勤務形態とは? 種類や特徴、雇用形態との違いも解説

勤務形態とは? 種類や特徴、雇用形態との違いも解説

勤務形態は、従業員が企業で働くうえで重視するポイントです。企業が多様な勤務形態を用意し、柔軟な働き方を許可することで、従業員は働きやすさを感じ、人材確保や生産性向上にもつながります。

本記事では、勤務形態の種類や特徴、メリットや注意点も紹介します。働き方改革を推進や人材確保を強化したいと考える企業の経営層や人事担当者は参考にしてください。

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    勤務形態とは?

    勤務形態とは、働き方のことです。具体的な勤務形態は仕事をする時間や曜日、就労場所などによって分類されます。

    現代では、働き方改革や新型コロナウイルスの流行をきっかけに、柔軟な働き方ができる勤務形態が浸透しています。柔軟な勤務形態を導入することで、求職者の働きやすさが増すため、人材確保にもつながるでしょう。

    勤務体系との違い

    勤務形態と似た言葉に「勤務体系」があります。勤務体系は時間帯や勤務頻度を含めた働き方を指す言葉です。勤務体系にはシフトの区分(朝晩や遅番、夜勤など)も含まれる点が勤務形態と異なる点ですが、両者はほぼ同じ意味合いで使われます。

    雇用形態との違い

    勤務形態と混同しやすい言葉に「雇用形態」があります。雇用形態は、企業側と労働者が締結する雇用契約の種類を意味する言葉です。具体的には、正社員や契約社員、アルバイトやパートなどが該当します。

    勤務形態と雇用形態はどちらも人事労務の場面で使う言葉であり、つながりのある言葉であるため、正しく理解しておきましょう。

    勤務形態に対する企業の変化

    日本では、毎日決まった時間に仕事をする固定時間制が一般的で、サービス業など一部の職種では、労働時間を調整できる変形労働時間制が採用されてきました。

    時代の変化にともない、現代では仕事の時間を柔軟に捉え、フレックスタイム制や裁量労働制など、さまざまな勤務形態を導入する企業も少なくありません。

    勤務形態の種類や特徴

    勤務形態にはいくつもの種類があります。それぞれの勤務形態には特徴があるため、種類と特徴を解説します。

    • 固定時間制
    • 変形労働時間制
    • フレックスタイム制
    • 裁量労働制(みなし労働時間制)
    • 育児短時間勤務制
    • テレワーク
    • 時差出勤制

    固定時間制

    勤務形態における固定時間制とは、企業が設定する就業時間に合わせて勤務し、毎日決まった時間や曜日に仕事をする働き方です。たとえば、企業が就業時間を平日の8:00から17:00までと設定した場合は、その時間に仕事をします。

    勤務時間や休日については、労働基準法で定められている法定労働時間を厳守しなければなりません。固定時間制は、働く時間が一定の規則性をもっているため、企業側も従業員側も予定を把握しやすいという特徴があります。

    変形労働時間制

    勤務形態における変形労働時間制とは、週や月、年といった一定の範囲内で労働時間を管理する勤務形態です。業務の性質や繁閑時期に応じて労働時間を決められる点が大きな特徴です。

    変形労働時間制を導入する場合は、一定期間の労働時間数の平均が法定労働時間内に収まれば、仮に1日や1週間単位の法定労働時間を超えても問題ありません。

    変形労働時間制によって労働時間の配分をうまく行うことで、最終的に労働時間を短縮させたり、人件費を抑えられるメリットがあります。

    フレックスタイム制

    勤務形態におけるフレックスタイム制とは、労使協定で定めた労働時間内であれば、従業員が自由に始業および終業時刻を決定できる働き方です。

    企業がフレックスタイム制を導入することで、従業員はライフワークバランスを向上させられるため、会社への満足度も高めやすくなります。

    フレックスタイム制を導入する場合、従業員によって勤務時間が異なるため、勤怠管理が煩雑化するという注意点もあります。

    裁量労働制(みなし労働時間制)

    勤務形態における裁量労働制とは、企業が労働時間を決めるのではなく、従業員の裁量に任せる勤務形態です。みなし労働制の一つに該当します。

    裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、契約した労働時間分の労働をしたという扱いにする制度です。そのため、労働時間に関係なく、仕事の成果で評価を行います。

    裁量労働制は、20業務のみに許可されている「専門業務型裁量労働制」と、企業の本社などで企画や分析などを行う職種を対象とする「企画業務型裁量労働制」に分類されます。

    参照:『専門業務型裁量労働制について』厚生労働省
    参照:『企画業務型裁量労働制について』厚生労働省

    育児短時間勤務制

    勤務形態における育児短時間勤務制とは、3歳までの子どもを育てる従業員が、1日の労働時間を6時間に短縮できる働き方です。企業は、育児介護休業法によって育児短時間勤務制の導入が義務付けられています。

