労働生産性を向上させる方法とは? 施策と課題、成功ポイントを解説

労働生産性を向上させる方法とは? 施策と課題、成功ポイントを解説

労働生産性の向上は、業務効率化や働き方改革の観点から多くの企業が実現を目指すテーマです。しかし、具体的な取り組み方やポイントを押さえなければ、思うような成果は得られません。本記事では、労働生産性が高い組織の特徴や、向上に向けた具体的な方法・ポイントを解説します。自社の現状と照らし合わせながらご確認ください。

▼労働生産性について基礎から知るには、次の記事もあわせてご確認ください。
労働生産性とは【図解】計算式や向上の方法を解説

目次アイコン目次

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    労働生産性の向上が必要な理由

    労働生産性の向上が必要な理由はさまざまですが、主要な理由にはどのような点が挙げられるでしょうか。具体的な理由をご紹介します。

    日本の労働生産性が低いから

    公益財団法人日本生産性本部の『労働生産性の国際比較 2022』では、日本における1人あたりの労働生産性はOECD加盟国中29位(全38カ国)とされています。この調査によると「1人あたりの労働生産性」は、1970年代から90年代にかけて日本は10位台であったため、年々労働生産性が低くなっているといえます。

    参照:『労働生産性の国際比較 2022』公益財団法人日本生産性本部

    また、厚生労働省の報告書においても、日本はアメリカやドイツ、フランスと比較して、実質労働生産性と名目労働生産性がともに2/3程度の水準であることがわかります。

    参照:『労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題』厚生労働省

    企業において無駄なコストの抑制につながるから

    労働生産性を向上させると、労働時間や労働量を減らせるため、結果的に残業代や人件費の抑制につながります。無駄なコストを抑制することで、企業の資源を有効に活用できるため、企業の資金や業績にもよい影響がもたらされるでしょう。

    従業員の負担軽減ができるから

    労働生産性の向上は、従業員の負担軽減という点も大きな理由の一つです。

    労働生産性が低い状態では、従業員の残業時間や業務量の増加などで超過労働につながり、モチベーションの低下や心身の不調にもつながりかねません。労働生産性の向上で効率化や自動化ができると、従業員の負担が減り、安心して働けるでしょう。

    労働生産性とは

    労働生産性とは、労働者1人あたりが生産できる成果の効率性を示す数値です。効率性の高さを判断する際に役立ちます。

    労働生産性の数値が高いほど生産性が高いといえますが、業務効率化や労働者のスキル向上などによって、労働生産性を高められます。

    反対に労働生産性が低いと、非効率な業務を続けたり、業務負担が重くのしかかったりするなど、企業にも従業員にもデメリットが多いでしょう。

    労働生産性の種類

    労働生産性の種類には、物理的労働生産性と付加価値労働生産性が挙げられます。

    物理的労働生産性とは、労働によって得られるサービスや製品などの「生産量」を成果の対象としています。労働者が製品やサービスをどの程度生産したかを確認できる指標です。

    付加価値労働生産性とは、労働によって得られる「金銭的な価値」を付加価値として成果の対象としています。労働者が付加価値を生み出すために、どれくらいの効率で行っているかを示す指標といえます。

    労働生産性のはかり方

    労働生産性は、以下の計算式にあてはめて算出できます。

    【基本の計算式】

    労働生産性アウトプット(産出、成果)/インプット(投入、労働量)

    【物的労働生産性を示す計算式】

    1人あたりの物的労働生産性生産量/労働者数
    1人1時間あたりの物的労働生産性生産量/労働量(労働者数 × 労働時間)

    【付加価値労働生産性を示す計算式】

    1人あたりの付加価値労働生産性付加価値額/労働者数
    1人1時間あたりの付加価値労働生産性付加価値額/労働量(労働者数 × 労働時間)

    労働生産性の計算式は、労働量(従業員数や労働時間)によってどれほどの成果を出せたかを示すものです。したがって、インプットに対してアウトプットが大きければ大きいほど、労働生産性は高いといえるでしょう。

    ただし、労働生産性をはかる方法として、この計算式がすべての従業員にあてはめられるわけではありません。売上などに直結しない職種や管理職など、この計算式で労働生産性を算出することが難しい場合もあるという点を理解しておきましょう。

    労働生産性を向上させるメリット

    労働生産性を向上させることで得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。具体的なメリットについてご紹介します。

    業績アップに期待

    労働生産性を向上させることで、今より少ない人員で業務をこなしたり、売上を上げたりできるようになります。人材不足や人材獲得競争が課題となっている昨今、労働生産性を上げることで、今いる人材で業務を回し、業績につなげられるのは大きなメリットといえるでしょう。

    従業員の負担軽減

    労働生産性が向上すると、従業員の業務負担も軽減できるでしょう。生産性が低いと、仕事量も労働時間も増えがちです。生産性を高められると、従業員の負担やストレスも軽減され、意欲の向上やワークライフバランスが整うなど、よい影響が生まれるでしょう。

    コストや資源の有効活用

    労働生産性を向上させるメリットの一つとして、コストや資源の有効活用も挙げられます。具体的には、これまでよりも少ない人的リソースで同等の成果を上げ、成果を増やせることです。浮いた人的コストや得られた利益を、ほかの事業や新たな投資に充てるなど、有意義に活用できることはメリットといえるでしょう。

