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夜勤とは【何時から?】労働基準法における定義やルール、シフト例を紹介

夜勤とは【何時から?】労働基準法における定義やルール、シフト例を紹介

夜勤とは、病院や介護施設、工場などで行われる深夜勤務のことです。

夜勤の多い職場でよく問題となるのが、深夜労働時間の給与計算方法です。企業は深夜労働をした従業員に割増賃金を支払う義務があるため、夜勤の労働時間を1分単位で正しく計算する必要があります。

本記事では、夜勤の定義や割増賃金について詳しく解説します。休日の取得方法や割増率の考え方、労働時間を正確に管理する方法も紹介しますので、経営者層やマネジメント層、人事担当者はぜひ参考にしてください。

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    夜勤の定義とは? 何時から何時まで

    病院や介護施設、工場、運輸業、宿泊施設など、24時間体制の職場や稼働時間が長い業種・職種では、夜勤という勤務形態を採用するのが一般的です。

    夜勤とは、法律で定められた深夜帯に働くことです。労働基準法第37条により、深夜労働の時間帯は22時から翌5時までと定められています。この時間帯に従業員を働かせる場合、通常賃金に対して25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    労働日数の数え方について

    夜勤の労働時間を計算する際に注意すべきなのが、夜勤中に日をまたいだ場合の勤務日数の数え方です。厚生労働省の通達によると、次のような考えが示されています。

    継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること。

    引用:『○改正労働基準法の施行について』厚生労働省

    たとえば、20時から翌5時まで勤務すると、暦を基準に考えて勤務日数を2日とするのではなく、1日に9時間勤務したものとして計算します。日付変更時刻によって勤務日が分割されることはありません。

    休憩時間の設定方法について

    日付をまたぐ夜勤でも1日の勤務として数えるため、勤務時間に合わせて休憩時間を設定する必要があります。

    法律では、6時間を超えて8時間以下の労働に対しては45分以上、8時間を超える労働に対しては60分以上の休憩を与えなければなりません。

    たとえば、従業員に20時から翌5時までの計9時間勤務させる場合、労働時間が8時間を超えないように1時間以上の休憩時間を与える必要があります。

    夜勤における割増率の考え方

    従業員に夜勤をさせると、深夜労働の割増賃金が発生します。時間帯により時間外労働の割増賃金も発生するため、労働時間の集計や給与計算は複雑になりがちです。

    夜勤における割増率の考え方について詳しく解説します。

    基本の考え方:深夜労働は割増率25%

    22時から翌5時までの深夜労働には、25%の割増賃金が発生します。時給制は、深夜労働時間に対して割増賃金を加算して支給すれば問題ありません。

    月給制は、1時間あたりの基礎賃金を計算する必要があります。算出した基礎賃金に対して、25%の割増賃金を支給しましょう。

    例:22〜翌6時勤務の場合

    従業員に22時から翌6時まで勤務させる場合を例に挙げて解説します。

    このとき休憩時間を除く22時から翌5時までの労働時間に対しては、深夜手当として25%の割増賃金を支払わなくてはなりません。翌5時から6時までの1時間は、基礎賃金のみを支給します。

    基本の考え方:法定労働時間(8時間)を超えると割増率25%

    労働基準法により、従業員の労働時間の上限は原則「1日8時間・1週間40時間」と定められています。万が一、この法定労働時間を超過すると、時間外労働と見なされ25%の割増賃金が発生します。

    例:22〜翌6時勤務で1時間残業した場合

    22時から翌6時まで勤務予定だった従業員が翌7時まで残業し、法定労働時間を1時間超過した場合を例に考えてみましょう。

    深夜手当として25%の割増賃金が発生する対象は、22時から翌5時までの労働時間です。さらに、翌朝5時から6時までの1時間については、時間外手当として25%の割増賃金が発生します。

