欠勤届とは何かを徹底解説|理由の書き方や伝え方とは?

欠勤届とは何かを徹底解説|理由の書き方や休職や休暇との違いとは?

欠勤届とは、従業員が会社の勤務日に出勤できないときに提出する書類のことです。提出方法やルールは会社によって違うため、就業規則や会社の人事部に確認しましょう。従業員の都合で仕事を休むため、給料は発生しません。また、有給申請は理由を問われないのに対して、欠勤の場合は理由が聞かれます。欠勤は一般的には労働契約違反に該当する行為であるため、明確な休む理由が必要です。

人事担当者で欠席届に関する就業規則を見直している場合は、次の記事がおすすめです。
就業規則とは【簡単に】必要な理由や作成義務と要件、労働契約との関係、変更時の注意点

目次アイコン目次

    欠勤届を提出しないと無断欠勤になる

    欠勤届の提出を怠ると無断欠勤になるだけでなく、給与の控除や懲戒処分の対象になる場合があります。

    とくに、正当な理由なく欠勤届を提出せずに休むことは、職場の規律を乱す行為とみなされるので注意が必要です。

    欠勤届には事前申請と事後申請の2種類があり、急な体調不良や事故の場合は事後申請を認めている会社が多くあります。

    すでに休む予定がある場合は、事前に申請をして会社から許可を得ましょう。

    欠勤の理由によっては、会社から申請を拒否される可能性があるため、理由が切です。

    欠勤・休職・休業の意外と知らない3つの休み方の特徴と違いとは?

    従業員が会社を休むときには、欠勤・休職・休業の3種類があります。

    労働者の権利を守り、適切な手続きを行うためには、各制度の特徴や違いを正しく理解しておきましょう。

    種類特徴
    欠勤一時的な休み
    休職病気などで長期間休む制度
    休業法律で定められた権利として取得できる制度

    たとえばインフルエンザで数日休む場合は欠勤、うつ病での療養は休職、出産・育児は休業と、目的や期間によって使い分けます。

    制度によって給与の取り扱いや手続き方法も異なるため、正しい知識を持っておくことが大切です。

    各制度の利用には就業規則や法律に基づいて手続きをする必要があります。

    休職や休業は労働者の重要な権利であり、会社も正当な理由なく制限することはできません。

    欠勤の基本手続きと給与への影響

    急な病気やプライベートな用事で会社を休む際に使用する、一時的な休暇制度が欠勤です。

    欠勤は労働者に与えられた権利ではないため、原則として無給となります。会社によっては年次有給休暇を事後的に充当できる場合もあり、就業規則での定めが必要です。

    欠勤する際は必ず欠勤届を提出する必要があります。提出がない場合や虚偽の欠勤理由を記載した場合は無断欠勤とみなされ、懲戒処分の対象となる可能性があるため注意しましょう。

    欠勤届には欠勤理由や期間を明確に記載し、上長の承認を得ることが重要です。

    欠勤が続く場合は、診断書などの証明書類の提出を求められることがあります。

    長期化が予想される場合は人事部門に相談し、休職制度の利用を検討しましょう。

    休職制度の詳細と取得から復職までのプロセス

    休職は病気やケガなど、一定期間の療養が必要な場合に利用する制度です。

    休職期間は会社の就業規則で定められており、一般的に勤続年数に応じて3か月から3年程度の期間です。

    休職中の給与については会社の規定により異なり、傷病手当金や企業独自の休職給付を受けられます。

    健康保険の被保険者であれば、標準報酬日額の3分の2が最長1年6か月支給されます。

    休職からの復職時には、通常、主治医の診断書と会社の産業医の判断が必要です。円滑な職場復帰のために、リハビリ出社制度を設けている企業も増えています。

    休業制度は法律で保障された権利

    休業は労働基準法や育児・介護休業法など、法律に基づいて取得できる制度です。

    主な休業には産前産後休業、育児休業、介護休業などがあります。法律で定められた要件を満たせば、原則として会社は取得を認めなければなりません。

    産前産後休業は産前6週間、産後8週間の取得が可能です。産前6週間は女性が休業の請求をしなければ働けますが、産後8週間は原則として就業は禁止とされています。ただし、産後6週間経過後は、本人が就業を希望すれば、医師が認めた業務に限り就労が認められています。

    育児休業は、原則として子が1歳になるまで取得でき、一定の条件下で最長2歳まで延長が可能です。

    育児休業中の給与は制度によって異なり、雇用保険から育児休業給付金として、休業開始時賃金の67%(6か月経過後は50%)が支給されます。

    社会保険料も免除されるなどの経済的な支援があります。

    会社に伝えるべき適切な欠勤届の理由と伝え方を具体例で解説

    欠勤届の提出・連絡において、欠勤理由はとても大切です。

    会社に対して明確で誠実な理由を説明することで、円滑なコミュニケーションをはかれます。

    欠勤する理由何を伝えるか?
    病気や体調不良症状や通院の予定を具体的に説明し、回復までの見込みを伝える
    家族の介護や看病対象となる家族の状況と必要なケアの内容を簡潔に説明
    冠婚葬祭への参列行事の種類や場所、所要時間を明確に伝える
    交通機関の遅延や事故利用していた交通機関と遅延証明書の取得予定を報告
    急な私用による欠勤社内規定に照らし合わせて判断
    ※必要に応じて有給休暇の申請

