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残業を減らす取り組み【すぐに始められる】なぜ減らない? 成功事例やよくある失敗例も紹介

残業を減らす取り組み【すぐに始められる】なぜ減らない? 成功事例やよくある失敗例も紹介

残業の多さに悩む企業や従業員は少なくありません。残業を減らすために、さまざまな取り組みを行っている企業もいるのではないでしょうか。働き方改革の影響もあり長時間労働の是正が求められているなか、取り組みの成果があらわれず、残業が減らずに悩んでいる担当者もいるかもしれません。

本記事では、今日から始められる残業を減らす具体的な取り組みを紹介するとともに、なぜ残業が減らないのか、原因を掘り下げます。また、成功事例やよくある失敗例を通じて、実際に役立つ施策を紹介します。働きやすい職場環境を目指すためにお役立てください。

 

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    残業が減らないのはなぜ? 考えられる理由

    さまざまな取り組みをしても残業が減らないのはなぜでしょうか。主な理由は以下の通りです。

    • 1人あたりの業務量が多すぎる
    • 業務が属人化している
    • 業務内容と従業員の能力が見合っていない
    • 適切な勤怠管理がされていない
    • コミュニケーションが不足している
    • 残業が評価される傾向にある

    1人あたりの業務量が多すぎる

    残業が減らない理由の一つとして、個々の社員に対する業務量が多すぎることが挙げられます。本来であれば、勤務時間内に業務を完了することが望ましいですが、適切に業務を分担できていないと残業が発生します。管理職は部下の業務量を把握して、適切に管理することが重要です。

    業務が属人化している

    業務の属人化も残業が減らない理由の一つです。

    業務の属人化とは、特定の従業員しか業務の内容や進め方を把握していない状態のことです。属人化が進むと、その従業員が不在の際に業務が停滞するなどのリスクがあります。属人化を防ぐには、業務の標準化や知見の共有が重要です。 

    業務内容と従業員の能力が見合っていない

    業務内容が従業員の能力と合っていないと、残業が減らない一因となります。個々の能力と業務の処理スピードは関連しているため、能力が低いと業務効率も上がりません。日頃から一人ひとりの能力を可視化して管理し、個々に適した研修・育成を実施して、効率的にメンバーのスキルアップをはかることが重要です。

    適切な勤怠管理がされていない

    勤怠管理が不十分だと、労働時間が正確に把握されず、残業が見過ごされやすくなります。たとえば、手書きのタイムカードを使用する職場では、改ざんが容易であるため、残業時間が正確に記録されない可能性も否定できません。

    勤怠時間の改ざん防止には、勤怠管理システムの活用をおすすめします。自社の運用に適した勤怠管理システムを導入し、仕組みを整えることで、より正確な労働時間の管理が実現します。

    コミュニケーションが不足している

    社内コミュニケーション不足も、残業が減らない原因の一つです。

    部署間や上司とのコミュニケーション不足が原因で、仕事の進捗に遅れが生じる場合があります。情報共有が不十分だと、業務の進捗に遅れが生じて作業効率が低下します。

    管理者は部下の仕事内容をすべて把握できません。そのため、定期的なミーティングや報告を行うことで業務内容も把握できて残業が減少します。

    情報共有が不十分だと、業務の遂行に遅れが生じ、全体の作業効率まで低下させることがあります。特に、部署同士や上司と部下のコミュニケーションは大切です。

    マネジメント層がすべての部下の状況を把握できるわけではありません。定期的なミーティングや報告会を実施して業務内容を把握する機会を設けることで、残業の減少につなげられるでしょう。

    残業が評価される傾向にある

    残業が多いほど評価される社内文化があると、従業員が積極的に時間外労働をする傾向があります。短時間で終わる業務も時間をかけて行うようになるため、効率的な働き方が阻害されます。対策として、労働時間ではなく、成果に基づいた評価制度の導入が求められるでしょう。

