退職手続きの流れとは?会社側の対応と渡す書類・回収物、遅れないためのポイント

退職手続きの流れとは?会社側の対応と渡す書類・回収物、遅れないためのポイント

従業員の退職手続きでは、会社側では保険・税金・書類発行などの対応が発生し、従業員側でも資格確認書や貸与物の返却など、両者にやるべきことがあります。

対応が遅れたり漏れたりすると労務トラブルにつながるおそれがあるため、人事担当者としては、退職手続きの流れを正確に把握しておくことが欠かせません。

本記事では、会社側・従業員側それぞれの退職手続きを整理し、必要な書類、回収物、提出期限、さらに退職後に発生する手続きまでをわかりやすく解説します。

パート・アルバイトの場合の違いや、ミスを防ぐためのポイント、人事労務システムを活用した効率化の方法も紹介しますので、退職対応の全体像を把握したい方におすすめです。

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目次アイコン目次
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    退職手続きは何を何日までにやる? 会社側・従業員側に分けて紹介

    退職手続きでは、会社側と従業員側で必要な対応や期限が異なります。ここでは、それぞれが行うべき手続きを一覧で整理しています。主な項目と期限をまとめていますので、チェックリストとしてご活用ください。

    会社側

    会社側が行う退職手続き一覧です。

    項目期限・タイミング
    退職届の受理退職日の14日前まで
    退職手続きの説明退職日まで
    資格確認書(旧 健康保険証)の回収退職日まで
    貸与品(PC、社員証など)の回収退職日まで
    年金手帳の返却退職日まで
    社会保険脱退手続き退職日から5日以内
    雇用保険脱退手続き退職日から10日以内
    住民税の手続き退職月の翌月10日まで
    健康保険資格喪失証明書送付退職日からおよそ5日後~
    離職票送付退職日からおよそ10日後~
    雇用保険被保険者証送付退職日からおよそ10日後~
    退職証明書送付退職日からおよそ10日後~
    源泉徴収票送付退職日から1か月以内

    ※手続きの詳細や注意点は社内規定や就業規則も確認してください。

    従業員側

    従業員側が行う主な手続きです。

    項目期限・タイミング
    退職届の提出退職希望日の14日前まで
    貸与品・資格確認書(旧 健康保険証)の返却退職日まで
    年金手帳の受け取り退職日まで
    離職票・源泉徴収票などの受領退職後(会社から送付される)
    国民健康保険・年金の手続き退職後14日以内(市区町村役場)
    失業保険の申請離職票受領後(ハローワーク)

    退職手続きは、いくつもの項目を同時に進めなければなりません。会社側・従業員側のどちらも、チェックリストを使いながら期限を守って対応することで、スムーズな退職手続きにつながります。

    退職手続きにおける会社側の対応フロー

    会社側が実際に行う退職手続きの流れとポイントを、順を追って詳しく解説します。

      期限ポイント
    1退職日の決定退職の申出があったら、引継ぎに必要な期間など踏まえ協議により決定
    2退職届の受理退職日が決定したら退職届を提出してもらう(退職希望日の14日前までが期限)
    3必要な対応の説明回収物・提出物・退職後の手続きを一覧で案内するのもおすすめ
    4貸与品の回収最終出勤日
    5資格確認書(旧 健康保険証)の回収退職日家族分も確認。マイナ保険証は返却不要
    6社会保険の喪失手続喪失日(退職翌日)から5日以内年金事務所+健康保険組合の2か所へ提出
    7雇用保険の喪失手続き退職翌々日から10日以内離職票の要否を退職者へ確認
    8所得税の精算最終給与支給時この時点で源泉徴収票の作成準備を開始
    9住民税の手続き退職月の翌月10日まで退職月により特別徴収→普通徴収の切り替えが必要
    10源泉徴収票の交付退職日から1か月以内転職先の年末調整・本人の確定申告に必須
    11離職票・退職証明書の発行資格喪失手続き完了後遅れると失業給付の申請も遅れる

    書類と期限が入り混じりやすい業務だからこそ、まずは全体像をつかむことが大切です。

    とくに社会保険や税金に関する手続きは、必要書類や期限を整理したいところですよね。

    順番に確認し、計画的に進めて漏れを防ぎましょう。

    1.退職日を決定する

    まずは従業員の希望と、民法や会社の就業規則を踏まえて退職日を決定します。

    民法では「退職の申し出から2週間で退職できる」と定められており、法律上の期限が就業規則より優先されます。

    そのため、希望日が就業規則で定めた期日より短くても、法的には一応問題ありません。

    しかし、退職日は、引き継ぎの進捗や部署の繁忙状況など、現場への影響も踏まえて調整する必要があります。以降の書類準備や手続きがスムーズに進むよう、双方が合意する退職日を、早めに確定させましょう。

