社員管理システムとは? 機能や種類と導入手順を解説

- 社員管理システムは本当に必要?
- 導入しても現場が使いこなせるだろうか
このような不安を感じている経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。
社員管理システムは、企業の重要な経営資本「人」に関する情報を戦略的に活用するためのツールです。データを一元管理して、個々の適材適所を実現することで、組織全体の生産性アップも期待できます。テレワークが普及し、人事DXの必要性が高まるなか、導入する企業が増えてきました。
本記事では、社員管理システムの基本的な機能から具体的な導入手順まで、初めて検討する方にもわかりやすく解説していきます。


社員管理システムとは
社員管理システムとは、企業の人事業務を効率的に進めるために開発された、社員データを一元管理するデジタルプラットフォームです。
部署ごとに情報が分散していると管理が煩雑になりますが、社員管理システムを導入することで、効率を上げ、次のような情報を管理できます。
社員管理システムで一元管理する情報の例 | |
---|---|
社員の基礎データ | 氏名、住所、雇用形態など |
人事異動情報 | 昇進・昇格履歴、業務経歴など |
研修記録 | 受講した研修や成果など |
スキル情報 | 保有資格や専門スキルなど |
評価履歴 | 過去の評価ランク、コメントなど |
受賞歴 | 社内表彰歴など |
あらゆる人事情報を統合的に管理することで、データ活用の仕組みを整えられます。
社員管理システムの特徴は、人事に関するさまざまな項目の数値化・可視化により、社員一人ひとりの能力を引き出して、組織全体の利益を向上できる点です。
従来の紙やエクセルによる管理と比較して、より正確で、効率的な人事管理を可能にします。
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社員管理システムの一般的な機能
社員管理システムには、人事管理と労務管理の両面から必要な機能が搭載されています。主な機能として、以下の6つが挙げられます。
分類 | 詳細機能 | 実現できること |
---|---|---|
人事管理 | ・人材データベース作成 ・組織図の作成 ・組織の現状分析 | 組織全体のパフォーマンス分析が実現 |
評価・目標管理 | ・評価シート作成 ・評価ワークフローの設定 ・目標・進捗管理 | MBO・OKRの実施 公平性のある評価を実現 目標達成状況を可視化して達成支援 |
スキル管理 | ・スキル・資格の可視化 ・配置バランスの最適化・育成計画案の支援 | 適材適所の人材配置 一人ひとりの成長、キャリア形成を支援 |
給与管理 | ・給与計算の自動化 ・給与明細/源泉徴収票のWeb配布 | 入力ミスの防止 計算・配布業務の効率化 ペーパーレス化 |
勤怠管理 | ・出退勤記録 ・休暇申請・承認 ・シフト管理 ・残業時間の集計 | 勤怠実績の可視化 客観的な労働時間の把握 柔軟な働き方への対応 |
労務管理 | ・入社・退職手続き ・年末調整の効率化 ・マイナンバー管理 | 雇用契約のオンライ締結手続きの正確性と効率の向上 |
機能は単体でも業務効率化に役立ちますが、相互に連携させることで、部門内の情報共有が簡単になり、広範囲でのデータ活用や戦略的な人事管理を実現できます。
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有料と無料で機能は違うか
社員管理システムには無料版と有料版があり、機能や利用範囲に違いがあります。
無料版は初期コストなしで導入でき、基本的な人事管理機能を備えているものの、登録できる従業員数や利用できる機能が制限されているのが特徴です。
機能制限 | 従業員数制限 | カスタマイズ | サポート | |
---|---|---|---|---|
有料 ※サービスによる | 豊富な機能 | 人数課金制 | 可能 ※オンプレミス型 | あり |
無料 | あり | あり | なし | なし |
有料版ではより充実した機能を利用できます。
有料製品の充実した機能例 | |
---|---|
人事管理機能 | ・(基本)社員の基本情報管理 ・異動/昇格の履歴管理 ・人事評価データの管理 |
給与管理機能 | ・給与の自動計算 ・給与明細の作成 ・諸手当の管理 |
勤怠管理機能 | ・出退勤の記録 ・残業時間の集計 ・休暇申請の管理 |
有料版では従業員数ごとの課金制である場合が多く、自社の要望に応じてカスタマイズできる製品もあります。
専門スタッフによる充実したサポート体制も整っているため、システム活用の効果を最大限に引き出せるでしょう。
