リプレイスの目的や効果、失敗しないための注意点を解説

リプレイスとは? 目的や効果、失敗しない注意点を解説

システムのリプレイスとは、老朽化や故障が生じたハード・ソフトウェアを新しく交換することを指します。リプレイスの検討を始めると、「どのタイミングで判断すべきか」「どの方式が自社に合うのか」「移行時のリスクはどう管理すればいいのか」と、論点が次々と出てきます。

本記事では、リプレイスの意味や目的・効果をおさらいしたうえで、進め方や失敗しないための注意点まで解説します。検討の整理や社内での意思決定にお役立てください。

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目次アイコン目次

    リプレイス(リプレース)とは

    リプレイス(replace)とは、英単語で、壊れてしまったり古くなったものを「新たなものに交換する」や「取り替える」というような意味を持ちます。「リプレース」と表記される場合もありますが、意味は同様です。

    とくにITの場面における「リプレイス(リプレース)」では、問題が生じたシステムやソフト、ウェアやハードウェアを新しいものにするというような意味で使われることが一般的であり、一部だけを交換する場合やすべて交換することもあります。

    ソフトウェアもハードウェアも、長年使用していると、動作がおそくなったり故障するリスクがあります。ソフトウェアやハードウェアの劣化が原因で、システムが使えなくなった場合、ビジネスにおいても大きなマイナスになってしまうでしょう。

    そこで定期的なリプレイスが必要とされています。壊れて使えなくなってしまう前に、適切なタイミングでリプレイスを行うと、安心できるでしょう。

    リプレイス(リプレース)の目的

    リプレイスの目的は、安定的にシステムを利用するためとされています。

    劣化や故障などが目には見えなくても、長年同じものを使い続けていることで、内部では「動作が重くなる」や「アップデートに対応できない」などの劣化が生じます。

    劣化は目には見えないため、気が付きにくく放置してしまうことで、突然故障したりシステムが停止するリスクがあります。

    そのため、明らかな不調がない場合においても、安定的な使用のためには定期的なリプレイスが必要ということを認識しておきましょう。

    また、リプレイスを行ったことでコスト削減に成功した事例もあります。

    導入中の人事評価システムが多機能すぎて活用しきれないという課題を抱えていた企業が、システムを見直した結果、コスト削減や納得感ある人事評価の実現などの効果があったようです。

    ▼企業によって細かい目的は異なるため、ぜひ以下の事例記事も参考にしてみてください。

    リプレイス(リプレース)をする時期の目安

    リプレイスの目安はサーバーなどの場合、一般的には「5年」程度といわれています。

    確実な基準ではないものの、税法上における電子機器の耐用年数(減価償却期間)を5年としている点や、長年使い続けている機器は劣化しやすく、時間の経過とともに求められる環境も変わってくることが見込まれるため、目安としたいところです。

    ハードウェア以外の場合は、アップデートへの対応が出てきたり、使えないソフトが出てきたタイミングでリプレイスを検討しましょう。

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    リプレイス(リプレース)とマイグレーションの違い

    リプレイスとマイグレーション(migration)は類似語として認識されやすいのですが、両社には「全面的に新しい環境にするかどうか」という点で違いがあります。

    マイグレーションは、英単語として「移行」や「移住」「移転」などの意味を持ちます。

    リプレイスでは、問題が生じた部分だけを新しいものに交換するため、もともとの基盤部分は既存のままである一方、マイグレーションは既存システムなどを新しい環境に移行することになります。

    リプレイスでは、劣化した部分において新しいものに交換するようなイメージですが、マイグレーションは、新しい環境にしてすべてを切り替えるようなイメージを持つとわかりやすいかもしれません。

    リプレイス(リプレース)の種類におけるメリットとデメリット

    リプレイスにおける種類とそのメリットデメリットについてご紹介いたします。ご紹介するリプレイスの種類は以下の4つです。

    ・一括移行方式
    ・段階移行方式
    ・並行移行方式
    ・パイロット方式

    一括移行方式

    一括移行方式では、既存システムから新しいシステムへと切り替える方法です。

    すべての機能を入れ替えるため、システム上で生じていた問題を解決できます。しかし、長時間システムが停止するというデメリットもあります。

    段階移行方式

    段階移行方式は、既存システムから段階的に新しいシステムへと切り替える方法です。

    部分ごとにシステムを休止して段階的に切り替えることで、長時間システムを停止することなく切り替えられるため、リスクを抑えられるでしょう。

    しかし、移行をくりかえす性質であるため、移行にかかるコストが必然的に高くなります。

    また、機能ごとに旧システムと新システムで並行することになり、手間や時間がかかる場合があるという点がデメリットです。

    並行移行方式

    並行移行方式では、新システムと旧システムを同時に平行して使用します。新システムに問題がないということを確認してから旧システムを停止することになるので、リスクを抑えられるでしょう。

