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離職票の本人署名なしの書き方は? 全14項目を徹底解説

離職票の本人署名なしの場合の書き方は? 離職票の全14項目の書き方について徹底解説

離職票は、従業員と雇用関係を終了したことを証明する書類で、退職者が失業保険を受給する際に必要な公文書です。

離職票には本人の署名が必要です。しかし、退職者と連絡が取れなくなってしまい、署名をもらえなくて困っているケースも考えられるでしょう。

本記事では、離職票に退職者本人の署名がもらえない場合の対処法として、書き方や作成方法を全14項目欄に沿ってご紹介します。企業の離職票作成担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

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    離職票とは?

    離職票とは、従業員が退職したことを証明する公文書です。退職した従業員が失業手当(雇用保険の基本手当)を受給する際に必要です。

    離職票を発行するために必要な書類は会社が準備し、ハローワークに提出します。ハローワークのチェックが終わり正式に発行された離職票が届いたら、会社はさらに必要事項を記入し、完成します。そして最終的に退職者の手元に渡るよう手配するのです。

    離職票は2種類存在する

    離職票には「被保険者資格喪失届(雇用保険被保険者離職票−1)」と「被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票−2)」の2種類が存在します。

    それぞれの違いについて確認しましょう。

    離職票−1

    離職票−1とは、被保険者資格喪失届のことで、正式名称は「雇用保険被保険者離職票−1」です。

    離職票−1には、退職者の氏名や雇用保険の被保険者番号、入退社の年月日などの情報が印字されています。退職者に関する基本的な情報が記載されており「雇用保険資格喪失通知書」と兼用されるのが特徴です。

    退職者が失業手当の申請手続きをする際には、失業手当の振り込み先情報を記入し、離職票−2と一緒にハローワークの窓口に提出します。

    離職票−2

    離職票−2とは、被保険者離職証明書のことで、正式名称は「雇用保険被保険者離職票−2」です。

    離職票−2は、退職者への賃金支払い状況や離職理由などの情報が記載されており、こちらも失業手当を受給するために必須です。離職票−2に記載する項目は、全部で14項目あります。

    離職票発行に必要な離職証明書の書き方について

    離職票を発行するために提出しなければらない離職証明書は、3枚つづりの複写タイプの書類で、次のように構成されています。

    1枚目事業主控え
    2枚目ハローワーク提出用
    3枚目退職者に交付する「離職票−2」

    押印や署名の必要な箇所などが異なる部分はあるものの、3枚とも大きな記載事項は共通しているのが特徴です。なお、北海道のハローワークのホームページには、各項目の記載例がていねいに紹介されています。ぜひ参考にしてみてください。

    参照:『雇用保険被保険者離職証明書記載例』北海道ハローワーク

    離職票発行に必要な離職証明書に記載すべき14項目

    離職証明書(正式交付後に離職票−2として企業に届く)には、14項目にわたる詳細な情報が含まれています。企業の人事労務担当者は、労働者の雇用歴や給与にかかわる情報を間違いなく記載しましょう。

    それぞれの項目ごとに、内容や記入方法を詳しくご紹介します。

    1.被保険者番号

    退職者の被保険者番号11桁を記載してください。番号は雇用保険被保険者証を確認してみましょう。

    注意したいのは、1981年7月6日以前に雇用保険に加入した退職者です。この該当者は、番号が16桁であることがあります。16桁の場合、下段の10桁の数字だけを記入し、残った1枠は空欄のままで提出してください。

    2.事業所番号

    会社の事業所番号を記載してください。番号は、雇用保険適用事業所設置届事業主控などに記載されています。確認してみましょう。

    3.離職者氏名

    退職する従業員の氏名を記入します。

    4.離職年月日

    退職者の離職年月日を記載してください。原則として「雇用保険被保険者資格喪失届」に記載した離職年月日に合わせて、同じ日付を記入します。万が一、異なる日付を記入してしまうと、離職票が受理されないケースも考えられるので注意しましょう。

    5.事業所名、所在地、電話番号

    事業所の名称や所在地、電話番号、もしくは事業主の氏名や住所、電話番号を記入します。従業員が退職した時点での情報を記載してください。押印する欄もありますので、事業主印も忘れないようにしましょう。

    6.離職者の住所または居所

    退職者が退職した時点での居住地情報を記入します。失業手当の手続きは、居住地を管轄するハローワークでしか対応していません。そのため、退職後に引っ越しすることが確定していて、退職者本人が希望していたら、転居後の住所や居所を記載してください。

