就業規則のテンプレート集!就業規則の作成方法・注意点も解説
就業規則は、社内ルールを明確に示すものとして会社に欠かせないものです。しかし、自社で必要になった場合、「どうやって作ればいいのかわからない」という方も多いかもしれません。就業規則の作成を行うには、テンプレートを活用すると効率的です。
本記事では、就業規則の作成に役立つおすすめのテンプレートをご紹介します。テンプレート活用に関する注意点や就業規則の基本についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
そもそも就業規則とは
就業規則を作成する際は、あらかじめ就業規則について理解しておくとよいです。就業規則の基本を解説します。
就業規則=社内のルールブック
就業規則は、従業員が守るべき事項や守られる権利などを規則として定めた「社内のルールブック」です。記載されている内容は主に、職場内におけるルール・マナーの「服務規律」と、賃金や労働時間、休暇などの「労働条件」の2つに分けられます。就業規則があることで安心して働けるうえ、トラブル防止にも役立ちます。
会社側には就業規則を周知する義務がある
作成した就業規則は従業員に周知する義務があります。就業規則の存在を書面で交付するとともに、見やすい場所に掲示したり備え付けたりすることが重要です。また、社内ネットワーク上でデータによる共有を行ってもよいでしょう。
就業規則が不要なケースも
就業規則は、労働基準法により、常時10名以上の労働者を使用する場合に作成が必要と定められています。そのため、労働者が10名未満では作成不要です。ただし、常時10名以上とは事業場単位であり、会社単位ではない点に注意しましょう。また、この場合の労働者には、正社員のほか、契約社員や非正規社員も含まれます。
就業規則の作成に使えるおすすめのテンプレート
就業規則を作成する際に使える、おすすめのテンプレートを4つご紹介します。
モデル就業規則(厚生労働省)
厚生労働省のホームページで「モデル就業規則」が公開されています。モデル就業規則には、Word形式やPDF形式のほか、外国語版(英語・中国語・ポルトガル語・ベトナム語)、やさしい日本語版が用意されているため、各事業場の実情に応じた使い方が可能です。掲載されている規程例や解説を参考にしながら作成してみましょう。
業種別のモデル就業規則
厚生労働省のホームページでは、業種別(飲食業・小売業・製造業・金融業)によるモデル就業規則も公開されています。自社の業種にあわせて参考にすると作成しやすいです。
参考:『無期転換ルール及び多様な正社員に係るモデル就業規則(飲食業)』 厚生労働省
参考:『無期転換ルール及び多様な正社員に係るモデル就業規則(小売業)』 厚生労働省
参考:『無期転換ルール及び多様な正社員に係るモデル就業規則(製造業)』 厚生労働省
参考:『無期転換ルール及び多様な正社員に係るモデル就業規則(金融業)』 厚生労働省
bizocean(ビズオーシャン)
「bizocean(ビズオーシャン)」は、ビジネス書式・文書や専門書式の書き方ノウハウを展開するビジネス書式サイトです。就業規則をはじめ、意見書や変更届出書など約40種類のテンプレートが用意されているため、作成の参考にすることができます。ただし、一部は有料なので確認してから利用しましょう。
参考:『「就業規則」の書式テンプレート/フォーマットのダウンロー』 bizocean(ビズオーシャン)
労務ドットコム
「労務ドットコム」は、正社員用やパートタイマー用、嘱託社員用など雇用形態別での就業規則のダウンロードが可能です。WordやPDFだけでなく、テキスト形式でもダウンロードできる点が特徴で、就業規則以外に各種規定のテンプレートもそろっています。
マネーフォワード クラウド給与
「マネーフォワード クラウド給与」が提供している無料の就業規則テンプレートを利用する方法もおすすめです。ただし、ダウンロードにはビジネス用のメールアドレスが必要で、事業者区分や従業員数、企業名の記入も必須となります。
参考:『就業規則(ワード) テンプレート』 マネーフォワード クラウド給与
就業規則に必要な記載事項
就業規則に記載する内容には、記載が必須な「絶対的必要記載事項」と、事業所ごとにルールを設ける場合に記載する「相対的必要記載事項」の2つがあります。それぞれについてご紹介します。
絶対的必要記載事項
就業規則に必ず記載しなければいけない「絶対的必要記載事項」として、3つの事項があります。
労働時間に関する事項
1つめの事項は、「労働時間に関する事項」です。具体的には、始業と終業の時刻、休憩時間、休日および休暇、交替制を設けている場合の就業時転換に関する事項が当てはまります。
賃金に関する事項