社員管理システムのメリットを最大限活用したい企業は、有料版の導入をおすすめします。
小規模での利用や試験的な導入を検討する場合は、無料版から始め、段階的なシステム導入を検討してもよいでしょう。
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社員管理システム導入のメリット
新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、紙ベースやエクセルによる管理では限界が見えてきました。多くの企業がデジタル化を進め、社員管理システムの導入を検討しています。
企業の成長と持続的な発展には、効率的な社員管理が欠かせません。
社員管理システムの具体的なメリットを3つの視点から紹介します。
業務効率化とコスト削減
社員管理システムの導入により、給与計算や勤怠管理などの定型業務を自動化できます。
人的ミスを大幅に削減し、手動による重複作業を排除できると、業務効率を飛躍的に向上させることが可能です。
給与計算や人事評価などの管理を1つのシステムに統合することで、分散していた業務を一元化できます。効率的に業務を進められるため、管理コストの削減にも直結します。
社員管理システムの労務機能を利用することで、どれくらい効率化が達成できるかシミュレーションしてみませんか。工数削減の効果を具体的に試算するには以下の資料をご活用ください。
戦略的な人材活用
社員管理システムに蓄積された人材データを活用することで、より戦略的な人材マネジメントが可能です。
社員の能力や経歴に応じた適材適所の配置を実現し、個々の強みを最大限に活かした組織づくりができます。
人材情報の可視化により、人材育成の機会を創出したり、キャリアパスの設計を支援したりもできるため、モチベーションアップにもつながるでしょう。
→戦略的な人材活用とは? 社員管理システムの活用例は【こちら】
コンプライアンス対応の強化
労働関連法規の遵守や各種手続きの適正化において、社員管理システムは重要な役割を果たします。
システムによる記録の自動化と一元管理により、労務管理の透明性が向上し、監査対応もスムーズに行えるようになります。
働き方改革への対応や多様な勤務形態の管理では、システムによる正確な記録と管理が欠かせません。
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社員管理システムの種類と特徴
社員管理システムは、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。会社の規模やニーズに応じて、適切なタイプを選択することが重要です。
クラウド型とオンプレミス型の比較
社員管理システムの「クラウド型」と「オンプレミス型」、それぞれの概要や特徴は以下のとおりです。
種類 | 特徴 | 金銭・管理コスト | カスタマイズ | セキュリティ |
---|---|---|---|---|
クラウド型 | インターネット環境が整っていればアクセス可能 | ベンダーが用意するシステムをそのまま利用するのでコストを抑制できる | 自社に合わせたカスタマイズが難しい | やや不安が残る |
オンプレミス型 | 企業のインターネットサーバーに接続することで利用できる | ・コストがやや高め ・システム開発やカスタマイズに工数がかかる | 自社に合わせたカスタマイズが可能 | セキュリティ性が高い |
クラウド型の社員管理システムは、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能で、初期費用を抑えられる特徴があります。システムの更新や保守が自動で行われるため、運用負担が少なくなります。
オンプレミス型の社員管理システムは、自社サーバーにシステムを導入するため、セキュリティ面での管理が容易です。企業独自の勤務形態や就業ルールに合わせた細かいカスタマイズが可能という特徴があります。
社員管理システムの導入手順
社員管理システムを効果的に導入するためには、計画的なアプローチが必要です。適切な導入手順を踏むことで、システムの活用度を最大限に高められます。
初めて社員管理システムを導入する企業に向けて、全体の流れを5つのステップに分けて解説します。
現状分析
まずは自社の現状を分析し、業務で非効率な作業を明確にすることが重要です。具体的には、以下の項目について把握します。
分析項目 | 確認内容 |
---|---|
業務フロー | 現在の人事業務の流れと所要時間 |
課題 | 非効率な作業や改善が必要な点 |
社員管理システムを導入する際は、現状の業務にかかる時間を正確に把握することで、導入後の効果測定の基準にできます。
