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勤怠とは? 概要や管理の目的、方法などを解説

従業員に適正な環境で働いてもらうためには、勤怠への理解が必要不可欠です。また、企業には自社に合った適切な方法で勤怠管理を行うことが求められています。

本記事では、勤怠や勤怠管理の概要、勤怠を管理する目的とその重要性についてわかりやすく解説します。人事領域に携わっている方をはじめ、経営者の方もぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

勤怠とは? 概要や管理の目的、方法などを解説
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    勤怠とは

    勤怠とは、従業員の勤務状況を指す言葉です。具体的には、従業員の出勤や欠勤などの出退勤状況、どの程度休憩を取得したか、年次有給休暇などの休暇の取得状況といった勤怠状況全体を表します。

    勤怠でなく「勤退」と表現されるケースもありますが、じつは「勤退」は間違った表記です。勤怠は「勤しむ(働く)」と「怠ける(休む)」という対になっている表現から生まれました。そのため、勤退ではなく「勤怠」と表記しましょう。

    労働時間の目安

    労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことです。労働基準法により、法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。

    労働時間が週40時間を超えてしまい時間外労働が発生する場合「36協定」を締結し、届け出なければなりません。また、労働時間が6時間を超える場合には、休憩時間の確保も求められます。

    勤怠管理とは

    勤怠管理とは、企業が従業員の勤務状況を適正に把握・管理することを指す言葉です。企業には、従業員の勤務状況の管理が義務づけられています。

    (賃金台帳)
    第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

    引用:『労働基準法』e-Gov法定検索

    勤務状況の適正な把握とは、1日に稼働した時間数だけでなく、労働日ごとの始業時間や終業時間を正確に記録した内容をもとに何時間働いたかを管理することを指します。

    勤怠管理の目的

    勤怠管理を行う3つの目的について詳しく解説します。

    勤怠管理の3つの目的
    ・給料を正確に支払うため
    ・コンプライアンスを遵守するため
    ・従業員の健康を守るため

    給料を正確に支払うため

    勤怠管理を行う目的は、従業員に対して適切な給料を支払うことです。給料計算を行うためには、出退勤時間や休憩時間、欠勤日などを記録、管理する必要があります。

    時間外労働や休日出勤などが発生した際も、就業規則にのっとって給料を算出しなければなりません。保険料や税金の支払いにも関係するため、正確に把握・管理することが重要です。

    コンプライアンスを遵守するため

    企業にとって勤怠管理は法律で課せられた義務であるため、勤怠管理はコンプライアンスを遵守するための手段の一つといえます。

    万が一、長時間労働が原因で過労死が起こった場合は、重大なコンプライアンス違反と見なされるでしょう。適切に勤怠管理を実施すると、トラブルを未然に防止し、健全な経営管理を推進できるのです。

    従業員の健康を守るため

    長時間労働による過労死が大きな社会問題となっているなか、働き方改革などの法改正によって長時間労働の是正に関する取り組みが進められています。

    長時間労働による疲労の蓄積は、過労死だけでなくさまざまな健康リスクを引き起こすものです。企業には、従業員の健康管理のためにも勤怠管理を徹底することが求められています。

    勤怠管理の項目

    従業員の勤怠情報の記録は労働基準法第108条で義務づけられており、勤怠表を作成しないと「賃金台帳調整義務違反」に該当します。

    勤怠管理をするうえで、記録すべき項目は次の8つです。

    記載項目内容
    出勤・退勤時刻実際に労働が始まった時間と終わった時間
    労働時間出退勤時刻から算出した時間から休憩時間を除いた時間
    残業時間法定労働時間の8時間を超えた場合、通常より25%
    (残業時間が月60時間超となる部分は50%)、
    残業時間が22時を過ぎた場合は深夜割増として25%が加算される
    休日労働時間法定休日に出勤した場合、35%の割増賃金が加算される
    早退・遅刻労働時間が所定労働時間に満たない場合には、賃金控除の対象
    欠勤休暇や休業はもちろん、体調不良などで休んだ場合も記録が必要
    有給休暇の取得日数従業員ごとに有給休暇を付与した日や取得日を管理帳簿に記載し、
    保管する必要がある
    出勤状態の区分給与計算の単位で、開始日から締め日までの日付と休日を記載する

    勤怠管理の対象

    勤怠管理を行うべき事業所、そして勤怠管理の対象である従業員について詳しく解説しましょう。

    対象の事業所

    厚生労働省は、勤怠管理を実施すべき事業所を次のように定めています。

    労働時間にかかる規定(労働基準法第4章)が適用されるすべての事業所

    引用:『労働時間の適正な把握のために 使用者が講ずべき措置に関する基準』厚生労働省

    労働基準法の労働時間の規定が適用されるすべての事業所が対象ということは、従業員を雇うほとんどの事業所において勤怠管理が必要であることを意味しています。

    ただし、自然や天候の影響を強く受ける農業や水産業などの業種は、勤怠管理の対象外なので注意しましょう。

    対象の従業員

    2019年4月から、客観的な方法による労働時間の把握が義務づけられ、管理監督者やみなし労働時間制の対象である従業員を含めた勤怠管理が求められるようになりました。

    高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)の適用を受ける従業員を除いて、すべての従業員が勤怠管理の対象です。

