キャリアアップとは? 意味や実現方法、成功ポイントを解説
キャリアアップは、労働者がスキルや経験値を高め、経歴の価値や市場価値を向上させ、より高い地位や責任ある立場に進むことです。企業は、優秀な従業員の離職を防ぐためにもキャリアアップのサポートを行うことが必要です。本記事では、キャリアアップの意味やキャリアアップのためにやるべきことなどを解説します。キャリアアップを望む方はもちろん、支援を強化したい企業の人事担当者は参考にしてください。
キャリアアップとは
キャリアアップとは、スキルや経験値などを身に付けて、自分の経歴の価値を高めることです。たとえば、転職や起業、部下やチームを持つ、昇進や昇格するなどが挙げられます。キャリアアップができれば、どのようなケースであっても、仕事の裁量が広がり、その人の市場価値が高まります。
キャリアアップとスキルアップの違い
キャリアアップと混同しやすいのが、スキルアップです。キャリアアップは、経歴の価値を高めることであり、スキルアップは、特定の能力を高めることです。スキルアップの具体例は、資格を取得したり、業務に活かせるスキルを習得するなどが挙げられます。多くの場合、スキルアップができれば、キャリアアップも実現しやすくなる関係があるため、両者は密接に関連する概念といえます。
キャリアアップの重要性
キャリアアップは、個人の価値観によって捉え方が異なります。一般的には長く仕事をするうえで、キャリアアップを計画的に成功させることは重要です。キャリアアップによって、よりよい待遇で仕事ができるようになれば、モチベーションが上がります。また、裁量が大きくなることで業務範囲も広くなり、経験値も上がります。
現代は、働き方に対する価値観の多様化や、日本で主流の終身雇用などの雇用制度が崩壊しつつあるため、人材が流動化している傾向です。そこで、みずからのキャリアは自分自身で主体的に切り開く必要があります。キャリアアップによって自分の市場価値を高めることは、どのような環境や状況下でも、生き生きと働くことに役立つでしょう。
国によるキャリアアップ支援策
キャリアアップに関して、国としても支援策を提供しています。たとえば、厚生労働省による「キャリアアップ助成金」です。これは、企業内のキャリアアップを促進するために、待遇の改善などを実施した企業に企業を助成するための制度です。
具体的には、正社員化させるためのコースと、処遇を改善するためのコースがあります。最大80万円の助成を行うこともあり、従業員と企業の双方に対してキャリアアップの支援を行っています。企業は国による支援も活用して、従業員のキャリアアップを促進しましょう。
参照:『キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)』厚生労働省
キャリアアップの方法や手段
キャリアアップを実現させるためには、いくつかのやり方があります。代表的な方法についてご紹介します。
社内でキャリアアップする
今いる会社でキャリアアップする方法です。社内におけるキャリアアップの方法は多岐に渡ります。たとえば、昇進や昇格だけでなく、キャリアチェンジや重要プロジェクトへの参加などが挙げられます。さまざまな機会をキャリアアップのチャンスとして活用できるため、まずは社内広報の確認や人事担当者との交流を意識してみましょう。
転職でキャリアアップする
キャリアアップは、転職を機に実現するケースも少なくありません。転職時にキャリアアップを狙う場合は、企業が求める人材像の徹底したリサーチを行いましょう。転職でキャリアアップを行う場合は、自分ができることや得意なこと、これまでに得た経験を活かせる企業を選ぶことが重要です。
起業でキャリアアップする
キャリアアップとして、一般的なケースとはいえませんが、独立して起業する方法も挙げられます。これまでに培った経験やスキル、知識に自信がある場合は独立を検討してみてもよいでしょう。ただし、いきなり退職して起業するよりも、まずは企業で働きながら副業などを行うのがおすすめです。副業として始めてみて、収益が安定したり軌道に乗ってきたタイミングで独立するのが安心です。
キャリアアップの実現に重要なポイント
キャリアアップを実現するために重要な点は、以下の観点を踏まえて取り組むことです。
- 市場価値
- スキルや経験
- 意思や希望
キャリアアップをするためには、望むキャリアに対して他者よりも自分の市場価値が高いことが必要です。また、望むキャリアで求められるスキルや経験も習得しておかなければなりません。
さらに、自分がどのようにキャリアアップしたいかやキャリアアップして何がしたいのかも明確にします。これらのポイントを踏まえて、バランスよく取り組むことで、キャリアアップを実現しやすくなります。
キャリアアップするためにやるべきこと
キャリアアップを実現させるためにやるべきことには、どのような点があるのでしょうか。具体的にやるべきことを解説します。
自己分析やキャリアの棚卸し