    2.退職届を提出してもらう

    次に退職希望日の14日前までに、退職届を提出してもらいます。会社側は、この間に事務手続きを進めます。
     

    退職届の提出は法的に必須ではありませんが、口頭だけでは認識違いが起きやすく、退職をめぐるトラブルに発展するおそれもあります。提出日や内容を記録し、本人にも控えを渡しておくと安心です。

    提出が遅れるケースもあるため、社内で「遅れた場合の扱い」を事前に定めておくと、混乱も少ないでしょう。

    3.退職手続きについて説明する

    退職日が決まったら、従業員に対して退職日までに必要な手続きや返却物を早めに説明しておきます。何を、いつまでに、どの順番で対応すればよいか明確にしておくと、行き違いを防げます。

    主な説明内容は以下のとおりです。

    • 回収するもの
    • 従業員が提出する書類
    • 退職後に必要となる公的手続き
    • 会社から後日郵送する書類

    とくに社会保険・雇用保険の脱退、住民税の扱い、退職後に必要となる書類は本人が対応する部分もあるため、概要を伝えておくと親切でしょう。

    チェックリストやフローチャートを用意しておけば、「何から手をつければいいのか分からない」という不安もなくなります。必要に応じて、個別の質問にも応じながら、退職日までの流れを共有しましょう。

    4.会社の貸与品を回収する

    退職時には、会社が貸与した物品を確実に回収します。情報漏えいや資産管理のトラブルを防ぐためにも、最終出勤日までに漏れなく回収することが重要です。

    回収する主な貸与品は以下のとおりです。

    • パソコン/スマートフォン
    • 社員証/名刺/入館証
    • 制服/備品
    • 業務で作成した資料やデータ一式

    退職者は最終出勤日以降、有給消化に入るケースもあるため、退職日に必ず出勤するとは限りません。事前に最終出勤日を確認し、回収物のリストをもとにチェックしながら対応すると、抜け漏れを防げます。

    また、回収後の保管・廃棄ルールを事前に決めておくと、担当者間の認識がそろい、円滑に移行できるでしょう。

    5.資格確認書(旧 健康保険証)を回収する

    資格確認書は、退職日までに必ず回収します。本人分だけでなく、扶養家族がいる場合は家族分も忘れずに確認しましょう。健康保険資格の喪失手続きでは、資格確認書の返却が前提となります。

    従業員がマイナ保険証(マイナンバーカード)のみ利用している場合は、返却が不要です。事前にどちらを利用しているか把握しておくことをおすすめします。

    万が一、従業員が資格確認書を紛失している場合は、「資格確認書回収不能届」を提出しなければなりません。所在が不明なまま放置すると、手続きの遅れや不正利用のリスクにつながるため、すみやかに対応しましょう。

    6.年金事務所へ社会保険の喪失手続きをする

    退職後は、年金事務所へ社会保険の資格喪失手続きを行います。資格喪失日は「退職日の翌日」です。喪失日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。

    提出の際は、回収した資格確認書(本人・扶養家族分)を添付します。期限を過ぎると、会社・従業員双方に不利益が生じる可能性があるため、日付管理は徹底しましょう。

    会社が健康保険組合に加入している場合は、組合への提出も必要です。資格確認書を添付します。

    7.ハローワークへ雇用保険の喪失手続きをする

    雇用保険の資格喪失手続きは、退職日の翌々日から10日以内に行います。期限を過ぎると、失業給付の手続きが遅れ、退職者に不利益が生じる可能性があるため、確実に期限内に対応しましょう。

    提出する主な書類は以下のとおりです。

    • 雇用保険被保険者資格喪失届
    • 離職証明書(退職者が59歳未満で希望する場合、または59歳以上の場合は必須)
    • 賃金台帳・出勤簿など、賃金支払い状況と離職理由が確認できる資料