    会社への連絡手段は、電話やメール、チャットツールなど、各社の規定にしたがって選択します。

    緊急性の高い欠勤連絡は電話が望ましいです。後日あらためて欠勤届を提出することで、正式な手続きが完了します。

    連絡する際は上司や人事部門など、適切な報告先を確認したうえで行動することが大切です。

    欠勤届は必要?不要? 出す理由とともに解説

    正直なところ、欠勤届の提出は面倒に感じる方が多いですよね。

    労働基準法では、労働条件の明確化と労働者保護の観点から、適切な欠勤手続きの重要性が定められています。

    欠勤届を提出することで給与計算の誤りを防ぎ、有給休暇の取得状況を正確に記録が可能になるのです。

    また、病気やケガによる欠勤の場合、傷病手当金の申請に必要な証明書類としても利用されます。

    面倒に感じる手続きかもしれませんが、適切な労務管理のために欠勤届の提出は必要です。

    給与計算を正確にするため

    給与明細の確認時に、欠勤による控除額が気になったことはありませんか。

    欠勤届は月々の給与を正確に計算するための重要な資料となります。とくに月給制の場合、欠勤日数に応じた給与控除を正確に行う必要があり、欠勤届の提出が不可欠です。

    また、残業代や各種手当の計算においても、欠勤届は重要な判断材料となります。

    給与に関する疑問や不安を感じた際、欠勤届は労働者の主張を裏づける重要な証拠となります。正確な給与計算のためにも、欠勤の際は必ず届出を行うようにしましょう。

    欠勤理由の透明性を高めるため

    急な体調不良や家庭の事情で欠勤する際、上司や同僚に状況を伝えるのは難しいものです。

    欠勤届は、労働者の状況を会社に正確に伝えるための公式な手段として機能します。

    具体的な理由を記載することで、必要なサポートを受けやすくなり、復帰後の業務調整もスムーズです。

    育児や介護による欠勤の場合、法的に認められた制度や会社からの支援制度を利用する際の根拠資料としても活用できます。

    欠勤理由を明確に伝えることで、職場の理解を得やすくなり、働きやすい環境づくりにつながります。

    健康状態を把握するため

    健康管理をサポートするうえでも、欠勤届は重要な役割を果たします。

    体調不良による欠勤が続く場合、産業医との面談や必要な就業上の配慮を受けるための判断材料となります。

    とくにメンタルヘルスの問題では、早めの対応が重要です。欠勤届を通じて状況を伝えることで、適切な支援を受けやすくなります。

    また、新型コロナウイルスなどの感染症対策においても、欠勤届は重要な役割を果たします。

    自身の健康状態を会社に伝え、必要な休養を取るための正式な手続きとして、欠勤届を活用しましょう。

    人事評価に使用するため

    欠勤届は勤務態度を把握し、公平な評価をするためにも使用されます。

    就労の義務を果たしていないことになるので、欠勤が続いた場合、企業は原則としてマイナス評価の根拠としても問題ありません。無断欠勤や欠勤届の未提出は、懲戒処分の対象となることもあります。

