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ストレスチェックの義務化とは? 概要や対象者、手順を解説

ストレスチェックの義務化とは? 概要や対象者、手順を徹底解説!

ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐために実施される検査です。これまで労働者数50人以上の事業場に義務づけられていましたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50人未満の事業場にも義務化されることとなりました。

これまで努力義務の対象だった中小企業や小規模事業場でも、今後はストレスチェックの実施体制を整える必要があります。

本記事では、ストレスチェック義務化の概要や対象、罰則、報告義務、実施方法などを解説します。50人未満の事業場が義務化に向けて準備すべきことも紹介しますので、自社の対応を確認する際の参考にしてください。

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目次アイコン目次

    ストレスチェックの義務化の概要

    ストレスチェックとは、労働者が自身のストレス状態を把握するための検査です。質問票への回答をもとに、ストレスの程度や高ストレス者に該当するかどうかを確認します。

    ストレスチェックは、2015年12月から労働安全衛生法により、労働者数50人以上の事業場に対して、実施が義務づけられてきました。50人未満の事業場はこれまで努力義務にとどまっていましたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、対象が拡大しています。

    厚生労働省は2028年4月1日から、50人未満の事業場にもストレスチェック義務化が適用されると案内しています。

    今後は事業場の規模にかかわらず、ストレスチェック制度への対応が求められることになります。

    参考:「ストレスチェック制度」厚生労働省

    ストレスチェックを規定する法律

    ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づいて実施される制度です。

    労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進するための法律です。

    ストレスチェック制度は、労働安全衛生法の中で、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査として位置づけられています。

    ストレスチェック義務化の目的

    ストレスチェック義務化の主な目的は、労働者自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。

    日々の業務で、労働者は長時間労働や人間関係、業務量、ハラスメントなどさまざまなストレスを抱えています。本人が気づかないまま働き続けると、心身の不調につながり、事業にも影響をおよぼしかねません。

    定期的なストレスチェックにより、労働者は自身の状態を確認し、セルフケアや相談につなげやすくなります。企業にとっても、集団分析を通じて職場の傾向を把握するきっかけになるでしょう。

    ストレスチェックは、メンタル不調を見つけるだけでなく、働きやすい職場づくりに向けた制度です。

    ストレスチェック義務化の背景

    ストレスチェックが義務化された背景には、働く人のメンタルヘルス不調や精神障害に関する労災請求の増加など、社会的な問題意識があります。次のような2つの背景から、労働者自身の気づきを促すとともに、企業がより積極的に、メンタルヘルス不調の予防に取り組めるよう導入されています。

    職場におけるメンタルヘルス不調と過労自殺

    1984年に過労自殺が初めて労災認定されたことを契機に、従業員の心の健康への配慮が企業にも求められるようになりました。

    日本は国際的にも自殺率が高く、勤務問題を動機とするケースも見られます。そのため、職場のストレス要因を早期に把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ取り組みの重要性は年々高まっています。

    参考:『令和3年版自殺対策白書』厚生労働省

    精神障害に関する労災請求の増加

    近年は、精神障害に関する労災請求件数も増加傾向にあります。

    厚生労働省が毎年公表している『過労死等の労災補償状況』によると、精神障害に関する労災請求件数は3,780件で、前年度より205件増加しました。支給決定件数も1,056件となり、前年度より173件増加しています。

    また、令和2年度から令和6年度までの推移を見ると、請求件数は2,051件から3,780件へ、支給決定件数は608件から1,056件へと継続的に増えている状況です。

    支給決定件数を出来事別に見ると、パワーハラスメントがもっとも多く、次いで仕事内容・仕事量の変化、顧客などからの迷惑行為と続きます。職場の人間関係や業務量の変化、カスタマーハラスメントなどによる心理的負荷が、従業員のメンタルヘルスに影響していることがうかがえます。

    参照:『令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します』厚生労働省(2025)
    参照:『業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況』厚生労働省

    ストレスチェック義務化の対象|50人未満も対象に

    ストレスチェック義務化の対象は、事業場ごとの「常時使用する労働者数」によって判断されます。正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣先の派遣労働者も含めて、労働者数を確認する必要があります。