    残業が多いほど評価される社内文化があると、従業員は積極的に時間外労働をする傾向があります。本来なら短時間で終わる業務も時間をかける従業員もあらわれ、効率的な働き方から遠のいてしまいます。残業を減らすには、労働時間でなく成果や実績に基づいた評価制度を導入することが求められるでしょう。

    残業時間の削減によって得られるメリット

    残業時間を削減することには、以下の通り多くのメリットがあります。

    • 業務効率と生産性が向上する
    • 人件費を削減できる
    • 離職率が低下する
    • 企業イメージが向上する

    業務効率と生産性が向上する

    効率的な働き方が促進されることで、業務効率と生産性が向上するメリットがあります。たとえば、生産性向上を目的としたツールやシステムの導入があります。業務プロセスが簡略化されて、より多くの業務をこなせるようになるでしょう。

    残業を減らすことにより、業務効率と生産性が向上します。効率的な働き方を推進することで、従業員は限られた時間内で最大限のパフォーマンスを発揮するように努めます。

    たとえば、業務フローの見直しによるプロセスの簡略化や、生産性向上を目的としたツール・システムの導入が有用です。従業員一人ひとりが短時間でより多くの業務をこなせるようになれば、組織全体の生産性が向上するでしょう。

    人件費を削減できる

    人件費の削減につながることも、残業時間を削減するメリットの一つです。残業が多い企業では、従業員への割増賃金の支払いが高額になり、大きな負担となっています。全体の残業時間を減らせると、結果として会社の財務負担が軽減されるでしょう。これにより、経営資源をほかの重要な領域に振り分けることが可能になります。

    離職率が低下する

    残業を減らすことで、労働時間が適切に管理され、従業員が仕事とプライベートを両立しやすくなります。従業員満足度が向上し、結果として離職率の低下も期待できるでしょう。

    特に最近は、仕事だけでなく家庭や趣味の時間も大切にする働き方が重視されています。残業が少ない環境は従業員にとって魅力的に映り、ワークライフバランスを維持できる職場として、安心して長く働き続けられるでしょう。

    企業イメージが向上する

    残業時間の削減は、残業が少なくて働きやすい職場として、企業イメージの向上にもつながります。日本では長年、長時間労働による過労死などが深刻な問題とされてきました。残業が多い企業にはネガティブなイメージを持たれやすいです。

    残業を減らすことを達成できれば、企業の評価が高まり、ブランド価値も向上する可能性があります。企業が戦略的に働きやすい環境をアピールすることで、採用活動においても優位に働くため、優秀な人材が集まりやすくなることもメリットです。

    【すぐに始められる】残業を削減するための取り組み

    残業を削減するための主な取り組みは以下の通りです。

    • 従業員の業務内容を見直す
    • 事前申請制度を導入する
    • 残業をさせない仕組みづくりをする
    • 労働時間を把握できるようにする
    • 業務内容や進捗を共有する
    • 業務の一部を外部に委託する
    • 属人化している業務を標準化する
    • 人事評価制度を導入する
    • 残業チケット制を取り入れる

    従業員の業務内容を見直す

    残業を減らすためには、現状の業務フローを可視化し、詳細に分析することが重要です。業務フローや所要時間、関係者などを洗い出し、重複作業の有無、ボトルネック、属人化している業務などを把握します。

    次に、分析結果を踏まえて業務フローの再構築を行います。具体的には重複の排除、工程の統合・順序見直し、マニュアル化、システムによる自動化、外部委託による効率化などです。

    重要度と優先度を明確にし、不要な業務を削減して、適正な業務分配をすることで、残業を減らすことにつながります。

    事前申請制度を導入する

    残業の削減に向けて、残業を行う際は事前に上司の承認を得る申請制度を設ける方法があります。事前申請にすると、残業の必要性を事前に検証でき、不要な労働時間を削減できます。

    残業の申請制度を導入する場合、申請期限や承認フローを明確にし、申請しやすい雰囲気づくりを整備することが重要です。また、申請内容を記録して定期的に見直すことで、残業の傾向を把握すると、改善につなげられます。

