人事書類の保管期間とは? 一覧や保存方法と管理の見直しまで解説

人事書類の保管期間は、書類の種類ごとに法律で定められており、適切に管理することで法令違反のリスクを回避できます。また、監査や労務トラブルへの対応もスムーズになるでしょう。
本記事では、人事書類の保管期間一覧や管理方法の見直しについて解説します(2026年6月現在)。
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目次
人事書類とは
まず、人事書類の種類について、内容を整理します。
人事労務関係
労働者名簿や雇用契約書、タイムカード、36協定など、人事労務全般に関連する書類です。
人事評価関連
身元証明書や休暇届など、従業員の人事評価に関わる書類です。
労災保険関係
災害保障や請求関係にまつわる書類など、労災保険に関係する書類です。。
雇用保険関係
離職票や雇用保険被保険者資格取得確認通知書など、雇用保険関連の書類です。
社会保険関係
資格取得確認通知書や資格喪失確認通知書など、健康保険や厚生年金関係の書類です。
賃金関係
賃金台帳や源泉徴収簿など、従業員の賃金に関連する書類です。
安全・衛生関係
安全、衛生委員会議事録など、安全・衛生にまつわる書類です。
人事書類の保管・保存について
次に、人事書類の保管・保存内容について見ていきましょう。
保管と保存の違い
保管とは、すぐ手に取れるような場所に書類を収納しておくイメージです。これに対して保存とは、社内の保管庫などに書類をしまっておくことです。細かなイメージの違いはありますが、基本的にはほぼ同じ意味の言葉です。
人事書類には保存義務がある
業務上使用する書類には、法律で決められた保管期間があります。
この期間の遵守に罰則がないものもありますが、保管を怠ると業務に支障をきたす恐れがあるため、しっかりと保管しておきましょう。
保管の根拠となる法律
根拠となる法律は、雇用保険法や労働基準法です。たとえば、雇用保険法施行規則第143条では雇用保険に関する書類、労働基準法109条では労働者名簿や賃金台帳などを一定期間保存することが義務づけられています。
【人事労務担当者必見】人事書類の保管期間一覧
次に、各人事書類の保管期間をまとめました。
保存期間2年
| 書類名 | 起算日(保存開始日) | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 雇用保険に関する書類(適用事業所設置届(控)など) | 完結の日 | 雇用保険法施行規則第143条 |
| 健康保険・厚生年金保険に関する書類(資格喪失確認通知書など) | 完結の日 | 健康保険法施行規則第34条、厚生年金保険法施行規則第28条 |
保存期間3年
| 書類名 | 起算日(保存開始日) | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 労災保険に関する書類 | 完結の日 | 労働者災害補償保険法施行規則第51条 |
| 労働保険、労働保険料等に関する書類(保険関係成立届(控)など) | 完結の日 | 労働保険料徴収法規則第72条 |
| 派遣元管理台帳・派遣先管理台帳 | 完結の日 | 労働者派遣事業法第37条・第42条 |
保存期間4年
| 書類名 | 起算日(保存開始日) | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者に関する書類(被保険者資格取得届など) | 完結の日 | 雇用保険法施行規則第143条 |
保存期間5年
次の書類の保存期間は原則として5年間ですが、当分の間3年でよいとされています。
| 書類名 | 起算日(保存開始日) | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 労働者名簿 | 退職日または、死亡日 | 労働基準法第109条、労働基準法施行規則第56条 |
| 賃金台帳 | 最後の記入日 | |
| 雇入れ・解雇・退職に関する書類(労働契約書など) | 退職日または、死亡日 | |
| 賃金その他労働関係の重要書類(タイムカードなど) | 完結の日 | |
| 身元保証書 | 作成日 | 身元保証ニ関スル法律第1条・2条 |
| 誓約書等の書類 | 作成日 | |
| 健康診断個人票 | 作成日 | 労働安全衛生法規則第51条 |
※労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇・退職に関する書類、賃金その他労働関係の重要書類は当分の間は3年でもよいとされています。(2020年民法改正により3年から5年へ)
保存期間7年
| 書類名 | 起算日(保存開始日) | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 源泉徴収簿 | 法定申告期限 | 国税通則法第70〜73条 |
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 |
永久保存
次の書類は、法定保存期間とは別に、社内ルール上、長期保存または永久保存を検討したいものです。
| 書類名 | ||
|---|---|---|
| 人事に関わる重要書類(就業規則、就業規則届などを含む) | 法律による制限はないが、重要書類のため永久保存が望ましい | |
| 従業員の労務・人事・給与・社会保険関係の書類 | ||
| 表彰や懲戒に関する書類 | ||
| 労働協約に関する書類 | ||