キャリアアップのためには、あらためて自分自身の強みや弱みの認知が必要です。また、これまでのキャリアで得たスキルや経験を整理します。自己分析やキャリアの棚卸しで整理した内容をもとに、キャリアアップの道筋を立てます。転職してキャリアアップを狙う場合も、自分を見つめなおすことで、選考の対策にも役立つでしょう。
必要なスキルや経験の抽出
キャリアアップのためには、必要なスキルや経験の抽出も重要です。必要なスキルや経験は、目指すキャリアの方向性によっても異なります。そのため、どのようなキャリアを積みたいかを明確にしたうえで、求められるスキルや役割を具体的に抽出しましょう。具体的に必要なスキルや経験を抽出したら、自分の現状から不足を把握し、習得に努めましょう。
キャリアアップは転職だけでなく社内でも可能
キャリアアップは、転職時だけでなく、社内でも実現できます。そこで、転職時のキャリアアップと社内のキャリアアップを紹介します。
転職におけるキャリアアップ
転職におけるキャリアアップとは、これまでの自分の経験やスキルを活かし、今よりもよい待遇で入社したり、次の会社で役職などを上げて仕事をすることです。転職によってキャリアアップするメリットとデメリットは以下のような点が挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
・これまでの職務経歴で得た経験やスキルを評価してもらえる ・前職よりもよい待遇で仕事ができる ・裁量権や業務範囲などを拡大できる ・新しい環境で仕事ができるため自己成長が見込める ・転職先で知見やスキルを活かせれば、さらなるキャリアアップも実現できる | ・人間関係が一新されるため、新たに信頼関係を構築する必要がある ・転職先のやり方や環境に慣れるまで時間がかかる場合もある ・転職先で成果を出したり活躍できなかったりした場合、待遇などを見直される可能性がある |
社内におけるキャリアアップ
社内におけるキャリアアップとは、所属する企業で昇進や昇格、給与を上げることです。社内でキャリアアップするメリットとデメリットは以下のような点が挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
・これまでの努力が報われる ・慣れ親しんだ環境なので、昇格や昇進しても仕事がしやすい ・信頼関係が構築できていれば、周囲からの協力が得られやすい | ・同じ環境下の中で仕事をするため、刺激を得られにくい ・会社内のやり方で仕事をするため、新たな手法やスキルを得られる機会が少ない |
キャリアアップを成功させるコツ
キャリアアップを成功させるためには、以下のようなコツを掴んで取り組むことが大切です。
- キャリアアップへの思いをアウトプットする
- キャリアアップや能力開発に長けている人に相談する
- キャリアアップへの考えを言語化する
- キャリアアップのための取り組みを振り返り、必要に応じて軌道修正する
- スキルや経験値を向上させるためにさまざまな挑戦をする
- 本来の業務領域だけでなく、幅広い知見を得る
このように、キャリアアップを成功させるためにはいくつものコツがあります。できることから取り組み、いち早くキャリアアップの実現を目指しましょう。
キャリアアップに対して企業が行うべき支援
キャリアアップを目指す従業員のサポートをするために、企業が行うべき支援を解説します。企業側が従業員のキャリアアップ支援で、単に従業員の会社に対する満足度が向上するだけでなく、一人ひとりの従業員が成長し、組織力強化や成果創出にも効果があります。
自己研鑽の促進や支援
企業は、従業員のキャリアアップのために、自己研鑽や自己啓発を促進します。そのためには、自己研鑽における費用を一部補助するなどの方法が有効です。
特に主体的に自己研鑽や自己啓発に取り組めるよう、日頃から企業によるキャリアアップに関する考え方や対応を共有しておきましょう。
学ぶ機会の提供
キャリアアップは、やみくもに行っても効果は出ません。たとえば社内でキャリアアップのための研修や具体的なスキルを学ぶ機会を設けましょう。企業側がキャリアアップへの支援を行っていることが従業員に伝われば、エンゲージメントも高まります。
配置転換の実施
キャリアアップを促進するために、従業員がより多くの経験や知見を得られるよう、配置転換の実施も効果的です。配置転換によって、これまで経験したことのない知識やスキルを得られたり、新たな環境で人間関係を構築する力も養われます。また、特定の職種を、社内公募で実施するのもおすすめです。
定期的な面談の実施
キャリアアップでは、従業員のキャリアに対する不安や困り事を解決するために、定期的な面談の実施が重要です。面談の相手には、上司や人事担当者だけでなく、先輩や同僚、他部署のメンバーとの実施も効果があります。キャリアアップを目指す当事者が主観的にならないよう、広い視野と柔軟な考え方をもとに第三者目線による客観的な助言などが必要です。
まとめ
キャリアアップは、労働者がより活躍したり待遇を高めたりするために必要で、重視されています。キャリアアップは労働者個人が取り組みますが、企業側もキャリアアップを促進できるよう、さまざまな施策を用意してみてはいかがでしょうか。