特別休暇とは? 年次有給休暇との違いや種類を徹底解説

特別休暇とは? 年次有給休暇との違いや種類を徹底解説

特別休暇とは、有給休暇などの法定の休暇とは別に付与される休暇で、多くの企業で取り入れられています。特別休暇は、従業員の働き過ぎ防止や心身のリフレッシュを期待できるため、従業員の企業に対する満足度向上にもつながるでしょう。

本記事では、特別休暇の意味や種類を解説し、有給休暇との違いも紹介します。働き過ぎを防止したい企業や従業員の満足度を向上させたいと考えている企業の経営層や人事担当者はぜひ参考にしてください。

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    特別休暇とは

    特別休暇は、企業が独自に設ける休暇制度です。法律で定められた年次有給休暇とは異なり、企業に特別休暇を設ける義務はありません。

    しかし、従業員の過重労働を防いだり、福利厚生を充実させたりするため、多くの企業が特別休暇を導入しています。

    特別休暇を設けることで、従業員のワークライフバランスが改善され、結果として生産性や従業員の企業に対する満足度向上につながります。

    年次有給休暇とは

    年次有給休暇とは、労働基準法で企業が従業員に付与することを義務付けている休暇です。年次有給休暇はその名の通り「有給」のため、従業員が休暇を取得しても、企業はその日の給料を支払わなければなりません。

    企業は、一定の期間を継続勤続した従業員に対して、通常の休日とは別に休暇を付与します。年次有給休暇は、心身の負担を取り除いて疲労を回復させたり、生活にゆとりを持たせたりする目的があります。

    特別休暇の日数目安

    特別休暇は、企業が独自に設定する休暇であるため、付与日数も企業によって異なります。一般的な特別休暇の付与日数を紹介しますので、目安として参考にしてください。

    特別休暇の種類一般的な付与日数
    慶弔休暇3日から10日程度
    夏季休暇3日から5日程度
    バースデイ休暇1日程度
    リフレッシュ休暇3日から7日程度
    ボランティア休暇27日程度
    病気休暇最大90日が一般的※病気の症状や治療日数によって変動
    アニバーサリー休暇1日から2日程度
    裁判員休暇裁判員の活動による

    給与の支払い有無

    特別休暇を取得した日の給与支払いの有無は、企業が決めます。特別休暇の付与は法律で義務付けられているわけではないため、給与支払の有無も企業が決められます。

    そのため、すべてを有給にする必要がありませんが、特別休暇の種類ごとに給与の支払い有無を決めるのがおすすめです。

    特別休暇の種類

    特別休暇は、企業が独自に設定する休暇制度であるため、導入する種類は異なります。そこで、多くの企業が設定している代表的な特別休暇の種類を紹介します。

    • 慶弔休暇
    • 夏季休暇
    • バースデイ休暇
    • リフレッシュ休暇
    • ボランティア休暇
    • 病気休暇
    • アニバーサリー休暇
    • 裁判員休暇

    慶弔休暇

    慶弔休暇とは、従業員の親族による慶事や弔事に休暇を取れる制度です。「慶」は結婚や出産などを意味し「弔」は誰かの逝去などをあらわします。休暇の日数は、従業員との近親程度によって異なるのが一般的です。

    夏季休暇

    夏季休暇とは、夏に付与される休暇です。企業は夏季休暇をお盆休みに付与するのが一般的ですが、従業員の希望日に付与させたり、部署の中で順番に取得させたりするやり方も少なくありません。

    夏季休業の付与日数は3~5日程度とし、土日と合わせれば長期的な休暇を従業員に取得させられます。

    リフレッシュ休暇

    リフレッシュ休暇とは、継続して勤務してきた従業員を労うために設定します。一定の勤続年数を経過した従業員を対象に、勤続年数によって付与する日数が異なるのが一般的です。

    リフレッシュ休暇の目的は、従業員における心身のリフレッシュや、さらなるモチベーション向上をはかることです。

    バースデー休暇

    バースデー休暇は、従業員の誕生日がある月などに取得させる休暇です。付与する日数は企業によって異なりますが、1年につき1日付与することが一般的です。バースデー休暇は、従業員の誕生日を祝い、プライベートを充実させる狙いがあります。

    ボランティア休暇

    ボランティア休暇とは、従業員の社会貢献活動を支援するために付与する休暇です。無報酬のボランティアが対象になるのが一般的です。

    企業が従業員のボランティア活動を支援することで、社外からのイメージ向上にもつながります。ボランティア活動に参加した従業員は奉仕の精神が育まれ、会社へのエンゲージメントが向上するきっかけにもなるでしょう。

    病気休暇

    病気休暇とは、従業員の病気療養のために付与される休暇です。長期間の治療を要する場合や通院で必要な場合に使える休暇です。企業は、病気休暇を有給休暇とは別に用意しておくことで、体調不良についての不安を和らげてくれます。