    引っ越し先がまだわからないときは、一旦は退職時の住所を記載し、あとで本人に引っ越し先の居所を管轄するハローワークに変更届を提出してもらいます。

    7.離職理由

    離職理由を選択します。会社の倒産をはじめ、定年退職や労働契約期間満了、労働者の判断など、退職するにはさまざまな理由があるでしょう。離職証明書の離職理由は6つに大別されており、さらに20の小分類が設定されているので、該当する項目を選びましょう。

    具体的事情記載欄には、具体的な退職理由を記載します。ハローワークはこの欄に記載されている離職理由によって、失業手当の所定給付日数を判断します。退職者と認識の違いがないように事実関係を確認しましょう。間違っても虚偽の申告にならないように注意してください。

    ハローワークの判断材料として、離職理由がわかる資料も提出も必要です。

    8.被保険者期間算定対象期間

    退職日からさかのぼって、被保険者期間12か月分を記載します。賃金支払基礎日数が11日以上ある月を被保険者期間とするのが原則で、賃金支払いの基礎となる労働時間数が80時間以上ある月も、1か月と見なして計算します。

    被保険者期間算定対象期間の記入欄に記載されている「離職日の翌日」とは、離職年月日の項目で記載した日の翌日です。記載する際は注意しましょう。

    9.被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数

    記入した被保険者期間算定対象期間のうち、賃金支払いの対象になった期間を指します。月給制の場合は対象期間の日数を、時給制や日給制の場合は実働日数を記入してください。

    算定対象期間中に、病気やけが、出産、会社の休業、海外勤務などさまざまな理由によって30日以上継続して賃金を支払っていない期間があった場合は記載する必要はありません。その場合は、備考欄に支払いが行われていなかった期間と理由について記入してください。

    10.賃金支払対象期間

    賃金支払対象期間の一番上の行には、退職日直前の賃金締め日の翌日から退職日までの期間を記入します。給料の起算日から締め日を1か月とするため、締め日前に退職した場合は1か月として換算できません。

    1か月ずつさかのぼって1行ずつ記入し、賃金締め日までの期間すべてを記載しましょう。

    11.賃金支払対象期間における基礎日数

    賃金支払対象期間における、賃金支払いのベースとする日数を書きます。有給休暇の取得日や休業手当の対象日も含めて考えましょう。

    被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数と同じように、完全月給制なら対象期間の日数、日給月給制であれば基礎となる労働日数から欠勤日数を控除した日数、時給制や日給制なら実働日数を記載します。

    12.賃金額

    退職者の賃金額を月ごとに記載します。正社員のように月給制の場合はA欄に、日給制や時給制の場合はB欄に賃金額を記載してください。記載しない欄がある場合は斜線をひいて対応しましょう。

    13.備考

    未払い賃金があるのか、そして、ある場合は参考額などを記入します。

    14.賃金に関する特記事項

    毎月の給与以外の賃金が3か月以内の期間ごとに発生していた場合は、支払い日や賃金の名称、支給額を記載してください。

    離職票の本人の署名なしの場合の書き方は?

    離職票を作成する際は、作成した書類の記載内容に誤りや相違がないかを退職する従業員に確認してもらい、そのうえで従業員本人の署名をもらうのが基本です。

    万が一、やむを得ない事情で従業員本人の署名がもらえない場合は、その旨を記載して代表者が署名をしての提出が認められています。備考欄には「本人退職のため」など署名がもらえない具体的な理由を記載してください。

    離職票をもらうまでの流れ

    退職者が離職票を受け取るまでの基本的な流れをご紹介します。

    1.退職者が会社に離職票の発行を依頼する

    従業員から退職の意思を伝えられ、事業主との間で退職日が決まった段階で、退職者が離職票を希望する場合は発行を依頼されるでしょう。

    退職後に新たな転職先が決まっている場合は、失業手当の受給対象ではないため、離職票が不要なケースもあります。従業員から離職票の発行を依頼されない場合は、退職前に発行の要否を確認するのがおすすめです。

    2.会社が離職証明書を作成してハローワークに提出する

    会社は、離職票を発行するために必要な以下の書類を準備します。

    • 離職証明書
    • 雇用保険被保険者資格喪失届

    会社は、これら2つの書類を従業員が退職した日の翌々日から10日以内にハローワークに提出します。

    失業手当の申請をしないなら離職票を発行する必要はありませんが、退職時点で59歳以上の退職者は、本人の意思を聞くことなく離職票を発行しなければなりません。会社が必要事項を記載し、退職者に記載内容を確認してもらったあと、署名するよう依頼しましょう。