    実際にストレスチェックを受ける対象者は、一般定期健康診断の対象者と同じ考え方で判断します。雇用契約の期間や週の労働時間など、一定の要件を満たす労働者が対象です。

    参考:『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』(2021改訂)』厚生労働省

    ストレスチェックは事業者に実施義務がある制度ですが、労働者に受検義務が課されているわけではありません。そのため、受検を強制せず、制度の目的や結果の取り扱いを説明し、安心して受けられる環境を整えることが大切です。

    50人以上の事業場ではすでに義務化されている

    常時50人以上の労働者を使用する事業場では、すでにストレスチェックの実施が義務づけられています。

    対象となる事業場では、1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックを実施しなければなりません。実施対象者は、一般定期健康診断の対象者と同じ考え方で判断します。

    具体的には、次のいずれの要件も満たす労働者が対象です。

    • 期間を定めずに労働契約を結んでいる従業員
    • 期間の定めがある場合でも、予定を含めて、契約期間が1年以上である従業員
    • 週の労働時間数が、正規雇用者の4分の3以上である従業員

    50人未満の事業場も義務化の対象になる

    50人未満の事業場は、以前までストレスチェック実施が努力義務とされていましたが、改正労働安全衛生法により、義務化の対象になります。

    今まで実施していない企業や、実施していても簡易的な対応にとどまっている企業もあるでしょう。

    今後は、50人未満の事業場でも、制度に沿った形でストレスチェックを実施する必要があります。とくに、これまで産業医を選任していない小規模事業場では、実施体制の整備や外部機関の活用を早めに検討することが大切です。

    人事労務担当者は、実施方法、相談先、記録管理の方法などを整理しておくとよいでしょう。

    ストレスチェック義務化対象は事業場単位で判断する

    注意したいのは、ストレスチェック義務化は「事業場単位」で判断する点です。事業場とは工場・事務所・店舗など場所ごとの単位を指します。同じ企業でも拠点が異なれば個別に確認が必要です。

    たとえば会社全体で200人いても、各営業所が20人ずつであれば、現行制度では50人以上の事業場として義務対象には該当しません。

    また、50人以上かどうかの判断には、派遣労働者も含めて確認が必要になります。

    人事労務システムなどで従業員情報を管理している場合は、会社全体の人数だけでなく、事業場ごとの人数や雇用区分を確認できる状態にしておくと、対象判定や報告要否の確認がしやすくなります。

    50人未満のストレスチェック義務化はいつから?

    厚生労働省は、令和10年(2028年)4月1日から、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックを義務化すると案内しています。

    これまで実施していなかった小規模事業場では、開始時期に向けて、対象者の確認や実施体制の整備を進める必要があります。

    50人以上の事業場で、すでに実施している企業も、50人未満の拠点がある場合は、必要な整備を行いましょう。

    ストレスチェック義務化の罰則規定

    ストレスチェックを実施しなかったこと自体に、直接の罰則が定められているわけではありません。

    ただし、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、ストレスチェックの実施後、所轄の労働基準監督署へ実施結果を報告する義務があります。

    報告を怠った場合は、労働安全衛生法に基づいて、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

    また、ストレスチェックの結果を本人の同意なく会社が取得したり、面接指導の申し出を理由に不利益な取り扱いをしたりすることは認められません。

    労働者のプライバシー保護や安全配慮義務の観点からも、適切な運用体制を整える必要があります。

    参考:『労働安全衛生法』e-GOV法令検索

    ストレスチェックの報告義務

    常時50人以上の労働者を使用する事業場では、ストレスチェックの実施結果について、所轄の労働基準監督署へ報告しなければなりません。報告には「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を使用します。報告を怠ると罰則の対象となる可能性があります。

    報告書には、検査を実施した年月、在籍労働者数、検査を受けた労働者数、面接指導を受けた労働者数などを記載します。事業場ごとに報告が必要なため、本社で一括して管理している場合でも、各事業場の状況を確認することが大切です。

    一方で50人未満の事業場は、令和10年の義務化後もストレスチェックの報告義務はありません。ただし、実施記録や結果の保存、面接指導に関する記録管理は必要です。

    とくに担当者が限られる小規模事業場は、報告義務の有無と実施義務を分けて考えるようにしましょう。

    参考:『労働者数50人以上の事業者の方』厚生労働省
    参考:『心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告』厚生労働省

