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有給休暇の使い過ぎで評価を下げるのは違法? 注意点や対処法も紹介

有給休暇の使い過ぎで評価を下げるのは違法? 注意点や対処法も紹介

有給休暇の使い過ぎで評価を下げるのは違法とされています。付与された有給休暇の取得は従業員の権利であるためです。付与されている範囲内であれば、仮に使い過ぎでも拒否したり人事評価を下げたりすることはできません。

しかし、有給休暇を取得することで評価に影響するのではないかと不安を抱えている方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、有給休暇を使い過ぎた場合に評価に影響するのかという点を解説したうえで、有休消化の使い過ぎや使い方で迷惑がかかる可能性のあるケースや使い過ぎに関する対処法などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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    有給休暇の使い過ぎで評価を下げるのは違法

    有給休暇は労働者の権利であるため、付与されている範囲内であれば、使い過ぎによって評価を下げることは違法とされています。付与された有休をどのように取得するのかは労働者の自由であるため、本来会社側の許可を取るようなものではありません。

    実際に労働基準法では、有休取得について、該当の従業員に対する賃金減額など、不利益な取り扱いをしてはいけないと定めています。

    参照:『労働基準法 第136条』e-GOV 法令検索

    また、2019年4月より有給休暇の取得義務が課されているため、企業側は労働者に対して有給取得の促進をする必要があるほどです。

    こうした点から、有給休暇の取得や使い過ぎを理由に評価を下げることは違法といえるでしょう。

    有休消化の日数を制限することも違法

    有給休暇の使い過ぎで評価を下げることは違法ということはもちろんですが、取得日数を制限するような言動も違法となります。

    「こんなに忙しいのに、有給取得し過ぎじゃない?」
    「今年に入って7日も有給を取得していて困る」

    などの発言をしてはいけません。このような発言は、パワーハラスメントに該当する可能性もあるため、注意しましょう。

    成果によって評価を下げるのは合法

    有給休暇の使い過ぎによって直接評価を下げることは違法です。しかし、有給を使い過ぎてしまったことなどが原因で、成果を出せなかったり目標が未達成になったりして、評価を下げるのは違法にはなりません。この場合、成果が出せなかったことに対する評価と考えられるためです。

    たとえば、夏季休業などの前後に有給を合計10日間消化した場合、その月に稼働できる日数が極端に少なくなります。営業職の場合は、営業することができず、成果がまったくない可能性もあるでしょう。

    つまり、有給休暇の取得を直接的に評価につなげることはできませんが、有給取得が間接的な原因の一つとなって成果を出せなかった場合には、評価が下がる可能性もあるということです。目標達成の状況や成果に対しての評価として捉えられます。

    有給休暇の取得は自由

    有給休暇を使いすぎると、評価が下がるのではないかと心配している方も少なくないでしょう。そこで有給休暇の使い方や取得日数について確認してみましょう。

    付与された範囲内なら自由

    有給休暇は、勤続年数によって付与される日数が異なりますが、付与されている範囲内(有休残日数以内)であれば、労働者の権利として有給休暇の取得をさせなければならないと定めています。

    有給休暇は期限までに申請すれば問題ない?

    有給休暇の取得は付与されている範囲内なら自由であるものの、申請の期限については法律でも定められていません。しかし、事前申請が原則であるため、遅くとも前日までには申請することが必要です。

    ただし、事後申請を認める会社もあるため、具体的な申請ルールなどは、企業の就業規則や有休ルールなどを確認してみましょう。

    有給休暇の取得理由は何でも構わない?

    有給休暇の取得理由も、自由であるものの、企業によっては申請時などに取得理由を記載しなければならないケースもあるかもしれません。しかし、どのような理由であったとしても企業側は有給取得を拒否できないということを理解しておきましょう。

    有給休暇の使い過ぎで評価を下げた場合に起こり得ること

    有給休暇の使い過ぎで評価を下げた場合や従業員が評価を下げられたと感じた場合に起こり得ることには、どのようなことが考えられるのでしょうか。

    有休の取得によって上司がマイナス評価する場合

    有給休暇取得について上司の個人的な考えのもとマイナス評価する場合、人事部に相談が入ったり配置転換の希望が出たりすることも考えられるでしょう。

    有休取得によってマイナス評価をしていることが認められた場合、パワーハラスメントにも該当しかねないため、注意しなければなりません。

    有休取得を企業側がマイナス評価する場合

    有給休暇の消化について、企業側が否定的に捉える風潮があり、マイナス評価を行う場合は違法になる可能性があるでしょう。少なくとも義務化された部分を取得させないような場合は罰則が科せられます。

