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労働時間の計算方法|適切な方法や働き方別の算出法・注意点についても解説

従業員の給与を算出する際は、法律にのっとって正確に計算する必要があります。給与計算のベースとして用いられるのが、従業員が働いた労働時間。企業側は、労働時間の計算方法を正しく理解しておかなければなりません。

そこで、本記事では労働時間の計算方法を詳しく解説します。みなし労働時間制やフレックスタイム制など、さまざまなワークスタイルに合わせた計算方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

労働時間の計算方法|適切な方法や働き方別の算出法・注意点についても解説
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    労働時間と勤務時間の違いについて

    労働時間と勤務時間は同じものとして捉えられやすいです。しかし、両者には以下のような違いがあります。

    労働時間労働基準法第32条による、被雇用者(労働者)が雇用者の指揮命令下で会社のために働く時間。休憩時間などを差し引いて算出する
    勤務時間企業の就業規則で規定された始業時刻から終業時刻までの時間。休憩時間なども含まれる

    「休憩時間を含むかどうか」が大きな違いです。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    労働時間を計算する際の3つのポイント

    労働時間を計算する際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。

    • 勤務時間から休憩時間を差し引く
    • 遅刻や早退は差し引いて計算する
    • 労働時間は1分単位で正確に計算する

    それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

    1.勤務時間から休憩時間を差し引く

    給与は、従業員の労働の対価として支払われるもの。そのため、給与の支払い対象となるのは「労働時間=従業員が実際に働いている時間」です。昼休みなどの休憩時間は労働時間に含まれないため、原則的に給与計算からは除外されます。ただし、休憩時間中に電話番をする必要がある場合などは、その時間も労働時間とみなされるため注意が必要です。

    2.遅刻や早退は差し引いて計算する

    従業員が遅刻や早退をした場合は、労働時間から差し引いて計算します。その際、実際に遅刻・早退した時間以上に労働時間を差し引いてはなりません。たとえば、「2日連続で遅刻したから労働時間を30分間余計に差し引く」といったように、ある種のペナルティとして労働時間を差し引くことは違法です。

    3.労働時間は1分単位で正確に計算する

    従業員の労働時間は1分単位で計算し、給与に反映させる義務があります。残業時間も同様に、1分でも残業している場合は、その分を残業代に反映させる必要があります。一方、大切な会議に1分遅刻したからといって、1時間分の給与を差し引くようなことは認められません。従業員の労働時間は正確に記録し、労働した分は全額を支払う、労働していない分は支払わない、という管理を徹底することが大切です。

    15分単位で労働時間を計算している場合の注意点

    企業のなかには、従業員の労働時間を15分単位で計算しているところも少なくありません。確かに1分単位で記録するより管理の手間がかからず、計算も簡単です。しかし労働時間を15分単位で管理することは違法です。労働基準法第24条により、賃金は従業員に対して、その全額を支払わなければなりません。

    賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

    引用:『労働基準法』e-Gov法令検索

    上記の賃金全額払いの原則に基づき、「労働時間は1分単位で管理・計算する」と解釈されています。労働時間を15分単位で計算し、それ以下の時間を切り捨てて給与や残業代を計算した場合は、労働基準法違反とみなされます。場合によっては30万円以下の罰金が科せられる恐れもあるため、十分注意しましょう。

    1か月単位で労働時間を計算する場合は端数処理ができる

    労働時間は原則1分単位で計算する必要があります。例外として端数処理が認められるケースも存在します。

    11か月における時間外労働、休日労働および深夜業のおのおのの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
    2時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
    31か月における時間外労働、休日労働、深夜業のおのおのの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、「2」と同様に処理すること

    引用:『Q10 残業手当の端数処理は、どのようにしたらよいですか。』厚生労働省鹿児島労働局

    上記の通り、1か月単位での時間外労働・休日労働・深夜残業については、1時間未満の端数の切り捨て、切り上げが認められています。これは、1か月という長いスパンで正確な計算を求めると、勤怠や給与計算の管理が複雑になってしまうためです。

