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勤怠管理のルールとは? 法律の観点から注意点と管理方法を解説

勤怠管理には、労働基準法や各種ガイドラインで定められた数多くのルールがあります。ずさんな管理方法を続けていると何らかのペナルティを科せられる恐れもあるため、十分注意が必要です。

そこで本記事では、勤怠管理におけるルールや違反したときのペナルティについて解説します。ルールを遵守するための具体的な方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

勤怠管理のルールとは? 法律上のルールから注意点、管理方法を解説
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    勤怠管理が必要な事業場と労働者

    勤怠管理のルールについて解説する前に、まずは勤怠管理が義務づけられている事業場や労働者について解説します。

    勤怠管理が必要な事業場

    勤怠管理を義務づけられているのは、労働基準法のうち、労働時間にかかる規定(労働基準法第4章)が適用されるすべての事業場です。企業の規模に関係なく、従業員を雇っているすべての企業は勤怠管理を行う義務があります。

    対象の事業所は、管理監督者や役員を含め、賃金を支払うすべての従業員に対して勤怠管理を行わなければなりません。ただし、農業や水産業など自然や天候の影響を強く受ける業種は、例外的に勤怠管理の省略が認められています。

    勤怠管理が必要な労働者

    勤怠管理の対象者は、原則として賃金を支払うすべての従業員です。企業は、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態に関係なくすべての従業員の勤怠情報を管理し、法律に則った働き方を遵守する必要があります。

    ただし、以下のいずれかの条件に当てはまる従業員に対しては、法定労働時間・休憩・法定休日などの働き方に関するルールを適用しなくてもよいとされています。

    • 農林水産業に従事する労働者(林業は除く)
    • 管理監督者
    • 機密の事務を取り扱う労働者(例:秘書)
    • 監視業務などに従事し労働基準監督署長から許可を受けた労働者

    ルールに沿った勤怠管理が必要な理由

    勤怠管理の目的は、主に「働き方改革」と「法令遵守」の2つです。従業員の出退勤時刻や労働時間、欠勤や休暇の取得状況などを把握することで、過重労働の早期発見・防止や従業員の健康維持、適正な賃金の支払いに役立てられます。

    2017年には厚生労働省によって『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』が策定され、勤怠管理の重要性はますます高まっています。

    参考:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』厚生労働省

    勤怠管理で知っておきたい法律上のルール

    適切な勤怠管理を行うためには、以下の5つのルールをおさえることが重要です。

    • 労働時間に関するルール
    • 残業に関するルール
    • 年間休日総数に関するルール
    • 年次有給休暇に関するルール
    • 割増賃金に関するルール

    それぞれのルールについて、以下で詳しく解説します。

    労働時間に関するルール

    労働基準法では、労働時間は1日8時間、週40時間までと定められています。

    これは「法定労働時間」といい、就業時間の規則を策定したり「どこからどこまでが残業時間になるのか」を考えたりするうえで重要な指標です。労働時間が6時間を超えると45分以上、8時間を超えると1時間以上の休憩を与える必要があります。

    第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

    ② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

    引用:『労働基準法』e-Gov法令検索

    また、労働時間は「客観的な記録」によって把握するよう法律で定められており、タイムカードや勤怠管理システムの導入などの取り組みが必要です。

    残業に関するルール

    従業員に1日8時間、1週間40時間を超える労働、つまり残業をお願いするときは「36(サブロク)協定」を締結しなければなりません。労使双方の合意によって締結された36協定を届け出た場合に限って、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働が認められます。

    ただし、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間とされ、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできないと定められています。

    臨時的な特別の事情があり、事業主と従業員がそれぞれ合意しているなら、以下の条件の範囲内で労働時間が延長できます。ただし、超えられるのは、年6か月(6回)までです。

    • 年720時間以内
    • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
    • 月100時間未満(休日労働を含む)

    年間休日総数に関するルール

    企業は、従業員に少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。ただし、法定労働時間で計算した場合、年間に働かせることが可能な日数の上限は260日程度、最低限必要な年間休日数は105日です。

