主体性と自主性の違いをわかりやすく解説! 特徴や高める方法、上司のNG行動も
主体性とは、みずからの判断で計画実行できる力のことで、自主性とはすでに決められていることに率先して取り組む姿勢です。それぞれ似ている言葉ですが、大きな違いがあります。しかし、区別がつかない人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事は、主体性と自主性の違いをわかりやすく解説します。自主性を高める方法や部下の自主性を阻害する上司のNG行動も紹介するので、経営者や管理職の方はお役立てください。
主体性と自主性の意味
主体性と自主性の意味をそれぞれ解説します。
主体性とは
主体性とは、周囲の状況や指示を待たず、みずからの考えや判断に基づいて課題を発見し、解決に向けて行動する力のことです。
たとえば、指示を待たずに業務改善のアイデアを提案したり、新たなプロジェクトを立ち上げたりするといった行動が挙げられます。主体性のある人は、常に問題意識を持ち、状況を改善するためにみずから行動ができます。
自主性とは
自主性とは、あらかじめ決められたことを率先して行動する力のことです。たとえば、上司に指示される前に、みずから業務の改善点を見つけ出し、提案や新しい業務に挑戦する行動が挙げられます
特に新入社員は、入社してしばらくは上司や先輩の指示にしたがって仕事を進めることが多いでしょう。しかし、時間が経過すれば業務の内容が理解でき、何をすればよいか自分で考えて行動できるようになります。
みずから考えて動く自主性は会社で働くうえで必要不可欠です。
主体性と自主性の違い
主体性は指示を待たずにみずから判断し、率先して取り組む能力です。一方、自主性は決められていることへ意欲的に取り組む力をあらわします。それぞれの違いは以下の通りです。
実行の範囲 | 責任の所在 | |
---|---|---|
自主性 | 他者が決めた範囲内で率先して実行する | 行動に責任をともなわない |
主体性 | 自分で実行内容も決める | 行動に責任をともなう |
主体性はルールとして定められていないことでも、積極的に取り組む特徴があります。自主性は、理整頓や挨拶など当たり前のことを率先して行います。
特に主体性が求められる理由
ビジネスシーンにおいては、主体性が求められる場面が増えました。理由は以下の2つです。
- VUCAの時代を切り抜けるため
- リスクマネジメントのため
VUCAの時代を切り抜けるため
VUCAとは、以下の4つの単語から成り立つ言葉です。
変動性(Volatillty) | めまぐるしく変わる状況の変化に対応できる力 |
不確実性(Uncertainty) | リスクを分析して最小化するための適切な対策を講じる力 |
複雑性(Complexity) | 複雑な問題でも解決するためのアプローチを考案する力 |
曖昧性(Ambiguity) | 予測しにくい未来でも状況を理解し判断する力 |
さまざまな状況に対応する必要があるVUCAの時代において、主体性は欠かせない力となっています。
リスクマネジメントのため
変化の激しい現代において、小さなミスが取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。従業員が主体性をもって取り組むことで、小さなミスに気づき対策を講じることが可能です。
業務の進め方やサービスの質など、さまざまな場面で活かせるため、主体性を持って仕事に取り組むことは現代において役立つ力といえます。
主体性と自主性がある人の特徴
主体性と自主性がある人にはどのような特徴があるのでしょうか。それぞれ以下で主な特徴を取り上げて紹介します。
主体性がある人の特徴
主体性がある人の特徴は以下の通りです。
- 行動力がある
- 自責思考
- 前向き
- 目的思考
- リーダーシップがある
- 失敗から学ぶ
目的を明確に持ち、何を成し遂げるべきかを考慮して行動します。具体的な期限や目標を事前に定め、責任感をもって仕事に臨むため、多くの場面での活躍が期待されます。
自主性がある人の特徴
自主性がある人の特徴は以下の通りです。
- 自分で考えて行動できる
- 自身が成長するための努力を惜しまない
- 難度が高い挑戦をする
- 自信を持った行動ができる
- 周囲を巻き込む力がある
自主性も自分から積極的に行動する点は主体性と同じです。指示された仕事や日常的な業務に対しても、みずから進んで取り組む特徴を持っています。
自主性がない人の特徴
自主性がない人の特徴は以下の通りです。
- 他責思考
- 自己効力感の不足
- 当事者意識の欠如
- 周囲の影響を受けやすい性質
- 後ろ向きな行動パターン
主体性が欠ける社員には、共通する行動パターンがあります。問題発生時に他者に原因を求め、自己の能力に自信が持てず新しい挑戦を避けます。また、当事者意識が低く、他者依存の傾向が強いのが特徴です。独自の判断基準を持たず周囲の意見に流されやすく、困難な状況では消極的な思考に陥りがちです。
主体性や自主性を奪うNG行動
部下の主体性や自主性を尊重したいと考えるマネジメント層は多いでしょう。特にVUCAの時代においては、主体的な行動が評価されやすい傾向にあります。部下の主体性や自主性を奪うNG行動は以下の通りです。
- 指示ばかりする
- 公平に評価しない
- 褒めない
管理者や上司が自主性や主体性を奪う行動をすると、職場の空気が悪くなる恐れもあります。チームの活性化のためにも注意点を確認しましょう。
指示ばかりする
