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給与明細を作成する方法|手順や必要書類、効率化によるメリットを解説

給与明細書は、給与の計算方法や控除の詳細、手取り額を従業員に明確に伝える役割を果たします。企業は、従業員に毎月の給与を支払うとともに、明細を交付しなければなりません。給与明細の作成方法を見直して効率化すると、時間とリソースを確保でき、従業員の満足度向上にもつながるでしょう。

本記事では、給与明細の作成方法と基本的な手順、準備が必要な書類をご紹介します。効率化によって得られるメリットやなぜ効率化が必要なのかについても詳しく解説します。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

給与明細を作成する方法|手順や必要書類、効率化によるメリットを解説
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    給与明細とは何か?

    給与明細とは、給与の総支給額、各種手当、保険料や所得税などの控除金額、さらに出勤や欠勤などの勤怠情報が一覧で記載された通知書です。この書類によって、従業員は自分の給与がどのように計算されたかを詳細に把握できます。

    給与明細の作成は企業の義務?

    企業による給与明細の作成と交付は、法律によって義務づけられています。

    給与明細の作成と交付は法律で義務づけられている

    給与明細の作成と交付は、労働基準法には定められていないものの、所得税法で義務づけられています。違反した場合は罰則の対象です。企業は給与明細を作成する体制を整え、毎月の交付に備える必要があります。

    参照:『所得税法』e-Gov法令検索

    給与明細は従業員の生活で必要な場面がある

    給与明細は、すべての従業員の生活において重要な書類です。自身で給与の総支給額や控除額を確認したい場合はもちろん、住宅や車のローン契約、医療費控除や補助金の申請で提出を求められる場合があります。

    給与明細の作成に必要な書類

    企業が給与明細を作成する際に必要な書類は、大きく分けて次の6種類です。

    1. 勤怠情報を記録した書類
    2. 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
    3. 健康保険・厚生年金保険の保険料額表
    4. 住民税課税決定通知書
    5. 雇用保険料率表
    6. 源泉徴収税額表

    それぞれの書類の内容について、詳しく見ていきましょう。

    1.勤怠情報を記録した書類

    給与明細の勤怠項目に記入するために、タイムカードなどの勤怠情報を記録した書類を用意します。

    出勤や欠勤の日数、労働時間がわかれば、クラウドタイプの勤怠管理システムでも、紙ベースの勤怠記録でも問題ありません。勤怠管理システムを導入している場合は、ICカードや生体認証、アカウントを使って勤怠情報を記録します。

    2.健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書

    健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書とは、健康保険料や厚生年金保険料などを計算する際に必要な書類です。保険料の計算に使われる標準報酬額が記載されています。

    事業主が4〜6月の給料をもとに届出書を提出すると、7月以降に日本年金機構から健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書が送付されます。新しい標準報酬月額が適用されるのは、9月分の保険料からです。

    3.健康保険・厚生年金保険の保険料額表

    健康保険・厚生年金保険の保険料額表とは、健康保険料と厚生年金保険料を計算するための基準となる表です。毎年9月の社会保険料の改定に対応するためにも、最新の保険料額表を使用しなければなりません。健康保険料は都道府県ごとに異なるため、公式サイトで確認しましょう。

    4.住民税課税決定通知書

    住民税課税決定通知書とは、従業員の月々の住民税納付額が記載されている書類です。住民税の計算に必要な通知書で、1年分の住民税が記載されています。毎年5月末までに各自治体から送付されます。

    5.雇用保険料率表

    雇用保険料率表とは、雇用保険料を計算するための基準表です。月の給与額に雇用保険料率をかけて、実際に納付する雇用保険料を算出します。雇用保険料率は毎年4月に見直しが行われており、変更される可能性があるため、最新の雇用保険料率を随時確認してください。

    6.源泉徴収税額表

    源泉徴収税額表とは、所得税や復興特別所得税を源泉徴収する際に必要な基準表です。国税庁の公式サイトで確認できます。年度によって税額が変わる可能性もあるため、常に最新の情報を確認しましょう。

    給与明細の作成手順について

    給与明細の作成手順は、大きく分けて5つのステップに分けられています。

    1. 勤務時間を集計する
    2. 残業代や各種手当を計算する
    3. 給与の総支給額を明確にする
    4. 控除額を計算する
    5. 差引支給額を計算して記載する

    1.勤務時間を集計する

    給与明細を作成するためには、まずタイムカードなどの勤怠情報から実際の勤務日数や勤務時間を集計します。出勤や有給休暇、欠勤、休日などの日数を正確に計算することで、基本給が明確になります。

    有給休暇を取得している場合は、残りの有給休暇の日数も計算してください。有給休暇の付与日数と失効日数についても気を配ります。

    2.残業代や各種手当を計算する

    勤務時間を集計した結果、残業代や各種手当を付与する必要がある場合があります。残業時間や深夜残業時間、休日労働時間を集計して、残業代を計算します。

    労働基準法で定められている労働時間を超えた場合は、通常の給与に加え、割増賃金を支払います。従業員ごとに各種手当をチェックし、該当するものがあった場合は適切に計算しなければなりません。

