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勤怠と勤務には違いがある? 違いや勤怠管理の必要性・注意点などを解説

勤怠と勤務には違いがある? 違いや勤怠管理の必要性・注意点などを解説

勤怠と勤務はよく似た言葉なので、「いまいち違いがわからない」という方も多いのではないでしょうか?労働時間の把握が義務化されたいま、「勤怠」や「勤怠管理」の理解を深めることは、企業にとって重要な課題です。そこで本記事では、勤怠と勤務の違いや勤怠管理のポイント、注意点などを幅広く解説します。


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    勤怠と勤務の違いとは

    それでは早速、勤怠と勤務の違いを解説します。

    勤怠とは

    勤怠は、従業員の出退勤などの勤務状況を指す言葉です。出勤や欠勤、休憩、遅刻、早退など従業員の勤務状況全体を表します。

    つまり、勤怠管理とは従業員の出退勤や欠勤などの情報を記録し、管理することです。一人ひとりの勤務状況を把握することにより、就業規則や雇用契約にのっとった働き方をしているかどうかをチェックできます。

    勤務とは

    勤務とは、会社などに勤めて、働くことを意味する言葉です。勤怠と勤務は言葉として似ているので混同されがちですが、それぞれ別の意味を持ちます。間違えないよう注意しましょう。

    勤怠における「出社・出勤」や「退社・退勤」との違い

    勤怠管理では、出社・出勤、退社・退勤などよく似た言葉が頻出します。言葉のチョイスを誤ると従業員に意図が伝わらず、正確なデータを収集できなくなる恐れもあるため注意が必要です。

    そこで、出社・出勤と退社・退勤それぞれの言葉の違いを解説します。

    出社・出勤の違い

    「出社」とは、仕事をするため勤め先の会社に赴くことを指す言葉です。つまり、会社に足を踏み入れれば、「出社」したとみなされます。

    一方、「出勤」とは、働く場所に関係なく「仕事をしていること」をあらわす言葉です。たとえば、テレワークは「出社」はしませんが、在宅で仕事をしているため「出勤」はしているとみなされます。

    例:8時30分に会社に到着し、9時に打刻して業務を始めた
    出社時刻8時30分
    出勤時刻9時

    退社・退勤の違い

    退社とは、その日の仕事を終えて会社から退出することを指す言葉です。一方、退勤とは、その日の仕事を終えることを意味し、そのときにいる場所に関係なく使用できます。

    なお、「退社」には「会社を退職する」という意味も含まれるため、一般的には「退勤」を使うことが多いでしょう。

    例:8時30分に会社に到着し、9時に打刻して業務を始めた
    退勤時刻18時30分
    退社時刻19時

    勤怠管理の重要性

    企業において、勤怠管理はなぜ行う必要があるのでしょうか。勤怠管理の重要性について解説します。

    労働時間の把握が義務化

    2019年の労働安全衛生法改正により、労働時間の「客観的な記録による把握」が法的に義務化されました。

    第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

    引用:『労働安全衛生法』e-Gov法令検索

    第五十二条の七の三 法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。

    引用:『労働安全衛生規則』e-Gov法令検索

    法令を遵守し、健全な企業経営を行うためにも勤怠管理は欠かせません。

    なお、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。社内研修やオフィスの清掃、着替えの時間なども労働時間に含まれるため、記録・集計の際には注意が必要です。

    また、労働基準法に「残業時間の罰則付き上限規制」が定められているため、労働時間だけでなく残業時間も把握しておく必要があります。

    勤怠管理で労働時間の適正な把握にが必要な項目

    労働時間を正確に把握するためには、労働日ごとの始業・終業時刻を記録することが必要です。

    厚生労働省のガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために、使用者みずからの現認による確認・記録、またはタイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録など客観的な記録を基礎とすることが求められています。

    また、やむを得ない理由から従業員の自己申告制を採用する会社は、以下の措置が必要です。

    1.自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと

    2.自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること

    3.使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること

    引用:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』厚生労働省

    また、タイムカードや出勤簿など労働時間の記録に関する書類には、労働基準法第109条に基づく保管義務があります。

    2020年の法改正により、保管期間が3年から5年に延長されているため注意してください。現在は経過措置として3年間の保管が認められていますが、可能な限り5年間保管するほうが望ましいでしょう。

    勤務時間の管理方法とメリット・デメリット

    勤怠管理を適切に行うためには、各種ツールを積極的に活用することが重要です。勤怠管理におすすめな3つの方法を解説します。

    • タイムカード
    • 勤怠管理システム
    • エクセル

    誰でも使える「タイムカード」

    タイムカードをタイムレコーダーに差し込むだけの簡単操作で、誰でも手軽に出退勤時間を打刻できます。必要なものはタイムレコーダーとタイムカードの2つだけなので、初期費用もほとんどかかりません。

    ただし、タイムカードで記録された労働時間は、担当者が管理・集計する必要があります。人の手で計算する分、ヒューマンエラーが起こりやすいのが難点です。集計のタイミングは通常月1回なので、法改正があったときにスムーズに対応できないというデメリットもあります。

    また、システム上、ほかの従業員が代わりにタイムカードを差し込むこともできてしまうため、不正打刻を完全に防ぐのは困難でしょう。

    業務効率が上がる「勤怠管理システム」

    勤怠管理システムなら、労働時間だけでなく残業や休日出勤の管理、休暇まで勤怠情報の管理を一元化できます。システムがデータを自動で集計してくれるため、管理側の業務効率が大きく向上します。