    ストレスチェックの報告は電子申請が原則

    ストレスチェックの結果報告は、原則として電子申請で行うこととされています。2025年1月より義務化されました。

    厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」で、ストレスチェックの実施結果に関する報告書を作成し、e-Govを通じて電子申請できます。

    電子申請を利用すれば、書類の作成や郵送の手間を減らせます。また、入力した情報を保存しておくことで、再申請や次回以降の作業にも活用しやすくなります。

    参考:『労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます(令和7年1月1日~)』厚生労働省
    参考:『労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス』厚生労働省

    ストレスチェックの実施方法と流れ

    ストレスチェックの進め方について、8つのステップに分けて紹介します。主な流れは以下のとおりです。

    1. 実施体制を整える
    2. 対象者へ案内する
    3. 質問事項を設計する 
    4. ストレスチェックを実施する
    5. 本人へ結果を通知する
    6. 必要に応じて面接指導につなげる
    7. 集団ごとに集計・分析する
    8. 結果を保存・管理する

    ストレスチェックの質問票の配布で終わった気にならず、実施者の選任、結果の取り扱い、高ストレス者への対応、記録保存まで含めた運用を理解しておく必要があります。

    実施体制を整える

    まずは、ストレスチェックをどのような体制で実施するのかを決めます。

    主に決めておく項目は、次のとおりです。

    1. ストレスチェックの実施時期
    2. 対象者の範囲
    3. 使用する質問票
    4. 実施者
    5. 実施事務従事者
    6. 面接指導を担当する医師
    7. 高ストレス者の選定方法
    8. 結果通知の方法
    9. 結果や記録の保存方法
    10. 集団分析の実施有無

    参考:『ストレスチェック制度 簡単導入マニュアル』厚生労働省(2015)

    ストレスチェックの実施者になれるのは、医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師や精神保健福祉士などです。外部機関への委託も可能です。

    人事権を持つ者は、ストレスチェックの実施事務に従事できない点に注意が必要です。ストレスチェックでは個人の健康情報を扱うため、結果を取り扱う人の範囲を制限し、プライバシーを保護する体制を整えなければなりません。

    人事労務担当者は、実施全体の進行管理を担うことが多いですが、個人結果を自由に閲覧できるわけではありません。制度運用と健康情報の取り扱いを分けて考えましょう。

    対象者へ案内する

    実施体制が整ったら、対象者へストレスチェックの実施を案内します。

    案内時には、回答期限だけでなく、ストレスチェックの目的や結果の取り扱いについても説明しましょう。従業員が「会社に回答内容を見られるのではないか」と不安を感じると、正直に回答しにくくなります。

    案内時に伝えるべき主な内容は、次のとおりです。

    • ストレスチェックの目的
    • 受検対象者
    • 実施期間
    • 回答方法
    • 結果は本人に直接通知されること
    • 本人の同意なく会社が個人結果を取得できないこと
    • 高ストレス者と判定された場合の面接指導の流れ
    • 面接指導を申し出たことによる不利益な取り扱いは禁止されていること