    手続きが完了すると、ハローワークから離職票が交付されます。

    8.所得税の手続きをする

    退職者の所得税は、最終給与の支給時に精算します。年の途中で退職する場合、会社は必ず 源泉徴収票を作成し、退職者へ交付しなければなりません。

    税額計算や記載内容の誤りは、あとから修正が必要になり、会社・退職者双方に負担がかかります。ダブルチェックの体制を整えておくと安心です。

    9.住民税の手続きをする

    住民税の手続きは、退職月の翌月10日までに、退職者が居住する市区町村へ届け出ます。特別徴収(給与天引き)を行っている場合は、退職にともない「給与所得者異動届出書」を提出し、徴収方法を切り替えなければなりません。

    ただし、住民税は毎年6月に課税年度が切り替わるため、退職する時期によって会社が対応する内容が変わります。以下の表を参考に、退職月ごとの扱いを確認しましょう。

    退職月対応
    1〜4月退職特別徴収(給与天引き)5月分までの住民税を最終給与から徴収して一括納付
    5月退職特別徴収(給与天引き)通常どおり5月分を納付で完了
    6〜12月退職普通徴収(本人が直接納付)普通徴収への切り替え


    住民税は自治体によって運用や書式が異なるため、事前に担当する自治体のルールを確認することをおすすめします。手続きが遅れると、退職者の納税に影響する可能性があるため、注意しましょう。

    10.源泉徴収票を発行する

    源泉徴収票は、退職日から1か月以内に必ず退職者へ交付します。転職先での年末調整や、本人の確定申告に必須の書類であり、遅れると退職者の手続きに影響するため、すみやかに作成しましょう。

    最終給与の確定後、源泉徴収票はすぐに作成に着手するのが一般的です。作成時に誤りがあると再発行が必要になり、会社・退職者双方に負担がかかるため、以下の点を確認しましょう。

    • 支給総額・控除額に誤りがないか
    • 社会保険料控除の月数が正しいか
    • 退職日・住所などの記載ミスがないか
      マイナンバーは記載不要である点

    発行後は、退職者が確実に受け取れるよう、郵送方法や送付先を事前に確認しておくことも重要です。

    11.離職票(退職証明書)を発行する

    離職票は、退職者が失業給付を申請する際に必要となる重要な書類です。会社は雇用保険の資格喪失手続きが完了したあと、ハローワークに必要書類を提出し、交付された離職票をすみやかに退職者へ渡します。

    離職票の発行が遅れると、失業給付の受給開始が後ろ倒しになるため、退職者に不利益が生じます。書類の準備は早めに進め、期限に余裕をもって対応しましょう。

    提出する主な書類

    • 雇用保険被保険者離職証明書
    • 賃金台帳・出勤簿の写し(賃金支払い状況の確認用)
    • 退職理由が確認できる資料

    退職者が 59歳未満で、かつ離職票を希望する場合、または 59歳以上の場合は希望の有無にかかわらず必須です。

    また、退職者から希望があった場合は、退職証明書もあわせて発行します。フォーマットは法的に定められていないため、社内で統一した書式を準備しておくと効率化が可能です。

    離職票・退職証明書はいずれも退職者にとって重要な書類です。記載内容の誤りがないか確認し、確実に手渡しまたは郵送で届けましょう。

    退職手続きで会社側が回収するもの一覧まとめ

    退職手続きでは、会社側からの回収物は種類が多く、何かひとつでも抜けていないか不安に感じる方も少なくありません。退職時に会社側が回収する主なものは以下のとおりです。

    • 資格確認書(扶養家族分含む)
    • 社員証、社章、IDカード、入館証
    • 名刺(自分の名刺・取引先名刺)
    • パソコン、タブレット、スマートフォン、社用携帯
    • 制服、作業着、社内シューズ
    • 通勤定期券、交通系ICカード
    • オフィスやロッカーの鍵
    • 貸与された文房具・書籍・備品
    • 仕事に関する資料やデータ
    • 年金手帳(会社が預かっていた場合)
    • 社内貸与のUSBメモリや記録媒体

    資格確認書は退職日まで有効なため、有給消化中でも退職日を過ぎてから返却するのが一般的です。なお、マイナ保険証の場合は返却不要です。

    貸与品の種類は会社・職種によって異なりますが、IT機器や名刺などは情報漏えい防止の観点から必ず回収しましょう。退職者がフルリモートであれば、郵送返却も認めてもよいでしょう。回収方法や期限は、事前にわかりやすく案内しておくことが大切です。

