タイムカードの押し忘れを防ぐ6つの対策とは? 企業が注意すべき対応についても解説
従業員のタイムカードの押し忘れは、一見小さなミスとして軽視されがちです。しかし、給与計算作業が滞るだけでなく、従業員の労働時間の不正確さは、企業に大損失をもたらす可能性があるでしょう。
さらに、タイムカードを押し忘れたことに対して減給や欠勤扱いなどのペナルティを設けると、労働基準法違反となってしまう恐れもあります。
本記事では、タイムカードの押し忘れを防ぐ6つの具体的な対策方法をはじめ、注意点やペナルティについて解説します。
タイムカードの押し忘れによる企業側のリスク
タイムカードは、従業員の労働時間を正確に記録、把握するために重要な役割を持つ、従業員の勤怠管理に必要不可欠なツールです。従業員を雇用する企業は、タイムカードによって人件費を算出するための基礎データを生成できます。
しかし、タイムカードの押し忘れが発生することで、正確な人件費の算出が難しくなり、結果として従業員との間に大きなトラブルに発展する恐れがあります。給与計算が滞ったり、残業代などの未払いが発生したりすると、最悪の場合は裁判などに発展してしまうケースも考えられるでしょう。
さらに、タイムカードの押し忘れが発生することで、人事や労務の負担が大幅に増えてしまうリスクもあります。入荷証や監視カメラの映像などで事実確認をする手間が増えれば、経済的にも大きな損失が生じるでしょう。
タイムカードの押し忘れを未然に防ぐ6つの対策
タイムカードの押し忘れを未然に防ぐために実践できる6つの対策は、次の通りです。
- タイムレコーダーを目に留まりやすい場所に設置する
- 出退勤前に立ち寄る場所にポスターなどを張って注意喚起する
- リマインダー機能などを利用する
- 部署ごとにタイムカードの管理をしてもらう
- 罰則を決める
- 簡単に打刻できるシステムを導入する
それぞれの内容について、詳しくご紹介します。
タイムレコーダーを目に留まりやすい場所に設置する
タイムレコーダーは、従業員の目に留まりやすい場所に設置することが大切です。目にとまりやすい場所に設置すれば、出退勤時の押し忘れを防げるでしょう。
タイムカードの置き場所を2か所に設置するのもおすすめです。カードを押す前と押したあとで異なる場所に置くようにすることで、押し忘れた従業員をひと目で把握でき、早い段階で押し忘れに気付けます。
出退勤前に立ち寄る場所にポスターなどを張って注意喚起する
出退勤前に立ち寄ることの多い更衣室やトイレ、喫煙所などに、タイムカードを押し忘れないよう注意喚起するポスターなどを掲示するのもおすすめです。
ただし、従業員にポスターが認知されなければ意味がないため、常に従業員の目に入る工夫を施す必要があります。定期的に設置場所を変えたり、ポスターの内容を変えたりすることで、より持続的な効果が期待できるでしょう。
リマインダー機能などを利用する
始業前にばたついたり、仕事モードになっていたりすると、いくら目の前にタイムカードが設置されていても打刻し忘れてしまう方も少なくないでしょう。
タイムカードの押し忘れの頻度が高い従業員に対しては、スマートフォンやパソコンなどのリマインダー機能やアラーム機能を活用するのがおすすめです。常に身につけているものに通知が来るよう設定することで、効果的に注意喚起できるでしょう。
部署ごとにタイムカードの管理をしてもらう
人事や労務担当者だけが勤怠管理をするのではなく、企業の部署やチームごとに、従業員同士でタイムカードを押し忘れていないか確認してもらうのもおすすめです。
毎朝タイムカードが打刻されているか、チェックする担当者を決めておけば、打刻のし忘れを防止できるでしょう。ただし、特定の従業員のみに負担がかからないよう、交代制で役割分担するなど工夫をすることが大切です。
罰則を決める
従業員にタイムカードの重要性を理解してもらうため、タイムカードの押し忘れに対して罰則の社内規定を設けることも一つの方法です。
打刻漏れをするたびに罰金・減給などのペナルティを課すことは法律上認められていないものの、就業規則による懲戒処分として「減給処分」を行うことは可能です。
ただし、罰則の内容によっては労働基準法違反になってしまう恐れがあるため、罰則内容に気をつける必要があります。どのような罰則が違反になるかについては記事の後半で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
簡単に打刻できるシステムを導入する
打刻する機器の使用方法が複雑であったり、時間を要したりするなどの問題があると、どうしても打刻を後回しにしてしまいがちです。打刻する機器に何かしらの問題がある場合は、従業員にタイムカードを押し忘れないよう求める前に、システム自体を見直す必要があるでしょう。
近年の勤怠管理システムは、パソコンやスマートフォン、タブレット、ICカードなどさまざまなツールと連携できるものが数多くリリースされています。操作性のよさや手軽さが、押し忘れの防止につながるでしょう。