    残業を当然と考える組織風土から、必要な場合にのみ残業を行うという意識改革が促進されるでしょう。

    残業をさせない仕組みづくりをする

    定時退社を推奨する社内ルールや仕組みを整備することも、残業を減らすための効果的な方法の一つです。退社時間になると自動的にパソコンがシャットダウンするシステムを導入したり、定時退社を奨励するアラームを設定したりする仕組みが考えられます。

    労働時間を把握できるようにする

    勤怠管理システムを導入して、正確な労働時間を管理することも、残業を減らす取り組みの一環です。労働時間を客観的に把握できれば、残業が多くなりそうな従業員に声をかけて、業務時間の削減を指示できます。

    勤怠管理システムの中には、出退勤の記録だけでなく、集計データを利用した分析のほか、さまざまな機能が備わったサービスもあります。勤怠管理システムの導入で実現できることは以下の通りです。

    • 勤怠状況のタイムリーな把握
    • アラート機能による従業員への通知
    • 適切なタイミングでのマネジメント
    • 事前申請制度の導入支援
    • ノー残業デーの効果測定

    業務の内容や進捗を共有する

    残業を減らすには、業務の内容や進捗状況を関係者間で共有し、進捗管理を徹底することも重要です。プロジェクト管理ツールを活用したり、定期的な進捗報告の機会を設けたりすることで互いに状況を把握してもらい、業務の重複や漏れを防止できます。

    共有をこまめに行うと、課題やトラブルを早期に発見し対処できるため、効率的な業務遂行につながります。

    業務の一部を外部に委託する

    アウトソーシングにより、業務の一部を外部に委託することも残業を減らす方法の一つです。専門的な仕事を専門家に任せることで、社内のメンバーはコア業務に集中できるうえ効率化が進み、結果的に残業時間も削減されるでしょう。

    属人化している業務を標準化する

    属人化している業務のマニュアル化を行って、誰でもこなせるようにします。業務フローのドキュメント化や動画マニュアルの作成により、業務の標準化をはかります。結果的に特定の従業員への業務の集中が防げるでしょう。

    属人化している業務のマニュアル化を行い、誰でもこなせるようにすることも大切です。業務フローの可視化や動画マニュアルの作成により、業務の標準化をはかります。特定の従業員への業務負担の集中を防げるようになり、残業の削減につながるでしょう。

    人事評価制度を見直す

    従業員の評価制度を労働時間ではなく、業績や成果に基づくものに変更しましょう。具体的には、目標対実績を測るOKRやKPIに基づく評価制度の導入が有効です。これらの指標は、従業員が掲げた目標に対する達成度を測るものです。

    一方、労働時間中心の評価制度では、業績とは関係なく勤務時間のみで判断されるため、労働時間内で優れた成果を上げている従業員の不満が生じる可能性を想定しておかなければなりません。

    成果主義の評価制度を取り入れることで、長時間労働をしなくても優れた業績を上げた従業員が適切に評価され、モチベーションの維持・向上が期待できます。

    また、目標達成に向けて効率的に業務を行うインセンティブになり、無駄な残業の削減にもつながるでしょう。このように、評価の基準を労働時間から成果へとシフトさせることが、ワークライフバランスの確保と生産性の向上に役立ちます。

    従業員の評価制度を労働時間ではなく、業績や成果に基づくものに変更することも、残業を減らす取り組みとして有効です。具体的には、MBO(目標管理制度)やOKRなど目標に対する達成度を測る制度の導入が挙げられます。

    労働時間内で優れた成果を上げている従業員が適切に評価されるようになると、個々のモチベーションの維持・向上が期待できます。

    残業チケット制を取り入れてみる

    残業時間を適切に管理するための新しい取り組みとして、「残業チケット制」の導入も一案です。

    残業チケット制とは、残業時間に対してチケットを発行し、その範囲内でのみ残業を認める仕組みです。チケットの発行と管理は一般的に上司や管理職の役割です。チケット使用率をモニタリングすることで、無駄な残業を減らせるでしょう。