    しかし移行中においても、旧システムは稼働しているため、両方のシステムと連携する必要があり、同期などの手間がかかります。

    また2つのシステムを使用することでコストがその分かかります。移行の際にソフトがない場合、データ入力等の手間がかかる点もデメリットといえるでしょう。

    パイロット方式

    パイロット方式では、部門ごとに新しいシステムへ切り替えを行うため、問題が発生した場合でも影響やリスクを抑えられます。また、仮に問題が発生した場合は、その問題をほかの部門のシステム移行時に参考にできる点もメリットです。

    しかし部門ごとの移行の際には問題なくても、運用してみると不足機能が判明する場合もあります。万が一そうした不足が見つかった場合などを踏まえると、時間と手間がかかってしまいます。

    リプレイス(リプレース)のメリット

    リプレイスで得られるメリットについて、以下でご紹介します。

    ・動作の安定性を担保できる
    ・セキュリティ対策にもよい影響がある
    ・デジタル化が進む

    動作の安定性を担保できる

    リプレイスのメリットとして、システムの動作を安定させることができる点です。

    機器等のハードウェアを新しくすることで、データ保存量の拡大や処理能力が向上します。また、故障や破損等によるダメージを減らすことで、動作の安定性を担保できるのもメリットといえるでしょう。

    セキュリティ対策にもよい影響がある

    リプレイスでは、システムにおけるセキュリティ上のリスクを抑えられる点もメリットといえます。

    たとえば最新のソフトウェアへのアップデートができずに古いソフトウェアを使用したままの場合、そのソフトウェアに対するサポートが終了した場合、セキュリティも心配です。

    常に最新のセキュリティ対策を講じた状態でシステムを使用するためにも、リプレイスで最新状態を保てるようにしたいところです。

    デジタル化が進む

    リプレイスを行うことで、性能のよいハードウェアを利用することで最新のソフトウェアへのアップデートが可能となり、単純に業務を効率化することができます。

    また、最新のハードウェアやソフトウェアで利便性を高めることで最新のデジタル化を進めることもできるでしょう。

    リプレイスのデメリット

    リプレイスで得られるデメリットにはどのようなものがあるのか、以下でご紹介します。

    ・スケジュールが遅れる場合がある
    ・コストがかかる
    ・期待どおりにいかない場合もある

    スケジュールが遅れる場合がある

    リプレイスでは、想定していたスケジュールどおりにいかないケースもある点はデメリットの一つといえるでしょう。ベンダーや企業、企業の担当者や作業者へと何度も経由しなければならない場合など、スムーズに伝わらず、やり直しや調整が発生することでスケジュールに遅れが生じる場合があります。

    コストがかかる

    リプレイスを行う場合、コストがかかります。方式にもよりますが、段階方式や並行方式などの場合には、よりコストが高くなるでしょう。

    リプレイスの方法と限られた予算内でどのように進めるのかという点は、事前に検討しておきましょう。

    期待どおりにいかない場合もある

    リプレイスを行う場合、期待どおりにシステムが完成しないなどの問題が生じることがあります。

    主な原因として、要件定義が整備されていない点が挙げられます。少なくとも現行システムと同等の機能を維持したくても、現行システムの要件が文書化・整理されていないと、再現すべき仕様があいまいで、期待する結果につながらないことがあります。

    とくに、初期開発を担当したエンジニアが不在だったり、業務担当者とエンジニアの間でシステムへの理解に差があったりする場合は、認識のズレが生じやすいため注意が必要です。

    リプレイス(リプレース)の進め方

    リプレイスの進め方と手順について、ご紹介していきます。手順としては以下のとおりです。それぞれについて、確認していきましょう。

    1. リプレイスにおける企画
    2. リプレイスに関する要件定義
    3. リプレイスの計画作成
    4. リプレイスにともなう移行データの準備
    5. リプレイスのリハーサル

    1.リプレイスにおける企画

    リプレイスをする際は、リプレイスに関する企画を事前に行いましょう。現行システムにおける調査や分析を行ったうえで、リプレイスに必要な点を抽出したり、優先順位を付けることが重要です。

    リプレイスについて、予算や大枠スケジュール、ベンダー業者選定、リプレイス後の効果などをあらかじめ検討しましょう。

    2.リプレイスに関する要件定義

    リプレイスの要件定義とは、システムに求める機能などをまとめたものです。現状や問題点、リプレイスに関する要望、最終的なリプレイス後の理想などを明確にしておくことが重要です。

    ベンダーに依頼する場合は、とくに詳細かつ具体的にまとめ、共有するようにしましょう。

    要件定義の際は、複数のシステム利用者で意見を出したり、細かい点であっても抽出しておくこと、ベンダーや関係者に伝わるようにまとめること、といった点は最低限意識したいところです。

    3.リプレイスの計画作成

    リプレイスの要件定義のあと、リプレイスのスケジュール作成を行います。

    リプレイスをどのタイミングでどのように進めていくのかを計画します。方式によってもかかる日数は異なるため、考慮したうえで検討するのがよいでしょう。

    全体感のスケジュールを引いたうえで、具体的なそれぞれの作業にともなうスケジュールを設定してみましょう。また、リプレイスではエラーや問題が生じる場合もあるため、ギリギリのスケジュール感ではなく、ある程度の余裕を持たせた計画をするようにしましょう。