    たとえば、1か月の時間外労働が合計15時間27分だった場合は、30分未満の端数を切り捨てて「15時間」として計算できます。また、1か月の時間外労働が合計15時間33分だった場合は、30分以上の端数を切り上げて「16時間」として処理します。

    法定労働時間を超えた場合は割増賃金を支払う必要がある

    労働時間には所定労働時間と法定労働時間の2種類があり、それぞれの違いは以下の通りです。

    所定労働時間企業が独自に定めた労働時間
    法定労働時間法律で定められた労働時間

    法定労働時間は「1日8時間、週40時間まで」と定められており、上限を超過した場合は割増賃金を支払う必要があります。

    たとえば、所定労働時間が7時間と定められている企業では、1時間残業した日の合計労働時間は8時間です。8時間は法定労働時間内に収まっているため、割増賃金の支払いは必要ありません。一方、2時間残業した日の合計労働時間は9時間となり、法定労働時間を超過した分は割増賃金を支払う必要があります。

    参照:『法定労働時間と割増賃金について教えてください。』厚生労働省

    法定労働時間の割増賃金を計算する方法

    労働基準法第37条において、賃金の割増率は下記の通り定められています。

    時間外労働(法定労働時間を超えた労働)2割5分以上
    深夜労働(22~5時までの間の労働)2割5分以上
    休日労働(法定休日における労働)3割5分以上
    月60時間を超える時間外労働5割

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    割増率は重複して発生する場合があるため注意しましょう。たとえば、時間外労働が深夜にまでおよんだ場合は、合計5割以上(2割5分+2割5分)。休日労働が深夜にまでおよんだ場合は、6割以上(3割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要があります。

    ただし、休日労働に対する割増賃金と、時間外労働に対する割増賃金は重複しません。月60時間を超える時間外労働には企業規模による差異が設けられていました。しかし2023年4月1日以降は中小企業の割増率が引き上げられ、企業規模に関係なく一律5割に変更されています。

    参照:『法定労働時間と割増賃金について教えてください。』厚生労働省
    参照:『割増賃金の計算方法』厚生労働省
    参照:『月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられます』厚生労働省

    割増賃金の計算に使う月平均所定労働時間とは

    時間外労働や深夜労働などの割増賃金を計算する際は、『月平均所定労働時間』という基準を用います。そもそも、月平均所定労働時間とはどのようなものなのでしょうか。

    月平均所定労働時間とは

    月平均所定労働時間とは、1か月あたりの平均的な所定労働時間数を計算したものです。割増賃金は「1時間あたりの賃金額×割増率×割増賃金の対象時間数」で計算できます。1時間あたりの賃金額を算出する際に、月平均所定労働時間を使用します。

    1時間あたりの賃金額=月給÷1か月の平均所定労働時間

    1年のなかには31日まである月もあれば、28日までしかない月もあります。月ごとの割増賃金の計算が不揃いにならないよう、平均的な月の労働時間を求めるのです。

    参照:『割増賃金の計算方法』厚生労働省

    月平均所定労働時間の計算方法

    1年間を365日とした場合、月平均所定労働時間は以下の式で計算できます。

    (365日-年間休日数)×1日の所定労働時間÷12

    年間休日数には、企業ごとの休日数を当てはめます。たとえば、年間休日数が125日、所定労働時間が8時間の企業の場合、月平均所定労働時間は次の通り計算できます。

    (365日-125日)×8時間÷12=160時間

    参照:『割増賃金の計算方法』厚生労働省

    さまざまな勤務形態と労働時間の計算方法

    近年は働き方の多様化が進み、みなし労働時間制やフレックスタイム制などさまざまな勤務形態が普及しています。それぞれの勤務形態における労働時間の計算方法を解説します。(※2023年5月時点の情報です)

    みなし労働時間制

    みなし労働時間制とは、あらかじめ定められた労働時間を、働いた時間としてみなす制度です。たとえば、1日の労働を8時間に設定した場合、実際の労働時間が6時間でも10時間でも、8時間分として給与計算を行います。

    みなし残業制を導入している場合は、実際の残業時間にかかわらず一定の時間数分を給与として支払います。また、法定労働時間を超えた場合の時間外労働・深夜労働・休日労働に関しては、上記の割増賃金の支払いが必要です。