    さらに、同法では、小学校就学の始期(6歳になった日以降に最初に迎える3月31日)まで延長することを努力義務としています。従業員が育児短時間勤務制を利用して働く場合、労働時間に応じて給与が減額される点が特徴です。

    また、賞与が労働時間と連動している場合は、賞与も減額されます。企業は、この制度によって、出産や育児の可能性がある人材を確保しやすくなります。

    テレワーク

    勤務形態の一つとしてテレワークも浸透しています。テレワークとは、会社やオフィスなど、就労場所を限定せずに仕事をする働き方です。特に、新型コロナウイルスの流行をきっかけに多くの企業で導入されました。

    テレワークは、効率的な働き方の実現や生産性の向上も期待できます。一方で、社内コミュニケーションが希薄になったり情報漏洩のリスクがあったりする点には注意しなければなりません。

    時差出勤制

    勤務形態における時差出勤制とは、企業側が1日の労働時間を決めて勤務パターンを複数設定し、従業員がその中から選ぶ働き方です。時差出勤制はフレックスタイム制と似ていますが、始業時間や退勤時間が決まっている点に違いがあります。

    育児や介護などの家庭事情により一般的な勤務時間に固定して働くことが難しい従業員や、朝や夜の通勤ラッシュを避けたい従業員にメリットがあります。

    勤務形態制度を整備するメリット

    勤務形態を柔軟に取り入れることは、企業によってどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを紹介します。

    • 働き方改革を推進できる
    • 多様な人材確保につながる
    • 業務効率化や生産性向上を見込める

    働き方改革を推進できる

    働き方改革とは、働く人の状況に配慮し、多様な働き方を選べる社会を実現するための取り組みです。働き方改革を推進することにより、日本が直面する以下の課題解決につながります。

    • 少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少
    • 労働者のニーズの多様化
    • 生産性の向上
    • 就業機会の拡大と労働者の意欲や能力を発揮して活躍できる環境の整備

    政府が推進するだけでは働き方改革は浸透しません。多くの企業が働き方改革について理解を深め、取り組む必要があります。勤務形態制度を整備して、従業員に柔軟な働き方を認めることは、働き方改革の推進といえます。

    参照:『「働き方改革」の実現に向けて』厚生労働省

    多様な人材確保につながる

    勤務形態を幅広く整備することで、人材確保にも効果があります。より働きやすい環境があることは、従業員が長く働いたり、ワークライフバランスを整える点でも効果的です。柔軟な働き方ができる点で、求職者からの注目度も高まり、多様な人材を確保しやすくなります。

    業務効率化や生産性向上を見込める

    勤務形態を整備して、柔軟な働き方を採用すれば、従業員が時間を有効活用できます。精神的にも余裕が生まれ、メリハリをもって仕事ができるため、集中力も上がるでしょう。

    時間を有効活用するためには、自己管理能力が必要です。仕事への集中力や自己管理能力が向上すれば、業務効率化や生産性の向上も期待できます。

    勤務形態制度を整備する際の注意点

    勤務形態制度を企業が整備する際は、いくつかの注意点があります。あらかじめ注意点を理解することで、整備する際のトラブルや失敗を防ぎやすくなります。

    • 勤怠管理が煩雑化する
    • 従業員への周知を徹底する
    • 長時間労働に注意する

    勤怠管理が煩雑化する

    勤務体系を整備すると、勤怠管理が煩雑化してしまいます。さまざまな働き方をする従業員がいることで、労働時間の把握や計算が難しくなるためです。勤務形態を整備する場合は、手動で行う勤怠管理ではなくシステムを活用して勤怠管理を効率化するのがおすすめです。

    従業員への周知を徹底する

    勤務形態を整備する際は、従業員への周知も徹底しましょう。

    これまで固定時間制を中心としていた企業の場合、いきなり複数の勤務形態を許可しても浸透しません。企業側は、新たに採用する制度を従業員に説明する必要があります。

    また、勤務形態を整備する際は、優先度の高いものから徐々に導入し、増やしていくのがおすすめです。

    長時間労働に注意する

     勤務形態を整備する場合、柔軟な働き方ができるようになります。

    ただし、テレワークや裁量採用量労働制などは、実際の労働時間を厳密に管理できるわけではないため、長時間労働にもなりかねません。

    労働時間を管理できない勤務形態の場合は、企業側が定期的な注意喚起を行ったり、業務内容の報告などをしてもらうようにしましょう。

    まとめ

    勤務形態とは、従業員の働き方のことを指します。企業がさまざまな勤務形態を取り入れ、許可することで、従業員が働きやすさを感じ、効率化や生産性向上にもつながります。仕事と家庭との両立がしやすくなったり、メリハリのある働き方ができるようになれば、従業員のモチベーション向上も期待できるでしょう。

    勤務形態にはさまざまな種類があるため、まずは代表的な種類を理解し、企業が無理なく取り入れられるものから導入を検討してみてはいかがでしょうか。