    なお、厚生労働省の調査によると、2021年における労働者1人当たりの年間休日数の平均は115.3日とされています。

    参考:『令和4年就労条件総合調査の概況』厚生労働省

    年次有給休暇に関するルール

    年次有給休暇は、半年間継続して雇用され、全労働日の8割以上を出勤しているすべての従業員に付与されます。

    また、事業主は、法定の年次有給休暇日数が10日以上あるすべての従業員に対して、毎年5日間の年次有給休暇を取得させなければなりません。企業には、従業員が年次有給休暇を取得しやすいような職場環境づくりや、有給取得状況を把握できる仕組みの整備が求められるでしょう。

    なお、厚生労働省の調査によると、2021年における労働者の取得した日数は平均10.3日で、取得率は58.3%です。

    参考:『令和4年就労条件総合調査の概況』厚生労働省

    割増賃金に関するルール

    割増賃金には、時間外(時間外手当・残業手当)・休日手当・深夜手当の3種類があります。

    企業は、法定労働時間を超えた労働時間に対して通常の25%以上、時間外労働が1か月60時間を超えた場合は50%以上の割増率を適用しなければなりません。

    また、休日出勤に対しては35%以上、22時から翌日5時までの深夜帯の労働に対しては25%以上の割増率を設定するよう定められています。

    勤怠ルール違反による会社へのペナルティ

    勤怠管理のルールに違反すると、企業は次のようなペナルティを負う恐れがあります。

    労働基準監督署からの是正勧告と刑罰

    従業員からの告発などにより労働基準監督署が違法行為の疑いを認識すると、企業に対して調査が行われます。労働基準法違反が見つかると、まずは労働基準監督署より是正勧告を受ける可能性が高いでしょう。是正勧告後にも改善が見られないなら、刑事罰を科せられるケースもあります。

    たとえば、以下のような働き方を従業員に強いている企業は、労働基準法違反により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあるでしょう。

    • 法定労働時間を超えた労働
    • 従業員に休憩をとらせない
    • 従業員に休日をとらせない

    社会的評価の低下

    近年はワークライフバランスの意識が高まり、働き方改革に熱心な企業が高く評価される傾向があります。万が一、労働基準法違反が明るみに出れば、企業の社会的信用は失墜しかねません。世間からの風当たりが強くなり、業績にも悪影響を及ぼす恐れがあるでしょう。

    また、労働基準法を守らない組織で「働きたい」と考える人は少ないため、新しい人材の雇用に苦戦するばかりか、今いる従業員にも会社から離れられてしまうリスクがあります。

    ルールを守った勤怠管理ができる4つの方法

    勤怠管理の方法は、主に次の4つです。

    • 手書き
    • エクセル
    • タイムカード
    • 勤怠管理システム

    手書き

    手書きのタイムカードや出勤簿は、導入コストがほとんどかかりません。ただし、手書きの情報は不正や改ざんのリスクが高いため注意が必要です。労働時間の集計にも時間がかかるため、10人未満の会社や部署など小規模グループに向いています。

    また、手書きの勤怠管理は、厚生労働省が定める「客観的な記録の把握」には該当しません。

    しかし、手書きの勤怠管理がただちに違法とされるわけではなく、以下の措置を講じることでペナルティのリスクを回避できます。

    1.自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと

    2.自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること

    3.使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること

    引用:『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』厚生労働省

    エクセル

    業務で使用するパソコンにエクセルソフトが入っていれば導入コストはかからず、関数を用いると労働時間が自動で計算できます。無料テンプレートが公開されていることも多く、自社に適したものを選べます。

    ただし、手書きと同じく人の手で情報を入力していくため、入力漏れが発生しやすいというリスクがあります。エクセルで勤怠管理を運用するなら、入力漏れや法令・勤怠ルール違反の有無を確認するためのチェック体制を整える必要があるでしょう。

    タイムカード

    タイムカードなら、カードを差し込むだけで誰でも簡単に打刻ができます。初期費用としてかかるのは、タイムレコーダーと人数分のタイムカードの用意だけ。また、ランニングコストもタイムカードと電気代、インク代のみで済みます。

