タイムカードの打刻ミスへの対処法とは? リスクや防止策も徹底解説
勤怠管理では操作方法がわかりやすく、簡単に出退勤実績を記録できる「タイムカード」を導入している企業も多いでしょう。しかし、タイムカードには打刻忘れや誤った日時を打刻するなど、打刻ミスが発生しやすいという課題がつきものです。
そこで本記事では、タイムカードの打刻ミスへの対処法を詳しく解説します。打刻ミスが発生することで考えられるリスクや防止策も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
打刻ミスの原因
タイムカードによる勤怠管理には、非常にシンプルで誰でもすぐに利用できるというメリットがある一方で、打刻ミスが発生しやすいというデメリットもあります。
タイムカードの打刻ミスが起こる原因を詳しく解説しましょう。
- 二重打刻
- 打刻漏れ
- タイムカードレコーダー自体の不具合
- タイムカード設置場所のわかりづらさ
- 従業員に打刻する習慣がない
二重打刻
二重打刻とは、出退勤の際に一度打刻したにもかかわらず、二重に打刻してしまうことです。
二重打刻してしまう原因はさまざまあるものの、次のような状況が挙げられます。
- 無意識に2回打刻してしまった
- 誤った時間を打刻したためやり直した
- 誤って違う従業員のタイムカードに打刻してしまった
- 遅刻や欠勤をごまかすために、意図的に不正な打刻をした
悪意なく二重打刻をしてしまうケースがほとんどですが、なかにはほかの従業員に依頼して不正に打刻しようとするケースも考えられるでしょう。
人的な打刻ミスを完全になくすことは難しく、二重打刻はタイムカードで出退勤管理をするうえで大きな課題となっています。
打刻漏れ
打刻漏れとは、タイムカードに出退勤の時刻を印字できていない状況のことです。打刻するのを忘れてしまったというミスだけでなく、従業員が故意に打刻しなかったケースも考えられます。
また、営業まわりや出張などを理由にオフィスに戻れず、物理的に打刻できない場合もあるでしょう。
タイムカードレコーダー自体の不具合
二重打刻や打刻漏れだけでなく、タイムレコーダーによるトラブルが原因となっている打刻ミスが起こる場合もあります。具体的には、次のような状況が該当します。
- 打刻しても、カードの枠外に印字されてしまう
- 印字された文字がかすれていてわかりづらい
- レコーダー自体に不具合がある
タイムレコーダーの誤った使い方やメンテナンス不足によって、正しく印字できていないケースも考えられます。操作方法が簡単であったとしても、従業員に使い方をレクチャーしたり、定期的なメンテナンスを行ったりして正しく運用していきましょう。
タイムカード設置場所のわかりづらさ
タイムカードやレコーダーの設置場所がわかりづらかったり、設置場所までわざわざ移動する必要があったりすると、打刻ミスが起きてしまうリスクが高まります。
打刻を忘れる従業員の数が多い場合は、レコーダーの設置場所に問題があるのかもしれません。従業員の動線を考え、目立つ場所に設置しましょう。
従業員に打刻する習慣がない
従業員たちにタイムカードに打刻する習慣がついていない場合も、打刻漏れの大きな原因となります。
打刻の重要性を定期的に周知したり、打刻漏れのリスクを説明したりしながら、すべての従業員に打刻を徹底してもらえるよう対策していきましょう。
打刻ミスによるトラブルによって生じるリスク
打刻ミスによるトラブルが発生すると、法的な責任追求を含め、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
本記事では、次の5つのリスクを取り上げ、それぞれのケースでどのような影響が発生するのかを詳しく紹介します。
リスクを予防するためにも、適切な打刻管理を徹底しましょう。
- 労働時間を適切に把握できない
- 人事・労務担当者の業務量や負担が増える
- 給与計算のミスが生じる
- 企業のイメージダウンにつながる
- 法律違反に問われるおそれもある
労働時間を適切に把握できない
打刻ミスが続くと従業員の労働時間を適切に管理できず、企業としての義務を果たせません。
政府の推進する働き方改革によって労働基準法や労働安全衛生法などが改正され、企業は従業員の正確な労働時間を把握・管理することが義務づけられました。
タイムカードの打刻ミスが生じると、実際の労働時間と異なる記録が残ってしまうため、労働時間の把握はもちろん、正しい給与計算もできなくなってしまうでしょう。