従業員がタイムカードを押し忘れてしまった場合の企業側の対処
従業員がタイムカードを押し忘れてしまった際に、企業が取るべき対処法は次の3つです。
- ほかの従業員に事実確認する
- 手書きで出退勤記録を記入する
- 罰則を課す場合は注意が必要
ほかの従業員に事実確認する
従業員のタイムカードの押し忘れが起きた場合は、同じ部署・チームの従業員にヒアリングを行うなどして事実確認をしましょう。パソコンのログや入退室履歴を確認するのも有効な方法です。トラブルを回避するためにも、従業員本人の自己申告だけでは判断しないことが重要です。
手書きで出退勤記録を記入する
従業員から押し忘れの申告があった場合は、タイムカードに押し忘れた時刻を手書きで記入してもらいましょう。
ただし、手書きで記入する際には上司の承認を取る必要があるなど、手順をあえて複雑にする工夫を施してください。従業員に「タイムカードを押し忘れるとあとが大変」と感じてもらうことで、再発防止の効果が狙えます。
罰則を課す場合は注意が必要
タイムカードの押し忘れが常習化している場合は、まず口頭で注意することから始めます。それでも改善が見られない場合は、合法となる罰則を取り入れて従業員に対応の是正を求めていきましょう。
合法となる罰則として挙げられるのは「懲戒処分による減給」や「始末書の作成」などです。減給などの重いペナルティを課す場合は、労働基準法に基づいて就業規則に記載されている必要があります。適用する際は十分注意しましょう。
タイムカードの押し忘れ対応における企業側の注意点
タイムカードの押し忘れに対応するために企業として注意すべき注意点は、次の2つです。
- 罰則を設ける場合には労働基準法に注意する
- 押し忘れたタイムカードに手書き記入する際はルールを定める
それぞれの注意点を詳しくご紹介します。
罰則を設ける場合には労働基準法に注意する
タイムカードの押し忘れによって遅刻や欠席扱いにする、または過度な減給をすると労働基準法違反になるため、注意しなければなりません。労働基準法に抵触しない罰則の例として、次の2つがあります。
- 懲戒処分による減給
- 始末書の作成
懲戒処分による減給の場合は、労働基準法第91条に基づき、以下の上限を超えないことが重要です。
1回の減給額 | 平均賃金の1日分の半額 |
---|---|
減給の総額 | 1賃金支払い期における賃金の総額の1/10 |
また、始末書の提出を指示することは可能であっても、労働者はこれを拒否する権利があるため、企業側から強要はできない点に注意しましょう。
押し忘れたタイムカードに手書き記入する際はルールを定める
従業員がタイムカードを押し忘れた際、手書きで出勤時間・退勤時間を記入しても問題はありません。ただし、不正打刻などの問題が生じないように、社内で手書き記入に関するルールを策定し、徹底して守ることが大切です。
手書き記入に関するルールとして、次のような例が有効でしょう。
- 従業員に対し書面で修正申請書の作成を求める
- 本人以外が書いてはいけない
- 上司の許可なく修正しない
- 所属部署の上長からの承認印を必要とする
- 周囲の従業員に勤務実態を確認してから記入する など
簡単に手書きができないような仕組みをつくると、押し忘れの頻度を減らせるでしょう。
就業規則にタイムカードの押し忘れに関する規定を記載しよう
タイムカードの押し忘れによるペナルティを設ける場合は、事前に就業規則や労働規約で定め、従業員に向けて周知することが重要です。あらかじめ従業員へ知らせたうえでペナルティを与えることで、無用なトラブルを避けられるでしょう。
タイムカードの押し忘れには勤怠管理システムの導入も有効
打刻作業を簡略化するために、勤怠管理システムを導入するのもおすすめです。
勤怠管理システムとは、出退勤の時間を管理し、入力されたデータに基づいて勤務時間や残業時間、欠勤などの勤怠管理に関する全般の業務を支援するシステムです。
パソコンやスマートフォン、ICカードなどで手軽に打刻できるうえ、GPS機能を搭載したシステムの導入で不正打刻の防止にもつながります。打刻する手間を省くことでタイムカードの押し忘れも防げるため、非常に有効的なツールといえるでしょう。
勤怠管理システムを導入して押し忘れ対策へ
タイムカードの押し忘れによって、給与計算や労働時間の管理が不正確になり、人事や労務の余分な仕事が増えたり、残業代の未払いが生じたりなどさまざまなデメリットがもたらされます。
タイムカードの押し忘れへの対応は、想像以上の時間と労力が必要です。従業員のタイムカードの押し忘れにお悩みの場合は、この機会に「勤怠管理システム」を導入してみてはいかがでしょうか。
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