    退職手続き後に会社側が従業員に渡す書類一覧まとめ

    ここまで会社側の退職手続きについて、流れや回収物を紹介してきました。続いては、会社側が退職者に渡す主要な書類を一覧で紹介します。

    書類用途・補足注意点・発行時期
    源泉徴収票1年間に支払われた給与や天引きされた所得税額を証明する書類・転職先での年末調整・確定申告退職後1か月以内に発行
    雇用保険被保険者証雇用保険の加入状況を証明する書類。転職先で雇用保険に加入する会社が保管している場合
    退職証明書退職した事実や在籍期間、職務内容などを証明する書類。・転職先や公的機関から求められた場合希望者のみ
    離職票失業給付の申請本人が希望しない場合は不要、59歳未満は原則発行。発行には数日かかる。
    健康保険資格喪失証明書国民健康保険や家族の健康保険に加入する場合希望者のみ
    年金手帳公的年金の加入状況を証明する手帳原則本人が管理・会社が保管している場合

    退職後に従業員へ渡す書類は、転職先での手続きや失業給付の申請に不可欠です。どれも従業員が次の手続きを進めるうえで必要になるため、会社側としては内容と役割を理解し、すみやかに準備・交付することが重要です。

    退職後に交付する書類は、準備や発行手続きの関係で退職日当日に渡せない場合があります。多くは郵送対応となるため、会社側としては確実に発送し、退職者が受け取りやすいよう事前に案内しておくことが大切です。

    万が一書類が届かない・紛失したといった連絡が退職者からあった場合は、すみやかに再発行や再送付の対応ができるようにしておきましょう。]

    パート・アルバイト退職手続きは正社員と異なる?

    パート・アルバイトの退職手続きは、社会保険・雇用保険の加入状況によって会社側の対応が変わる点が特徴です。

    雇用保険や社会保険に加入している場合は、離職票の発行や資格喪失手続きなど、正社員と同じ流れで会社側が対応します。一方で、加入していない場合は、これらの手続きは不要です。

    また、従業員が退職後に国民健康保険・国民年金へ切り替える必要がある場合は、会社側は 健康保険資格喪失証明書など、必要書類の交付を忘れずに行います。

    手続き・書類社会保険加入雇用保険加入いずれも加入なし
    健康保険・厚生年金資格喪失手続き/資格確認書の回収必要
    雇用保険資格喪失手続き必要
    離職票の発行必要(59歳以上または本人希望時))

    源泉徴収票は全員に発行します。退職届については、パート・アルバイトも法律上必須ではありませんが、会社側としてはトラブル防止のため書面で提出してもらうことが一般的です。

    以下の書類や手続きは、原則として正社員と同じ扱いです。

    手続き・書類対応
    退職届の提出法律は規定なし。就業規則にしたがう
    退職証明書(本人希望時)発行
    源泉徴収票発行
    年金手帳(会社保管時)返却
    国保・国民年金への切替/健康保険資格喪失証明書
    発行(本人希望時)

    パート・アルバイトの退職手続きは、基本的に「加入状況に応じて必要な手続きが変わる」という点をおさえ、契約内容と勤務条件を確認したうえで、漏れなく書類を準備しましょう。

    自己都合と会社都合で退職手続きは異なる?

    退職は「自己都合退職」と「会社都合退職」の2種類があり、会社側が行う退職手続きや離職票の記載内容が変わります。

    区分を誤ると、退職者の失業給付に影響するため、双方の認識がずれないように、すり合わせましょう。

    【自己都合退職】

    従業員が転職や家庭事情などの理由で、みずから退職を申し出るケースです。退職届は本人作成・提出が原則で、会社側は届出をもとに手続きを進めます。

    【会社都合退職】

    倒産・事業縮小・整理解雇・雇い止めなど、会社側の事情で退職を余儀なくさせるケースです。会社都合の場合、退職届は本人に求めず、会社側が事実確認の文書を用意することもあります。

    自己都合と会社都合では、離職票の「離職理由」の区分が異なり、失業給付の扱いが変わります。

    • 自己都合:給付制限あり
    • 会社都合:給付制限なし。受給開始が早い

    また、就業規則によって、退職金の支給条件や加算が変わる会社もあるようです。

    従業員の履歴書記載内容にも影響するため、会社側が正確な区分を伝えなければなりません。

    退職理由の区分は、退職者のその後の生活に大きくかかわるため、事前の確認と正確な記録がとても重要です。

    退職には「自己都合退職」と「会社都合退職」の2種類があり、会社側が行う退職手続きや離職票の記載内容が変わります。区分を誤ると、退職者の失業給付に影響するため、双方で認識をあわせておくことが大切です。