給与明細に保管・保存義務はある?
給与明細に、保管・保存義務はありません。給与明細に記載のある関連書類や、給与計算に関わる書類は一定期間保管しなければなりませんが、給与明細そのものは保管しなくてよいです。
保存義務のない人事書類はどうする?
給与明細のような保管義務のない人事書類は、一体どのように扱えばいいのでしょうか。
自社独自のルールを設ける
「短期・中期・長期」などおおまかでもいいので、書類管理のルールを設けましょう。ルールを決めずにいると、保管義務のない書類が管理しきれず、必要なときに該当書類を取り出せなくなってしまうからです。場合によっては、必要な書類を誤って処分してしまうこともあるので、ルールを自社独自のルールを決めるといいでしょう。
自社独自のルールで管理する
設けたルールに沿って、書類を分類して管理していきます。「短期」に分類したものは、1か月後にどう対処するかを決め、「中期」は3か月、「長期」は1年間保管し、その後の対処方法を検討する流れなどが、一つの例です。このルールや流れは、全社的に統一することが求められます。部署ごとにルールが異なると、複数の部署で業務を行う際にトラブルが発生する危険があるからです。
保管期間を過ぎた人事書類はどうする?
法律や自社独自のルールに沿って保管し、一定の保管期間を過ぎた書類は、どう処理すればいいのでしょうか。
廃棄
これから利用する予定がない書類は、廃棄する方法がスタンダードです。書類の保管場所には限りがあるので、保管期間を過ぎたいらない書類は速やかに廃棄しましょう。なお、マイナンバーが記載された書類(扶養控除等申告書など)は、保管期間終了後の迅速な廃棄が義務づけられています。
廃棄する際の注意点
書類を廃棄する際は、情報が流出しないように気をつけてください。マイナンバーをはじめとした個人情報は、外部に漏れると大きな事件に発展する可能性もあります。シュレッダーを利用して、細かく書類を裁断する方法や、業者に依頼して溶解してもらう方法がおすすめです。
人事書類の適切な保管方法とは
書類の具体的な保管方法に、適切なルールはあるのでしょうか。
基本的に、経理が扱うような帳簿書類は紙での保存が基本ですが、一定の条件を満たせば電子データで保管することも可能です。
また、取引先から受け取った契約書や請求書は、スキャンデータの保管でも問題ありません。
ビジネス書類全体に訪れているペーパーレスの流れは、人事書類も同じです。要件を満たしたものはデータ保存ができるようになりました。保管場所が少ないオフィスなどは、紙媒体以外での保管も考えてみましょう。
人事書類の保管をラクにするには
それでは、紙媒体以外でのデータ保存には、どのような方法が適しているのでしょうか。3つの方法をピックアップします。
電子化
2019年4月に施行された労働基準法施行規則によって、労働条件通知書が電子交付可能になりました。電子化可能な書類は、なるべく電子に移行してみましょう。また、2022年1月の「電子帳簿保存法」改正により、電子取引で発生した領収書は電子保存が義務化。こういった電子化の流れはこれからも続くと考えられるので、人事書類もできるものから電子化していくとよいでしょう。
Excel
人事書類の保管期間などをまとめておく場合は、紙よりもExcelがおすすめです。共通サーバーに入れておけば、社内の誰もが、必要なときにデータを参照できます。ただし、ネットワークが不安定なときは、通信に時間がかかることもあるので、注意が必要です。
システム
紙媒体の書類や電子データを一括で管理する管理システムも人気を集めています。文書の保管から廃棄まで、一連の流れをシステム上で行えるため、非常に便利です。セキュリティ強化にもつながるため、多くのメリットがあります。
煩雑な人事書類の管理から解放されるには
人事書類は、種類ごとに保存期間や起算日が異なります。さらに、個人情報を含む書類も多いため、保管・更新・廃棄まで慎重に管理しなければなりません。
紙やExcelで管理していると、必要な書類を探すのに時間がかかったり、担当者ごとに管理方法が異なったりすることもあります。人事書類の管理負担を減らすには、保管ルールを整えるだけでなく、従業員情報を一元管理できる仕組みを検討することも大切です。
労働者名簿(従業員名簿)は紙じゃないとダメ?
労働者名簿(従業員名簿)は、紙で保管しなければならないと思われがちですが、あくまでも「いつでも紙に印刷できる状態」であれば問題ありません。電子データで管理することも可能です。
労働者名簿は、事業所ごとに必要な情報を確認できる状態にしておく必要があります。労働基準監督署の調査や社内確認の際にすぐ提出できるよう、一覧で出力できる形式にしておくと安心です。
従業員情報の管理効率化にシステム活用も
人事書類の管理を効率化するには、人事労務システムの活用も選択肢の一つです。
紙のファイルやExcelで管理している場合、従業員情報の更新漏れや、書類の保管場所がわからなくなるリスクがあります。クラウドシステムを活用すれば、従業員情報を一元管理でき、必要な情報を検索しやすくなります。
また、入社・異動・退職などに伴う情報更新も管理しやすくなり、担当者の確認作業や引き継ぎの負担も軽減できます。情報を常に最新の状態に保つ必要がある人事書類の管理には、システム化がとくに向いています。
たとえば統合型の人事労務システムなら、労務情報や勤怠情報、スキル・経歴などをまとめて一元管理でき、必要なときに必要な情報をすぐに取り出せる点も効率化に役立ちます。

「One人事」で面倒な管理をペーパーレスに
「One人事」は、従業員情報をクラウドで一元管理できる人事労務システムです。
従業員に関するあらゆる情報をまとめて管理できるため、紙の書類や複数のExcelファイルを探し回る手間を減らせます。情報を更新すれば、必要なデータをすぐ確認できるため、人事労務担当者の管理負担の軽減にもつながります。
人事書類の保管期間を把握していても、実際の運用が紙やExcelに依存していると、更新漏れや確認漏れが起こりやすくなります。人事書類を適切に管理しながら、日々の労務管理を効率化したい場合は、システムの活用も検討してみましょう。
まとめ
人事書類は、書類の種類によって保管期間や起算日が異なります。法令違反や労務トラブルを防ぐためにも、どの書類をいつまで保管するのかを整理し、自社のルールに沿って管理することが大切です。
なお、紙やExcelだけで人事書類を管理していると、保管場所の分散や更新漏れ、検索にかかる手間が課題となります。保存期間を過ぎた書類の廃棄や、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。
人事書類の管理負担を減らしたい場合は、従業員情報を一元管理できる人事労務システムの活用も一つの方法です。必要な情報をすぐ確認できる環境を整え、紙に依存した管理を見直してみてはいかがでしょうか。


