手書きでの勤怠管理は違法? メリットや注意点をわかりやすく解説
従業員の勤怠管理を手書きで行っている場合、違法にあたるのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、手書きでの勤怠管理が違法になるのか解説し、手書きのメリット・デメリットや注意点などについてご紹介します。人事領域に携わっている方や経営者は参考にしてください。
勤怠管理の手書きは違法ではない
厚生労働省の『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』により、労働時間の把握は「使用者による現認」もしくは「客観的な記録」が求められます。手書きの勤怠管理は「客観的な記録」に該当しませんが、ただちに違法とはなりません。
また、手書きであっても、未払いがあれば残業代の請求が可能です。
参考:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』 厚生労働省
自己申告制は推奨されない点に注意
手書きでの勤怠管理は、客観的な記録ではなく「自己申告制による記録」に該当します。自己申告制では改ざんや計算ミスが発生する確率が高く、正確性・客観性の担保が難しいといえるでしょう。そのため、違法ではないものの、推奨はされていません。
適切な勤怠管理の重要性
勤怠管理を適切に実施することで、従業員の始業・終業時刻や時間外労働、有給休暇の取得状況などが把握できます。
また労働基準法においては、労働時間の上限が「1日8時間、週40時間まで」と定められており、勤怠管理を正確に実施することでコンプライアンスも守られます。
勤怠管理を手書きでするメリット
勤怠管理を手書きで行う場合の2つのメリットをご紹介します。
コストを抑えられる
勤怠管理を手書きですることで、システム導入にかかる費用などがかかりません。コストを抑えられる点が大きなメリットといえます。ただし、従業員の人数によっては、そもそも大規模システムの必要がない場合もあります。
従業員が簡単に利用できる
難しいシステムの導入は、場合によって従業員の負担や不安につながる可能性もあります。手書きであれば、従業員が新たにシステムの使い方などを覚える必要がありません。紙とペンがあれば簡単にできるなじみのある手法なので、ハードルを感じる従業員も少ないでしょう。
勤怠管理を手書きでするデメリット
勤怠管理を手書きでする際のデメリットを3つ取り上げて解説します。
改ざんのリスクがある
勤怠管理を手書きで行う場合、改ざんのリスクがあります。遅刻したのにかかわらず定時の出社時間を記載する、残業を水増しして申告する、といった行為について考慮しなければいけません。
また従業員側だけではなく、残業代削減などを目的として企業側が改ざんをする可能性もあります。
保管・管理の手間がかかる
手書きの勤怠管理では、書類を紙で管理します。労働基準法では、労働関係に関する重要な書類は5年間(当面の間は3年間)保管しなければならないと定められているため、一定のスペースが必要です。書類を探す際に手間がかかることに加え、紛失の可能性などのデメリットもあります。
ミスが起きやすい
勤怠管理を手書きでする場合、データ入力時に転記ミスが起きやすくなる点もデメリットの一つです。また、1つずつ目視で確認するため手間がかかり、手書きで記載されているので文字の判読がしにくい面もあります。
勤怠管理を手書きでする際の注意点
勤怠管理を手書きで行う際の注意すべきポイントを3つ取り上げて解説します。
ルールを明確にする
手書きでの勤怠管理では、ルールを明確化しておくことが重要です。タイムカードのフォーマットが必要項目を網羅しているか確認する必要があります。
フォーマットに必要な項目は以下の通りです。
- 出勤時刻
- 退勤時刻
- 休憩時間
- 出勤日数
- 時間内労働時間(法定内労働時間数)
- 時間外労働時間(法定外労働時間数)
- 休日労働を行った日時と労働時間
- 深夜労働を行った日時と労働時間
禁止事項や記入ミス時の対応方法も、あらかじめ明確にしておくとよいでしょう。
タイムカードは本人が記載する
手書きでタイムカードを記入する際は、必ず本人が記載しなければいけません。本人以外がタイムカードを記入すると、勤務実態との相違が生まれる可能性があります。トラブルを防ぐためにも、管理者が正確な時間を確認できる場合以外は、本人以外の記入は禁止にすることが重要です。
タイムカードの修正時には上長によるチェックを徹底する
手書きで勤怠管理をする際は、上長が必ず修正時にチェックする仕組みをつくっておくとよいです。誤りが発覚した場合は適切な手順を踏み、タイムカードの修正を進めていきましょう。
手書きよりも勤怠管理システムの導入がおすすめの理由
勤怠管理は、手書きよりも勤怠管理システムを導入して行うことをおすすめします。勤怠管理システムをおすすめする3つの理由について解説します。
長時間労働を防止できる
手書きの場合、従業員の正確な勤怠管理を集計時にしか行えません。一方、勤怠管理システムを導入すると、従業員の勤怠管理をリアルタイムで把握できます。
業務効率が上がる
勤怠管理システムの導入によって手作業が少なくなり、人事労務担当者の業務効率が向上します。さらに、自動で勤怠情報が集計されるため、転記や抜け漏れによるミスのリスクも減少します。
客観的な記録を残せる
勤怠管理システムの導入で、厚生労働省が求める「客観的な記録」を残すことが可能です。
また、パソコン上で従業員が打刻した出退勤記録をリアルタイムで把握できるとともに、残業時間や有給取得状況も確認できるため、法令遵守を徹底する体制が整えられます。
勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システムは、大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」に分けられます。自社の目的にあわせていずれかを選ぶとよいでしょう。それぞれの特徴は以下の通りです。
特徴 | クラウド型 | オンプレミス型 |
---|---|---|
初期費用 | 導入が比較的安価 | サーバーの設置維持費用が高額になりやすい |
導入期間 | 登録からすぐ利用できるものもある | 最低でも3か月ほど必要 |
ランニングコスト | 基本的にユーザーごとの課金制 | 自社保有のサーバー・システムの運用費 |
推奨規模 | 社員数2~1,000人まで | 社員数1,000人以上 |
拡張性 | 拡張性が低い | 企業にあわせたカスタマイズ可能 |
セキュリティ | セキュリティ要件の確認が必要 | セキュリティポリシーに沿ったカスタマイズや強固なセキュリティ環境が構築可能 |
サポート | 法改正によるシステム変更もバージョンアップで対応可能な場合が多い | システムに対するサポートのみ。法改正によるシステム変更サポートは少ない |
ほかシステムとの連携 | 連携に優れたサービスが増えている | 自由にカスタマイズできるため連携に強い |
まとめ
手書きで勤怠管理を行う場合「自己申告制による記録」と見なされ、労働時間の把握に必要な「客観的な記録」に該当しません。違法ではないものの、正確性や客観性の担保が難しく、推奨はされていない方法といえるでしょう。
手書きのメリットは、コストを抑えられる点や従業員が簡単に使える点です。一方、改ざんのリスクやミスの起こりやすさ、保管・管理の手間などがデメリットとして挙げられます。ルールを明確にする、必ず本人がタイムカードを記載する、修正時は上長のチェックを徹底するといった注意点を押さえておくとよいでしょう。
また、手書きよりも勤怠管理システムの導入がおすすめです。従業員の勤怠管理をリアルタイムで行えたり、労働時間の確認も簡単にできたりするため管理がしやすく、長時間労働の防止にもつながります。
さらに、業務効率の向上が見込めたり、客観的な記録が残せたりすることもシステムの導入メリットです。勤怠管理システムには「クラウド型」と「オンプレミス型」があるため、それぞれの特徴を把握したうえで自社に適したタイプを選ぶことが重要です。
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