    応用:深夜残業は割増率50%

    22時から翌5時までの深夜時間帯に残業すると、賃金の割増率が深夜手当の25%と時間外手当の25%を合算した50%となります。

    例:17〜翌1時勤務で1時間残業した場合

    17時から翌1時まで勤務予定だった従業員が1時間残業し、法定労働時間を1時間超えたケースを例に見ていきましょう。

    深夜手当が発生するのは、休憩時間を除いた22時から翌1時までの労働時間です。

    また、翌1時から2時までの1時間分については、25%の深夜手当に加えて25%の時間外手当も発生するため、割増率は50%です。

    応用:日勤が深夜に及んでも割増率25%

    夜勤ではなく日勤でも、残業によって勤務時間の一部が深夜時間帯に及ぶことは少なくありません。この場合も、深夜手当として割増賃金が発生します。

    例:14〜23時勤務の場合

    従業員が14時から23時まで勤務した場合、22時から23時までの1時間は深夜労働に該当するため、25%の割増率が適用されます。

    賃金の計算は1分単位で行い、数分でも22時を超えていたら割増賃金を支払わなければなりません。

    夜勤従業員の休日の設定方法

    労働基準法第35条には、夜勤に従事する従業員の休日に関するルールが定められています。

    誤解されがちですが、夜勤従業員の夜勤明けの休日はあくまでも出勤日です。特例を除き、夜勤明けから次の勤務まで24時間以上確保するだけでは、休日を取得させたことにはなりません。

    たとえば、従業員が月曜日の20時から翌5時まで勤務したあとに休日を設定する場合は、夜勤明けの日の翌日である水曜日の0時から24時まで休ませる必要があります。休日は暦単位で与えなければなりません。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    夜勤について押さえておきたい法律上のルール

    夜勤の考え方を理解するうえで、押さえておきたい法律上のルールを解説します。

    年少者や妊産婦は夜勤ができない

    労働基準法第61条により、原則として18歳未満の年少者の深夜労働は禁止されています。18歳未満は深夜労働だけでなく、時間外労働や休日出勤も原則として認められていません。

    また、労働基準法第66条では妊産婦が請求した場合、企業は時間外労働や休日労働、深夜労働を強制できないと定められています。夜勤をさせられない対象者を正しく理解し、適切な勤怠管理を行っていきましょう。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    夜勤明けは原則休日にできない

    夜勤明けに休日を取らせる場合、夜勤明けの当日は原則として休日として認められません。休日は以下のように定義されています。

    休日とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。休日は、原則として暦日、すなわち午前0時から午後12時までの24時間をいいます。

    引用:『休憩・休日』徳島労働局

    つまり、夜勤明けから次の勤務まで24時間が空いていたとしても、休日を与えたことにはならないため注意が必要です。

    また、夜勤明けに休日を取らせる場合は、法定休日についても考慮しなければなりません。法定休日とは、労働基準法第35条により、使用者が労働者に「週に1日もしくは4週に4日」与えなければならないと定められている休日です。

    夜勤明けの日とは別に、休日を4日与えなければならないと覚えておきましょう。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    夜勤明けの日勤勤務は違法ではないが、避けた方がよい

    夜勤明けの日に日勤で勤務すること自体は違法ではありませんが、可能な限り避けるべきです。

    夜勤明けの次の勤務について、法的な定めはありません。週に1回もしくは4週に1回の法定休日を与えていれば、夜勤明けの翌日を休日とせず、夜勤明け後に日勤や準夜勤をさせても問題はないのです。

    しかし、従業員を雇用する使用者には、労働契約法第5条や労働安全衛生法第3条により安全配慮義務が課されています。安全配慮義務とは、労働者が身体や生命の安全を守りつつ働けるように配慮すべき義務のことです。

    夜勤明けに日勤を強いられることは、従業員にとって身体的・精神的に大きな負担となる恐れがあります。夜勤からの日勤をしないと現場が回らないような人材不足を解消し、勤務間インターバル制度を導入するなどの対策をとり、働きやすい環境を整えていきましょう。