打刻ミスによって記録上の労働時間が少なくなってしまう場合は、企業側によるデータの改ざんとみなされてしまうおそれもあります。客観的な記録と理由を残すためにも、打刻ミスが生じないように徹底する必要があるのです。
参照:『労働基準法』e-Gov法令検索
参照:『労働安全衛生法』e-Gov法令検索
人事・労務担当者の業務量や負担が増える
タイムカードによる勤怠管理は、人事・労務担当者の業務量や負担を増やす原因となりかねません。タイムカードで打刻した出退勤時刻を書面やデータに転記し、集計する必要があるためです。
データにまとめる作業や計算業務の際に、人的ミスが発生するおそれもあります。
また、二重打刻や打刻漏れなどが生じた場合は、確認や修正の工数も増えてしまい、担当者に大きな負担となってのしかかるでしょう。
給与計算のミスが生じる
タイムカードによって従業員の出退勤時刻を管理している場合、データの根拠となる打刻情報に何かしらのミスがあると正確な管理ができず、間違えた賃金を支給してしまうリスクがあります。
とくに、残業や深夜・休日出勤などで割増賃金が発生する場合は注意が必要です。賃金計算を間違えたまま放置すると、未払い賃金が発生してしまいます。従業員には未払い賃金を請求する権利があるため、法的な問題へと発展するおそれもあるでしょう。
企業のイメージダウンにつながる
打刻ミスが起こる状態が常態化してしまうと、企業のイメージダウンにつながるリスクも高まります。
従業員の労働時間を正確に把握できておらず、未払い賃金が発生してしまった場合には、従業員から訴訟を起こされるリスクがあります。そのような問題が明るみに出れば、企業イメージの低下は避けられず、社会的な信用も失ってしまうでしょう。
法律違反に問われるおそれもある
万が一、打刻ミスによって正しい労働時間を把握できなくなった場合、法律違反とみなされるケースがあります。
企業は、法的な義務として従業員の正確な労働時間を把握・管理するよう求められているためです。
使用者がタイムカードの改ざんを行い、残業代を支払わなければ、労働基準法違反として「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処される場合があるでしょう。
さらに、安全配慮義務を怠ったとみなされ、労働契約法違反として損害賠償を請求される可能性もあります。
参照:『労働基準法』e-Gov法令検索
参照:『労働契約法』e-Gov法令検索
タイムカードで打刻ミスがあった場合の対処法
タイムカードでの打刻ミスが事前に防げなかった場合は、適切に対処することが重要です。打刻ミスの3つの一般的な対処法を紹介し、発生時の初期対応について解説します。
- タイムカードの記録と実際の勤怠状況を確認する
- 始末書や反省文を提出してもらう
- 不正打刻や改ざんによる場合は慎重に対応する
タイムカードの記録と実際の勤怠状況を確認する
従業員による打刻ミスがあったら、まずはタイムカードの記録と当該従業員の勤怠状況を確認します。
タイムカードの記録と実際の労働時間に、どのくらいズレが生じているのかを調べたうえで、従業員本人に事実確認をします。従業員本人に確認することによって、打刻ミスが起こった原因を把握できます。
必要に応じて、当該従業員が所属している部署の上司や同僚にヒアリングすることも大切です。正しい給与計算ができなくなるため、早急に対応するよう心がけましょう。
始末書や反省文を提出してもらう
打刻ミスをしてしまった従業員に対して、始末書や反省文の提出を求めるのも一つの方法です。書類を提出してもらうことで、再発防止や打刻ミスをしないという意識を高める効果が期待できるでしょう。
また、始末書や反省文は、勤怠情報を修正したという証拠にもなります。
不正打刻や改ざんによる場合は慎重に対応する
打刻ミスは、従業員のうっかりミスによるものだけではありません。なかには、意図的に不正打刻をしていたり、改ざんを繰り返していたりする可能性も否定できません。
悪質性が高い場合は、該当する従業員に対する残業代の返還請求や、懲戒解雇の実施を検討する必要があります。
打刻ミスを減らす具体策
続いて打刻ミスを減らすために、おすすめの対策を紹介します。
- 打刻の必要性を周知する
- タイムカードのレコーダーの設置場所を再検討する
- 部署ごとに責任者を選任する
- 勤怠管理システムの導入を検討する
それぞれがどのようにミス防止に貢献するかを詳しく解説します。正確な勤怠管理を実現し、労働時間の透明性を高めるために、これらの対策を積極的に活用してみましょう。
打刻の必要性を周知する