    ストレスチェックは、従業員に受検義務が課されている制度ではありませんが、制度の目的を理解してもらい、安心して回答できる環境を整える働きかけが必要です。

    質問事項を設計する

    ストレスチェックの質問項目には、仕事のストレス要因、心身のストレス反応、周囲のサポートに関する項目を含める必要があります。

    厚生労働省が示す「職業性ストレス簡易調査票」などを参考にすると、制度に沿った質問項目を設計しやすくなります。

    参考:『職業性ストレス簡易調査票』厚生労働省

    ストレスチェックを実施する

    ストレスチェックは、紙の調査票で実施する方法もあれば、Web上で回答する方法もあります。

    用紙を使う場合は、回答内容がほかの従業員や会社に見られないよう、実施者や実施事務従事者が回収します。

    オンライン回答でも、アクセス権限やデータの保存先、閲覧できる担当者の範囲を確認しておきましょう。

    ストレスチェックでは、実施者や実施事務従事者に守秘義務が課せられています。回答内容が漏えいしないよう、情報管理を徹底しなければなりません。

    本人へ結果を通知する

    ストレスチェックの結果は、実施者から労働者本人へ直接通知します。通知する内容には、主に次が含まれます。

    • 本人のストレスプロフィール
    • ストレスの程度
    • 高ストレス者に該当するかどうか
    • 医師による面接指導の対象かどうか

    会社は、本人の同意なく個人結果を取得できないため、通知方法にも配慮が必要です。

    高ストレス者は面接指導を案内する

    高ストレス者と判定され、医師による面接指導が必要とされた場合は、本人へ面接指導の案内を行います。

    面接指導は本人の申し出に基づいて実施するもので、会社が強制することはできません。

    具体的な対応方法は、後述の「ストレスチェックにおける高ストレス者への対応方法」で解説します。

    集団ごとに集計・分析する

    ストレスチェックの実施者は、企業からの依頼に基づき、部署・課・グループなどの集団ごとに結果を集計・分析します。これを「集団分析」といいます。

    集団分析は努力義務ですが、部署ごとのストレス傾向を把握する際に役立ちます。

    なお、10人未満の集団では個人が特定されやすいため、従業員全員の同意がない限り、企業は分析結果の提供を受けられません。

    結果を保存・管理する

    ストレスチェックの個人結果や面接指導の記録は、実施者または実施事務従事者が保存します。会社が本人同意のうえ受け取った場合は会社側でも管理が可能です。

    健康情報や個人情報を扱うため、保存場所、アクセス権限、保存期間、廃棄方法を事前に決めておく必要があります。

    ストレスチェックの質問項目

    ストレスチェックの質問項目には、労働者の心理的な負担の程度を把握するために、次の3つの領域を含める必要があります。

    1.仕事のストレス要因職場における、当該従業員の心理的な負担の原因に関する項目
    2.心身のストレス反応心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
    3.周囲のサポート職場における、ほかの従業員による当該従業員への支援に関する項目

    厚生労働省は、ストレスチェックで質問すべき標準的な問いとして、57個の質問からなる「職業性ストレス簡易調査票」を公開しています。

    企業が独自の質問項目を追加することも可能ですが、ストレスチェック制度の目的に沿うよう、実施者や産業医と相談しながら確認する必要があります。

    参考:『職業性ストレス簡易調査票』厚生労働省

    仕事のストレス要因

    仕事のストレス要因とは、労働者が業務を行ううえで負担に感じる要素を指します。

    • 仕事量の多さ
    • 時間的な余裕のなさ
    • 業務の難しさ
    • 役割の不明確さ
    • 裁量の少なさ

    ストレスチェックでは、こうした仕事上の負荷を確認することで、労働者がどのような業務環境でストレスを感じているのかを把握します。

    個人結果は本人のセルフケアに活用されますが、集団分析を行うことで、部署や職場単位の課題を確認することもできます。たとえば、特定の部署で仕事量や裁量に関するストレスが高い場合は、人員配置や業務分担の見直しにつなげることが考えられます。

    心身のストレス反応

    心身のストレス反応とは、ストレスによって労働者の心や身体にあらわれる反応を指します。

    ストレスが続くと、次のような反応があらわれるケースがあります。

    • 気分の落ち込み
    • 不安
    • イライラ
    • 疲労感
    • 集中力の低下
    • 頭痛
    • 肩こり
    • 胃腸の不調
    • 入眠不良

    ストレスチェックでは、こうした反応を確認し、労働者自身が現在の状態に気づけるようにします。

    ただし、ストレスチェックは病気の診断を行うものではありません。結果をもとに、必要に応じて相談窓口の利用や医師による面接指導につなげるための検査です。

    従業員に案内する際も、自身のストレス状態を確認し、早めの対応につなげるための検査」であることを説明すると、受検への不安をやわらげやすくなります。

    周囲のサポート

    周囲のサポートとは、上司や同僚、家族などから得られる支援の状況を指します。

    • 上司や同僚と気軽にコミュニケーションが取れているか
    • 周囲に相談できる家族や友人がいるか
    • 困ったときに協力を得られるか

    仕事上の負荷が同じでも、支援状況によって、ストレスの感じ方は変わります。

    職場内のサポートが不足していると、問題を1人で抱え込み、メンタルヘルス不調の要因になることがあります。

    集団分析でサポート不足の傾向が見られる場合は、1on1や面談機会の見直し、管理職研修、相談窓口の周知など、職場環境の改善につなげることが大切です。

    ストレスチェックにおける高ストレス者への対応方法

    ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された労働者がいる場合は、医師による面接指導につなげる必要があります。