非効率な作業として代表的なのは、手作業による給与計算や勤怠集計です。エクセルや電卓を使用した手作業での計算は、間違いのリスクが高く、多大な時間を要するでしょう。
改善が必要な点の例としては、人事データの分散管理による非効率さが挙げられます。部署ごとに異なるフォーマットでデータを管理していると、必要な情報の検索や集計に時間がかかるでしょう。
必要な機能の定義
次に必要な機能の要件を定義しましょう。具体的には以下の3つの観点から検討を行う必要があります。
基本機能 | 従業員情報の一元管理や勤怠データの収集 |
---|---|
分析機能 | 人材データ分析や勤怠状況の可視化 |
操作性 | 現場スタッフが使いやすいUI/UX |
必要な機能を明確にしたうえで社員管理システムの選定に進むことで、製品比較がスムーズになります。
ベンダーの比較・評価
複数の社員管理システムの提供ベンダー(製品の販売会社)を比較し、自社に最適な製品を選びます。主な比較ポイントは以下のとおりです。
機能要件 | ・定義した機能要件を満たすか ・クラウドとオンプレミスで、コストと運用体制に合ったタイプを選択 |
導入実績 | 自社と同規模・同業界での導入事例があるか |
サポート体制 | 操作説明やトラブル対応が充実し、定着まで支援してくれるか |
ベンダーの選択は、導入後の運用効率や社員への定着につながります。とくにサポートの充実度や機能要件は慎重に確認しましょう。「じつはやりたいことができなかった」という選択ミスを避けられます。
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導入スケジュールの策定
社員管理システムの導入をスムーズに進めるために、以下の要素を含めた計画を立てます。
スケジュール | ・導入準備、試験運用、本格稼働までの期間 ・やるべきことリスト |
予算 | 初期費用、運用費用、追加費用などを見積もる |
担当者の決定 | 社員管理システム導入の責任者を決める |
導入計画を明確にすることで、プロジェクトの進行がスムーズになります。社員管理システムの初期設定や構築は、ベンダーが計画を提示してくれる場合もあるため、確認しておきましょう。
試験運用・本格稼働
本格導入前に試験運用を行い、社員管理システムが自社にとって本当に最適なのか見極めます。試験段階で得られる現場のフィードバックをもとに、運用性の改善やデータ移行を進めます。
本格稼働前は、全従業員を対象に新たな社員管理システムの活用方法や運用ルールを説明する研修を実施します。その後、本格的な運用を開始し、定期的に評価・改善することで、システムの活用度を最大化します。
社員管理システム選定のポイント・選び方
社員管理システムを選定する際には、企業規模や予算、セキュリティなどいくつかの重要な要素を考慮する必要があります。
検討の際に確認したい3つの比較ポイントを紹介します。
規模適合性の確認
企業規模や従業員数に適した社員管理システムを選択することが重要です。
大企業向けのシステムを中小企業が導入すると、使わない無駄な機能や高額な費用が発生するかもしれません。
反対に、規模に対して機能要件を満たさないようなものを選択してしまうと、将来的な拡張が困難になる可能性があります。
具体的なチェックポイントは、以下のとおりです。
- 同時アクセスユーザー数の上限
- データ保存容量
- 処理速度
業界特有の要件や、将来的な活用を踏まえたカスタマイズ対応も確認が必要です。
費用対効果の検討
社員管理システム導入にかかる総コストと、導入後に得られる効果を慎重に比較検討しなければなりません。
コストには初期導入費用だけでなく、月額利用料や保守費用、トレーニング費用なども含まれます。
以下の要素を考慮し、費用対効果を具体的に比較しましょう。
- 業務効率化による人件費削減
- ペーパーレス化によるコスト削減
- 人的ミスの防止による損失の回避
以上の効果を数値化し、投資回収期間を算出することで、経営判断の材料が得られます。
労務ペーパーレスによる費用対効果を簡単にシミュレーションできるシートは以下よりダウンロードいただけます。
セキュリティ対応の評価
社員管理システムは、個人情報や給与情報といった機密性の高いデータを扱うため、セキュリティ機能はとくに重要です。
重要な機能としては、以下が挙げられます。
- アクセス権の管理
- データ暗号化。
- 不正アクセスの検知
- 定期的なバックアップの実施/災害対応
システムベンダーのセキュリティに対する姿勢も重要な評価ポイントです。
セキュリティ認証の取得状況、インシデント発生時の対応体制、定期的なセキュリティアップデートの提供などを確認することで、長期的な安全性を担保できます。