    参照:『「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために』厚生労働省

    フレックスタイム制

    フレックスタイム制とは、一定期間内で定められた総労働時間の範囲内において、従業員がみずから始業・終業時刻を決定できる制度です。総労働時間を守りさえすれば、「この日は遅くまで仕事をがんばり、代わりに翌日は遅めに出勤する」といったフレキシブルな働き方を実現できます。

    フレックスタイム制では、清算期間の暦日数÷7×40時間で算出された時間を法定労働時間として扱います。算出した法定労働時間と実際の労働時間を照らしあわせて、以下の通り処理しましょう。

    算出した法定労働時間を上回った場合超過した時間分の賃⾦を清算する
    算出した法定労働時間を下回った場合不⾜時間分の賃⾦を控除して⽀払うか、不⾜時間を繰り越して次の清算期間の総労働時間に合算する

    参照:『フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き』厚生労働省

    変形労働時間制

    変形労働時間制とは、その時々の業務量の違いに応じて、1か月や1年などの一定期間ごとに労働時間を調整できる制度です。設定した一定期間内において、特定の日または週に法定労働時間を超えて働かせることができます。ただし、一定期間内で平均を算出したとき、1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えないよう調整する必要があります。

    たとえば、1か月単位の変形労働制で考えてみましょう。月末に客足が集中する場合は1・2週目を34時間、3・4週目を46時間とすれば、1か月で平均したときの1週間の労働時間は40時間に収まります。

    設定した所定労働時間を実労働が上回った場合は、1週間あたりの労働時間が40時間を超えている分に対しては割増賃金が発生します。

    参照:『(3)1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制』厚生労働省

    労働時間を計算する際の注意点

    労働時間を計算する際は、以下の点に注意しましょう。

    休憩中に仕事をすると労働時間扱いになる

    従業員に対して休憩中に電話番などをお願いすると、休憩時間も労働時間とみなされてしまいます。休憩時間は雇用者の指揮命令下から完全に外れ、労働から離れている状態でなければなりません。休憩中は、電話番などの軽作業であっても業務を与えないよう注意しましょう。

    参照:『第4章 労働時間、休憩及び休日』厚生労働省

    法定労働時間を超える場合は36(サブロク)協定の締結・届け出が必要

    法定労働時間は、「1日8時間、週40時間まで」と定められています。法定労働時間を超えた時間外労働および休日勤務をお願いする場合は、下記の手続きが必要です。

    • 労働基準法第36条に基づく労使協定(36(サブロク)協定)の締結
    • 所轄の労働基準監督署⻑への届出

    36協定は正式名称を『時間外労働・休日労働に関する協定(以下、36協定)』といい、使用者(企業)と労働者の間で結ぶものです。

    36協定を締結すると、原則月45時間、年360時間までの時間外労働が認められます。臨時的な特別の事情がない限り、上限を超えることはできないため注意が必要です。従業員に残業や休日出勤をお願いする際は、割増賃金を支払うだけでなく、36協定を忘れずに締結しましょう。

    参照:『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

    労働時間の計算をスムーズに行うためには勤怠管理が重要

    労働時間を正しく計算するためには、日々の勤怠管理を正確に行う必要があります。勤怠管理にはタイムカード、エクセル、計算ツールなどさまざまな方法がありますが、なかでもおすすめは勤怠管理システムです。

    勤怠管理システムを導入すれば、従業員の労働時間や休憩時間を自動で計算できます。タイムカードやエクセルでは発生しやすい打ち忘れや入力ミス、代理打刻などのトラブルも起こりにくく、より正確な勤怠管理ができます。

    ケースごとの計算方法を把握し、労働時間を正確に算出

    従業員の給与を正しく計算するためには、まず正確な労働時間を把握する必要があります。労働時間の計算にはさまざまなルールがあるため、法律を遵守しつつ、適切な方法で運用することが大切です。

    また、さまざまな働き方を導入している企業では、それぞれにおける計算方法の違いを理解しておきましょう。計算が複雑化するほどヒューマンエラーが発生しやすくなるため、勤怠管理システムを導入することもおすすめです。

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