打刻ミスの再発を防止するためにも、打刻の必要性を企業内で周知徹底していきましょう。オフィスの入り口やタイムレコーダー付近に注意喚起のポスターなどを掲示すれば、従業員の意識向上につながります。
小規模のオフィスだと、レコーダーを目立つ場所に設置できないケースもあるでしょう。その場合も、ポスターなどがあれば従業員に打刻するようにリマインドできます。
タイムカードのレコーダーの設置場所を再検討する
タイムレコーダーの設置場所を再検討するのも打刻ミスを減らす一つの方法です。
レコーダーは従業員が必ず通る通路や出入り口に設置することをおすすめします。目立つ場所に設置すれば、従業員たちに打刻する習慣がつくでしょう。
部署ごとに責任者を選任する
部署ごとに打刻管理の責任者を選任するのも、打刻ミスを防止する対策の一つです。担当者を設けることで、効率よく管理できます。
特定の人物を責任者として指名するのではなく、部署内で当番制にすれば、従業員全体の打刻への意識がより高まるでしょう。
勤怠管理システムの導入を検討する
従業員がアナログで打刻する限り、人的ミスをゼロにすることは困難です。企業における勤怠管理を見直したい場合は、タイムカードからデジタルシステムへの移行を検討しましょう。
勤怠管理システムには、打刻忘れやミスを自動で知らせる機能が搭載されているため、人的ミスの防止にも役立ちます。
打刻ミス防止にデータの電子化と勤怠管理システムの導入が必要な理由
打刻ミス防止策の中でも、データの電子化と勤怠管理システムを導入する対策について、必要とされる理由・メリットを詳しく解説します。
- スマートフォンやICカードで打刻できるため
- アラート機能により打刻忘れを防げるため
- リアルタイムで勤務状況や労働時間を把握できるため
- 残業、有給休暇の管理もできるため
企業全体の業務効率化と従業員の働きやすさを向上させるためにも、データの電子化と勤怠管理システム導入を積極的に進めましょう。
スマートフォンやICカードで打刻できるため
勤怠管理システムを導入すれば、ICカードやスマートフォン、パソコンなどさまざまなツールやデバイスで打刻できるようになります。タイムレコーダーの設置場所に左右されず、いつでもどこからでも出退勤時間の管理が可能です。
近年ではリモートワークを推進する企業も増えており、オフィス以外の場所でも気軽に打刻できることは、企業だけでなく従業員にとっても大きなメリットといえるでしょう。
アラート機能により打刻忘れを防げるため
もし従業員が打刻を忘れていたとしても、アラート機能を搭載しているシステムであれば、管理者と該当する従業員に通知されます。アラート機能により、打刻漏れによって生じていた確認や修正などの工数を削減できるため、担当者の業務負担の軽減にもつながるでしょう。
リアルタイムで勤務状況や労働時間を把握できるため
勤怠管理システムを導入すれば、リアルタイムに従業員の勤務状況や労働時間を正確に把握できます。
部署やグループごとに出勤簿を管理できるだけでなく、残業時間や時間外労働の状況もすぐに確認が可能です。時間外労働の上限を超過していないかも判断しやすくなり、従業員の長時間労働の是正にもつながるでしょう。
残業、有給休暇の管理もできるため
勤怠管理システムを導入すれば、残業や休暇申請が必要な場合でも、いつでも申請や承認作業に対応できます。クラウド型のシステムであれば、24時間いつでもどこからでも申請・承認できるため、業務効率の向上につながるでしょう。
勤怠管理システムOne人事[勤怠]
One人事[勤怠]は、シンプルな操作で、打刻ミス対策にもお役立ていただける勤怠管理システムです。パソコンだけなくスマートフォンからの操作が可能で、場所を選ばずご使用いただけます。
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One人事[勤怠]の機能や操作性は、こちらの資料よりご確認いただけます。さらに詳細を知りたい場合は、当サイトよりお気軽にご相談ください。専門スタッフが課題をお聞きしたうえでご案内いたします。
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打刻ミスのない適切な勤怠管理を
タイムカードの打刻漏れや二重打刻など打刻ミスが生じてしまうと、人事担当者に大きな負担がかかるだけでなく、残業代の未払い問題や労使間のトラブルに発展するおそれもあります。
従業員の労働時間を正確に把握するためにも、自社に最適な勤怠管理方法を見直す必要があります。タイムカードによる勤怠管理に限界を感じている場合は、勤怠管理システムの導入も検討しましょう。