    ただし、母体保護法や育児介護休業で保護されている従業員は、欠勤を理由に不利益に取り扱うことは禁止されています。

    欠勤届は正しい事情を会社に伝える参考資料として機能します。自身の権利を守り、適切な評価を受けるためにも、必ず欠勤時は届出を行いましょう。

    欠勤届を提出すると給料とボーナスはどうなる? 欠勤による控除を解説

    欠勤をすると給料やボーナスに影響があることを前提に考えましょう。時給制と月給制で計算方法に少し違いがあります。

    働き方給料ボーナス
    時給制欠勤時間はなし欠勤日数を考慮して支給
    月給制1日あたりの賃金を算出し欠勤日数ぶん控除査定でマイナスに働く場合も

    育児・介護休業法に基づく欠勤や、労災による療養のための欠勤は、特別な扱いとなる場合があります。

    給与明細をしっかりと確認し、不明な点があれば人事部門に確認することをおすすめします。

    欠勤控除について詳しく知るには以下の記事をご確認ください。

    欠勤控除が適用されるケースと計算方法

    欠勤控除が適用されるケースは、大きく分けて以下のような状況です。

    • 傷病による欠勤(風邪や腹痛など)
    • 私用による欠勤
    • 電車遅延
    • 忌引き期間超過による欠勤

    控除額の計算方法は会社ごとの就業規則で定められています。一例として給与体系ごとの計算方法を紹介します。

    • 月給者の場合:(基本給÷月の所定労働日数)×欠勤日数
    • 時給者の場合:時給×欠勤時間数
    • 日給者の場合:日給×欠勤日数

    ※時給と日給は一般的に「控除」というより、働いていない時間または日数ぶんを支給しないという考えに基づいて算出します。

    住宅手当や交通費などの付帯手当の控除についても注意が必要です。

    通勤手当は実際の出勤日数に応じて調整されます。住宅手当や役職手当は会社の規定により、欠勤日数に応じて日割り計算される場合があります。

    ボーナスへの影響と評価期間中の欠勤の扱い

    一般的にボーナスは、基本給に出勤率や勤務態度などの評価基準を加味して算出されます。

    欠勤日数が多い場合、以下の点で影響を受ける可能性があるため注意が必要です。

    出勤率による査定

    • 精勤手当の減額や不支給
    • 出勤率に応じたボーナス支給率の調整
    • 評価点数への反映

    ただし、以下の場合は欠勤による不利益な取り扱いを受けないように法律で保護されています。

    • 産前産後休暇期間中の欠勤
    • 育児・介護休業中の欠勤
    • 労災による療養期間中の欠勤

    多くの企業では、半年ごとの評価期間における出勤状況を考慮してボーナスを算定します。病気欠勤が続く場合は、傷病手当金の申請も検討しましょう。

    法律上認められた休暇も欠勤控除される

    法律で認められた休暇や欠勤であっても、ノーワークノーペイの原則により、給与については控除の対象です。

    ボーナスは就業規則などの規定によりますが、不利益の程度によっては、就業規則の規定自体が無効になることがあります。

    労働基準法の保護により、年次有給休暇(会社が特別に設けた有休含む)は欠勤控除の対象外です。

    裁量労働制やフレックスタイム制を採用している場合、欠勤の取り扱いは通常の労働時間制と異なります。

    不明な点は、就業規則を確認するか人事部門に相談しましょう。

    月給制における欠勤・遅刻の控除額の具体的な計算方法と実例

    欠勤控除の計算方法について、月給制の場合と遅刻・早退に分けて2種類のケースで解説をしていきます。

    会社の規定による注意点

    • 月間所定労働日数は月によって変動
    • 会社によって、月平均所定労働日数(21.7日など)を採用する場合もある
    • 欠勤控除額に1円未満の端数が生じる場合、会社の規定に従って処理
    • フレックスタイム制では、欠勤の定義が通常の勤務体系と異なる
    • 休憩時間を含む欠勤の場合、控除時間の計算が複雑に
    • 残業代の計算基礎となる時給単価と、欠勤控除の時給単価が異なる場合も

    いろいろな要素を加味すると解説が複雑になるので、特別な条件がない、一番シンプルな計算方法を次で紹介します。

    欠勤控除については以下で詳しく解説しています。

    欠勤時の計算方法

    一般的な欠勤控除の計算方法は、月の給与を所定労働日数で日割りして1日あたりの給与額を算出します。1日あたりの給与額を算出したら欠勤した日数分減額するといった手順です。

    たとえば、月給300,000円で所定労働日数が20日の場合、1日の欠勤控除額は以下のとおりです。

    300,000円÷20日=15,000円

    1日の欠勤控除額は15,000円になるため、1日欠勤すれば285,000円に減額されます。

    月給200,000円の場合は、200,000円÷20日=10,000円です。1日あたりの給与が10,000円となるため、総支給額は190,000円に減額されます。

    遅刻・早退時の計算方法

    遅刻や早退の場合、1時間あたりの給与額を算出したうえで欠勤控除額の計算が必要です。

    1時間遅刻した場合は日給を所定労働時間で割り、1時間あたりの給与額を算出します。

    月給300,000円の人の日給は15,000円です。1日の所定労働時間を8時間とすると、以下の計算式になります。

    日給15,000円÷1日所定労働時間8時間=時給換算1,875円

    月給200,000円の場合は、日給10,000円÷1日所定労働時間8時間=時給換算1,250円です。

    1時間の遅刻や早退により減額されるため、覚えておきましょう。

    遅刻早退控除の計算は以下の記事で詳しく解説しています。

    まとめ

    欠勤届は、会社に対して欠勤の理由を正式に伝えるための重要な書類です。提出しないと「無断欠勤」と見なされ、信用を損なうだけでなく、場合によっては懲戒処分の対象となります。給与計算や人事評価にも影響するため、適切な理由を明記し、早めに提出しましょう。

    体調不良など急な欠勤であっても、会社のルールにしたがってまずは連絡を入れるのが一般的です。欠勤届を正しく活用し、職場と適切な距離を保ちましょう。