    さらに、有休取得の促進など働く環境を整えている企業は多くあるため、離職につながってしまうことも覚悟しなければなりません。

    有休の取り過ぎで迷惑をかける可能性のあるケース

    有給休暇の使い過ぎで評価を下げるのは違法? 注意点や対処法も紹介

    有給休暇の使い過ぎで直接的に評価を下げることは違法であるものの、実際に企業として組織運営を行っているなかで、有休の使い方によっては迷惑をかけてしまうケースも少なくありません。

    そこで、有休の取り過ぎで迷惑をかける可能性のある状況についてご紹介します。

    繁忙期に有給休暇を連続で取得する

    有給休暇の使い過ぎで迷惑になりかねないのは、会社の繁忙期に連続して有休を取得するなど、忙しい時期に有休を複数日取得するようなケースです。

    もちろん有休の取得については自由であるものの、忙しい時期に有休を取得することで、周囲の負担が重くなってしまう可能性があるためです。

    有休を取得する際は、時期やタイミングを考慮することや、繁忙期に取得する場合は事前に業務を終わらせておくことなど、周囲への負担が重くならないよう意識できるとよいでしょう。

    退職時に有休消化を行い、引き継ぎができない

    有給休暇の使い過ぎで周囲に迷惑がかかってしまうケースには、退職時の有休消化によって十分な引き継ぎができない場合も挙げられます。

    一般的に、退職時に溜まっていた有給残日数分を消化することも少なくありません。消化すること自体は問題ありませんが、退職日から逆算して引き継ぎを問題なく行えるようにしましょう。

    引き継ぎができていない状態で有休消化に入ってしまうと、残された人に迷惑がかかってしまいます。退職日が決まったら有休消化日数を確認し、最終出勤日までに引き継ぎが滞りなく行えるようにしましょう。

    有休の取得を上司にしか伝えていない

    有給休暇の使い方として迷惑をかけてしまう可能性があるのは、有休取得を上司にしか伝えていないケースです。

    周囲が当日まで有休を取得したことについて知らなかった場合、業務に影響が出る場合もあるでしょう。有休を取得する場合は、事前にチームやプロジェクトメンバーなどにも伝えておくのがよいでしょう。

    有休申請を直前に行う

    有給休暇の使い方で迷惑をかけてしまう可能性があるのは、有給申請を希望日の直前に申請することです。もちろん、事前であれば前日など直前の申請でも法的な問題はありません。

    しかし、各企業ごとに「有給を申請するのは希望日の5日前まで」などの申請ルールを設定しているのが一般的です。法的な拘束力はないとはいえ、ルールを守った申請を心掛けましょう。

    有給休暇を取り過ぎる社員への対応は?

    有給休暇を取得することは、従業員の権利でもあるため、拒否することはできません。しかし、あまりにも非常識な有休の取り方をされることで、迷惑と感じたり業務に支障が出たりする場合があることも事実でしょう。

    そこで、有給休暇を取り過ぎる従業員への対応についてご紹介します。

    有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利

    有給休暇を取得する従業員がいる場合、拒否するのは違法であり、嫌味な発言もしてはいけません。

    有給休暇は労働者に与えられた権利であるため、上司や会社の許可は不要なのです。その点を会社全体として理解しておけば、有給取得によって評価を下げたり拒否したりすることはできないでしょう。

    有給休暇の取得を理由に不利益な扱いをしてはいけない

    有給休暇の取得をしたことで、労働者の賃金を減額するなど、不利益になるような対応を取るのは違法です。仮に有給休暇を頻繁に取得する労働者がいても同様です。

    有休取得は労働者の権利であり、取得のタイミングや方法について制限することもできないという点を認識しておきましょう。

    法律以外にも会社や周りの事情も考慮するべき

    有給休暇の使い過ぎや取得するタイミングなどは、労働者の自由といえます。しかし、組織や周囲のメンバーに迷惑をかけることは好ましいことではありません。そのため、取得時期や周囲への影響を考え、できるだけ状況に配慮して取得するように促しましょう。

    必要であれば本人と面談をする

    有給休暇の使い過ぎや取得するタイミングについて、必要であれば従業員との面談を行うことも大切です。

    面談では「有休を使い過ぎているから問題だ」と伝えるのではなく、取得について一緒に考えたり、成果や業務進捗を踏まえながら対話するようなかたちで話してみるとよいでしょう。

    有休を拒否することは違法であるため、面談の際にも有休取得そのものを否定したり、使い過ぎていることを指摘したりするような発言は控えなければなりません。

    まとめ

    有給休暇を使い過ぎている従業員がいる場合でも、直接的に評価を下げたり、有給取得を拒否したりしてはいけません。しかし、有休の使い過ぎや使い方によっては組織や周囲のメンバーに迷惑がかかってしまうこともあるでしょう。

    有休を使い過ぎているからといって拒否することはできませんが、有休の使い方や申請ルールについて事前に従業員に周知することはできます。適切なルールを設定し、トラブルのない有休取得に関する運用を目指しましょう。

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