での欠勤は自由にできない

    裁量労働制で働いているからといって、従業員は自由に欠勤ができません。

    裁量労働制は労働時間や業務の遂行方法を労働者に委ねる働き方です。休日の取得は就業規則に従う必要があります。裁量労働制ではない従業員と同様の手続きを行うことで欠勤できます。

    まとめ

    欠勤とは所定労働日に本人の都合で休むことで、労働契約が履行できていない状態のことです。対して、休職は自己都合により雇用を継続させたまま休暇に入ること、休業は就労の意思があるものの、特定の理由により就業できないときに取得する制度のことです。

    休職や休業期間、欠勤日数を正しく管理して、正確な給与を支給するためには、勤怠管理システムの活用も一案です。

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