    残業チケット制を導入する際は、チケットの発行枚数や有効期限を適切に設定する必要があります。また、従業員間の不公平感を解消するため、チケットの付与基準を明確にすることや、チケットの使い切りを強制しないなどのルール決めが重要です。

    残業を削減するときによくある失敗例

    残業削減の取り組みの中でよくある失敗は、残業が発生する理由を特定せずに、対策を講じてしまうことです。そもそも残業が発生してしまう原因が不明確であれば、具体性に欠ける施策しか立案できず、本質的な改善は期待できません。

    施策を実行する前に、1on1ミーティングなどで従業員一人ひとりの業務内容を詳細に確認し、残業の発生原因を特定することが不可欠です。ただし、従業員から率直な意見を引き出すことは簡単ではありません。残業削減の担当者や各部署のマネジメント層が中心となり、従業員から改善策や具体的施策を募る必要があります。

    提案された施策を実際に実行し、効果を検証しながら改善を試みることで、残業の削減がはかれるでしょう。

    残業削減に取り組んだ企業の成功事例4選

    最後に、残業を減らす取り組みに成功した企業の事例を4社紹介します。

    カルビー株式会社

    カルビー株式会社では、残業削減のために以下の取り組みを行いました。

    • 事業所ごとのノー残業デー
    • 定型業務の削減
    • モバイルワークの標準化
    • フルフレックスタイムの導入

    従業員のワークライフバランスを重視して、業務の見直しや効率化を進めることで、労働生産性と従業員満足度の向上を実現しています。

    参照:『カルビー株式会社:働き方・休み方改善取組事例』働き方・休み方改善ポータルサイト
    参照:『働き方の多様性への対応』カルビー株式会社

    SCSK株式会社

    SCSK株式会社では、削減できた残業代を特別ボーナスとして社員に還元する取り組みや、一斉年休制度の導入などを行いました。残業削減だけを訴えるのではなく、従業員へ還元する取り組みも並行した結果、月の残業時間が約10時間減少しました。

    有給取得の促進についても積極的に取り組んでいます。取り組み開始当初の2008年度に13日だった年間有給取得日数1は、2014年度には19.2日まで増加しました。

    従業員に還元する取り組みで、残業時間の削減を達成しています。

    参照:『夢ある未来の創り方: 自分たちから変わる、変える。SCSKの働き方改革。 働きやすい、やりがいのある会社へ』SCSK株式会社

    住友商事株式会社

    住友商事株式会社は、メリハリのある働き方を推進して残業削減に取り組んでいます。

    具体的には、金曜日は有給取得または15時退社を推奨しています。結果的に有給休暇取得者および、フレックス退社する従業員が1.5倍増加し、残業時間も2014年度比で10%ほど削減しています。

    参照:『住友商事株式会社:働き方・休み方改善取組事例 』 働き方・休み方改善ポータルサイト

    伊藤忠商事株式会社

    伊藤忠商事株式会社では、朝型勤務への切り替えで残業時間の削減に成功しました。

    20時以降の残業を原則として廃止し、22時以降の残業を禁止して朝5時から8時からの勤務開始を推奨しています。15時退社も認めています。

    朝型勤務に切り替えることで労働生産性および、残業削減が促進されています。

    参照:『朝型勤務』伊藤忠商事株式会社

    まとめ

    残業削減は一朝一夕に解決できる課題ではなく、継続的な取り組みが求められます。業務フローを徹底して見直し、無駄な工程を排除して効率化をはかる必要があります。さらに、適切な労働時間管理の仕組みを整備して、従業員一人ひとりの労働実態を正確に把握することも重要です。

    残業を制限するだけでは個々の生産性の低下を招く恐れがあるため、業務の標準化やITツールの積極的な活用による業務改善にも注力しましょう。評価制度の見直しやインセンティブの付与など、従業員のモチベーションに配慮した施策も欠かせません。

    残業削減を成功させるためには、経営陣から従業員まで全員が、残業削減の重要性を理解し、協力する姿勢を持つことがとても大切です。ノー残業デーの設定や終業時間の周知徹底など、意識改革を促す取り組みも有効な手段といえるでしょう。

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