    管理監督者とは、工場長や部長など従業員の勤怠や労務管理をするうえで一定の責任を持った経営者と一体的な立場にある従業員のことです。

    参照:『客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました』出雲労働基準監督署

    勤怠管理の方法

    従業員の勤怠管理を行う具体的な3つの方法について、詳しく解説します。

    勤怠管理の3つの方法
    ・タイムカード
    ・紙の出勤簿
    ・勤怠管理システム

    タイムカードを使う

    従業員が出退勤するタイミングでタイムカードに打刻する方法です。製品によっては勤怠管理システムと連動できるケースもありますが、基本的に手入力でエクセルなどに落とし込む必要があります。

    入力や集計を行う作業の手間や、入力ミスが生じるリスクなどがデメリットです。また、リモートワークに対応できないのも課題点といえます。

    紙の出勤簿を使う

    出退勤の際に、従業員がみずから所定の出勤簿に手書きで時刻を記入する方法です。

    コストはかからないものの、自己申告制のため正確さや信頼性に欠ける場合があり、実際の労働時間と乖離がないかの実態調査が求められます。タイムカードと同様、リモートワークに対応できないことも大きな懸念といえるでしょう。

    勤怠管理システムを使う

    勤怠管理システムとは、従業員の出退勤の打刻や記録、残業や休暇取得の申請などを一括管理できるツールです。出勤や退勤をタップすると自動で打刻が行われ、データを蓄積できます。さまざまな場所やデバイスで出退勤時間を簡単に記録できるため、管理側の業務効率化もはかれるでしょう。

    勤怠管理システムには、主に次の2つのタイプがあります。

    サーバー不要
    「クラウド型」
    サーバー必要
    「オンプレミス型」
    メリット気軽に導入できる費用が割安自社に合わせてカスタマイズしやすい
    デメリットカスタマイズしづらい導入費用が高くなりがち

    クラウド型はサーバーなどを準備する必要がなく、比較的導入に手間がかからないため、テレワークの普及も相まって利用する企業が年々増加する傾向にあります。

    勤怠管理システムを導入するメリット

    勤怠管理システムを導入するメリットは次の通りです。

    • 業務効率が向上する
    • 労働時間を適正に管理できる
    • 労働基準法違反を防げる
    • 法改正にタイムリーに対応できる
    • 給与システムと連携できる

    集計やチェック、分析などを自動化できるのが大きなメリットです。従業員による不正打刻だけでなく、労働時間をリアルタイムに把握して過重労働を制限できるため、コンプライアンスの遵守や労働基準法違反の防止にもつながるでしょう。

    勤怠管理システムを導入するデメリット

    勤怠管理システムを導入する際の課題として、費用対効果が見えにくい点が挙げられます。システムには費用が発生しますが、費用に見合っているのかを見極められないことがデメリットといえるでしょう。

    さらに、管理側には使いやすくても従業員には使いにくいといったズレが生じる恐れもあるため、慎重に検討する必要があります。

    勤怠管理システム導入時の注意点

    勤怠管理システムを導入する際に注意すべき2つのポイントを解説します。

    自社の実情に合うかを確認する

    企業の規模や業種によって就業規則や勤務形態は大きく異なるため、自社の実情に合ったシステムを選ぶことが大切です。

    システムによっては、最低利用人数や契約期間に縛りがあったり、変形労働時間制やフレックスタイム制に対応していなかったりする場合もあります。導入予定のシステムにどのような機能が備わっているかを十分に確認しましょう。

    ほかのシステムと連携ができるかを確認する

    給与システムや人事管理システムなどの基幹システムとの連携ができるかどうかも、大きなポイントです。自社が利用しているほかのシステムと連携すると、業務効率が向上し、人的ミスや業務の属人化を防げるなどのメリットがあります。

    勤怠管理システムを導入したあとに既存システムを変更せざるを得ない状況とならないためにも、事前にチェックしましょう。

    正確な勤怠管理のために勤怠管理システムの導入がおすすめ

    本記事では、勤怠や勤怠管理の概要、勤怠を管理する目的とその重要性について詳しく解説しました。事業所によって適切な勤怠管理方法は異なるものの、より正確性の高い勤怠管理を実施するためには勤怠管理システムの導入がおすすめです。

    勤怠管理システムは、人事担当者だけでなく、現場で実際に使う従業員にとっても使いやすいものである必要があります。これから勤怠管理システムを導入予定の場合はもちろん、現状の勤怠管理システムに使いづらさを感じている場合は、より使い勝手のよい勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。

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