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勤怠管理はどの部署が担当する? 部署ごとの役割の違いや、勤怠管理の業務内容を解説

勤怠管理はどの部署が担当する? 部署ごとの役割の違いや、勤怠管理の業務内容を解説

勤怠管理は企業にとって重要な業務の一つです。しかし、勤怠管理を担当する部署がどこなのか把握していない人もいるのではないでしょうか。本記事では、勤怠管理の基礎知識や担当部署、部署ごとの役割の違いについて解説します。


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    勤怠管理とは? 基本的な業務内容をおさらい

    勤怠管理とは、企業が従業員の出退勤時間や休憩、休日などの記録を管理し、労働状況の適切な把握に努めることです。

    勤怠管理の法的意義は、過重労働を防いで従業員の健康を守る「労働者の保護」と、さまざまな労使トラブルの発生を防止する「企業の保護」の2つとされています。そのため、勤怠管理は労使双方にとって欠かせない業務といえるでしょう。

    勤怠管理は企業の義務

    労働基準法により、企業には従業員の労働時間を適切に管理する義務があります。たとえば第32条では、労働時間の上限は1日8時間、週40時間以内と定められています。また、厚生労働省がガイドラインを設けているため、確認しておくことが重要です。

    参照:『労働基準法』 e-Gov法令検索
    参照:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』 厚生労働省

    勤怠管理の管理項目

    厚生労働省のガイドラインで定められている管理項目は、以下の7つです。

    • 労働日数
    • 始業・終業時刻
    • 労働時間数
    • 時間外労働時間数
    • 深夜労働時間数
    • 休日労働時間出勤数
    • 有給休暇日数・残日数

    このほか、欠勤日数・休憩時間・遅刻早退の回数と時間を管理することも望ましいといえます。

    参照:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』 厚生労働省

    始業・終業時刻、休憩時間

    始業・終業時刻と休憩時間を管理することで、従業員の労働時間が把握できます。ただしこの場合、労働基準法第24条の賃金全額払いの原則により、1分単位で労働時間を管理する必要があります。

    時間外労働・深夜残業・休日労働時間

    労働基準法第32条により、労働時間は1日8時間・週40時間までと定められています。また、法定労働時間を超えた場合は、割増賃金を支払わなければいけません。

    出勤日・欠勤日・休日出勤日・振替休日

    労働時間だけでなく、日数単位や月単位でも勤務状況を把握する必要があります。休日出勤があった場合は、振替休日を適切にとれているか確認することが重要です。

    有給休暇の取得日数・残日数

    労働基準法第39条の7により、10日以上の有給休暇が付与されている従業員に対して、企業は年5日の有給休暇を取得させる義務があります。従業員が有給休暇を適切に取得できているか、しっかり把握しておく必要があるでしょう。

    参照:『労働基準法』 e-Gov法令検索

    勤怠管理の主な目的

    勤怠管理の主な3つの目的について解説します。

    法律を遵守するため

    労働に関するさまざまなルールは、労働基準法などの法律で定められています。そのため、法律を遵守することが勤怠管理の目的の一つといえます。法律に違反すると、是正勧告や訴訟、企業イメージの低下といったリスクがあるので注意が必要です。

    従業員の健康を守るため

    勤怠管理による労働時間の適切な把握は、過重労働を防ぎ、従業員の健康を守ることにもつながります。労働時間を把握していれば、業務量の調節などの対策もスムーズに進められます。

    給与を正確に支払うため

    給与計算は労働時間をベースにしています。そのため、給与を正確に計算するには、労働時間の確実な把握が必要といえます。また、従業員とのトラブルを避けることにもつながるでしょう。

    勤怠管理の必要がある企業

    厚生労働省のガイドラインでは、勤怠管理の必要がある企業を「労働基準法のうち労働時間にかかる規定(労働基準法第4章)が適用されるすべての事業場」と定められています。

    また労働基準法第4章には、労働時間や休憩、休日や年次有給休暇について記載されており、従業員を雇用しているほとんどすべての企業は、勤怠管理を実施する義務があるといえます。

    参照:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』 厚生労働省
    参照:『労働基準法』 e-Gov法令検索

    勤怠管理はどの部署が担当する?

