勤怠の申請・承認とは【効率化の方法】 基本フローとフォーマットも紹介

勤怠の申請・承認とは【効率化の方法】 基本フローとフォーマットも紹介
勤怠の申請・承認は、正確な労働時間管理と給与計算のために重要です。しかし、申請を紙やエクセルで運用している企業では、以下のような課題も少なくありません。
- やり取りが煩雑で、毎月申請内容の確認に時間がかかる
- 申請ミスや承認漏れが発生してしまう
とくに人事労務部門や承認者は、勤怠申請のチェックに手間を取られ、社内の理解不足に振り回されたりするケースも多く負担になりがちです。
本記事では勤怠申請・承認の基本的なフローを整理したうえで、申請書フォーマットの例と、運用を効率化する方法までを詳しく解説します。「何をどう見直せばよいのか」「うちのやり方は正しいのか」と感じたときに、お役立てください。
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目次

勤怠申請・承認とは何か
勤怠申請・承認は、従業員の労働時間を正確に記録・管理する基本的な業務プロセスです。従業員が申請した勤務実績を上長が確認し、承認または却下する一連の流れを指します。
勤怠申請・承認フローが社内で統一的に運用されることで、以下のような多くの労働課題に対応できます。
- 残業時間の実態把握
- 36協定の遵守
- 有給休暇の取得状況の確認
- 正確な給与計算
労働時間や日数に誤りがないか人の目で確認すると同時に、運用の透明性も高まり、将来的な労務トラブルの予防になるでしょう。
最近では、勤怠の申請と承認を勤怠管理システムで完結させている企業も増えています。システムを活用すれば、申請内容と打刻データの自動照合や、承認漏れを防ぐ通知機能が利用可能です。勤務実績の自動集計や帳票の作成も効率化され、人事労務担当者の負担が軽減されています。
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勤怠申請が必要なタイミング
勤怠申請は業務上、さまざまな場面で必要となります。主な申請内容は、以下の3つに分類できます。
所定の勤務時間に対する、例外的な勤務を記録するための申請と承認は以下のとおりです。
労働時間に関する申請 |
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・時間外労働(残業) ・深夜労働(22時から翌5時までの勤務) ・休日出勤 ・遅刻/早退 ・欠勤 |
法定休暇および会社が定める休暇制度に基づく申請と承認は以下のとおりです。
休暇に関する申請 |
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・年次有給休暇 ・代休 ・振替休日 ・慶弔休暇 ・育児休暇/介護休暇 |
労働時間や休暇以外にも、通常勤務とは異なる働き方や、記録の修正が必要な場合も申請と承認が必要です。
その他 |
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・打刻修正(タイムカードの打刻忘れや誤打刻の修正など) ・出張 ・テレワーク |
企業ごとに制度や申請項目は異なりますが、原則として労働時間の全体像を正確に把握するために、勤務内容に変動があるときは、すべて申請の対象と考えられます。
勤怠申請(承認)を的確に管理することで、従業員の働き方を正しく記録し、給与計算や労務管理を支えられるでしょう。