    ただし、本人の了承を得た場合のみ実施ができ、希望しない場合は行えません。

    とはいえ、高ストレス者に対して何もせずにいるのは、安全配慮義務上好ましくありません。

    従業員が安心して面談を依頼できるよう、結果の取り扱いや不利益な取り扱いの禁止について説明することが重要です。

    高ストレス者とは

    高ストレス者とは、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高く、医師による面接指導が必要と判断された労働者を指します。

    高ストレス者の選定は、実施者があらかじめ定めた基準に基づいて行います。

    高ストレス者であることは、本人の健康に関する情報です。本人の同意なく、会社や上司が個人結果を把握することはできません。

    面接指導の申し出があった場合の対応

    高ストレスの従業員から申し出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施します。面接指導では、医師が勤務状況、心理的な負担の状況、心身の状態などを確認し、必要に応じて事業者へ意見を述べます。

    面接指導後、事業者は医師の意見を聴き、必要に応じて就業上の措置を検討します。

    就業上の措置には、たとえば次のようなものがあります。

    • 労働時間の短縮
    • 業務量の調整
    • 業務内容の見直し
    • 配置転換
    • 休憩や休暇取得への配慮
    • 上司や産業医による継続的なフォロー

    ただし、対応を行う際は、本人の状況や医師の意見を踏まえる必要があります。高ストレス者と判定されたことや面接指導を申し出たことを理由に、本人に不利益が生じる対応をしてはいけません。

    また、面接指導の内容や医師の意見は、健康情報に該当します。記録を取り扱う担当者の範囲を決め、必要以上に社内共有しないよう注意しましょう。

    高ストレス者への不利益な取り扱いを避ける

    ストレスチェックでは、高ストレス者への不利益な取り扱いが禁止されています。

    たとえば、次のような対応は避けなければなりません。

    • 高ストレス者と判定されたことを理由に降格させる
    • 面接指導を申し出たことを理由に配置転換する
    • 本人の同意なく上司や部署内に結果を共有する
    • 面接指導を受けないことを理由に不利益に扱う
    • 結果を人事評価や異動判断に利用する

    ストレスチェックにおける産業医の役割

    産業医とは、労働者の健康管理について専門的な立場から助言や指導を行う医師です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が義務づけられています。

    産業医がストレスチェックにかかわる場面は、以下のとおりです。

    • ストレスチェックの実施体制への助言
    • 質問票や高ストレス者の選定基準に関する確認
    • 高ストレス者への面接指導
    • 面接指導後の医師意見の作成
    • 就業上の措置に関する助言
    • 集団分析結果を踏まえた職場環境改善への助言
    • メンタルヘルス対策に関する相談対応

    なかでも、高ストレス者への面接指導はとくに重要な役割です。本人の勤務状況や心身の状態を確認したうえで、事業者に意見を述べ、事業者はその意見をもとに必要な就業上の措置を検討します。

    産業医がいない50人未満の事業場で確認すべきこと

    常時50人未満の事業場では、産業医の選任義務がありません。そのため、ストレスチェック義務化に向けて「誰に実施者や面接指導を依頼すればよいのか」と悩む企業もあるでしょう。

    50人未満の事業場では、産業医がいないことを前提に、外部機関や地域の支援窓口を活用する方法を検討する必要があります。

    地域産業保健センター労働者数50人未満の小規模事業場を対象に、長時間労働者や高ストレス者に対する医師の面接指導などの産業保健サービスを提供
    産業保健総合支援センターメンタルヘルス対策やストレスチェック制度に関する相談、事業場への支援など