上司や管理者が指示ばかりすると、従業員の主体性や自主性を奪うことにつながります。部下は常に指示を待つようになると、自分で考えて行動する力を失います。また、仕事に対するモチベーション低下にもつながるため、主体性や自主性が奪われるでしょう。
公平に評価しない
不公平な評価は、部下の主体性や自主性を損なう要因です。努力や成果が正当に評価されないと、モチベーションが低下して、みずから行動する意欲も減少します。上司と部下の相性に基づいて評価すると、公正な判断が行われていないと感じる人があらわれ、不満が生じる可能性があります。このような状態が続くと、組織の全体的なパフォーマンスにも長期的に悪影響が出るでしょう。
褒めない
褒めることは、主体性や自主性を育む重要な要素です。しかし、努力や成功を認められないとパフォーマンスが低下して、積極的に行動する意欲が失われます。たとえば、過去最高成績を残したにもかかわらず、賞賛しない行為は部下のやる気を低下させるでしょう。
主体性を高める6つの方法
反対に従業員の主体性を高める主な方法は以下の6つです。
- 自分の考えを構築する
- 実行力を高める
- 積極的に人とかかわる
- 業務を任せる
- 期限を決めて行動する
- コンピテンシー評価を取り入れる
自分の考えを構築する
主体性を高めるには、自分自身の考えをしっかり持つことが重要です。周囲の人や環境に対して疑問を持ち、事態が改善する方向に進むことが求められます。また「自分だったらどうするか」という視点を常に持ち続けることで、本人の主体性を強化することが可能です。
実行力を高める
主体性を高めるには、実行力を養うことが大切です。具体的な行動計画を立てて、習慣を身につける必要があります。そのために今何を行うのか、小さな目標を達成していくことで実行力が身につきます。目標を達成すればさらに自信がつくため、より大きな課題にもチャレンジできるでしょう。
積極的に人とかかわる
積極的に人とかかわることも、主体性を高める大切な方法です。他者とかかわることで新しい視点やアイデアを得られるため、自分の考えを深めることができます。
たとえば、今まで1人で考えていた業務を人と相談して進めることが挙げられます。1人では気づけなかった視点で考えられるため、より主体的に業務を進められるでしょう。
業務を任せる
業務を部下に任せることで本人の主体性が高まります。自分がやらなくてはいけない責任感が生まれるため、主体性が育ちます。キャパオーバーにならないよう業務量を調整する必要はありますが、仕事を任せることで著しい成長が見込めるでしょう。
期限を決めて行動する
目標に対していつまでに達成するのか期限を決めることで、行動に積極性が生まれます。定められた期限に間に合わせる必要があるため、中間ゴールも具体的に決められるでしょう。その後、設定した目標に向かって業務を進めることで、主体性を持った行動ができます。
主体性のある人を参考にする
主体性のある人の考え方や行動を参考にする方法があります。主体性のある人と接することで、どのような行動をすればよいか間近で見られるでしょう。
たとえば、部下に意見をどのように伝えているのか、問題解決をするためにどのような方法を使っているのかなどを知ることができます。主体的な行動を実際に見ることで、業務に反映しやすくなるでしょう。
コンピテンシー評価を取り入れる
企業がコンピテンシー評価を取り入れることで、従業員の主体性や自主性の向上が期待できます。
コンピテンシー評価とは、企業の理想像に従業員がどれだけ達しているかを判断するものです。主体性の内容を細分化して、それぞれに合わせて組み込むことで従業員の人材育成につながります。
たとえば、業績が改善しない同僚を率先して助けるといった内容です。コンピテンシー評価を導入すると、企業が自社に適した人材を育成できます。将来的に主体性や自主性の高い従業員を求めている企業におすすめです。
企業がコンピテンシー評価を取り入れることで、従業員の主体性や自主性の向上が期待できます。
コンピテンシー評価とは、企業が求める理想の行動や成果に対して、従業員がどれだけ達しているかを判断するものです。
主体性の内容を細分化し、それぞれに合わせて評価項目を設定することで、従業員の人材育成にもつながります。
まとめ
コンピテンシー評価を導入することで、将来的に、主体性や自主性の高い従業員の育成につながるでしょう。
主体性と自主性は、現代社会で求められる重要なスキルです。主体性とは、自分自身の価値観や目標に基づいて、みずから考え行動する力を指します。一方の自主性は、与えられた範囲内で自己判断により行動を選択し、実行する力を意味しています。
主体性を高めるためには、まず自分なりの考えを構築することが不可欠です。積極的に他者とかかわり、みずからの判断で業務を任されることで、主体性を発揮できます。
一方、自主性のある人は、課題を見つけ出し、意欲的に取り組み、問題解決にこぎつけられます。
企業は、コンピテンシー評価の導入により、従業員一人ひとりの行動特性を評価し、適切な育成を行うことで、主体性と自主性を兼ね備えた人材の育成が可能です。
変化が激しい現代社会においては、主体的に考え行動する力と、自主的に判断し実行する力が求められています。主体性と自主性を備えた人材が、リーダーシップを発揮し、組織や社会に大きく貢献できるのです。企業は、こうした人材の育成に注力することが重要でしょう。
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