    離れた場所にある事業所や従業員の自宅など、働く場所に関係なく勤怠情報を管理できるのもメリットです。また、勤怠管理システムには生体認証や顔認証、ICカードなどさまざまな打刻方法に対応しているタイプも多く、本人以外による不正打刻の防止にもつながります。

    ただし、勤怠管理システムの導入は、売り上げに直結する施策ではありません。経理層の理解を得るためには、「空いた時間で何を実現するのか」を示す必要があるでしょう。

    出勤管理表で管理「エクセル」

    エクセルの最大のメリットは、導入の手軽さです。会社の業務用のパソコンにはエクセルをはじめとした表計算ソフトがインストールされている場合が多いでしょう。そのため、コストをほとんどかけずに勤怠管理を行えます。関数を活用すれば労働時間を自動で集計できるため、計算ミスも防止できるでしょう。

    ただし、入力時にミスが発生する可能性はあります。手動でデータを打ち込むと、完全にミスを防ぐことは難しいでしょう。ダブルチェックするなど体制を整えて正確性を保とうとすると、かえって手間が増えてしまうデメリットがあります。

    また、従業員の労働状況をリアルタイムに把握することが難しいため、長時間残業やサービス残業のリスクが高まってしまう恐れもあります。

    【具体例】勤務時間の計算方法

    次に、勤務時間の具体的な計算方法を解説します。労働時間や、割増賃金が発生する法定外残業時間の考え方にも触れるので、ぜひお役立てください。

    例1.所定労働時間8時間で8:30~19:30勤務

    所定労働時間が8時間で、8時30分から19時30分まで勤務した従業員の勤務時間の合計は11時間です。

    なお、労働基準法では、労働時間が8時間を超えると、少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定められています。仮に休憩時間を1時間とすると、労働時間は勤務時間から休憩時間を差し引いた10時間です。

    また、労働基準法では、1日8時間を超えた労働時間は「法定外残業」として扱われます。この日は1日10時間労働しているため、17時30分~19時30分の2時間には法定外残業として割増賃金を適用します。

    例2.所定労働時間6時間で8:30~19:30勤務

    次に、所定労働時間が6時間で、8時30分から19時30分まで勤務した従業員のケースを解説します。

    この日は8時間以上労働しているため、やはり1時間の休憩時間を与える必要があります。つまり、上記の例と同様、勤務時間は11時間、労働時間は10時間です。

    1と異なるのは、残業時間の取り扱いです。所定労働時間は6時間なので、この日は4時間残業していますが、労働基準法における法定外労働時間はあくまで1日8時間を超過した分。

    つまり、15時30分~17時30分の2時間は法定内残業時間として扱われ、17時30分~19時30分の2時間にのみ割増賃金が適用されます。

    勤怠管理で注意が必要なこととは

    勤怠管理を行う際は、以下の2点に注意しましょう。それぞれについて解説します。

    • 勤怠管理の不正・改ざん
    • 正社員以外の勤怠管理

    勤怠管理の不正・改ざん

    企業側がいくら法令を遵守していても、現場の従業員による勤怠の改ざん・不正が発生するリスクはゼロではありません。たとえば、タイムカードを利用しているなら、打刻を同僚に依頼する「代理打刻」が発生する恐れがあります。

    また、勤怠情報を手書きで記録していると、出退勤時刻の改ざんが容易にできてしまう懸念があります。なかには、定時からある程度時間が経ってから打刻することで、残業代を水増しする「カラ残業」という不正行為を働く人もいます。

    正社員以外の勤怠管理

    パートタイムやアルバイトとして働く従業員は、シフト勤務制で時間給、さらに個人で時給もバラバラなので、細かな管理が必要です。

    また、契約社員の場合は、正社員と規定や基準が異なるかどうか、雇用契約期間の更新などについて把握しておかなければなりません。

    扶養の範囲で働きたい従業員においては、いわゆる「年収の壁」を超えないように、リアルタイムでの勤怠状況の把握や調整が求められるでしょう。

    勤怠管理を適切にするための2つのポイント

    勤怠管理を適切に行うためには、次の2つのポイントをおさえることが重要です。

    正確な労働時間の記録・管理

    労働時間を適切に管理するためには、まず正確な勤怠データを取得する必要があります。特に時間外労働の考え方は複雑なので、しっかりと把握しておくことが大切です。

    また、労働時間を正確に管理することは、労働時間の上限違反や残業代の未払いといったトラブルの未然防止にもつながります。

    勤怠管理システムの導入・管理

    法令を遵守した勤怠管理を行うなら、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

    システムが労働時間や残業時間などを自動で管理するため、不正やミスが生じるリスクを軽減できます。より正確な勤怠データをリアルタイムで取得できるとともに、問題が発覚した場合もすみやかに対応できます。

    また、システムをアップデートすることで、法改正にも迅速に対応できます。複雑なルール変更にもシステム側が適切に対応してくれるため、今後勤怠管理のルールがさらに厳格化されたとしても安心です。

    企業にとって重要なのは「勤務」ではなく「勤怠」の管理

    「勤怠」と「勤務」はよく似た言葉ですが、それぞれ違う意味を持ちます。企業にとって重要なのは、従業員の出退勤などの勤務状況を指す「勤怠」を管理することです。

    勤怠管理にはさまざまな法律がかかわっているため、現在のルールを正確に把握するだけでなく、法改正にも迅速に対応する必要があります。法令を遵守した勤怠管理の実現には、勤怠管理システムがおすすめです。

    特に、勤怠をはじめ人材情報が分散している企業は、管理運用の見直しとともに、勤怠管理のクラウド化を検討してみてはいかがでしょうか。

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