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役員に有給休暇はある? 働き方や使用人兼務役員についても解説

役員に有給休暇はある? 働き方や使用人兼務役員についても解説

企業における役員の場合、有給休暇の取り扱いはどのようになるのでしょうか。一般的に役員は、企業との雇用関係にはないため、労働者の権利として取得できる有給休暇の対象ではありません。ただし、例外的に有給休暇を取得できる場合もあります。

本記事では、役員の場合における有給休暇の取り扱いについて解説しながら、役員の働き方や有給休暇を取得できるケースについてご紹介します。企業の役員はもちろん、経営層や有休管理担当者もぜひ参考にしてください。

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    役員は有給休暇の対象ではない?

    企業の役員は、有給休暇の対象ではないとされています。ではなぜ役員が有給休暇の対象にならないのか確認してみましょう。

    役員は就業規則の対象ではない

    役員は、企業が定める就業規則の対象ではありません。就業規則は雇用関係を結ぶ労働者に適用されるため、雇用関係にない役員は適用外ということです。役員は、別途定める役員規程によって会社経営にかかわります。

    役員に有給休暇は付与されない

    役員は、会社との雇用関係になく、労働基準法が適用されないため、労働基準法の有給休暇は付与されません。役員の場合は「委任契約」として働くため、一定の条件で働く労働者を対象にした有給休暇の取得はできないということです。

    役員には休日・休暇はない

    役員の場合、企業の就業規則が適用されないため、場合によっては時間に関係なく働いたり企業の休日に働いたりすることもあるでしょう。

    また、役員は勤務時間の定めがないため、長く働いても残業にはならず、残業代も支給されません。残業という概念がないということを理解しておきましょう。

    役員の働き方

    役員は就業規則や労働基準法の対象にはならないということですが、役員に就任した場合、実際にはどのように働くのでしょうか。

    役員とは

    役員について、会社法では

    • 取締役
    • 会計参与
    • 監査役

    の3つが定義されています。

    参照:『会社法』e-GOV 法令検索

    取締役は、企業の業務を執行するための意思決定を行う役員を指します。一般的には、株式会社には最低1人以上の取締役を設置しなければならず、取締役会設置会社では最低3人の取締役を設置する必要があります。

    会計参与とは、取締役とともに賃借対照表や損益計算書、事業報告書などの書類を作成する役員を指します。会計の専門家として、税理士や税理士法人、公認会計士や監査法人のいずれかが就任することになります。

    監査役とは、取締役や会計参与の仕事を監査するための役員です。会社として法令違反などをしていないかなどをチェックしながら企業の経営を監査します。法令違反だけでなく、会計書類などが正しく処理されているかどうかなども確認する役割があります。

    役員の働き方

    取締役は、企業との雇用契約を結ぶのではなく委任契約を結びます。委任契約ではみずからの判断で独立して業務を行いますが、契約内容に基づいて企業の成長などに尽力しなければなりません。

    また、役員は労働基準法や就業規則も適用されないため、勤務時間や休日などの勤怠管理も不要ということになります。

    役員のルールは役員規程で定められる

    役員の場合、役員規程によってルールが定められます。役員規程とは、企業の役員に関する決まりを規定したルールのようなものです。

    一般的な従業員などの労働者は就業規則や労働基準法が適用されることになりますが、役員には労働者ではないため、これらのルールが適用されません。そのため、企業では別途役員規程を策定する必要があるのです。

    役員規程では、役員の選任や退解任、処遇、条件、職務執行に関するルールなどを定めます。一般的な役員規程の項目例は以下のようなものが挙げられます。

    • 役員の定義
    • 役員の就任と選任
    • 役員の解任と退任
    • 役員の任期
    • 役員退任後の地位と身分
    • 役員の人事評価
    • 役員の職務
    • 禁止事項
    • 勤務体系
    • 賃金の取り扱い

    役員規程は、役員として従事するための規律として活用できます。法律上の作成義務はありませんが、役員を選出するにあたって、役員が守るべきルールを明文化したりトラブルを防止したりするためにも作成するとよいでしょう。