「One人事」は、政府が運用するセキュリティ認証制度ISMAP登録の社員管理システムです。詳細はセキュリティページをご確認ください。

社員管理システムの費用対効果を最大化するためのポイント
社員管理システムの導入効果を、最大限に引き出すためには、適切な投資計画と運用戦略が重要です。
コストと機能という観点から、費用対効果を高めるために取り組みたいポイントを解説します。。
初期費用とランニングコストの比較
社員管理システムは種類によって料金プランが大きく異なります。それぞれの特徴を踏まえ、自社のニーズに適した選択をしましょう。
クラウド型システムは、初期費用を抑えられる一方、従業員数や利用期間に応じた月額料金が発生します。利用者が増えるほど月額費用も増加するため、長期的な人員計画を考慮した費用試算が必要です。
オンプレミスタイプでは、初期費用が高額になりがちですが、月々のコストを抑えやすいという特徴があります。社員管理システムの保守や運用にかかるコストも考慮して選択しましょう。
どちらが向いているかは企業規模や業務内容に応じて異なります。特徴を理解し、自社に適した社員管理システムのベンダーに相談し、無料トライアルを活用するのがおすすめです。
自社ニーズに合ったシステムの選択
費用対効果を最大化するためには、自社の規模や業務フローに適した社員管理システムを選択することが重要です。多すぎる機能は無駄なコストとなり、機能不足は業務効率の低下を招きます。
導入時には以下の点を考慮する必要があります。
- 現在の従業員数と将来の増員計画
- 既存の業務フローとの整合性
- ほかのシステムとの連携可能性
- 将来的なカスタマイズの必要性と費用
中小企業の場合は、必要最小限の機能から始めて段階的に拡張していく方法が、費用対効果を高める有効な戦略です。
→必要な機能からスモールスタートを支援|社員管理システム「One人事」の資料を見てみる
社員管理システムの選定時の注意点
社員管理システム選定は、導入後の業務効率化の達成に大きく影響します。適切なシステムを選ぶために、検討時にとくに注意したいポイントを解説します。
操作や活用が容易
社員管理システムの操作性は、導入後の定着度を左右します。人事部門だけでなく、管理職や一般社員まで幅広いユーザーの利用を考慮し、直感的でわかりやすいインターフェースが求められるでしょう。
また重要なのは、社員管理システムへのアクセス制限機能です。従業員の個人情報や給与情報など、機密性の高いデータを扱うため、役職や部署に応じて柔軟に適切なアクセス権限を調整できるシステムを選ぶ必要があります。
データの暗号化やバックアップ機能もあることで、情報漏えいやシステム障害のリスクを軽減できます。
既存システムとの連携性
多くの企業では、すでに給与システムや勤怠管理システムを導入していることが多いのではないでしょうか。
新たに導入する社員管理システムが、既存システムと連携できないと、二重登録の手間など連携工数を増やすことになります。
とくに給与計算と勤怠管理が連携できないと、余計な手間で業務効率が落ちるため、自社の課題に応じて、データの一元管理が可能な仕組みを重視することよいでしょう。
→給与と勤怠を1つにまとめる|「One人事」紹介資料を見てみる
社員管理システムを最大限活用して生産性向上へ
社員管理システムは、単なる業務効率化のツールではありません。従業員データを戦略的に活用し、企業の持続的な成長を支える重要な経営基盤です。
適切な社員管理システムを採用し効果的に活用することで、人事労務業務の効率化はもちろん、客観的なデータに基づく意思決定や働きやすい職場環境の整備が可能となります。従業員満足度の向上や人材の定着率アップにもつながります。
社員管理システム導入を検討する際は、現在の課題解決だけでなく、将来的な事業展開も見据えた選定が重要です。必要に応じて段階的な導入を行うことで、確実な投資効果を実現できるでしょう。
社員管理システムで戦略的な人材活用|One人事[タレントマネジメント]
One人事[タレントマネジメント]は、従業員一人ひとりの特性・スキルを可視化する社員管理システムです。本人の適性に合った配置や現状の能力レベルをもとに、計画的な人材育成を支援します。
組織と個人の目的(ゴール)の達成状況をグラフで見える化し、定期的に評価する目標管理機能もあり、人材の成長促進や戦略的な人材活用にもお役立ていただけます。
One人事[タレントマネジメント]の初期費用や気になる操作性については、当サイトより、お気軽にご相談ください。専門スタッフが、自社の課題をていねいにヒアリングしたうえでご案内いたします。
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