    4.リプレイスにともなう移行データの準備

    リプレイスを行う前に、データ移行の準備も必要です。リプレイス後に現行のものと仕様が変わる場合には、あらかじめ調整や加工が必要になる場合があります。

    移行するデータやファイルのリプレイス後を想定しながら、やるべき準備を整えておきましょう。

    5.リプレイスのリハーサル

    リプレイスでは、データを移す前に必ずリハーサルを行うことが大切です。

    リプレイスを行ってみてはじめて判明するエラーもあるからです。手順や方法を確認したうえで、問題がないかをあらかじめ確認することで、スムーズにリプレイス作業を進められるでしょう。

    仮にリハーサル時にエラーや問題が生じた場合には、解決策を準備できるため、リスクを最小限に抑えられます。念のための事前準備やリハーサルを入念に行うことが、リプレイスをスムーズに進める重要な点といえるでしょう。

    リプレイス(リプレース)に失敗しないための対策や注意点

    リプレイスを行う際に、失敗しないために把握しておきたい対策方法や注意点を以下でご紹介します。

    要件定義を入念に行う

    リプレイスでは、要件定義をしっかり行いましょう。

    「現行システムを継続したい」というような大枠の意図だけでなく、現状の把握や課題、要望や目的などを抽出したうえで改善できるような要件定義を行っておくことが大切です。

    信頼できるベンダーに依頼する

    リプレイスは信頼できるベンダーに依頼することが重要です。

    信頼できるかどうかという点については、口コミや紹介だけでなく、過去の実績や誠実な対応、複数の提案、わかりやすい説明、同一担当者による作業、サポート体制など、多角的に判断しましょう。

    ベンダー任せにしない

    リプレイスでは、ベンダー任せにしないという点も重要な注意点の一つです。

    社内に技術者がいない場合、ベンダー業者に委託することになりますが、任せきりにした場合、想定した内容とは違うものとなってしまう場合もゼロではありません。

    現状把握と要望、目的などをベンダー側に伝えながら調整を取っていくという姿勢で委託するようにしましょう。

    ベンダーとの契約方法を検討する

    リプレイスをベンダーに依頼する場合、どのように契約するかも事前に決めておきましょう。

    注意したいのは、単純な請負契約の場合「完成」はしたものの納得いくようなシステムにならなかった場合に追加料金が発生したり、対応してもらえないなど、トラブルにもなりかねません。

    そこで準委任契約にしておけば、単純な「完成」ベースではなく「特定の業務を遂行すること」となり、依頼する側とベンダーの間で条件等を決めるられます。

    なにかトラブルや問題が生じることを想定して、1年間は無料で対応するなどの内容で契約するのが安心でしょう。

    リプレイス前の準備を行う

    リプレイス前には、さまざまな情報の準備が必要です。現行システムの問題点や解決したい点、将来的な運用に関する要望、現行とリプレイス後を図にしておくこともおすすめです。

    できるだけ具体的かつ詳細に、情報を用意しておくことで、意図がより伝わりやすくなるため、理想と結果のギャップを抑えることに役立つ可能性が高まるでしょう。

    システム停止時の対応を検討する

    リプレイスでシステムを停止する場合においては、システム停止にともなう影響やリスクをあらかじめ想定し、対処できるようにしておきましょう。

    たとえば顧客向けのシステムの場合、停止することで販売や注文ができなくなります。そのため停止期間中の売上が減少するという点も認識しておく必要があります。

    リプレイスにおいてどの程度の影響ができるのかを想定し、リプレイス後にどのようにカバーするのかなども検討しておきましょう。

    人事労務システムのリプレイスならクラウド移行もおすすめ

    人事労務システムのリプレイスを検討しているなら、オンプレミス環境からクラウド環境への移行も一案です。定期利用料について不安に思う方もいますが、オンプレミス環境では、サーバーやソフトウェアの保守、定期的なリプレイス、法改正対応などに費用や工数がかかります。

    長期的な利用を考えると、クラウド環境の方がコストの見通しが立ち、運用負担を抑えることも可能です。人事労務システムをリプレイスする際は、初期費用だけでなく、保守や更新、運用にかかるコストも含めて比較するとよいでしょう。

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    まとめ

    リプレイスは、古くなったシステムを入れ替え、現在の業務に合わなくなった仕組みを見直す機会でもあります。システムの老朽化は目に見えてわからず、使い続けているうちに動作が重くなり、作業が非効率となったり、運用が属人化したりするケースもあり得るためです。

    保守期限が迫ったシステムの使用継続は、セキュリティへや法令対応への懸念も拭えません。現行システムの課題を整理し、必要な機能や運用体制を確認したうえで、自社に合ったリプレイスを検討しましょう。