    役員における有給休暇の取り扱い 

    役員に有給休暇はある? 働き方や使用人兼務役員についても解説

    役員の場合、基本的には有給休暇は付与されませんが、労働者性が認められる場合は対象となるのをご存知でしょうか。では、具体的にどのような場合に労働者性が認められるのかを解説します。

    使用人兼務役員の場合

    使用人兼務役員とは、役員であっても、企業における従業員としての地位があるうえで常時職務に従事する人です。たとえば、取締役兼部長や取締役兼工場長などが該当します。

    役員と使用人兼務役員の大きな違いは、ほかの労働者と同じような労働者性が認められるかどうかという点です。使用人兼務役員の場合は、雇用保険の適用がされる点も労働者としての扱いに近いことがわかります。

    そのため、使用人兼務役員でも、労働者としての要素が強い場合には労働者として有給休暇の対象とする必要があるとしているのです。

    役員から従業員になった場合

    企業では、何らかの事情によって役員を退任して従業員になるケースもあります。

    従業員になった場合は、労働者としてその日から労働基準法や就業規則が適用されるため、有給休暇の対象にもなります。有給休暇の付与日数については、原則として従業員になってからの期間で計算します。

    ただし、役員の期間も含めて計算する場合は結果的に付与日数が多くなり、労働者の利益になるため違法にはなりません。企業判断にはなりますが、トラブル防止のためにあらかじめ役員規程や就業規則において明文化しておくとよいかもしれません。

    兼務役員の場合でも年5日の有給取得義務対象者になる?

    有給休暇は、2019年4月より一部取得が義務化されました。有給休暇の義務化は、年10日以上の有給休暇が付与される場合は年5日を取得する義務があるという内容です。

    ただし、義務化の対象は年10日以上付与されている労働者のため、使用人兼務役員の場合は、有給休暇が何日付与されているかによって取得義務があるかどうかが変わってくるでしょう。

    有給休暇の仕組み

    有給休暇とは、企業が一定の条件を満たした労働者に対して付与する休日です。

    有休の取得条件は、

    • 雇用開始の日から6か月が経過していること
    • 全労働日の8割以上の出勤がなされていること

    とされています。

    最初の有給付与日(基準日)から1年が経過した以降、勤続年数によって付与される有給日数が増えていくという特徴がありますが、6年6か月以降は同じ日数となり、20日が付与されます。

    参照:『しっかりマスター労働基準法ー有給休暇編ー』厚生労働省

    義務化の内容や変更点

    有給消化の義務化における内容は、有給付与日から1年以内に、新たに付与された付与日数のうち5日を取得させなければならないということです。ただし対象者は年10日以上の有給休暇を付与されている場合に限ります。

    参照:『年5日の年次有給休暇の確実な取得』厚生労働省

    義務化に違反した場合

    有給消化の義務化は、労働基準法で定められているため、違反した場合は労働基準法違反として処分される可能性があります。違反した場合は、違反した労働者1人につき、30万円以下の罰金が企業側に科せられるため、注意しなければなりません。

    参照:『労働基準法 第39条、第120条』e-GOV法令検索

    役員でも有休管理が必要な場合もある

    役員は、原則として勤務時間などの概念がなく、有給休暇も付与されないため、勤怠管理や有休管理も必要ありません。

    しかし、使用人兼務役員の場合などにおいて労働者として働く場合には、一般的な従業員と同様に勤怠管理や有休管理をしなければなりません。

    これらをすべてを手作業で管理しようとすると、人為的ミスなど情報管理の面でもリスクがともないます。勤怠管理システムなら従業員の勤怠管理だけでなく、有休管理に役立つ機能が搭載されているものもあるため、おすすめです。

    使用人兼務役員の場合は、労働者として勤務する場合と役員として仕事をする場合で分けて扱うケースもあるでしょう。とくに管理が複雑な場合には、システムで効率化してみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    役員は、企業との雇用関係にはないため、有給休暇の対象ではありません。ただし、使用人兼務役員など、労働者として働く要素がある場合には有給休暇が付与されるケースがあります。

    役員はすべて有給休暇の対象ではないと思い込んでしまうことでトラブルに発展する危険性もあるため、どのような場合に対象になるのかなどについて、理解を深めておきましょう。

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