    3.ハローワークが離職票を会社に交付する

    ハローワークは、会社が届けた離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届の内容を確認し、離職票を交付します。会社宛に郵送されるため、届いたら内容を確認しましょう。

    4.会社が退職者に離職票を交付する

    ハローワークから離職票が交付されたら、会社が退職者に離職票を送付します。離職票が発行された退職者は、ハローワークで失業手当の申請や求職申し込みなどの手続きを行います。

    離職証明書の提出方法

    離職票を発行してもらうための書類の提出方法は、おもに次の3つです。

    • 既定のフォーマットで提出する
    • 事前申請して印刷物で提出する
    • 電子書類で提出する

    それぞれの提出方法の詳しい内容をご紹介しましょう。

    既定のフォーマットで提出する

    離職票を発行するために必要な離職証明書は、3枚の複写式となっており、記入用紙はハローワークに用意してあります。フォーマットが決まっているため、会社が独自で作成したり、インターネットでダウンロードしたりすることはできず、用紙をハローワークで受け取る必要があります。

    ハローワークによっては郵送対応している場合もありますので、管轄のハローワークに確認してみましょう。記入した用紙は、ハローワークに直接持参して提出します。

    事前申請して印刷物で提出する

    離職証明書には専用の記入用紙がありますが、事前申請をすると、専用の記入用紙以外の印刷物でも提出できます。多くの従業員を抱える大手企業のように頻繁に離職証明書の発行が必要な場合は、手書きによる労力の大幅なコストダウンが期待できるでしょう。

    電子書類で提出する

    総務省が運営・推進する電子申請総合窓口「e-Gov(イーガブ)」からも離職証明書の提出ができます。雇用保険関係手続き関連の電子申請ができるため、非常に便利なツールです。しかし、電子申請する際には電子署名が必要なので、事前に電子証明書を取得しなければなりません。

    無事に申請が完了して受理された場合、次の4つの書類が電子公文書として交付されます。

    • 離職票−1 兼 資格喪失確認通知書
    • 離職票−2
    • 資格喪失確認通知書(事業主通知用)
    • 離職証明書(事業主控)

    離職票−2を書く際の注意点

    ハローワークから送られた離職票−2の必要事項を記入する際に注意すべきポイントをご紹介します。

    離職理由によって添付書類が変わる

    退職者の離職理由によって必要な書類が変わるケースがあるため、注意しましょう。具体的には、離職理由を確認できる書類の提出が必要です。

    離職理由添付書類
    事業所の倒産・裁判所が倒産手続きの申し立てを
     受理したことを証明する書類 など
    労働契約期間満了・労働契約書
    ・雇入通知書
    ・契約更新の通知書
    ・タイムカード など
    早期退職優遇制度、
    選択定年制など
    ・各制度の内容がわかる資料 など
    移籍出向・移籍出向の事実がわかる資料 など
    解雇など・解雇予告通知書
    ・退職証明書
    ・就業規則 など
    職場事情をもとに
    労働者自身が判断
    ・労働条件がわかる労働契約書
    ・賃金台 帳など
    一身上の都合や転職など
    個人的な事情
    ・退職願
    ・退職理由を確認できる資料 など

    いずれにも該当しない場合でも、離職理由を確認できる書類を用意しなければなりません。添付する書類にお悩みの場合は、ハローワークに相談して確認しましょう。

    休業手当の支給は備考欄に記載する

    近年はコロナウイルスの流行から、従業員に休業手当を支給した企業も少なくないでしょう。雇用期間中に休業手当を支給した場合は、離職票−2の備考欄に記載します。ハローワークが失業給付金を正しく計算するうえで必要となる情報なので、記載漏れがないよう気をつけてください。

    1枚で記載しきれない場合はもう1枚用意する

    賃金支払い状況などの欄には、退職日からさかのぼって2年のうちに賃金支払基礎日数が11日以上あった月を12か月分記入する必要があります。

    所定の様式には13行用意されていますが、退職者によっては1枚では足りないこともあるでしょう。その場合は、もう1式用意して「続紙」として使用してください。e-Govの電子申請ページには「続紙」が用意されています。1枚のページで記載内容が収まる場合は、白紙のまま提出しましょう。

    離職票は本人署名なしでも手続き可能| 書き方を理解し、スムーズに交付を

    離職票を交付する際は、離職証明書や雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出します。離職証明書には退職者の署名が必要ですが、難しい場合でもスムーズに交付できるよう、スケジュールに余裕を持って手続きを進めましょう。

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