    労働生産性が高い組織や人の特徴

    労働生産性が高い人や組織には、どのような共通点があるのでしょうか。具体的な特徴について確認してみましょう。

    生産性向上への意識が高い

    労働生産性が高い人や組織では、日頃から生産性向上のための意識が強く、アンテナを高く貼っている傾向にあります。生産性に関するトレンドや最新のデジタルツールを知っていたり、実際に業務効率化ツールを活用していたりなど工夫しています。

    時間の管理ができる

    労働生産性が高い人は、時間の管理を徹底している場合も多いでしょう。限られた時間のなかで、優先順位をつけて業務に取り組み、ときに同時進行で作業を進めている場合もあるでしょう。

    集中力が高い

    労働生産性が高い人や組織では、それぞれが高い集中力で業務に取り組んでいるでしょう。同じ時間でもどれだけの作業を進められるかを意識したり、日頃から少ない時間で業務を終わらせるために集中して取り組むことを実施しているはずです。

    人材育成に取り組んでいる

    労働生産性が高い組織では、人材育成に意識的に取り組んでいる組織ともいえるでしょう。

    経済産業省の報告書によると「労働生産性が向上した」と感じている企業は、人材育成の取り組みについて成果が出ていると回答した割合が高いとしています。なかでも人材育成の成果として「技術や技能の向上」や「組織力の強化」が挙げられています。

    人材育成の取り組みとして、個人レベルのスキルアップの促進やチームや組織のサポート体制が、最終的に労働生産性の向上に寄与する可能性があるといえるでしょう。

    参照:『製造基盤白書(ものづくり白書)』経済産業省

    生産性を低下させる原因

    生産性を向上させたいと考えている場合、実際にどのようなことで生産性が下がってしまうのか、原因を理解しておくことも大切です。そこで、生産性を低下させかねない具体的な原因を紹介します。

    長時間労働や残業が前提の働き方

    労働生産性が低さには、長時間労働が挙げられます。労働時間が長くなると、従業員の疲労がたまって集中力の低下を招き、効率性や生産性の低下につながります。また、長時間労働は従業員のストレスや体調など心身ともに悪影響が懸念されるため、あまり推奨されていません。

    評価制度の課題

    労働生産性の低さは、適切な運用ができていない評価制度も原因の一つとして考えられます。評価は従業員のモチベーションやパフォーマンスに影響するため、適切な運用を目指したいところです。客観的な根拠や公平な視点から評価を行い、従業員が納得感を感じられる評価制度を運用するようにしましょう。

    非効率な業務体制

    労働生産性の低さは、非効率な業務体制によっても招かれます。たとえば、どのような業務もすべて手動で行っていたり、従業員個人に裁量がなかったりする場合、業務全体にかかる時間が多くなり、生産性や業務効率が悪化してしまうでしょう。

    労働生産性を向上させる方法

    労働生産性を向上させる方法には、どのようなものがあるのでしょうか。具体的な例をご紹介しますので、ぜひ取り組みの参考にしてみてください。

    ペーパーレス化を促す

    労働生産性を向上させる方法として、契約書や申請書などをはじめとしたペーパーレス化が挙げられます。ペーパーレス化を進めることで、書類作成や申請手続きなどの事務作業を効率化することができます。その結果、これまで事務作業に必要だった人的リソースを、本来のコア業務にあてることもできるでしょう。

    従業員の育成や教育

    労働生産性を向上させる方法として、従業員のスキルアップによって成果や利益を増やすことも挙げられます。従業員がスキルアップすると、作業スピードが速まり、これまでできなかったやり方で業務を進められるでしょう。その結果、これまでと同じ労働時間で、より大きな成果を生み出せる可能性があります。

    外注の活用や見直し

    労働生産性を向上させるためには、外注を取り入れたり、外注先を見直すことも方法の一つです。無理やりすべての業務を自社で賄(まかな)うより、外注の活用によって、生産性の向上につながることも多いはずです。また、すでに外注を活用している場合は、外注先や発注先を見直すのもよいでしょう。利用の仕方などによって費用を抑えられるかもしれません。

    労働環境を改善する

    労働生産性の向上には、残業時間を見直したり、不要な業務や会議を減らすことも有効です。残業を減らすと疲労やストレスが緩和され、生産性向上に結びつくこともあるでしょう。また、不要な会議やアナログな事務作業に充てていた時間を削減できると、労働時間を有効活用できます。

    デジタルツールを導入する

    労働生産性の向上には、デジタルツールの導入もおすすめです。これまで手動で行っていた業務をデジタル化することで、複雑な作業を自動化し、管理を効率化できます。デジタルツールの活用で、業務の自動化や効率化が進むと、労働時間の削減や人的リソースの有効活用ができるでしょう。

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    まとめ

    労働生産性を向上させるには、長時間労働や非効率な業務フロー、評価制度の課題などを見直す必要があります。自社の業務を整理し、ペーパーレス化やデジタルツールの活用など、改善できる部分から着手してみましょう。

    人事労務領域では、書類作成や申請・承認、従業員情報の管理などの定型業務を可能な限り自動化し、効率を上げることが大切です。

    また、限られた人員や時間で成果を高めるには、人材育成も軽視できない取り組みの一つです。労働生産性を向上させるために、業務を見直しに加え、タレントマネジメントをはじめとする戦略的な取り組みも検討してみてはいかがでしょうか。