    産業医がいない場合でも、義務化の開始前に、相談先や外部委託の範囲を確認しておきましょう。

    参考:『労働者数50人未満の小規模事業者の方』厚生労働省

    ストレスチェック実施の注意点

    ストレスチェックは意味がないという声も聞かれます。実施の際は意義を理解し、次の3点に注意しましょう。

    • 結果の取り扱い
    • 個人情報の管理
    • 実施後の職場改善

    労働者の健康情報はとくに慎重に扱います。それぞれ解説していきます。

    本人の同意なく結果を取得しない

    ストレスチェックの個人結果は、実施者から労働者本人へ直接通知されます。会社や人事担当者、上司は、本人の同意なく結果を取得できません。

    本人が同意した場合に限り、事業者は結果の提供を受けられます。

    この点を事前に説明しておかないと、「会社に回答内容を見られるのではないか」という不安につながります。従業員が安心して受検できるよう、結果の取り扱いを案内文などで伝えておきましょう。

    個人情報の管理方法を決めておく

    ストレスチェックでは、健康情報や個人情報を扱うため、管理方法を決めておく必要があります。

    担当者が限られる小規模事業場では、誰がどこまで関与できるかを明確にしておきましょう。

    紙やExcel管理は閲覧・履歴管理が煩雑になりがちです。人事労務システムを活用すると、従業員データを一元管理できます。

    実施後の職場改善につなげる

    ストレスチェックは、結果をもとに職場環境の見直しにつなげることが大切です。

    たとえば、特定の部署で仕事量の負担が高い、上司や同僚からのサポートが低いといった傾向が見られる場合は、業務配分、人員配置、管理職の対応、相談体制などを見直します。

    毎年の結果を比較できるようにしておくと、改善後の変化も確認しやすくなります。

    義務化前に小規模事業場が準備すべきこと

    50人未満の事業場では、2028年4月1日の義務化に向けて、早めに実施体制を整える必要があります。小規模事業場では、人事労務担当者がほかの業務と兼任していることも多いでしょう。

    義務化前に確認しておきたい項目は、次のとおりです。

    • 事業場ごとの労働者数
    • ストレスチェックの対象者
    • 実施者や実施事務従事者の候補
    • 外部委託や地域産業保健センターの活用
    • 高ストレス者への面接指導の依頼先
    • 従業員への案内方法
    • 結果通知や面接指導の流れ
    • 個人結果や面接指導記録の管理方法
    • 集団分析の実施有無
    • 職場改善へのつなげ方

    ストレスチェックの実施状況

    ストレスチェックが義務化された以降、実施状況等はどのような状況になっているのでしょうか。

    厚生労働省の『ストレスチェック制度の実施状況』によると、次のようなデータがあります。

    厚生労働省の『令和6年労働安全衛生調査(実態調査)』の特別集計によると、常用労働者50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施割合は84.7%でした。

    また、ストレスチェックを実施した50人以上の事業場のうち、集団分析を実施した割合は80.0%、集団分析結果を活用した割合は65.8%となっています。

    参照:『ストレスチェック制度の実施状況』厚生労働省

    このように、ストレスチェックが義務化されたことで、多くの企業がストレスチェックを行っていることがわかります。

    まとめ

    ストレスチェックは年々義務化の範囲が拡大され、より一層企業として、従業員の心身の健康管理が重視されていることが伺えます。

    ストレスチェックの実施で大切なのは、従業員が安心して受検できる環境を整え、結果に応じて相談窓口の設置や職場環境の見直しにつなげることです。

    対象者の確認や実施手順に加え、結果の取り扱い、労働基準監督署への報告、高ストレス者への対応まで含めて準備しておく必要があります。

    個人情報の保護や不利益取扱いに注意しながら、ストレスチェック結果に応じて、職場環境の改善など、メンタルヘルス対策に努めましょう。

    サーベイ実施・結果分析支援もOne人事[タレントマネジメント]

    ストレスチェックは、実施後の集団分析や職場環境の改善に向けた対応まで継続して行うことが重要です。ストレスチェックは、実施8割を超えるものの、分析を活用している企業は6.5割にとどまっており、活用しきれていない企業も少なくありません。

    One人事[タレントマネジメント]は、従業員サーベイを通じて組織の課題を可視化し、人材情報とあわせて分析もできるタレントマネジメントシステムです。

    ストレスチェック後の職場改善や、従業員のコンディション把握を進めたい企業は、サーベイ機能を備えたタレントマネジメントシステムの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

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