勤怠申請・承認管理は誰の仕事?
勤怠申請と承認には、申請者である従業員・承認者にあたる上長・人事部門の3者がかかわります。
従業員(申請者)は、自身の勤務実績を正確に記録し、社内ルールに沿って必要な申請を提出します。打刻ミスの修正や休暇の取得申請も、気づいた時点で早急に申請をしなければなりません。
上長(承認者)は、申請内容の妥当性を確認し、業務との整合性や法令遵守の観点から承認可否を判断します。部下の働き方を把握する重要なポイントです。
人事・労務部門は、全社的な勤怠データを管理し、給与計算や各種帳票の作成などを担います。申請・承認が適切に行われているかのチェック機能も果たします。
勤怠の申請ミスや承認判断のばらつきを防ぐには、承認基準の明確化と申請・承認期限の設定が欠かせません。また、承認者が不在の場合に備えた代理承認の設定や、フローの簡素化・システム化も大切です。
勤怠申請・承認管理の重要性
勤怠申請や承認のやり取りは、どの職場でも日常的に行われています。しかし、手続きが単なる事務作業で終わってしまっているとしたら、少し危ういかもしれません。
勤怠申請・承認の仕組みは、人事部門だけの問題ではありません。人事部門だけでの問題ではなく、会社全体の信頼性や法令遵守にかかわる管理領域です。
とくに近年は、労働時間の上限規制や有給休暇の取得義務など、勤怠管理の重要性が高まっています。企業が適切に対応するには、従業員による勤怠申請と、申請に対する承認の仕組みを整えることが欠かせません。
勤怠申請・承認管理の重要性をあらためて解説していきます。
- 労働時間を正確に集計するため
- 給与計算に反映するため
- 有給休暇の取得管理を徹底するため
- 長時間労働の改善を促すため
- 法的リスクを抑えるため
労働時間を正確に集計するため
勤怠申請は、会社が従業員の実際の労働時間を正確に把握するために重要です。単に打刻を記録するだけでは、時間外労働・深夜労働・テレワーク・出張など、多様化する働き方の実態までは見えてきません。
勤怠申請によって、勤務時間や労働日数の変動を可視化できるため、会社は客観的な労働時間の把握が可能です。労働安全衛生法において企業に義務づけられている「労働時間の状況把握」にもつながります。
▼労働時間の管理に課題がある方は、以下の資料もぜひご活用ください。

給与計算に反映するため
勤怠承認のデータは、そのまま給与計算の基礎となります。承認された申請情報をもとに、残業手当・深夜手当・休日出勤手当・遅刻や欠勤による控除などが正確に算出され、法令に沿った給与支払いを支えます。
勤怠の記録が不十分であれば、給与計算のミスにつながり、未払い賃金の原因にもなりかねません。従業員からの信頼が低下し、労務トラブルに発展する可能性もあります。
有給休暇の取得管理を徹底するため
2019年の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員には、年5日以上の取得が義務づけられました。勤怠申請により有給の取得日数を正確に把握できなければ、会社が法令違反とされるリスクがあります。
申請・承認の記録を通じて、有給休暇の取得状況を可視化すれば、計画的な取得促進や対象者のフォローが実施できます。

長時間労働の改善を促すため
勤怠申請には、管理職や人事担当者が従業員の働き方を見直す機会としての役割もあります。
とくに勤怠の残業申請は、理由や業務内容を必須入力にすることで、過重労働や業務の偏りに気づく手がかりになるでしょう。
申請に基づいて、業務の再分配の調整といった改善に向けた対応が可能です。結果として、長時間労働を是正し、本人の心身の健康維持にもつながります。
さらに、部門ごとの勤怠データを集計・分析することで、働き方改革を推進するための基礎データとしても活かすことができます。
単発の判断で終わらせず、申請・承認データを中長期的に分析していけば、働き方改革や生産性向上に向けた取り組みにも活用できるはずです。
▼長時間労働を改善するには、さまざまな取り組みを紹介した以下の記事も参考にしてみてください。
法的リスクを抑えるため
勤怠申請が形式化し、申告内容に対して確認と承認を行っていないと、あとになって不一致が発覚し、会社が法的責任を問われる可能性があります。
たとえば、タイムカード上は定時退勤に見せかけて、実際は打刻後に残業を行わせていた場合など、意図的でなくとも労基法違反に問われるリスクがあるでしょう。
申請・承認の履歴を正しく残しておくことは、万が一の監査やトラブル発生時にも企業を守る証拠になります。
勤怠申請・承認の基本フロー
勤怠申請は、企業ごとに使っているツールによって、申請方法や承認の手順が異なりますが、基本的に以下のフローで進められる場合が多いでしょう。。
フロー | 作業内容 | 確認すること |
---|---|---|
1.従業員による勤怠申請 | 残業、休暇、打刻修正など | ・日付、時間、理由の記載漏れがないか ・ルールに沿っているか |
2.管理者による確認と承認 | 申請内容を確認し、承認または差し戻し | ・内容の妥当性(理由、日付、時間) ・業務との整合性 ・不正や改ざんの兆候がないか ・過重労働になっている従業員がいないか |
3.管理部門(人事・労務)への集約 | 承認済みのデータをもとに給与・勤怠処理 | ・データの正確性 ・未承認の申請がないか ・法令違反がないか |
申請には紙の申請書やエクセル、勤怠管理システムを利用します。
手書きの申請書は、承認者が内容を確認したうえで署名・捺印するのが一般的です。承認印は必須ではありません。重要なのは「誰がいつ承認したかが」が、客観的にわかることです。
エクセルを使う場合は、電子印やコメント機能で承認・却下の判断を記録します。印刷して確認・押印する運用も見られますが、内容確認と記録保持ができていれば、必ずしも紙への印鑑が必要なわけではありません。
勤怠管理システムなら、システム上で申請・承認のフローが完結し、ワンクリックで承認や差し戻しが可能です。申請内容と打刻データの整合性も自動でチェックされ、承認履歴や操作ログも記録として残るため、不正防止や監査対応にも適しています。