    参照:『労働契約法』e-Gov法令検索
    参照:『労働安全衛生法』e-Gov法令検索

    夜勤従事者には健康診断を年2回受けさせる

    労働安全衛生規則の第45条において、夜勤に従事する従業員に対しては年2回の健康診断を実施しなければならないと定められています。深夜労働は健康被害が出やすい特定業務に指定されているためです。

    年2回の健康診断の対象となるのは、週に1回または月に4回以上夜勤を担当している従業員です。深夜労働が短時間であったとしても、22時以降の深夜帯に週1回以上、もしくは月に4回以上勤務させる場合は対象となるため注意しましょう。

    健康診断を受診するタイミングは、配置換えの時期および6か月以内に1回です。

    参照:『労働安全衛生規則』e-Gov法令検索

    夜勤のシフト例

    夜勤を含むシフトには、さまざまな形態が存在します。その中でもよくあるシフトは、次の3タイプです。

    • 固定シフト制
    • 2交替制
    • 3交替制

    固定シフト制とは、特定の時間帯にのみ勤務する働き方です。労働契約を締結するタイミングで勤務時間を夜勤に固定するため、夜勤以外のシフトは担当しません。

    2交替制は、24時間を2つの時間帯に分けて勤務する働き方です。日勤・夜勤ともに12時間ずつ区切るシフトや、「日勤は8時間、夜勤は16時間」のように勤務時間に差をつけるシフトなどがあります。

    3交替制は、1日を3つの時間帯に分けて勤務する働き方です。「早番・中番・遅番」や「日勤・夕勤・夜勤」のように、8時間ずつ3つのシフトに区切るケースがよく見られます。

    夜勤の労働時間を正確に管理するには?

    夜勤の多い変形労働時間制を採用する職場では、勤怠管理が非常に複雑です。日付変更時刻をまたぐ夜勤シフトは労働時間の計算方法を工夫する必要があり、変化する法改正へも対応していかなければなりません。

    タイムカードで勤怠管理を行っていると、管理に手間と時間がかかるだけでなく、打刻漏れをはじめ不正打刻や集計ミス、さらにはデータ改ざんのリスクなども考えられます。

    エクセルで勤怠を管理している場合も、手入力による入力ミスや作業効率の悪さが懸念されるうえ、データの保管・バックアップの対応も必要です。

    そこで夜勤シフトにも柔軟に対応する勤怠管理システムの導入も一案です。労働時間の集計はもちろん、割増賃金の計算と給与への反映も自動化できるため、担当者の事務作業の負担を軽減できるでしょう。

    夜勤対応の勤怠管理システムとは

    勤怠管理システムとは、従業員の労働状況を管理できるシステムです。システム上で従業員の出退勤を記録し、労働時間や残業時間を自動で計算できます。エクセルやタイムカードのように手作業の必要がないため、人為的ミスを防げるだけでなく作業効率の向上も実現できるでしょう。

    夜勤にも対応している勤怠管理システムを導入すると、夜勤を含む変形労働時間制で働く従業員の労働時間集計もスムーズです。正確な労働時間を手間をかけずに把握できるようになるでしょう。夜勤に従事する人の休日の管理や、労働関連の法律に自動で対応できる点も大きなメリットです。

    紙やエクセルを使って勤怠管理をしている企業は、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。

    夜勤を含む勤怠管理をシンプルに|One人事[勤怠]

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    One人事」とは?
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    夜勤対応の勤怠管理システムの活用がおすすめ

    夜勤のうち、深夜労働である22時〜翌5時の時間帯に勤務する場合は、深夜手当として25%の割増賃金が発生します。残業により時間外労働が発生した場合は、深夜手当以外に25%の時間外手当も加算しなければなりません。

    夜勤を担当する従業員の労働時間の把握や賃金計算は、日勤の従業員よりも複雑になりがちです。夜勤対応の勤怠管理システムを導入することで、夜勤の労働時間をすばやく正確に計算でき、担当者の業務負担を軽減できます。

    従業員の健康管理と勤怠管理を徹底し、働きやすい環境を整えていきましょう。