    ただし、タイムカードには、打刻漏れやほかの従業員による不正打刻などのリスクが潜んでいます。また、タイムカードには保管義務があり、2020年の法改正により保管期間が3年から5年間に延長されました。現在は経過措置として3年間の保管が認められていますが、スペースなどの余裕があれば5年間保管するほうが望ましいでしょう。

    さらに、タイムカードで管理できるのは従業員の労働時間や休憩時間のみなので、有給日数や残業時間は別の方法で管理しなければなりません。

    勤怠管理システム

    従業員の勤怠情報をシステム上で記録する方法です。システムによって労働時間や残業時間などが自動集計され、勤怠管理業務の効率化をはかれます。また、人の手が加わりにくいため、集計ミスや不正打刻のリスクを軽減できる可能性が高まります。

    システムによっては、残業時間や有給休暇の取得状況がアラート表示される便利な機能が搭載されたタイプもあります。給与計算や年末調整との連携ができるサービスなら、業務効率がさらにアップするでしょう。

    ただし、勤怠管理システムは、そのほかの方法と比べて導入コストが高額です。ランニングコストが発生するケースもあるため、予算との兼ね合いも踏まえてよく吟味しましょう。

    勤怠管理システムのメリット

    勤怠管理システムを導入すると、企業は以下のようなメリットを得られます。

    労働基準法に基づいた勤怠管理ができる

    勤怠管理システムなら、システムのバージョンアップによって、法改正にも迅速に対応しやすいです。働き方改革関連法に対応したシステムも多く、時間外労働や有給休暇の取得状況も正確に管理できます。

    客観的な記録による労働時間の把握ができる

    ICカードやパソコンとの連動で、従業員の打刻時間を自動的に記録できます。これにより、厚生労働省のガイドラインに記載された「客観的な記録による労働時間の把握」を遵守できます。

    また、書類管理が不要なため、紛失や情報漏えいのリスクも防げます。打刻漏れやリスキーな勤怠を知らせるアラート機能を備えるサービスも多く、組織のコンプライアンス強化に一役買ってくれることでしょう。

    勤怠ルールを守らない従業員に対する注意点

    企業側が法令遵守に気を使っていても、現場でルールが守られていなければ意味がありません。企業は、従業員の勤怠情報を管理し、問題があれば適切に対処する必要があります。勤怠ルールを守らない従業員に対しては迅速に対応しましょう。

    あらためて勤怠ルールとリスクを伝える

    意図的かどうかにかかわらず、勤怠ルールに違反する行為を見つけたら、当該従業員をすみやかに指導することが大切です。法令遵守の必要性を伝え、正確な労働時間の申告を求めましょう。

    万が一、注意をしてもルールを守らない場合は、企業秩序違反として懲戒処分される可能性を伝えるのも一案です。

    現場での圧力がないか確認する

    従業員本人の意思ではなく、上司からの圧力によって不正を強いられているパターンも考えられます。たとえば、上司から膨大な業務量を与えられているにもかかわらず「残業は許さない」と言われ、残業の未申告を強いられているケースもあるでしょう。

    残業代に対する未払いは労働基準法違反にあたり、罰則が科せられる恐れがあります。ペナルティについてあらためて周知することはもちろん、問題があった従業員本人だけでなく所属する部署や直属の上司を徹底的に調査し、不正が起こった根本原因を正すようにしましょう。

    勤怠管理の適切なルール設定を

    従業員の勤怠管理には、さまざまなルールが設けられています。法定外労働や年次有給休暇など多くの要素を管理する必要があるため、ミスが起こらないよう「ルールを守るためのルール」を設けることが大切です。

    法令を遵守した勤怠管理は、是正勧告や罰則などのリスクを回避するだけでなく、従業員の心身の健康を守ることにもつながります。勤怠管理システムの導入やルールの周知徹底などの施策を通して、適切な勤怠管理を行いましょう。

    特に、勤怠をはじめ人材情報が分散している企業は、管理運用の見直しとともに、勤怠管理のクラウド化を検討してみてはいかがでしょうか。

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