    アニバーサリー休暇

    アニバーサリー休暇とは、従業員の大切な人との記念日を祝うために付与する休暇です。たとえば、結婚記念日や家族の誕生日、子どもの学校行事などを対象にしています。

    アニバーサリー休暇を付与することで、従業員のプライベートや家庭を大切にできます。アニバーサリー休暇は、従業員のライフワークバランスを保つことにもつながり、モチベーションやエンゲージメント向上も期待できるでしょう。

    裁判員休暇

    裁判員休暇とは、従業員が裁判員に選ばれた場合に付与する休暇です。裁判員の活動を行うために従業員が休みを取得することは、労働基準法で認められています。裁判員休暇が、有給か無給なのかという点は、各企業の判断によって異なります。

    参照:『法務省:従業員の方が裁判員等に選ばれた場合のQ&A』法務省

    特別休暇と年次有給休暇の違い

    特別休暇と年次有給休暇には、どのような違いがあるのでしょうか。具体的な違いを確認してみましょう。

    法律上の違い

    特別休暇と年次有給休暇は、法律上の取り扱いが異なります。特別休暇は法律で定められていないため、導入は企業の判断で行います。

    一方の年次有給休暇は、労働基準法によって、企業が一定の基準を満たした従業員に取得させることが義務付けられています。

    一定の基準を満たす従業員に対して年次有給休暇を付与しなかった場合、企業は労働基準法違反に該当し、罰則が科せられます。

    有給か無給かの違い

    特別休暇と年次有給休暇は、給与の支払い有無の対応も異なります。

    特別休暇は有給か無給かを企業側が自由に設定でき、特別休暇の種類によって対応を変えることも可能です。

    一方の年次有給休暇は、労働基準法によって定められているため、有給でなければなりません。そのため、年次有給休暇が無給で付与された場合は、労働基準法違反になります。

    有効期限の違い

    特別休暇と年次有給休暇は、休暇の有効期限が異なります。特別休暇は企業が独自に設定する休暇であるため、取得期限についても企業が決めます。

    一方の年次有給休暇は、2年間の有効期限が設定されています。付与された当年度に消化されなかった年次有給休暇は、翌年まで繰り越しができます。

    出勤に関する扱いの違い

    特別休暇と有給休暇は取得した日を出勤扱いとするかどうかも異なります。

    特別休暇は企業が自由に決められますが、出勤と欠勤どちらの扱いにしても、出勤率への影響がないようにすることが一般的です。出勤率は、有給休暇の取得条件や賞与や退職金の算出にかかわるためです。

    一方の年次有給休暇は、法律による定めによって、出勤扱いにしなければなりません。

    特別休暇を導入する際の注意点

    特別休暇を導入する際の注意点を紹介します。あらかじめ注意点を把握することで、スムーズでトラブルのない運用につながりますので参考にしてください。

    • 特別休暇は年次有給休暇の5日取得義務に含まない
    • 特別休暇のルール設定と従業員への周知をする
    • 勤怠管理を強化する

    特別休暇は年次有給休暇の5日取得義務に含まない

    特別休暇と年次有給休暇は別物です。労働基準法では、企業が従業員に最低5日間以上の年次有給休暇を取得させることを義務付けています。企業が特別休暇として取得させた休暇を、年次有給休暇の取得義務である5日間に数えられない点に注意しましょう。

    特別休暇のルール設定と従業員への周知をする

    特別休暇を導入する際は、休暇の種類に応じて基準やルールを設定しましょう。明確なルールがないと、従業員との認識相違が起こりかねません。特別休暇として導入する休暇について、目的や日数、条件、有給無給についてを明確にしておきましょう。

    就業規則に記載することも忘れてはいけません。また、新たに特別休暇を導入する際は、ルールや条件などを従業員全体へ周知しましょう。

    参照:『労働基準法第89条』e-Gov法令検索

    勤怠管理を適正化する

    特別休暇を導入する場合は、出勤日数や給与計算にも影響するため、勤怠管理が煩雑になりがちです。特別休暇が増えるほど勤怠管理の担当者の負担も増えるため、ミスが起こらないよう注意しなければなりません。

    複雑な勤怠管理は、システムを活用するなど、正確かつ効率化できる方法を検討しましょう。

    勤怠管理を効率化するには?

    勤怠管理は、従業員の労働時間や休日など、出勤状況を管理しなくてはならない重要な業務です。全従業員分の勤怠管理には、労力や時間がかかるため、システムを活用して効率化することがおすすめです。

    勤怠管理に課題を感じている企業は、自社に適したシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    特別休暇は、従業員の働き過ぎ防止や心身のリフレッシュを期待できるため、従業員の企業に対する満足度向上にもつながるでしょう。年次有給休暇とは別物として取り入れることで、従業員の働きすぎの防止や、ライフワークバランスの向上も期待できます。

    特別休暇を導入することで、企業における勤怠管理が煩雑化する点には注意しなければなりません。正しい勤怠管理を行うためには、システムなどを活用し、効率化も目指しましょう。

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