    3.給与の総支給額を明確にする

    基本給に残業手当や通勤手当など各種手当を合算し、総支給額を算出して明確にします。欠勤や遅刻、早退があった場合は、その時間分の賃金を差し引いて計算してください。

    4.控除額を計算する

    社会保険料や税金などの控除額を計算します。それぞれの控除額の計算方法は、次の通りです。

    社会保険料標準報酬月額×健康保険料率÷2
    雇用保険料額面給与×雇用保険料率のうち従業員分
    介護保険料標準報酬月額×介護保険料率÷2

    住民税は、住民税課税決定通知書で確認しましょう。源泉所得税は、課税対象額を「源泉徴収税額表」に当てはめて計算してください。

    5.差引支給額を計算して記載する

    総支給額から各種控除額の合計を引いて差引支給額を計算し、給与明細に記載します。この差引支給額が、従業員の手取り額です。ミスは許されない作業なので、誤りがないことを確認したうえで、給与明細の作成を完了させてください。

    給与明細を作成する方法

    給与明細を作成する具体的な方法として、次の3つが挙げられます。

    1. 給与明細の作成ツール・ソフトを活用する
    2. 電子データ(PDFなど)で交付する
    3. 外部の専門家に給与明細の作成を依頼する

    それぞれの作成方法をご紹介します。

    給与明細の作成ツール・ソフトを活用する

    給与明細の作成機能がついた給与計算ツール・ソフトを導入する方法です。給与明細の作成には、手間と時間を要します。

    また、エクセルや手書きなどの方法で管理すると、ヒューマンエラーが生じるリスクがあります。専用のツールやソフトを活用することで、スムーズに給与明細の作成が進められるでしょう。

    電子データで交付する

    給与明細は、紙のほかに、従業員の同意があればWebで交付しても問題ありません。エクセルで作成した給与明細のデータを、PDFファイルなどにして交付する方法です。電子データは、紙のように印刷や封入の手間がかからず、交付や管理がスムーズできます。

    外部の専門家に給与明細の作成を依頼する

    給与明細の作成は、税理士や社会保険労務士などによる代理作成が可能です。人手が足りず業務効率化を促進したいなら、外部へ委託する方法も一案です。ただし、依頼コストが生じるため、金銭的コストが負担になる恐れがあります。まずは見積もりを依頼し、大まかな費用を確認してみましょう。

    給与明細の作成方法を効率化するメリット

    給与明細の作成を効率化するメリットは、主に次の3つです。

    1. 給与明細の作成時に発生するリスクを防止できる
    2. 給与明細の交付や管理がスムーズに行える
    3. コスト削減にもつながる

    それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

    給与明細の作成時に発生するリスクを防止できる

    手作業で給与明細を作成・交付すると、計算ミスや発行ミスのリスクが生じるため、効率化することにはメリットがあります。専用のソフトやシステムの導入、専門の委託サービスを活用しながら、ミスが起きづらい環境を整備しましょう。

    給与明細の交付や管理がスムーズに行える

    給与明細の作成を効率化することは、交付や管理をスムーズに行うきっかけになるでしょう。給与明細の作成と交付は、多くの企業で毎月発生する業務です。

    一つひとつの作業は単純かもしれませんが、参照するデータが多岐にわたり、積み重なると多大な作業量といえます。業務を効率化することで、給与明細にかかる時間を短縮できるため、コア業務に注力できるでしょう。

    コスト削減にもつながる

    給与明細の作成・交付業務の効率化には、ツールの導入コストや外部への委託費がかかる一方、人件費の削減につながるケースもあります。労務管理や人件費のコストで課題がある場合は、給与明細の作成方法の見直しを検討してもよいかもしれません。

    給与明細の作成を効率化するには?

    給与明細を作成するためには、勤怠管理や変化する法律への対応など、情報の整理と多様な知識への理解が求められます。

    給与明細の作成を効率化するには、専門サービスの導入も検討しましょう。たとえば、専用の給与計算システムやWeb明細発行システムです。

    計算を自動化し、給与明細を電子発行・交付できるシステムなら

    • 従業員への自動交付
    • 印刷や封入作業の軽減
    • ペーパーレス化(書類の保管場所の確保が不要に)

    が実現できます。特に勤怠管理や人材管理と連携できるシステムだと、社内に散らばった人材データを集約し、縦割りの人事労務業務を連携できるため、人材マネジメントにも活用できます。

    給与明細の作成を効率化してコストを削減へ

    給与明細の作成や交付は、従業員を雇用する企業に課せられた義務です。給与明細を作成するために必要な書類や基本的な流れを理解することで、ミスを減らし、効率よく給与明細を作成できるでしょう。

    給与明細の作成業務自体は単純な作業の連続であっても、従業員の人数が多い企業や人的リソースが確保できない企業にとっては大きな負担といえます。

    明細発行業務の定型化している部分はシステムや外部に任せて、管理運用コストを削減し「エンゲージメント向上」や「組織改善」などの業務に注力しましょう。

    給与明細をWebで簡単発行|One人事[給与]

    One人事[給与]は、給与計算からWeb明細発行までの作業を簡単にするシステムです。給与明細の発行と交付で生じる煩雑な作業を効率化し、担当者の負担を軽減します。

    費用や操作性について、まずは当サイトよりお気軽にご相談ください。専門スタッフが貴社の課題をていねいにお聞きし、実際の画面をお見せしながらご案内いたします。

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