勤怠申請届の種類・フォーマット・書き方
勤怠申請届は、従業員の勤務状況を正確に記録し、管理するために欠かせない書類です。
企業の業態や働き方の多様化によってさまざまな種類があり、申請内容に応じて使い分ける必要があります。申請書は大きく分けると以下の3種類です。
- 勤務に関する申請書(勤務変更届、残業申請、直行直帰申請、遅刻・早退連絡)
- 休暇に関する申請書(有給休暇、代休、特別休暇、欠勤申請 )
- その他企業独自で設ける申請書
勤怠申請の目的にあったフォーマットを用意し、記載ルールを明確にしておくと、正確な労務管理にも役立ちます。代表的な勤怠申請届の種類や、フォーマット作成時のポイントを確認していきましょう。
基本の勤怠申請書
勤務時間や出勤日数に関する変更・報告を行う勤怠申請書は、日々の勤怠管理の基礎となる書類です。代表的なものには以下が含まれます。
勤務変更届/勤務時間変更申請書 | 出勤日や勤務時間を変更する際に使用。開始・終了時刻は明確に記載 |
残業申請書(超過勤務申請書) | 時間外労働を申請する際に使用。あらかじめ申請・承認された残業かどうかの管理にも役立つ |
直行・直帰申請書 | 出社せずに現地訪問などを行う場合に提出 |
遅刻・早退・外出連絡書 | 一時的な予定変更や体調不良などに対応する簡易申請書 |
いずれの勤怠申請書も選択式にすることで、1つのフォーマットの用意で済みます。共通する基本情報として、以下の項目の記入欄を設けましょう。
- 氏名
- 所属
- 対象日
- 時間帯
- 理由
理由の記載は申請内容によって不要な場合もあります。有給休暇などプライバシーにかかわる申請は無記入でも問題ありません。無理やり書かせるとパワハラとみなされる場合もあるため注意しましょう。
休暇関連の申請書
休暇に関する申請書は、法定休暇や社内独自の特別休暇に対応するものです。主な種類は以下のとおりです。
年次有給休暇申請書 | 厚生労働省が公表しているフォーマットあり |
特別休暇申請書 | 慶弔休暇、裁判員休暇、ボランティア休暇などを含む |
育児休業・介護休業申請書 | 育児介護休業法に基づく手続きに必要 |
代休申請書・振替休日申請書 | 代替休日の取得申請 |
慶弔休暇の申請では、結婚式の案内状やお葬式の案内状などの証明書類の添付を求める場合があります。
休暇の種類によって取得可能日数や取得条件が異なるため、社内規定との整合性を確認しなければなりません。
企業独自の申請書
働き方改革やコロナ禍をきっかけに、勤務場所や時間が柔軟になったことで、以下のような企業独自の申請書も一般化しています。
- テレワーク(在宅勤務)申請書
- 自宅作業許可申請書(育児・介護と仕事の両立支援にも活用できる)
- フレックスタイム勤務申請書
以上のような申請書には、勤務場所や開始・終了時間を記載する必要があります。とくに在宅勤務では、労働時間の把握が難しいため、申請内容と実績が照合できるよう、記録様式を整えると管理が簡単になるでしょう。