    【自己都合退職】

    従業員が転職や家庭事情などの理由で、みずから退職を申し出るケースです。退職届は本人作成・提出が原則で、会社側は届出をもとに手続きを進めます。

    【会社都合退職】

    倒産・事業縮小・整理解雇・雇い止めなど、会社側の事情で退職を余儀なくさせるケースです。会社都合の場合、退職届は本人に求めず、会社側が事実確認の文書を用意することもあります。

    自己都合と会社都合では、離職票の「離職理由」の区分が異なり、失業給付の扱いが変わります。

    • 自己都合:給付制限あり
    • 会社都合:給付制限なし。受給開始が早い

    また、就業規則で退職金の支給条件に差を設けている会社もあるようです。

    従業員の履歴書の記載内容にも影響するため、会社側が正確な区分を伝えなければなりません。退職理由の区分は、退職者のその後の生活に大きくかかわります。事前の確認と正確な記録で、行き違いを防ぎましょう。

    会社側の退職手続きが遅いとどうなる?遅れずに対応する方法

    会社側の退職手続きが遅れると、従業員と会社の双方に大きなリスクが発生します。

    【従業員への影響】

    まず従業員側では、離職票や健康保険資格喪失証明書の発行が遅れることで、国民健康保険の加入や失業給付の申請といった公的手続きが進められません。

    結果として、無保険期間が発生し医療費の全額を一時的に負担しなければならなくなったり、失業給付の受給開始が遅れたりするリスクが考えられます。

    また、転職先での社会保険手続きにも影響が出ることがあり、新しい職場にも迷惑がかかるおそれがあります。

    【会社への影響】

    一方で会社側では、社会保険や雇用保険の喪失手続きが遅れると、退職者の保険料や税金に不整合が生じ、あとから精算や返金の対応が必要になる場合があります。

    とくに雇用保険手続きの遅延はハローワークからの指導対象となることもあり、企業イメージの悪化につながる可能性も否めません。

    手続きミスが重なると、退職者や転職先からの信頼を損なうだけでなく、社内の経理処理や内部統制への影響も広がることがあります。

    チェックリストを作成する

    退職手続きが遅れないようにするには、まずチェックリストを作成し、退職日や最終出勤日、書類ごとの提出期限、担当者などを一覧化するのがおすすめです。

    各項目に完了チェック欄を設けて進捗を可視化することで、担当者間の連携がしやすくなり、伝達漏れや作業の抜け漏れを防げます。

    また、法改正や社内ルールの変更に合わせて、リストを定期的に更新しておくことも重要です。日々の小さな改善が、円滑な退職手続きにつながります。

    ▼退職手続きのチェックリストを利用したい方は、以下の資料もご活用ください。

    人事労務システムを活用する

    退職手続きの煩雑さを解消し、正確性を高めるには、人事労務システムの活用もおすすめです。

    担当者の設定や期限の自動通知によって対応漏れを防げます。また、e-Govとの連携で公的手続きの電子申請も可能。書類作成の手間も省けます。

    複数の退職者が同時期に発生した場合でも、優先順位や進捗を一覧で確認でき、混乱を最小限に抑えながらスピーディーに対応できるでしょう。

    人事労務システムを上手に活用することで、退職手続きを効率化できます。

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    One人事[労務]は、退職手続きに必要な書類の作成や、電子申請の効率化を助けるクラウド型の人事労務システムです。ペーパーレス化によって書類のやり取りや保管の手間も減らせます。

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    まとめ

    退職手続きは、会社と従業員の双方に影響する重要な業務です。大切なのは、「何を・いつまでに・どの順番で対応するか」を正しく把握し、漏れなく進めることです。

    健康保険や雇用保険、税金などは期限が決まっており、1つ遅れるだけで手続き全体に影響が出る可能性もあります。

    そこで期限や担当者を可視化するのがおすすめです。複雑な書類や期限が混在する退職手続きこそ、人事労務システムの活用を検討してみましょう。

    近年はクラウド型のシステムが普及し、労務手続きを効率化する企業が増えています。リスクを減らし、人事担当者の負荷を軽減しながら、確実に退職手続きを進めていきましょう。