2つめの事項は、「賃金に関する事項」です。具体的には、賃金の決定、計算および支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期、昇給に関する事項に該当します。ただし、ボーナスなど臨時の賃金に関しての内容は除外します。
退職に関する事項
3つめは、定年退職や契約期間の満了などの「退職に関する事項」です。解雇事由についても明記する必要があります。
相対的必要記載事項
「相対的必要記載事項」は、会社として制度を定める場合に記載が必須の事項です。制度の新設だけでなく、慣行となっている制度についても記載しなければいけない点に注意が必要です。相対的必要記載事項は、下記の8項目になります。
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品などの負担に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰、制裁に関する事項
- そのほか全労働者に適用される事項
参考:『就業規則を作成しましょう』 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
任意的記載事項
就業規則の作成に必要なのは「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」ですが、法的な規制がなく会社が独自に定める事項として「任意的記載事項」があります。この事項には一般的に、就業規則の適用範囲や企業理念の解釈、副業の取り扱いなどを記載します。ただし、公序良俗や社会通念に反しない内容にすることが重要です。
就業規則の主な作成方法3選
就業規則の主な作成方法を3つご紹介します。
自社で作成する
就業規則は自社で作成することができます。その場合、インターネット上にあるテンプレートを活用する方法がおすすめです。テンプレートは簡単にダウンロード可能なため、作成に取りかかりやすく、コストを抑えられる点が魅力です。一方、法的なチェックをはじめ、すべてを自社で対応する必要があり、時間がかかりやすいといったデメリットがあります。
弁護士に依頼する
就業規則が法的に問題ないかなど、細部までチェックしたい場合は弁護士への依頼が適しています。なかでも、労働問題に特化した弁護士に依頼するとスムーズでしょう。費用は数十万円が相場のため、予算を確保しておく必要があります。
社労士に依頼する
労働法令の専門家である社会保険労務士に依頼する方法もあります。実務に精通しているため、就業規則を手間なくスピーディーに作成したい場合におすすめです。ただし、数万円~数十万円と費用に幅があり、実績や評判などをしっかり考慮して選定する必要があるでしょう。
テンプレートを使って就業規則を作成する際の注意点
テンプレートを利用して就業規則を作成する場合、次の3つの注意点に気をつけることが重要です。
テンプレートをそのまま使わない
就業規則のテンプレートは大変便利ですが、汎用的に作られているため、なかには自社に合っていないものもあります。万が一自社にとって不利な条件となる事項があった場合、後からの修正は難しいです。テンプレートはあくまでベースであり、カスタマイズする必要があることを理解しておきましょう。
雇用形態別に作成する
正規雇用と非正規雇用では適用ルールが異なるのが一般的です。そのため、就業規則は雇用形態別に作成することが重要です。その場合、管理は煩雑になりますが、できれば別冊子にしたほうが従業員にとってわかりやすいでしょう。別冊子でなければ、どの規定が誰に適用されるのかを明確に記載する必要があります。
制度の適用条件や範囲を検討する
退職金や休職に関しては法律による定めがなく、自由に決めることができます。テンプレートのままでは自社に合わないケースもあるため、制度の適用条件や範囲を検討しなくてはいけません。一般的に、勤続年数や役職などをベースに規定を設ける場合が多いです。
まとめ
就業規則は、「服務規程」と「労働条件」が記載された社内のルールブックです。10名以上の労働者を使用する場合に作成が必要となり、周知が義務づけられています。就業規則を作成する際は、厚生労働省が提供する「モデル就業規則」などを活用するのがおすすめです。就業規則の記載事項として、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」、「任意的記載事項」があり、それぞれについて把握しておくとスムーズに進められます。また、自社で作成する方法と、弁護士や社労士に作成を依頼する方法がありますが、自社で作成するならテンプレートをベースにして、カスタマイズするとよいでしょう。
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