勤怠申請を承認する際の注意点
勤怠申請の承認は、企業のコンプライアンス体制にもかかわる業務であることを解説してきました。承認者には「形式的に承認を通す」のではなく、「実態と申請が一致しているか」を確認しなければなりません。以下のポイントをおさえ、不正や過重労働を防ぎましょう。
不正申告がないかを確認する
申請された勤怠内容が、実際の働き方と合っているかを見極めることが、承認者に求められる最大の責任です。とくに注意が必要なのが、次のようなケースです。
- 実態より労働時間を短く申告する過少申告
- 必要性の低い生活残業
長時間労働が常態化している現場では、申告者が空気を読んで、労働時間を短くする傾向があります。残業代を目的に意図的に残業時間を延ばす行為も、承認時に見抜きたいポイントです。
いずれも、そのまま承認すれば、最終的に企業が労働基準法違反を問われるリスクがあります。過少申告の黙認は企業の責任とされ、労働時間管理の違反が発覚すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用されるおそれがあります。
正確な勤怠申請を促し、実態に沿ったデータで承認することで、法令遵守と信頼構築につなげましょう。
業務の偏りを把握して調整する
「いつも同じ人ばかりが残業している」「休暇が取りにくい雰囲気がある」という状況に、申請の中身を見れば気づけることがあります。
勤怠承認は、業務配分の偏りや長時間労働の常態化を把握する機会です。以下のような視点を持って確認しましょう。
- 残業や休日出勤が特定の人に集中していないか
- 有給休暇の取得状況に偏りがないか
- 特定部署にだけ過剰な業務負荷がかかっていないか
勤怠データを集計・分析し、業務の偏りが見られる場合は、調整方法を検討する必要があります。
- 業務の再分配
- 人員体制やシフトの見直し
- 必要に応じて新規採用や外部リソースの検討
- 業務の属人化が進んでいる場合は、マニュアル整備や技術の標準化も検討
対策を通じて、働きすぎ・燃え尽き症候群の防止や業務の平準化が期待できます。承認時に見えた兆候を放置せず、具体的な行動につなげることが重要です。
勤怠申請・承認フローを効率化するには?
紙による勤怠申請は、記入・提出・確認といった作業に手間がかかり、申請者・承認者の双方に大きな負担をかけます。転記ミスや申請書の紛失といった間違いのリスクも避けられません。
勤怠申請を効率化するには、勤怠管理システムの活用がおすすめです。
PCやスマートフォンから申請できるため、場所を選ばずスムーズに手続きが可能です。承認者もシステム上で申請内容を確認し、ワンクリックで承認が完了します。承認後の情報は勤務実績に自動反映されるため、集計や記録の手間もありません。
勤怠管理システムの活用によって、以下のような効果が期待できます。
- 勤怠申請・承認作業のタイムロスを解消
- 人的ミスの防止
- ペーパーレス化によるコスト削減
- 勤務実績の自動集計
- 勤怠データの分析と労務改善の検討
手作業で勤怠申請を続けている職場は、勤怠管理システム導入を検討してみてはいかがでしょうか。
▼勤怠管理を効率化する方法を知るには、以下の記事もご確認ください。
まとめ|勤怠申請・承認はシステムで効率化
働き方改革やテレワークの広がりにより、勤怠の申請・承認の重要性が、今まで以上に大切になっています。企業にとって、労働時間を正確に管理することは、法律を守るうえでも欠かせません。
勤怠管理システムを使えば、申請や承認の手続きをオンラインで簡単に行えるようになります。パソコンやスマートフォンから申請でき、承認者も内容をすぐに確認・承認できます。承認された内容は、自動的に勤務記録に反映されるため、転記や集計の手間もありません。
また、データがシステムで一元管理されるため、勤務時間の偏りや残業の状況、有給休暇の取得状況なども見える化できます。情報をもとに、働き方の見直しや人材配置の改善にもつなげられるでしょう。
勤怠申請・承認をスムーズに|One人事[勤怠]
One人事[勤怠]は、従業員の勤怠申請をWeb上で完結させるクラウドツールです。
管理者の承認、差し戻しもワンクリックで簡単に実施できます。法令に沿った労働時間の客観的な管理にもお役立ていただけます。
One人事[勤怠]の初期費用や操作性については、当サイトより、お気軽にご相談ください。専門のスタッフが貴社の課題をていねいにお聞きしたうえでご案内いたします。
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