    勤怠管理は、一般的には労務部の仕事です。ただし、人事部が労務の業務を担っていたり、総務や経理の担当者が兼任していたりといったケースも少なくありません。

    そのため「勤怠管理を行っているのは◯◯部」と一概にはいえず、その企業で労務を担当している部署が勤怠管理を担っていると考えた方がよいでしょう。

    部署ごとの役割や業務内容の違い

    企業の規模によっては、1つの部署が複数の役割を兼任している場合もあります。労務部・人事部・総務部・経理部それぞれの役割や主な業務内容を解説します。

    人事部

    人事部は、人材採用や人材育成、人材評価などを担当する部署です。従業員個人と直接かかわる業務が多いことが特徴で、従業員を大切な経営資源と捉え、企業の利益を最大化するために働きかけます。

    労務部

    労務部の仕事は、従業員が安心して働けるための環境づくりです。企業活動を適正かつ円滑にするため、従業員のモチベーションや労働生産性を高めることを目標としています。ただし上記の通り、人事部が労務の業務を担う場合も多いです。

    総務部

    総務部の仕事は、企業運営にかかわる業務全般です。業務内容は決まっておらず、多岐にわたります。企業規模によっては、総務部が人事労務業務を担当していることもあります。

    経理部

    経理部の仕事は、企業活動におけるお金の動きを管理することです。仕入れや売り上げ、税金の計算などを担っており、経理業務は1日・1か月・1年などのサイクルで行われる場合が多いです。

    勤怠管理の主な方法

    勤怠管理を行う場合、タイムカードやエクセル、勤怠管理システムを用いる方法があります。それぞれについてご紹介します。

    タイムカードを用いる方法

    タイムレコーダーにタイムカードを通すことで、出退勤時間などを記録する方法です。操作が簡単でわかりやすいですが、誰でも打刻できるため、不正を防止するような仕組みが必要でしょう。また、保管場所の確保も欠かせません。

    エクセルを用いる方法

    出退勤時間などをエクセルで管理する方法もあります。関数やマクロを活用すれば、集計・計算の自動化が可能です。この場合、厚生労働省のガイドラインに従い、出退勤時間などはタイムカードやICカードなどを用いて客観的に記録したうえで、エクセルに転記して管理するのが望ましいといえます。

    参照:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』 厚生労働省

    勤怠管理システムを用いる方法

    近年、企業への導入が進んでいるのが、勤怠管理システムを用いる方法です。打刻や集計を自動化できるのが特徴で、勤怠管理業務の効率アップにつながります。

    また、給与計算ツールと連携すれば、給与計算まで自動化することも可能です。打刻漏れのアラートやICカードによる認証など、便利な機能が搭載された製品も多く、自社の仕様に合わせやすいでしょう。

    勤怠管理の基本的な手順

    勤怠管理のフローは企業によって異なりますが、以下のような流れで行われる場合が多いです。

    1. 出退勤時間や休憩時間などを記録する
    2. 法令を遵守できているかどうか確認する
    3. 賃金台帳を調整する
    4. 給与計算に反映する
    5. 関連書類を保管する

    勤怠管理の注意点

    勤怠管理の際に注意すべき3つのポイントを取り上げて解説します。

    働き方の多様化に対応する

    近年、フレックスタイム制や裁量労働制など、さまざまな働き方を採用する企業が増えています。そのため、働き方の多様化に対応する必要があります。たとえば、勤務体系ごとに勤怠管理のルールも異なるため、注意しなければいけません。

    扶養内希望の有無を考慮する

    従業員が扶養控除内での勤務を希望する場合、所得条件や労働時間の上限を超えないよう注意が必要です。所得税が発生する「103万円の壁」や、配偶者の社会保険扶養から外れる「130万円の壁」に配慮した調整が求められるでしょう。特にパートタイム従業員の中には扶養控除内を希望する人も多いので、気をつけることが重要です。

    テレワークにおけるルールを明確化する

    コロナ禍などの影響により、テレワークを採用する企業が増加しました。しかし、テレワークはタイムカードによる出退勤の記録ができないため、勤怠管理が難しいといえます。勤怠管理システムを利用するのがおすすめですが、その場合、不正が生じないような仕組みづくりが大切です。

    まとめ

    勤怠管理とは、従業員の出退勤時間や休憩、休日などの記録を管理し、労働状況の適切な把握に努めることです。従業員の健康を守るためはもちろん、法律の遵守や給与の正確な支払いといった目的があり、労働基準法に記載されている通り、ほとんどすべての企業に実施義務があります。

    勤怠管理は一般的に労務部の仕事とされていますが、人事部が労務の業務を担ったり、総務や経理の担当者が兼任していたりする企業もあります。それぞれの企業の実情に応じて、労務を担当している部署が勤怠管理を行っていると理解しておきましょう。

    勤怠管理の方法には、タイムカードやエクセル、勤怠管理システムの利用があります。また、注意点としては、働き方の多様化への対応や扶養内希望者への配慮、テレワークルールの明確化などが挙げられます。

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